’08/06/04の朝刊記事から
プーチン氏 普通の首相の外遊ではなかった
待遇は大統領級 「越権行為」の声も
【モスクワ3日加藤雅毅】ロシアのプーチン首相が、本来は大統領が指揮する外交分野に意欲を見せ始めた。
フランス訪問ではサルコジ大統領と会談したほか、2日には駐米大使を官房副長官に引き抜き、首相府で初の外交担当幹部とした。
ロシア国内では「大統領権限に踏み込みすぎでは」との指摘も出るほどだ。
「普通の首相の外遊ではなかった」。
コメルサント紙はプーチン首相の5月下旬のフランス訪問をこう総括した。
プーチン氏はパリ滞在中、サルコジ大統領、シラク前大統領、フィヨン首相らと相次ぎ会談。
仏ルモンド紙の長時間のインタビューにも応じ、対米関係やイラン問題など外交分野も詳細に語った。
これに先立つベラルーシ訪問でもルカシェンコ大統領と会談、各国の待遇は今も「大統領級」だ。
また、プーチン首相は、駐米大使を9年務め、外相候補ともいわれる大物外交官のウシャコフ氏を官房副長官に任命。
同氏は対米強硬派で、ラブロフ外相とは折り合いが悪かったとされる。
3日のガゼータ氏は「外務省の立場が弱まり、首相も外交政策に影響力を発揮することになる」と報じた。
憲法では外交は大統領が指揮するとされており、プーチン氏の積極的な動きは「越権行為」との声もある。
ただ、プーチン首相は「最終決断するのはメドベージェフ大統領」と大統領を立てることも忘れていない。
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