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'07/08/06の朝刊記事から
中国食品 安全対策手付かず
ホルモン剤でイチゴ肥大 粗悪な古米にカビ毒素
中国産食品への不安が世界に広がる中、海外の目を意識する中国政府は、輸出用の「粗悪品」を厳しく取り締まる姿勢をアピールしている。
だが、問題が噴出する背景には、国内の安全対策にほとんど手が付けられず、食の安全が足元から脅かされているという深刻な現状がある。
「野菜の安全性には絶対の自信があります」。
北京近郊の小湯山の野菜集荷場で、北京天安農業発展公司の農業技術指導者、王福東さん(42)は胸を張った。
同公司は1600戸の農家と契約し、最先端の有機栽培を指導。
90種の野菜をパックに詰め、北京市内のデパートなどに卸す。
パックには生産履歴番号が記され、苦情にきめ細かく対応する。
しかし、「小湯山ブランド」の得意先はもっぱら富裕層。
価格は露天市場の3-4倍で、一般市民には手が届かない。
7月末、北京市中心部・朝陽区にある庶民の台所の露天市場は、いつものように生鮮食品を買う人々で混雑していた。
「農薬が心配だから、キュウリは皮をむいて食べるの。スーパーの野菜を買いたいけど、値段が高くて」。
野菜をどっさり買い込んだ女性(50)は顔を曇らせた。
品物には産地表示もない。
だが、そのスーパーでさえ、ワックスを塗って新鮮に見せたリンゴや、ホルモン剤で肥大化したイチゴなどを売ることも珍しくない。
深刻なのは貧困層だ。
北京に300万人いる出稼ぎ労働者(民工)が建設現場の食堂で食べる通称「民工米」。
1キロ1元(約16円)前後と安いが、粗悪な古米が使われ、発がん性のあるカビの毒素(アフラトキシン)が混じることもある。
中国の食品専門家は「この毒素は継続摂取すると、最短24週間で肝がんを引き起こす虞がある」と警告する。
中国政府は、輸出食品の規制を強化、7月までに、ウナギ蒲焼などの対日輸出企業を含む55社を処分した。
国家品質監督検査検疫総局は、輸出食品の安全検査合格率が99.8%に達したことを自賛するが、国内市場食品合格率は85.1%にすぎない。
中国農業大学食品科学・栄養工程学院(北京)の胡小松副院長は中国の食品管理体制をモグラたたきのような「事後懲罰型」と指摘。
国際的な不安を解消するためにも、「事前予防型」への転換を訴えている。