小中(旧制)計11年間一緒だった旧友S君の消息が最近、途絶えて心配していたが、やっと居所が判った。共通の友人のA君が早速S君に電話したが、文字通り”竹馬の友”だったのに、A君のことが判らなくなってきていた。S君の奥さんの話だと、身体は健康だが、認知症のため週に三回デーサービスで介護を受けているとのことだ。認知症など遠い話だと思っていたが、S君の話を聞いて愕然とした。身近な話になってきたのだ。
厚生労働省の推計によると、65歳以上の老人の認知症患者数は平成14年には全国で149万人だったのが今年度は305万人と僅か10年間倍増している。65歳以上の老人の10人に1人が認知症患者という勘定だ。老人の数はここ数年、加速度的に増えているが、この認知症患者の増加のスピードは厚労省の推計をはるかに上回っている。
昭和10年代の初め子供だった頃、学校へ行くため、S君の家へ誘いに行くと、S君のお祖父さんが東の空に向かって手を合わせているのを見かけた。多分、お祖父さんは今の僕らの年齢よりは若かったと思うが、近所の大人の話では、少し頭がぼけてきたという話だった。その頃、元治元年生まれの僕の母方の祖母も喜寿を迎えた途端、家の周りの彷徨が始まっていた。昔から認知症はあったのだが、年寄りの数が少なくあまり問題にはならなかった。
秋の季節には昔務めていた会社のOB会とか学校の同期会とか集まりが多い。加齢とともに参加者の数が減ってきている。欠席の理由には圧倒的に足腰が弱ってきたため、というのが多いが、中には妻が認知症で面倒をみているためというのもある。案内を出しても返事がこないケースもある。かっては元気に集まりで騒いでいたのに、思いたくはないのだが、認知症になっているのかもしれない。もうそういった年齢なのである。
厚生労働省の推計によると、65歳以上の老人の認知症患者数は平成14年には全国で149万人だったのが今年度は305万人と僅か10年間倍増している。65歳以上の老人の10人に1人が認知症患者という勘定だ。老人の数はここ数年、加速度的に増えているが、この認知症患者の増加のスピードは厚労省の推計をはるかに上回っている。
昭和10年代の初め子供だった頃、学校へ行くため、S君の家へ誘いに行くと、S君のお祖父さんが東の空に向かって手を合わせているのを見かけた。多分、お祖父さんは今の僕らの年齢よりは若かったと思うが、近所の大人の話では、少し頭がぼけてきたという話だった。その頃、元治元年生まれの僕の母方の祖母も喜寿を迎えた途端、家の周りの彷徨が始まっていた。昔から認知症はあったのだが、年寄りの数が少なくあまり問題にはならなかった。
秋の季節には昔務めていた会社のOB会とか学校の同期会とか集まりが多い。加齢とともに参加者の数が減ってきている。欠席の理由には圧倒的に足腰が弱ってきたため、というのが多いが、中には妻が認知症で面倒をみているためというのもある。案内を出しても返事がこないケースもある。かっては元気に集まりで騒いでいたのに、思いたくはないのだが、認知症になっているのかもしれない。もうそういった年齢なのである。