外国人労働者増を狙った改正入管法が明日、4月1日から実施されるが、これに先立ち法務省から、勤め先の企業を失踪した実習生5218人の聴き取り調査が発表された。これを見て、ロクに国会で審議したとも思えない改正法で、直面している外国人を取り巻く諸問題は解決できるのであろうか。”見切り発車”で大丈夫なのだろうか。
法務省の発表によると、外国からの企業実習生は年々、増加の傾向にあり、平成30年末の実数は32万88360人いる。これにつれて、勤務先の企業から無断で失踪する数も増え、1年間で9052人。これは前年度に比べて1963人も増加している。失踪実習生が現在何をしているのか調査はないが不法労働しているのに違いない。決して少ない数ではない。さらに、僕が驚いたのは、この6年間に実習中の事故死や自殺など171人も亡くなっていることだ。これも少ない数ではない。さら驚きなのは、東京福祉大学で研修生名目の留学生1400人の所在が不明だという。随分とずさんな無責任の話である。氷山の一角でなければよいが。
入管法の問題だけではない。僕が一番問題視しているのは外国人受け入れ先の労働意識だ。法務省の聴き取り調査では、失踪実習生のうち失踪の理由に、最低賃金を貰えなかったが15%、759人もいた。最近も大手企業の下請け会社が、労基法違反で摘発された新聞記事を読んだ。関係者は、外国人受け入れ増に備えて日本語学校の整備などに力を入れている。それも大切だが、問題はそんなものではない。