「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

”進化”したハロウィーンの平和な姿

2015-10-31 06:38:57 | 2012・1・1
10月31日はハロウイーンである。東京では渋谷を中止に仮装した若者たちが集まり大騒ぎするらしい。ハロウィーンは、元々はケルト人の収穫祭であり、新年のお祝いだったが、アメリカ大陸に渡って現在のようなお祭りになったらしい。日本でこの祭りが始まったのはいつごろからか、はっきりしないが、わが家のあたりでは、成人した孫たちが、昔、幼かった頃、ハロウィーンの飾りつけをした家を周り、お菓子を頂戴していた。

産経新聞の第二社会面に”ハロウィーン日本流に進化”という記事があった。進化したかどうかは別として、たしかに様変わりはしてきている。わが家の近所でいえば、昔ながらの”welcome" "とか”trick or treat"といった看板が掲げられ、カボチャの置物でライトアップされているが、訪れる子供たちはなく寒々としている。一方、盛り場では、昨夜からハロウィーンの前夜祭が始まったらしく、渋谷のスクランブル交差点には、大勢のポリスが物々しく警戒していた。

「1億参加ハロウィーン」から”蚊帳の外”の僕ら老夫婦は、昨夜、昔、勤めていた会社のOB会に出席した帰り、バスで東京タワーの脇を通ったら塔が橙(だいだい)色でライトアップされていた。それを見た老妻は、てっきりハロウィーンに協賛して、カボチャ色にライトアップしたものと思い、僕もそう思ったが、帰宅して調べたら関係はないようだ。

産経新聞の記事によると、ハロウィーンがここ数年で”進化”したのは、若者が”みんなで騒げる”からであるそうだ。”蚊帳の外”の老人は今はつくづく平和な好い時代だと思った。このブログを書きながら見ているテレビの画面では、ギリシャ沖で転覆したシリヤ難民の悲惨な姿を映していた。あまりにも好対照だ・

亡くなったノンフィクション作家 中島みちさんの別の一面

2015-10-30 13:57:10 | 2012・1・1
ノンフィクション作家中島みちさんが84歳での亡くなられた。新聞の死亡記事は”患者の立場から医療と法律の接点の問題を長年執筆された”と紹介しているが、中島みちさんには「日中戦争いまだ終わらず マレー”虐殺”の謎」(1991年 文芸春秋)という名著がある。今年4月、僕は「大東亜戦争とマレー 昭南 英領ボルネオ虐殺の真相」(朱鳥社)を出版したが、そのまえがきで、中島さんのこの著書に教わることが大であったと紹介してる。

中島さんは4年9か月に渡って現地取材をまじえて、この本を執筆、当時”無辜(むこ)の華人虐殺”として日本の新聞にも誤って報道されていたののに対して、数々の資料から、”虐殺”ではなくて第五師団の通常の緒戦にこける”マラヤ3月作戦”であることを証明した。

中島さんの舅にあたる中島太久郎中将は、マレー作戦の一翼を担った第五師団(広島)長だったが、生前、中島さんに対して”職業軍人の家族は、あれだけの人間を不幸にした戦いには一言も語ってはいけない”と語っていたそうだが、中島さんは著書のの中でこれに背くことになったが、”なんとしても火中の栗を拾わずにはいられない気持ちが著作にさせたが、今は亡き舅も夫も、私を許してくれているのではないかと思う日もある”と書かれている。そして”この世の不条理に哭き,死んでいった彼我の人々の無念、この人々苦しみと死がせめて明日の世界の礎として生かされることを祈ります”と結んでおられる。名著である、一読をお勧めする。合掌。

中国の一人つ子政策廃止と日本の希望出生率維持

2015-10-30 06:52:45 | 2012・1・1
中国共産党の重要政策を決定する会議で1979年来、36年間続いてきた”一人っ子政策”の廃止が決まった。経済成長を支える労働人口が減少しはじめ、2050年には60歳以上の高齢者が全人口の35パーセントを占め、世界一の高齢者国家となる危機感からの政策見直しのようである。

折りも折、日本でも安倍内閣の目玉政策の一つである”1億総活躍社会実現”のための国民会議が開かれた。各界の代表から建設的な意見が出され、アベノミクスの新三本の矢の一つである「希望出生率1.8」も検討されたようである。

内閣府の人口統計([HP)によると、わが国の出生者数はは戦後の第一次ベビーブーム時には、270万人、4.3をあったが、これをピークに減り続け、1966年の「ひのえうま」年には1.53まで落ちた。それが2005年には、さらに減少1.26までになった。06年からは多少アップに転じたが、14年から再び減少、15年の推定では100万人を割り込み1899年統計を取り出して以来の最低値が予測されている。

一方、内閣府の今年の「高齢者白書」にとると、2050年には日本の総人口は1億人を割りこみ9708万人となり、さらには2060年には65歳以上の高齢者人口は39.9パーセントとなる見込みである。高齢者人口の比は中国どころではない。

人口減少による労働力不足の予兆はすでに始まっている。”介護人材確保のための外国人材の活用拡大は待ったなしだ”と榊原経団連会長が「1億総活躍会議」で発言していたそうだが、介護人材だけではない。2020年の東京五輪を前に建築業界でも人出不足が始まっていると聞く。これに対してわが国の外国人雇用は、姑息な欠陥だらけの”研修制度”に依存しているのが現状だ。

「希望出生率1.8パーセント」は、あくまで希望なのだろうが、人口予測の裏付けがないし、具体的な対策がない。「1億総活躍」会議でいくら議論が百出しても、実行に移さなければ意味がない。

中央アジアの地域ビジネス創出3兆円に違和感

2015-10-29 05:25:47 | 2012・1・1
中央アジア歴訪中の安倍総理が、その締めくくりとして、タシケントで3兆円を超えるビジネス.チャンスを同地域に創出すると発表した。具体的な内容には触れていないが、3兆円とは、わが国の生活保護家庭への給付額と同じぐらいの額だ。その額を聞いて、僕はなんとはなく違和感を感じた。

平成27年度の「厚生労働白書」によると、0歳から15歳までの子供を持つ家庭の72.4パーセントが人口減少の第一の原因として、安定した雇用と収入がないことをあげていた。同白書はまた、50歳まで独身の「生涯婚姻率」が最新のデータでは、男性27パーセント、女性19パーセントと急増しているとも指摘している。何故安定した雇用がないのか、それは非正規雇用が、依然として増えていることだ。平成元年には19.1パーセントだった非正規雇用者数は、平成26年には37.4パーセントと増え続けていら。

一方、政府は平成28年度からサラリーマン家庭の配偶者控除の改正をし、今まで年収130万円だった主婦の控除ラインを106万円まで引き下げる方針のようだ。改正してもトータルでは同じだが、心理的には収入減である。政府は”一億総活躍”をスローガンにしているが、主婦が働く機会を減らすことになれば、これに水をさすことになるのではないだろうか。

阿倍総理は、第二次内閣発足以後の外国訪問国は50を超え歴代総理では第一位だという。精力的に”トップセールズ”されるのに反対ではないが、経済を第一に掲げているのに”アベノミクス”で潤っているのは一部の大手企業だけだという批判がある。庶民にはどこに国があるかわからない地域のビジネスを創出しても、あまり意味がないという気持ちがある。

ご先祖の戦歴への関心と戦友会誌

2015-10-28 06:05:19 | 2012・1・1
「永遠の〇」(百田尚樹著)の映画化や漫画化もあってか、若い世代の間で祖父、曾祖父の軍歴や戦歴調べに関心が集まっているが、「個人情報保護条例」の開示条件が三親等までのため四親等の曾孫世代は、調べられない、と新聞にあった。戦後70年”先の戦争”も遠くなり、従軍体験者は、ほとんど90歳代となり、直接戦争の話を聞く機会がすくなってきた。

インドネシアを中心に南方地域の軍政を調査している僕宛てにも、時々問い合わせがくる。先日も戦後スマトラに残留した旧日本兵の消息が判らないかとの手紙を頂いた。戦後インドネシアに残留した旧日本軍関係者については、ジャカルタに本部がある「福祉友の会」(Yayasan Warga Persahabatan)発行の”インドネシア独立戦争に参加した日本兵一千名の声”に残留者リストが載っているが完ぺきではない。僕宛ての問い合わせの方の名前はないが、戦後昭和24年になって、スマトラから2トンの小舟に乗って、タイ国経由帰国した長谷川豊記さんの著書「スマトラ無宿 虎憲兵潜航記」(昭和57年 叢文社)には出てくる。

海外戦地での犠牲者の数は推定200万人といわれるがはっきりしない。一応、政府から戦死公報があり、”白木の箱”に入ったご遺骨が届けられることになっていたが、ご遺骨の代わりに石が入っていたいう話をよく聞く。逆に僕の友人の父上はサイパン玉砕で死亡したと公報が入ったが、戦後無事で帰国した例もある。いずれにしても大混乱の時代で、正確な犠牲者の数や実態はつかめていない。

僕の家の屋根裏には、10数年前本を出版した際、知り合いの戦友会の方々から頂戴した戦友会の記録や資料がある。戦後80年、僕が生きているという保証はない。機会を見て整理し、しかるべきところに寄贈したいと思っている。あの戦争が遠くならないためにも必要である。

続発する老人施設からの転落死 対策はないのか

2015-10-27 06:52:10 | 2012・1・1
川崎市内の有料老人施設「S,アミュ―幸町」で80代から90代の老人4人が相次いで転落死した。この施設では80代の男性が浴槽で事故死したり、入居中の母親が職員によって暴行されている写真をネットで公開、社会を驚愕させた。その後この事故だか事件だか判らない転落死がどうなったの判らない。川崎市が施設を”監査”したらしいが結論がどうなったのだろうか知らない。

ところが、新聞報道によると、川崎と同じ施設の親会社が経営する千葉県の松戸市と市川市の老人施設で、平成25年9月から昨年11月にかけて86歳の認知症の男性が4階の自室ベランダから転落、高次脳機能障害を持つ80歳の男性は入居間もなくで、やはり自室3階ベランダから転落死した。施設関係者は川崎、松戸、市川との間には関係がないとしているが、だれが見ても不自然である。

高齢者には高層施設は構造的に適していないのだろうか。しかし、一般の高層住宅から老人が転落したケースはあまり聞いたことがない。やはり、この一蓮の事故が続発している老人施設のベランダには構造的な欠陥があるのではないか。横浜の欠陥マンション問題は、愛知県の23件をはじめ全国的な広がりをみせている。同じように、この老人施設を全国的に展開している親会社にも問題があるのではないだろうか。監督官庁の厚労省は、調査する責任がある。

燈火親しむの候 読書よりスマホ 

2015-10-26 06:01:47 | 2012・1・1
作家の曾野綾子さんが産経新聞のコラム”小さな親切大きななお世話”の中で、異様な風景として電車の座席でのスマホをあげていた。6人がけの座席の全員が皆、スマホいじりに夢中になっていた、その姿だ。曾野さんが若い時には、電車は本を読む場所で、一種の勉学の時間であったのにとも書かれている。勉学であったかどうか別として、僕も通学や通勤時にはよく車中で読書したものだった。

秋の季節である。昔、葉書や手紙による挨拶が日常的だったころ”燈火親しむの侯”とか”秋の夜長の侯”といった常套句がよく使われた。蛍光灯やLEDがなかった時代、白熱灯の電気スタンンドの下で虫の声を聞きながら読書したのが懐かしい。秋の風物詩であった。

今年も10月27日から11月9日までの2週間、恒例の「読書週間」が始まる。今年の標語は”いつだって読書日和”だそうである。読書は「読書週間」の秋だけに限りませんよ、という意味が込められているのかもしれない。文化庁の調査によると、日本人の読書量は年々、減る一方で、最近の調査では、1か月に3冊以上本を読む人は僅か17.9パーセントに過ぎないという。

曾野綾子さんは”今の人は恐ろしく勉強しない。なくてもいいような噂話的な雑事を知ることに貴重な時間を使っている。プロとして通用するような知識はスマホでは得られない場合が多い”とも書かれている。残念ながら僕はスマホを持っておらず、真偽のほどは解からない。しかし、異国のあまり意味のないお祭りに、1週間も前も前から、うつつを抜かし大騒ぎするのは、あまり賢いとは思えない。

後期高齢者が参加できない「一億総活躍会議」

2015-10-25 06:03:06 | 2012・1・1
「一億総活躍会議」を検討する民間議員メンバー15人が発表になった。会議が動き出す前からイチャモンつけるのは不謹慎かもしれないが、経団連会長、商工会議所会頭、何の会議にも顔が出てくる元総務相などなど、要職にある人が多く果たして、内閣が最重要視する問題の実質討議が出来るかどうか疑問だ。

先日テレビを見ていたら、民主党の蓮舫代表代理が、千葉県幕張にある日本年金機構の一人の入居者がない職員住宅を視察していた。施設の老朽化から入居希望者がなく4年間放置されたままになっている。色々と問題がある年金機構である。民主党得意の”仕わけ”戦法には格好の材料だが、最近の安倍内閣を見ていると、”アベノミクス”の三本の矢だとか、”地方創生””一億総活躍”など掛け声だけで、実際の政治が動いていない印象を受ける。

「一億総活躍」社会実現の一環として首都圏90か所の公務員住宅後に、特別養護老人ホームなどの事業者に優先的に土地を貸し出すという。新聞記事だけ読むと結構の話だが、事業者が果たして、土地の提供を受けただけで特養ホームを建設するだろうか。かりに建設したとしても、そこで働く介護のスタッフなどはどうするのか。

特養老人施設入りを希望している老人は52万人いるという。政府は在宅介護を優先させているが、家庭で実際に老人を介護する家族は大変である。地域包括センターを中心とする介護体制が十分だとは思えない。介護現場の声や、直接の後期高齢者の声が政策に反映しているとは思えない。「一億総活躍」を目指すのなら会議のメンバーに後期高齢者も参加させるべきである。

五郎丸選手のポーズと真言密教の瞑想

2015-10-24 05:49:28 | 2012・1・1
わが家ではまだ先日のラグビー世界選手権での五郎丸歩選手のゴールキック前のポーズが話題になっている。頑固な老妻は、あのポーズは昔習ったヨガの先生から聞いた真言密教の瞑想法にそっくりだ、と強く主張する。これに対して、僕は子供の頃、転んでケガをしたとき、祖母が唱えた”チチンプンプン”の際の格好と似ていると言い張る。

老人閑話。、どうでもよい話だが、好奇心から調べてみたら真言密教のホームページにの「阿宇観瞑想法の十五ある瞑想法の一つの「被甲護身甲冑印」が五郎丸選手のポーズによく似ている。”内縛は中指を立て合わせ、両人差し指は中指の背で釣の形のように曲げる。但し中指は着けても親指は並べて伸ばす”とある。実際にこのポーズをしたわけではないが、活字の上ではなんとはなく、老妻の言う通りだ。

幕末生まれの祖母が唱えた”チチンプンプン”の際のポーズは忘れてしまったが、wikepediaによると、この呪言は正式には”チチンプンプン”の後に「七里結界」という言葉がつくそうだ。「七里結果界」とは、やはり密教の言葉で”魔障の侵害を防ぐ七里に障害を設けることだという。どうやら、こういった呪言やポーズは密教と関係があるみたいだ。

神や仏への信仰が薄れてきた現代だけに、五郎丸選手のポーズが、逆に何か新鮮さを感じるから不思議だ。人間にはこういった未知なるもの、聖なるものへの期待や恐れがいつの世にもあるのかもしれない。話はそれてしまったが、閑話休題。わが家の”五郎丸”論争は、どうやら真言密教のHPからみて、老妻の主張に歩がありそうである。

バック トゥ ザ パスト 1985

2015-10-23 05:41:55 | 2012・1・1
1985年(昭和60年)に米国で制作されたSF映画「バック トゥ ザ フューチュア」の主人公が30年後の未来の世界に戻った日が2015年10月21日だったのにちなんで、東京でも主人公が乗った自動車を復活させるなどのイベントがあった、残念ながら、僕にはこの映画を見たこともないし、当時話題になったというのも知らない。当時54歳、もう未来への関心などいい加減喪失していたのかもしれない。

1985年3月、僕は長年住みなれた東京の山の手から、同じ東京でも郊外の八王子の集合住宅に引っ越しした。バブル景気(1986年―91年)の始る前だったが、その年9月の先進国5か国の「プラザ合意」で、バブルの兆しが見えはじめ、あっという間に購入した住宅が値上がりし始めてきた。八王子は環境は好かったが、満員電車で都心へ通うのが苦痛だった。1990年、バブルの絶頂期に、まったく偶然だったのだが、買ったばかりの住宅を手放し東京へ戻った。

当時、僕はすでにマスコミの仕事を終え、国際関係の仕事に派遣で嘱託として働いていたが、バブルとは一見、関係のないなこんな仕事にも及んでいた気がする。派遣といっても、正規社員と同じように毎日仕事があったが、困ったのは、このころから始まった事務機器の近代化であった。しかし、ワープロやケータイが、今のようにこれほど普及するとは予測できなかった。

1985年の時点でとらえてみれば、バブルもそのあとの崩壊も一般には予測できなかった。馬齢を重ねると30年など、つぃこの間のような気がするが、やはり、歳月の経過の重みを感じる。30年先はこの世にいない老人の感想である。