「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

         東京マラソン この平和の国萬歳

2011-02-28 07:33:59 | Weblog
3万6千人が参加した東京マラソンの模様を昨日、テレビで"万感”の思いで観戦した。その第一は、この平和な姿だ。東京のど真ん中、銀座通りや浅草雷門前の通りを一杯に広がって走る市民ランナーの群れ、そしてこれを応援する家族連れ。同じ群衆でも、最近、中東各地で吹き荒れている反政府デモとはあまりにも対照的、平和な姿である。

変な連想だが、僕は東京マラソンから戦争中の”歩け歩け”運動を思い起こした。一億皆兵、あの時代、政府は国民の体力増進を狙って大々的な”歩け歩け”運動を展開した。こんな歌が、流行し休日ともなると、都会の郊外のハイキング・コースは人で埋まった。
     ♯&♭ 「歩くうた」(作詞 高村光太郎 作曲 飯田信夫 昭和15年)
          歩け歩け歩け歩け 東に西に歩け歩け
          南に北に歩け歩け 道なき道も道ある道も
          歩け歩け
作詞は「智惠子抄」の詩人、高村光太郎である。

東京マラソンの日本人第一位に入った、河内優輝君(23)は、埼玉県の学校職員で、いわゆる市民ランナーである。エリートランナーの実業団の選手ではない。テレビでリュックを背負つて走りながら通勤する河内君の姿をみた。いってみれば皇居を一周している市民ランナーと変わりがないわけだ。

情けないことに80歳を越えて僕はもう走れない。しかし、3万6千人もの都民が和気あいあいと都大路を走るのを見て、改めて平和の喜びをかみしめ、萬歳を叫んだ。
       
 

           学校選抜制度の弊害

2011-02-27 07:26:23 | Weblog
先日、NHKの首都圏ニュースで埼玉県三郷市で再来年から学校選抜制度を廃止すると報道していた。学校選抜制度というのは公立小中校で学区を越えて保護者が自由に子どもを好きな学校へ通学できるものだ。10年ほど前から東京の品川区で始まった制度だが、僕は当初からこれに反対であった。

文部科学省の調査によると、全国の小学校で14・9%、中学校で15・6%がこの制度を実施しているが、最近は東京の江東区や前橋市などその弊害から制度を廃止する動きが出始めてきた。NHKの報道によると、三郷市の場合は学校選抜制を導入してから、市内の学校間の生徒数にばらつきが出てきて、生徒数が大幅に減った学校によってはクラブ活動も出来なくなって学校運営にも支障が出てきたという。

学校選抜制の弊害について一般的に指摘されているのは、このほか学校間の無意味な競争が激しくなり、教師にかかるストレスが強くなること。Wikipediaによると、東京の先生の間には、品川区への転勤を嫌がり”シナ流し”という言葉さえあるという。品川区は学校選抜制と同時に小中一貫校に力を入れたり、品川区だけで教員を募集するなど独自な教育を実施している。

僕は68年前、品川区の明治時代からあった伝統ある小学校を卒業しているが、品川区のこの教育制度のあおりで校舎はなくなり、ついには校名まで奪われてしまった。僕の母親の先祖は江戸時代からの旧家で、本家はまだこの地に住んでいるが、法事などで集まり話を聞くと学校選抜制の結果、土地の住民間の連帯も失われてきたと嘆いていた。東京でもこうである。地方の中小都市ではなおさらであろう。


            リビア在留邦人退避

2011-02-26 09:38:29 | Weblog
昨夜遅く、外務省は在リビア日本大使館を一時閉鎖し、西ヶ広渉大使ら日本人職員3人を隣国チュニジアに退避させる、と発表した。16人の在留邦人のうち9人は現地人と結婚したりして出国の意思が無く、他の7人は首都トリポリ以外に住んでいるとのこと。一昨日の前原外相の国会での答弁では、在留邦人は52名、外務省のHPは120名。無事で何事もなければよいが、在外公館の危機管理は本当に大丈夫なのだろうか。ニュージーランド・クライストチャーチの地震発生後の対応も、一生懸命やっているのだろうが不安である。

            春一番 和菓子に季節感

2011-02-26 07:22:27 | Weblog
昨日、東京は”春一番”が吹いて午後には寒暖計はさらに上がって20・8℃を記録した。これは桜の花も散つた大型連休の頃の陽気だそうだ。僕も”赤い鼻緒のじょじょ”ならぬ白いスニーカーをはき、買物をかねて散歩に出かけた。

昔、2月といえば野菜や果物は”端境期で八百屋や果物屋の店頭は品不足だったが、今は豊富だ。戦前は露地ものが主流だったが、現在はほとんどがビニール栽培によるものだろう。かっては夏の季節しかなかったキュウリやトマト、イチゴそれに輸入物なのだろうか熱帯果物まである。消費者にとって、こんあに嬉しいことはない。しかし、一方では季節感が失われてきた。

こんな中で僅かに季節感を売物にしているのは和菓子だ。最近はわが家の周囲には昔ながらの和菓子専門店が減ってきたが、隣りの商店街には一軒残っている。老夫婦の小さな店だが、老妻に言わせると昔の味であり、何より大きくて安いのがよいという。早速、、僕は季節の桜餅、道成寺、梅餅、草餅、鴬餅を一個ずつ買った(写真)鴬餅が175円、残りは1個135円。

桜餅のことを東京では「長命寺」と昔は呼んだ。深川の長命寺というお寺のお坊さんが江戸時代、墨堤の桜の葉をワッフル風にして売り出したものだという。同じ桜の葉を使った関西の道成寺とは違うが、やはり季節の和菓子だ。

洋菓子時代だが、最近、カロリー面から若い人から和菓子が見直されてきたという。左党の僕にはスイーツを語る資格はないが、やはり洋菓子よりは和菓子のほうがよい。

         在リビア日本人は安全なのか?

2011-02-25 07:48:20 | Weblog
北アフリカのリビアの反政府運動はすでに10日以上も続き緊迫の度を強めてきた。すでに反政府勢力は、首都トリポリ50㌔に迫ってきたが、最高指導者、カダフィ大佐は徹底抗戦の立場をとり反政府勢力と対決の構えを見せている。現地からの報道では、カダフィ大佐は側近の軍隊や外国人傭兵を使って無差別銃撃を繰り返しているという。かって”砂漠の狂犬”といわれた男だ。全面対決にならなければよいが心配である。 

遠いアフリカのニュースとなると残念だが、日本の新聞だけでは十分ではない。僕はテレビのBBCやCNNを利用するが、リビア情勢を見ていて気になることが一つある。それは数日前から、リビアにいる外国人が情勢の悪化に備えて続々本国から派遣された飛行機や船舶で帰国していることだ。またリビア市民も国境から難を避けて隣国のチュニジアやエジプトに逃れている。

日本人は大丈夫なのだろうか。外務省のHPで調べると、リビアには120人、日本人が滞在している(2010年5月現在)。欧米や中国などに比べれば在留邦人の数ははるかに少ない。前原外相の国会答弁によると、在リビア邦人52人は全員無事で連絡がとれているというが、HPの120人とはあまりにも差がある。果たして全員の無事を掌握しているのであろうか。

北アフリカにはベルベル人という種族がいる。ベルベルとはギリシャ語で昔”野蛮な”という意味があったようだ。英語の「Barbarian」と語源が一緒である。カダフィ大佐が昔のベルベル人の後裔だかどうかはしらないが、2年前の国連総会での”安保理はテロ理事会”といったような発言から見て、常人とは思えない。一日も早く在外公館のスタッフを含めた邦人の安全策を構ずべきだ。
  

  

       おそまつな党首討論の菅総理の応対

2011-02-24 07:05:18 | Weblog
まがりなりにも党首討論である。昨日テレビの中継で菅直人総理と野党自民党谷垣禎一総裁、公明党代表山口那津男代表との菅総理の応対ぶりを見て、つくづく菅氏は一国の宰相の器の持主ではないなあ、と感じた。谷垣総裁に対するあの”居丈高な姿勢”(山口代表)は、ねじり国会で手詰まり状態の総理のとる態度ではない。山口氏のニュージランド地震に対する答弁も野党党首への応対ではない。失礼である。

民主党の菅政権は、ここへ来て2009年マニフェスト(政権公約)の見直し的発言がめだつ。高速道路の無料化、子ども手当ての全面実施撤回などなど、さらには今年9月の民主党政権発足2年に当たってのマニフェスト全体の再検討などなど。政権運営に当たって障害ならば、ときにはそれも仕方がないかもしれない。

しかし、一方において、菅政権になって突如飛び出したような「税と社会保障」の問題、「TPP(環太平洋パートーナー協定)参加につぃて、どちらも期限つきで概要を示したり、その参加の是非を明示すると約束している。しかし、現状を見ると、菅総理が”平成の開国”と生き込んでいても、与党の民主党の内部ですら意見が異なっており、中にはおおぴらに反対運動まで起きている。

野党が来年度予算や関連法案の審議に慎重になるのは当然である。とくに「税と社会保障」の問題については「消費税」を避けては通れぬのはっきりしている。それなのに民主党政権は「消費税」の増税は任期中は行わないとしている。明らかに矛盾である。こんな矛盾を抱えた政権に対して野党は黙って協力するわけにはゆかない。にもかかわらず、党首討論での菅総理の”居丈高”の態度はなんなのだ。

      石原都知事の4選不出馬 正しい決断

2011-02-23 07:26:27 | Weblog
石原慎太郎都知事が4月の都知事選には立候補しない意向のようだ。先日息子の伸晃・自民党幹事長が4選に向かって立候補するよう懇請した、という記事を見た時、僕はいくら親子といえども慎太郎さんは、断るだろうと最初から思っていた。石原さんは9月の誕生日がくれば79歳。当選して知事になれば任期中に80歳台だ。政治家として有終の美学をお持のような石原さんだ。出馬の可能性はないと思っていた。

先日テレビの国会中継で藤井裕久官房副長官が自由党幹事長時代の”政治とカネ”問題で追及される姿をみた。藤井さんは石原さんと同じ1932年(昭和7年)生まれの同じ歳である。僕は禿頭の藤井さんが、若い自民党議員の鋭い質問にあって”認識がない”一本で逃げている姿に哀れみさえ感じた。かって大蔵大臣や財務大臣を務め、自由党でも民主党でも幹事長の要職にあった人だ。履歴をみると、過去に何回も政治家を辞めると言って置きながら、請われて、ずるずると今日に至っている。

小泉内閣時代の2003年、自民党は衆院の比例制選挙で73歳定年制を決めた。当時これに該当する中曽根・元総理らがこれに反対したが、小泉さんは押し切った。高齢化の時代73歳はすこし早い感じもするが、議員の任期を考えれば妥当かもしれない。高齢者と言っても70歳から75歳までの前期と、75歳すぎの後期とでは体力、気力が随分異なることは自分の体験からも解る。

石原慎太郎さんは、お見受けしたところ政治家として気力も体力も充実しておられる。でも昔から”後進に道を譲る”という言葉がある。周囲からおだてられて、道を譲らないと失礼だが、藤井さんの二の舞になる。正しい決断である。


      もう うんざりの「政治とカネ」審議だが

2011-02-22 07:24:07 | Weblog
昨日の衆院予算委員会は「政治とカネ」の集中審議だった。テレビの国会中継でこれをみたが、正直いってもう”うんざり”というのが、偽らざる印象だ。思い出すと昨年の今ごろも鳩山由起夫総理(当時)と小沢一郎幹事長(当時)の「政治とカネ」をめぐって、どうどうめぐりの実のない審議が行われていた。もう一年ごしの問題である。

民主党は今日22日小沢氏を呼び、党倫理委員会で小沢氏の弁明を聞いて党としての処分を言い渡すそうだが、案の定、小沢氏は「党員資格停止」に異議を唱え素直に決定を受入れなかった。民主党が処分を決定したらかといったって、どうという解決にはならない。

昨日の予算委審議を見ても野党は依然として小沢氏の国会喚問を強く要求しており、民主党が小沢氏の処分を決定したからといって「政治とカネ」の問題が終息するわけではない。菅総理は、終始小沢氏の国会喚問に同意しながらも、自分では動こうとはしない。この煮え切れない態度が支持率の低下につながっているのだが。

テレビの画面でみると、当の小沢氏はあの不気味な笑みを浮かべて”国会はここ2週間が正念場だ”と無責任なことを言っている。「維新の会」をめぐる政党再編の動きを意識しているのかどうかはしらないがー。まったく無責任な男である。昨日の予算委員会の模様ををみれば、日本の政治が自分の「政治とカネ」の問題で、昨年来停滞したまま前に進まないでいるのが解ると思うのだが。自分が潔白であるかどうかという問題ではない。

   どうにかならなかったのか 痛ましい老老介護の事件

2011-02-21 08:00:49 | Weblog
痛ましい事件である。千葉県市川市で70歳の男性が92歳になる母親をご先祖のお墓のある霊園で首を絞め殺し、自分もかみそりで手首をきったが、死にきれず警察に殺人容疑で逮捕された。母親の認知症の介護に疲れ果てた上でのことだったという。老老介護の悲劇だが、なんとかならなかったのだろうかー。

92歳といえば、大正一桁生まれで、戦中、戦後の日本のあの一番苦しい時代を生き抜いて来た世代である。70歳の息子も、なにも食べるものが無かった食糧難の時代に少年時代を送った世代だ。同じ時代を体験している僕らだけに、本当に心から同情する。

この一家について深い事情は知らない。多分一家に介護できる親族がいたため特別養護老人施設への入居は順番待ちで入居出来なかったのかもしれない。日本全国には入居したくても公共の安い老人施設に入れない待機老人が30万人いるといわれ、とくに大都会周辺では、その数が多いという。

たまたま90歳になる僕の先輩の一人が同じ市川の有料老人施設に入っている。時々手紙を頂戴するが、文面はしっかりなさっているようだが、申訳ないがやはりおかしい。しかし、先輩の場合は幸せのようだ。ネットで調べたら、入居一時金が数百万円から1千万円もする高級老人ホームである。とても一般の人では利用できない。

政治家は子ども手当てや、高校授業料無償化などだけに目をむけているように僕ら年寄りにはみえる。しかも、今の民主党政権は”詐偽フェスト”で「後期高齢者医療制度」の即時廃止をいいながら、廃止もせず代案も提示できないでいる。恵まれた母親から、いまだに政治資金のお小遣いをもらっている指導者のいる政党では、老老介護の現実など理解できないのだろう。

          ”鯨戦争”をうやむやにするな

2011-02-20 07:52:51 | Weblog
渋谷109ビルの横に鯨料理専門の「元祖くじら屋」がある。昭和25年開業の老舗だ。このあたりにまだ「恋文横町」があり、進駐軍の兵隊が"オンりー”の女性を連れてウロウロしていた頃からあった。その当時、鯨肉は日本人にとって貴重な蛋白源で、僕ら安サラリーマンにとって、そのベーコンはブドウ割焼酎の唯一のツマミであり、鯨肉の立田巻は学校給食の定番だった。

昨夜、僕は久しぶりで80歳を越えた昔の酒友2人と「くじら屋」の近くで軽く飲んだ。南極海での調査捕鯨が反捕鯨団体シー・シェパード(SS)の無法な妨害行動で、今年は中止せざるをえなくなったことに、まだ血の気の多い三人とも怒っている。本来は鯨料理を食べてその流飲をはらしたかったが、懐不如意の僕らは、商業捕鯨中止いらい贅沢化してきた鯨料理を避けて安いサカナを食べた。

調査捕鯨は国際条約による、合法なものである。これに対して(SS)は数年前から執拗に妨害行動に出て、たしかに鹿野・農林水産相のいうように調査船、乗組員の生命は危ないし、調査捕鯨本来の目的も達せられていないようだ。それは僕らも十分理解できるのだが、民主党政権になってからの尖閣問題などの下手な弱腰ともみれる外交政策があるだけに、そちらへの怒りのほうが大きい。

欧米では日本に勝利した日を「VJ-day」と呼ぶが、シー・シェパードのHPは、日本が調査捕鯨を中止した2月18日を「VSU-day」(南極海で鯨が勝利した日)とし、だいだい的に祝っている。そして日本が調査捕鯨を再開すれば、すぐ活動を始めると脅しまでついている。日本側は、ただ今年の調査を中止するだけなのかはっきりしない。SSの同じHPにはオランダの「宝くじ振興会」みたいな団体が100万ユーロー(約1億1千万円)をSSに寄付した、とあった。SSを支援する国に対してもしかるべき抗議をしなければならない。
中止するだけでは、国際的になめられるだけだ。