1962年9月のイエメン王政革命の直後、首都サヌアを訪れるため、アデン空港から小さなプロペラ機で向かったが、治安が悪くタイズ飛行場に変更になった。タイズはイエメンの南西部に位置し1500mほどの高原の町だ。かって王国だった時代首都だったこともあり、古い石造りの塀に囲まれた家屋が目立った。住民は独特の衣装を身に着け腰に刀を差して、カートという麻薬っぽい草の根を噛んでいた。
旧約聖書にでてくるシバの女王の時代、この地は"幸福のアラビア”と呼ばれたそうだが、町にはかってのそれらしきものが残っていた。しかし、ぼくらは数時間町に滞在しただけ。買い物のため持っていたドル紙幣を町で流通していた古い19世紀のコインに替え、車をチャーターして陸路180キロの砂漠のワデイ(雨季には川)の道をアデンに引き返した。
イエメンではイスラム.スンニ派の大統領派と反対派のシーア派勢力との間で2015年以来、激しい内戦が続いている。その主戦場ががタイズからアデンにかけての地域とのことだ。