ビール飲みオヤジの日々雑感

ビール飲みオヤジが日々感じる雑感を徒然なるままに。

良識

2017年03月29日 | 戯言
昨日とは違い、敢えて斜めに構える必要を感じませんでした。

ここに人を育てようとする指導者の姿を見ました。
一方で監督として勝つことへの執念についての本音を必要以上に隠さないことも却って好感が持てました。

また筆者の「確かに投手を守るためにも、球数制限、連投禁止などのルールを早急につくるべきだとも思う。しかし高校野球は、弱小公立高校からセミプロのような強豪私学までさまざまなチームがあり、そのチームごとに異なる事情を抱えている。規制は、強豪校と弱小校のさらなる差を生む可能性もはらんでいる。」という一文がオヤジを肯かせました。

オヤジは「選手権」という名称の勝ち抜き戦を主催する側がこの懸念を常に意識して欲しいという思いで、ついつい昨日は斜めに構えてしまいました。
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<福岡大大濠・八木啓伸監督の良識。エースの投球練習を制止した理由。>
ヤフーニュース Number Web配信 https://headlines.yahoo.co.jp/ 2017年3月29日

 1回裏、福岡大大濠の大エース・三浦銀二が、ベンチを飛び出し、ブルペンへ向かおうとした。

 準々決勝の第2試合、福岡大大濠vs.報徳学園の試合で、自軍の先発ピッチャー・徳原世羅が乱れ、5番打者を迎えたところで早くも2番手の西隼人にスイッチしたのを見ての行動だった。

 しかし、監督の八木啓伸はそれを制止した。

 「気持ちはわかるが、必要ないと言いました」

 春夏通じて26年振りに甲子園に出場した福岡大大濠は昨秋、県大会、九州大会、神宮大会と合わせて全13試合の公式戦を戦った。そして、その全試合において三浦が先発完投している。文字通り、大黒柱である。

 この選抜大会も、三浦頼みだったと言っていい。22日、1回戦の創志学園戦では149球を投げて6-3で完投勝利。26日、2回戦の滋賀学園戦では196球を費やし、延長15回を投げ切って1-1の引き分けに持ち込んだ。1日空けて、28日に行われた滋賀学園との再試合でも完投し、3-5で勝利。130球を投げた。

本人も、トレーナーもGOサインだったが……。

 準々決勝は、その翌日だった。試合前、三浦はこう話した。

 「体が重いというか、少なからず疲労はありますけど、僕自身は投げられる状態にあります」

 トレーナーも100球程度なら投げられるとの判断だったという。

 これまで、三浦以上に疲労し、あるいははっきりと肩やひじに痛みを抱えながら登板したピッチャーを何人も見てきた。しかし八木はこの日の朝、三浦を投げさせないことに決めたという。

 「本人は大丈夫そうなことを言ってましたが、周りの選手などにも聞いて、総合的に判断しました」

 昨今は投手を酷使すると、すぐさまバッシングを浴びる。そうした世論も少なからず影響したのかと問うてみたが、「それはない」とやんわりと否定した。
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 体調に配慮とは言わず、優勝のための采配と言った。

 結局、福岡大大濠は、公式戦初登板となる三浦以外の3人の投手で必死に継投したものの、3-8で敗れた。

 7回裏、3-7と依然として大量リードを許す中、しびれを切らした三浦が再びブルペンへ走ったときは、八木も制止しなかった。

 「本来、投げたがりの性格なので。ただ、逆転しない限り投げさせるつもりはありませんでした」

 三浦の登板回避について、八木は状態を考慮したことはもちろんだが、同時にこうも主張した。

 「(三浦の登板回避を決めた)決め手は、優勝するために、ということです。決勝まで進めば4連戦になる。休ませるなら、ここしかないと思った。三浦なしで勝ったら、チームも成長する。みんなでこの壁を超えようと言った」

 ことさらエースの体調に配慮したとは言わず、優勝するための采配だという言い方をしていたのも潔かったし、監督として、あるべき姿のように映った。

 これが後のない夏だったならば、あるいは決勝だったならば「状況は変わっていたかもしれない」と話す。それでも、将来のある高校生を預かる監督として十分、良識を感じた。

この良識が常識として広まれば……。

 確かに投手を守るためにも、球数制限、連投禁止などのルールを早急につくるべきだとも思う。しかし高校野球は、弱小公立高校からセミプロのような強豪私学までさまざまなチームがあり、そのチームごとに異なる事情を抱えている。規制は、強豪校と弱小校のさらなる差を生む可能性もはらんでいる。

 甲子園に出てくる監督は、とかく勝利至上主義に毒されていると見られがちだが、今回の八木の采配を見て、そんなことはないと思えた。

 投手の酷使問題に関しては悠長なことを言っていられないのも事実だが、こうした良識が「常識」として広まれば、高校野球も少しずつ変わっていくのではないか。
(「野ボール横丁」中村計 = 文)
コメント
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