乾坤一擲(けんこんいってき)とは、天(乾)か地(坤)かわからないけれど運命を賭けようという意味。
メン魂一擲とは、最初で全てが決まってしまうけれど、万事を尽くしてかけぬけて終ろうという意味。(冗談です。)
最初をどう演奏するかで大体決まってしまうというのは、どの曲でもあることだが、四大ヴァイオリン協奏曲を比較すると、メンデルスゾーンは抜きんでてその性格が強いことがわかる。
他の3曲は「序奏」がついていて、序奏の最後にヴァイオリンが登場する。序奏であるからキャラクターは一個である。ベートーヴェンとチャイコフスキーは、とにかく「ドミナント」、ブラームスはとにかく「テンション下げない」、これで乗りきれる。
ところがメンデルスゾーンは、いきなりテーマなのである。しかも数拍単位でキャラクターを変えなければならない。他の3曲は、もっとおおらかにキャラクターが切り替わる。
この「切り替え」ができないと、味わいの足りない曲になってしまう訳だ。
最近、シェフチークが編み出したメンデルスゾーンの協奏曲のためのエチュードを何人かにやってもらっている。
シェフチークの素晴らしいのは、手指の筋肉が鍛えられるところだ。これで、さぞかし素晴らしい演奏ができるか、と思いきや、そんなことはなかった。上述のようなことには、エチュードとしては触れることができない。結局、別個に取り出して説明しなければならないのであった。やれやれ・・・。