井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

ベートーヴェンの戦争交響曲

2013-07-16 23:56:27 | オーケストラ

ベートーヴェンの交響曲は9曲というのが、一般的な認識だと思うが、実はもう少しある。

一つは未完成の10番が復元されたもの。20年くらい前に一部分聴いたことがある。第9の3楽章のテーマによく似た主要主題が印象的なのだが、何せ、あの第9の後、よほどの何かがない限り、存在感を打ち出すのは難しい。ざっくばらんに言えば、どうでもよい曲だった。

もう一つ、イエナ交響曲というのがあったと思っていたが、これは1957年にヴィットの作と判断されたようだ。いずれにせよ興味もわかず、未だに未聴、多分一生未聴。

そして、この交響曲「ウェリントンの勝利」、俗に「戦争交響曲」と言われるもの。

内容が内容だけに、興味をひくのには充分なタイトル。しかもカラヤン/ベルリン・フィルの録音まで出回っているのだから、その昔のクラシック小僧やオーディオ少年達は、一応みんな聴いたのではないだろうか。

しかし、第九に連なる偉大にして深遠なる系譜とはかけ離れたこの「戦争交響曲」、イギリス軍とフランス軍の戦いで「ルール・ブリタニア」や「イギリス国歌」が引用され、双方の進軍ラッパが鳴り響くと「戦闘開始」という、まことにわかりやすい作りになっている。

わかりやすいのだが、戦争ってこんなに楽しかったっけ、と思わせてしまう妙に明るい曲調は、結構な違和感をももたらす。

早い話が「くだらない」のだ。

「わー、くだらないくだらない」と思いながら、結構何回もカセットテープを聞いていた思い出がある。

それ以来、疎遠になっていたのだが、最近街中で断片を耳にすることがあった。しかもあちらこちらで。

さあ、それはどこで鳴っているでしょう?

答は「あなたのまちのチャンス・センター」

いわゆる「宝くじ売り場」である。

いやはや、びっくりした。

今までは「軽騎兵」序曲や「ラデツキー行進曲」といった無難な曲だったのに、一体誰が選べばそういう選曲になるのか?

きっと昔のクラシック小僧かオーディオ少年に違いない。