井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

龍踊、踊りました

2017-07-05 21:21:00 | 日記・エッセイ・コラム
レスピーギの「ローマの祭」の第4楽章の冒頭は、長崎の龍踊り(じゃおどり)に聞こえて仕方ないのは私だけだろうか。

龍踊りとは長崎くんちの代表的な演目。正式には、長崎市内の諏訪神社に奉納する演し物で、それぞれの町で奉納する踊りは決まっている。

なので、その町に生まれ育たないと龍踊りに限らず、演じることはできない。

各種の奉納演し物の中で、龍踊りはひときわ賑やか。長崎くんちを代表するものと言っても良いだろう。
とにかくラッパのような管楽器とカネがチャンコンチャンコン鳴り響く様は、シナ直輸入の異国の風景。

長崎くんちの看板みたいなものなので、以前は毎年やっていたのだが、最近はそれを止めたのだそうだ。特定の町だけに経済的負担が押し寄せるのは良くないとのことで。(囃子方が賑やかな分、お金もかかる訳だ。)

担当の町(踊り町と言う)にいないとダメ、いても7年に一度だけ、という龍踊りを、「やってみん?」と言ってきたのは高校時代の同級生。

出身高校の同窓会の余興でやろうというのだが、そんな何回も練習しないといけなさそうなものはやめよう、とまずは反対した。

「いや、その日ちょっと練習すればできるよ」とその同級生。彼は同窓会の幹事代表である。

半信半疑ながら当日会場にいち早く集まった。本物は10人で龍を操るのだが、今回は宴会用の小型龍で6人で操る。それを長崎からレンタルしたのであった。

小型だから軽い、と言われたが、どうしてどうして、ずっしりと重かった。これを上げたり下げたり回したり。
練習時間はたっぷりとっていたにもかかわらず、3~4回やったら「もう良か」と全員ねをあげてしまった。

練習用に棒と紐だけでできたようなものが欲しいと思ったが後の祭り、いや祭りの前か、何だかわからないがくたくたで、全て終わったような気分だった。

さて本番。

段取りを覚えているかどうか怪しいけど、一か八かでやってみたら、いきなり先頭の幹事代表のズボンが脱げてしまった。大きな腹囲で、紐がほどけてしまったようだ…

段取りも何もないような状況で開き直り?あっという間に本番は終わった。
じわじわ来たのは本番終わってからである。
あそこをこうすればとか、ここをああすればとか、次やるならば、などと空想にひたっている自分がいた。

もう二度とすることはなさそうだが、やたら楽しい思いが残ったのであった。
その日のメンバー全員が思った。
「龍踊りは見るよりやるもんだ」