井財野は今

昔、ベルギーにウジェーヌ・イザイというヴァイオリニスト作曲家がいました。(英語読みでユージン・イザイ)それが語源です。

クラシック音楽としてのラプソディー・イン・ブルー

2017-09-22 07:16:00 | 音楽
クラシック音楽を演奏する場合、どういうことをまず考えるか。

それは「様式」だろう。

現代の考え方の主流は「作曲家がどう考えたか」をまず演奏に反映させる、というやり方である。

ガーシュインのラプソディー・イン・ブルーの場合、死後半世紀近く経ってから、本人が演奏したSP盤やピアノロール(自動演奏装置の一種)が公開され始めた。

それが衝撃的だったのは、テンポが異様に速かったこと。
その頃の一般的な演奏はカットして20分くらいだったのだが、ガーシュインのピアノロールはカットしないで15分を切っていた。

もちろん、ピアノロールに記録できる時間の長さの関係もあるだろう。
しかしSP盤も16分くらいだったと記憶している。

これが、ガーシュインの想定していた音楽だ。

だから、このくらい速いテンポで演奏すべきだ、というと、それはそれで早計だと思う。

もっと味わい深い音楽のはずだ、とレナード・バーンスタインは考えたに違いない。特にホ長調の部分(5番目のテーマとでも言えるだろうか)、冒頭の2小節をガーシュインの想定より倍ほどゆっくり演奏して録音している。
これが高い評価を得て、1960年代以降は絶対的なスタンダードになってしまった。ほとんどの人は、楽譜を見ると驚く。なぜここからテンポが倍速くなるのだろうと。

ただし「テンポを倍速く(あるいはゆっくり)したのはバーンスタイン」これは推測である。バーンスタイン以前で、自作自演以外の録音を聞いたことがないので。

私が言いたいのは、そのくらい研究して演奏に臨んでほしいということである。これが即ち、クラシック音楽に接する態度であり、それを要求するこの曲はクラシック音楽であるという論拠の一つにもなっている。