1週間遅れの二期会オペラ〈タンホイザー〉の感想です。手短に。
初日だったこともあるのか、前半、安全運転っぽさを感じたけども、尻上がりに熱を帯びて、最終幕は大いに盛り上がった舞台となった。
今回の公演は好きなサイモン・モニール目当てだったが、1幕は彼にしてはかなり抑えた歌唱に聞こえ、「楽してね?」とややがっかり。だが、2,3幕と進むにつれて、本来の伸びがあって、清々しいテノールが聞かれた。特に第3幕の「ローマ語り」は気持ち入った熱唱で、ワールドクラスの実力を見せてくれた。
日本人歌手陣もそれぞれ安定したパフォーマンス。ただ、この楽劇のもつ濃さに対して、キャラ負けしているというか、目立たなく印象が薄いのが残念。
新国立劇場合唱団による合唱は、毎度のことだが、本当に美しい。このドラマ、合唱の美しさが相当大事だと思うので、貢献度大。
アクセル・コーバーさんは初めて聴く方だが、読響から緊張感あってドラマティックな音を引き出し、お見事。読響は、各パート活躍だったが、私にはオーボエのソロが胸に響いた(東京から移籍した荒木さん?)。
4階席からだと見切れてないところもあるが、演出は読み替えではないが、モダンで美しい舞台だった。冒頭、絵からダンサーたちが飛び出してくるような仕掛けは楽しめた。ダンサーさんたちの踊りや動きも、目茶、エロティックで艶めかしい。観ていてドキドキ。
聴衆は7割ぐらいの入りで、結構空席もあったが、終演後は大きな拍手とブラボー、ブラビーが舞い、気持ちよい観劇だった。
タンホイザー
オペラ全3幕
日本語字幕付原語(ドイツ語)上演
台本・作曲:リヒャルト・ワーグナー
(パリ版準拠(一部ドレスデン版を使用)にて上演)
公演日時:2024.02.28(水) 17:00開演
会場名: 東京文化会館 大ホール
指揮: アクセル・コーバー
演出: キース・ウォーナー
演出補: カタリーナ・カステニング
装置: ボリス・クドルチカ
衣裳: カスパー・グラーナー
照明: ジョン・ビショップ
振付: カール・アルフレッド・シュライナー
映像: ミコワイ・モレンダ
合唱指揮: 三澤洋史
音楽アシスタント: 石坂 宏
演出助手: 彌六
舞台監督: 幸泉浩司
公演監督: 佐々木典子
公演監督補: 大野徹也
0302(土)
Hermannヘルマン: 加藤宏隆
Tannhäuserタンホイザー:サイモン・オニール
Wolfram von Eschenbach ヴォルフラム:大沼 徹
Walther von der Vogelweideヴァルター :高野二郎
Biterolfビーテロルフ:近藤 圭
Heinrich der Schreiberハインリヒ:児玉和弘
Reinmar von Zweterラインマル:清水宏樹
Elisabethエリーザベト:渡邊仁美
Venusヴェーヌス:林 正子
Ein junger Hirt牧童:朝倉春菜
Vier Edelknaben 4人の小姓:本田ゆりこ、黒田詩織、実川裕紀、本多 都
Chorus 合唱:二期会合唱団
Orchestra管弦楽:読売日本交響楽団
Opera in three acts
Sung in the original (German) language with Japanese supertitles
Libretto and Music by RICHARD WAGNER
An original production of Opéra national du Rhin
WED. 28. 17:00 February 2024
at Tokyo Bunaka Kaikan (Japan)
Playing time: about 4hours
Conductor: Axel KOBER
Stage Director: Keith WARNER
Revival Stage Director : Katharina KASTENING
Set Designer: Boris KUDLIČKA
Costume Designer: Kaspar GLARNER
Lighting Designer: John BISHOP
Choreographer: Karl Alfred SCHREINER
Video Designer: Mikołaj MOLENDA
Chorus Master: Hirofumi MISAWA
Musical Assistant: Hiroshi ISHIZAKA
Assistant Stage Director: Miroku
Stage Manager: Hiroshi KOIZUMI
Production Director: Noriko SASAKI
Assistant Production Director: Tetsuya ONO
CAST
WED. 28. Feb. & SAT. 2. Mar.
Hermann: Hirotaka KATO
Tannhäuser: Simon O’NEILL
Wolfram von Eschenbach: Toru ONUMA
Walther von der Vogelweide: Jiro TAKANO
Biterolf: Kei KONDO
Heinrich der Schreiber: Kazuhiro KODAMA
Reinmar von Zweter: Hiroki SHIMIZU
Elisabeth: Hitomi WATANABE
Venus: Masako HAYASHI
Ein junger Hirt: Haruna ASAKURA
Vier Edelknaben: Yuriko HONDA, Shiori KURODA, Yuki JITSUKAWA, Miyako HONDA,
Chorus: Nikikai Chorus Group
Orchestra: Yomiuri Nippon Symphony Orchestra