ドイツ旅行記の途中ですが、週末にとっても面白いオペラを観たので、こちらを先にご紹介します。
最近、ENO(イングリッシュ・ナショナル・オペラ)が面白いです。ギリアム監督の初オペラ「ファウストの劫罰」をもう一度行こうかと思いチケットを買ったのですが、案の定、仕事の関係で行けなくなったので、ブリテンの「真夏の夜の夢」と交換しました。そしたら、趣向は全く違うものの「ファウスト」に負けない斬新な舞台作りで、こちらも大当たりでした。
「真夏の夜の夢」はシェイクスピア原作の、森の中で妖精と人間が繰り広げる有名な喜劇ですが、何とこの舞台では、「森」のはずの場が学校に設定されています。どこにでもあるようなグレーの無機質な校舎と校舎に囲まれた狭い校庭という、万物の生命が息吹き鳥が歌うという一般的な森のイメージとは全くの反対の世界です。妖精たちはブレザーの制服を着た少年達、妖精の王、女王は先生、ライサンダ‐、ヘレナたち人間の若者達も、高校生ぐらいの設定になってます。この「森」を「学校」に読み替える隠喩は何なのかは正直良くわからなかったのですが、効果的な照明や舞台上の歌手の動きも合わさって、不気味ながらも、とても神秘的な世界を作り上げていました。
これはオペラと言うよりも楽劇ですね。独唱があるわけでもなく、台詞が音楽に載っているという感じです。妖精の王様オーべロン役Iestyn Davies のカウンターテナーは美しく、ボトン役Willard Whiteの存在感もさすがでしたが、歌手たちもこの舞台では、むしろ役者でした。歌に耳を傾けるというより、一挙一動が目を離せないです。Leo Hussain指揮の音楽も幻想的で美しかったですが、それでも、舞台の方が主で音楽は従と感じてしまうほど、舞台の印象が強く残りました。
スタンダードな演出で、このオペラも見てみたい気がしますが、十二分に楽しんだ3時間でした。ENOの本拠地コロセウムはあまり好きではないけど、今シーズンはホントあたりが多く、来シーズンはENO通いをしようかと思い始めてます。
(舞台)
(ENOのHPから借用:Iestyn DaviesとAnna Christy)
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11 June, 2011
A Midsummer Night's Dream
Britten
Credits
A co-production with K.S.Stanislavsky & Vl.I.Nemirovich-Danchenko Moscow Academic Music Theatre
New production supported by Deirdre and Thomas Lynch and the English Opera Group
The Britten-Pears Foundation is supporting ENO’s programme of Britten operas leading up to the Centenary of his birth
Conductor Leo Hussain
Director Christopher Alden
Set Designer Charles Edwards
Costume Designer Sue Willmington
Lighting Designer Adam Silverman
Cast includes:
Oberon Iestyn Davies
Bottom Willard White
Tytania Anna Christy
Lysander Allan Clayton
Demetrius Benedict Nelson
Theseus Paul Whelan
Helena Kate Valentine
Hermia Tamara Gura
Flute Michael Colvin
Snug Graeme Danby
Snout Peter van Hulle
Starveling Simon Butteriss