その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

映画 「硫黄島からの手紙」

2012-12-31 06:26:45 | 映画


 年末に実家を訪れている時間を使って、「硫黄島からの手紙」をDVDで見ました。

 ちょっと年末年始に見るには重量級すぎる映画でしたが、素晴らしい内容で感動しました。硫黄島の戦いについては、アジア・太平洋戦争史の知識として、日本軍がほぼ全滅の悲惨な玉砕戦を強いられたことは知っていましたが、栗林中将の人物像や実際の戦闘展開までは知りませんでした。強烈なリアリティを持った映像を前に(実家のTVは自宅のTVより1.5倍映像もでかい)圧倒されました。

 監督はクリント・イーストウッドですが、この映画がアメリカ人により作られたというのが信じられません。私には、日本映画のアジア・太平洋戦争を描いた作品の多くが、国のため、天皇陛下のために自己犠牲を行う日本人の美化に振れすぎている感じがしているのですが、この映画は感傷的な部分を残しつつも、リアリティを重視した展開や映像表現になっています(現実はもっと悲惨だったはずと思うのですが、かなり抑制された映像になっていると感じました)。

 俳優陣では栗林中将演じる渡辺謙の存在感なしにはこの映画は成り立ちません。もう一人のストーリーの軸となる西郷役の二宮和也は、ずいぶん評判が良かったようですが、私にはちょっと物足りなかったです。硫黄島の日本兵の極限感が伝わってこなかった。

 日本人として必見の映画であることは間違いないですね。



キャスト - 硫黄島からの手紙
出演
渡辺謙 (General Tadamichi Kuribayashi)
二宮和也 (Saigo)
伊原剛志 (Baron Nishi)
加瀬亮 (Shimizu)
中村獅童 (Lieutenant Ito)
裕木奈江 (Hanako)

スタッフ - 硫黄島からの手紙
監督 クリント・イーストウッド
脚本 アイリス・ヤマシタ
原案 ポール・ハギス
栗林忠道
製作総指揮 ポール・ハギス
製作 クリント・イーストウッド
スティーヴン・スピルバーグ
ロバート・ロレンツ
ティム・ムーア
撮影 トム・シュテルン
美術 ヘンリー・バムステッド
ジェームズ・J・ムラカミ
音楽 クリント・イーストウッド
編集 ジョエル・コックス
ゲイリー・D・ローチ
衣裳/スタイリスト デボラ・ホッパー
字幕 戸田奈津子
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山本 周五郎 『さぶ』  (新潮文庫)

2012-12-30 07:05:30 | 


 子供が夏休みの課題図書として購入していたものを手に取ってみました。私にとっては久しぶりの小説になります。

 題名は「さぶ」ですが、物語はさぶと同い年で、ともに経師屋に住み込んでいた栄二を中心に進みます。無実の罪で捕らわれの身となった栄二が、寄場の試練の生活の中から愛、憎、友情について学び、精神的に成長していく物語です。

 ひねくれオヤジになりつつある私には、このピュアな人格発達記は、ちょっとお説教くささが鼻につくところもありますが、良いお話であることは間違いありません。ストーリー展開が巧みで、終盤の展開も意外性を伴った仕掛けが仕組んであります。長く読み継がれている物語であるのもうなずけます。
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シャルダン展 @三菱一号館美術館

2012-12-29 07:25:23 | 美術展(2012.8~)
 シャルダン展に行ってきました。行こう行こうと思いつつなかなか行けませんでしたが、開催期間終了間際になってやっと実現しました。



 ジャン・シメオン・シャルダン(1699-1779)は私自身あまり馴染みが無い画家だったのですが、「フランスを代表する静物・風俗画の巨匠」(展覧会HPより)だそうです。本展覧会は、日本では初めてのシャルダンの個展になるとのこと。確かにポスターに使われている静物画は、素朴な中にもとても気品を感じるものです。

 展覧会はシャルダンの作品から静物画、風俗画38点を選んで展示してあります。私としては静物画よりも風物画に魅かれました(シャルダンに限らず、どうも果物や食器の絵と言うのは、私には「ふ〜ん」としか感想が出てきません。)。ただ今回は、実物の絵とポスターとのギャップに対するサプライズが少なく、強い印象が残った展覧会ではありませんでした。休日の午後、ゆっくりとリラックスした雰囲気に浸れたという点で良かったと思います。


ジャン・シメオン・シャルダン《木いちごの籠》 1760年頃 油彩、画布 38×46cm 個人蔵・・・美味しそうでした


 会場は三菱一号館美術館です。初めて訪れたのですが、東京駅丸の内口から歩いて3分ほどのところにあるとは思えない閑静な一角と静かで落ち着いた美術館空間は、絵を見るにぴったりで、大変気に入りました。建設当時の状態を保つため、床も木造になっていて、靴のヒールの音が響くなどのマイナス面もありますが、大規模な美術館にはないアットホームさが魅力です。これからここで開催される展覧会はチェックしていこう。


《三菱一号館美術館前庭》

 2012年12月23日
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2011クリスマス イスタンブール旅行(その3)

2012-12-27 23:48:54 | 旅行 海外
ホテルに戻って少し休憩後、午後の部へ出撃。


(奥の西日を受けたところが新市街)

今度は金角湾を渡って、新市街へ。歴史的観光地が中心の旧市街と比べ、新市街には今のインタンブルールが溢れていた。とにかく凄い人。クリスマスだが流石になんちゃってイスラムと言われつつも、流石にクリスマスソングが街中に流れると言うようなことは無かった。それでも、通りにはイルミネーションが・・・


(タクスィム広場)


(イスタンブルールでもハイセンスなイスティクラール通り)


街は新興国ならではの街の活気に満ち溢れている。もう日本にこの津波のように押し寄せる人や街全体から滲み出る活力は物凄い。私の会社はまだイスタンブールにオフィスは無いが、絶対にここに打って出るべきと確信した。街をぶらついていると、日本並みに美味しそうなお店をみかける。店頭でおばさんがこねている餃子の皮のようなものが気になり、そのレストランに入る。餃子のような包みもののレストランへ入る。ボレキというトルコ風パイらしい。うまかった。















日本にもありそうな露店たち。こうして見るとイスタンブールはどうみてもアジアだ。久しぶりにアジア風の熱気に当てられ大興奮。









 ホテルへの帰り道、多くの人がモスクに入って行くのを見かけ、混じって入ってみる。夕のお祈りの時間らしい。イスラム教特有の大音響の読経がスピーカーから流れてきて、皆、一心に祈りを捧げている。しかし、そこには男性しかいない。あれ、女性もいたはずだがと思って見回したら、何と出入り口近くにまるで牢屋のように木の格子で完全に仕切られた一角があり、そこに多数の女性陣たちが、押し込められて祈りをささげている。大きなモスクの本堂中央に男性陣が思い思いに自由にスペースを使い祈っているのに対して、余りにも対照的にまるで罪人のような扱われている女性陣を目の当たりにし、強烈なカルチャーショックに見舞われた。こんな差別があっていいのか?この女性たちは、自分たちをこんな風に扱う宗教に向かい、何を祈っているのか?理屈としてはイスラムの男尊女卑を知っていたものの、自分の理解を超えた光景を見て、ただただ頭の中が混乱してしまった。これは理解できない・・・。小一時間で祈りの時間は終り、皆、思い思いにモスクを出るのに混じって退出する。たいていのことには驚かないぐらいまで歳を重ねたと思っていた自分には、久しぶりの強烈な異文化体験だった。

(つづく)
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新日フィル/ 『第九』特別演奏会2012

2012-12-26 00:30:16 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 12月に入ると日本のコンサートホールは第九一色になる。N響のノリトン指揮の第九は魅かれたが、値段が高いし、私の始動も遅くほぼ完売状態だったので、新日本フィルの第九に行くことにした。第九以外の曲目もあるし(最近は演奏曲が第九のみというコンサートが多く、これは甚だ不満である)、台湾人指揮者のリュウ・シャオチャ(呂 紹嘉)という人は初めてだったので、興味を引いた。また、何しろ新日フィルはもう20数年前に私がクラシック音楽聞き始めに頃に、初めて第九の演奏会(初めての年は井上道義指揮、翌年は小澤征爾)に行った思い出の楽団である。その後1,2回定期演奏会に出かけた記憶はあるが、ここ10数年はすっかりご無沙汰だったので、久しぶりのご対面だ。

 会場のオーチャードホールは初めて。一度行きたいと思っていたホールで、こちらも期待していた。ただ、意外と待合エリアは狭く、ホール内もグレー色の無機質な印象で、あまり心躍るホールではなかった。でも、今回は1階席のセンター、前から16列目と言う私としては稀な特等席である。



 第九の前には、レーガーの『7つの宗教的民謡』より「おおいとしきみどり児、やさしきイエス」とベートーベンのエグモント序曲が演奏された。レーガーは合唱のみの曲。栗友会の合唱が美しく、心洗われる歌唱だった。クリスマスシーズンにぴったりの選曲で、嬉しい限り。エグモント序曲にはそのまま連続して演奏。劇的な演奏で、第九への期待を大いに高めてくれるものだった。もっと拍手があっても良いと思ったが、聴衆の心は既に第九に向かっているのか、呼び戻しなしで、休憩に入った。

 さて、その第九だが、この日の演奏は残念ながら私との相性は悪かった。第一、第二楽章は、アンサンブルが揃っておらず、バラバラ感があるように聞こえる。リュウ・シャオチャは節々にアクセントをつけて、ダイナミックに音楽を作ろうとしているようだが、演奏からは曲全体を貫くメッセージが感じられない。第三楽章は何とも美しいが、平板に聞こえる。指揮者は表現したいものがあるのだけど、オケがそれに応えられていない風にとれた。そして、第四楽章も、私としては乗り切れない。合唱は非常にパワフルで声は一杯に出ていたのだけど、どうも全体的なまとまりを欠いて、皆が大きな声を出しているというレベルに止まっているように聞こえた。オケとのバランスも良いとも思えず(前から16列なのに合唱でオケの音が殆ど聞こえない)、合唱もオケも各自が精一杯自分のことだけをやっているようにも受け取れる。日本の第九は合唱の人数が多すぎるというのが率直な感想。前座の合唱、演奏が素晴らしかったので、第九とのギャップは残念だった。ソリスト陣は無難だったが、「これはすごい」というまでには至らない(生意気でスイマセン)。

 ちょっと事前の個人的期待が大きかったので、肩透かしに会った感じ。まあ、年末の第九はお祭りだから、曲つくりとか演奏とか細かに拘るほうが、無粋ということなのだろう。年末に多くの人が第九の実演奏に触れるというのは日本の素晴らしいイベント習慣だと思うし、聞くたびにこの曲は素晴らしいと思う。リュウ・シャオチャの指揮や新日フィルは別の機会に別の曲で聞いてみよう。とりあえず、この日はベートーベン万歳!


12月24日(祝・月)14:00開演 
会場:Bunkauraオーチャードホール 

新日本フィルハーモニー交響楽団

クリスマス コンサート
『第九』特別演奏会2012

■プログラム
レーガー作曲 7つの宗教的民謡 より 『おおいとしきみどり児、やさしきイエス』  
ベートーヴェン作曲 劇音楽『エグモント』 序曲 op.84  
ベートーヴェン作曲 交響曲第9番ニ短調『合唱付き』 op.125  

■出演者
指揮:リュウ・シャオチャ(呂紹嘉) 
ソプラノ:天羽明惠
アルト:加納悦子
テノール:永田峰雄
バリトン:キュウ・ウォン・ハン
合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山文昭

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2011クリスマス イスタンブール旅行(その2)

2012-12-25 07:56:09 | 旅行 海外
 2011年12月25日

 イスタンブールの12月は天気が悪いと聞いていたのだが、翌日は冬の東京のような快晴。さっさと朝食を済ませて、旧市街の名所巡りに出発。

【ブルーモスク(スルタン・アフメット・ジャミイ) 】


 トルコを代表するイスラーム寺院。そのスケールの大きさに驚く。中に入ると、美しいタイル、絨毯にまとわれた内装が壮厳さを引き立てる。


≪壁や天井のタイルが神秘的な美しさ≫




≪美しい絨毯≫


≪イスラム教の聖典らしい≫

【アヤ ソフィア (アヤソフィア美術館)】


 スルタン・アフメット・ジャミイの向かいにそびえるのがアヤ ソフィア。もともとはコンスタンティヌス1世により建築が始まり、コンスタンティヌス2世の時代に完成し、その後ギリシャ正教の大本山として君臨。1453年のコンスタンティノーブル陥落により、イスラム寺院となった、まさにイスタンブルールの歴史を背負った建物。外観も壮大だか、中も巨大。東京ドームにいるような感じだ。内部にイスラムの円板とビザンツのモザイク画が併存しているのが、その歴史を偲ばせる。


≪巨大ドーム≫




≪イスラムの円板≫


≪ビザンツ調の壁画≫


【トプカプ宮殿】


 続いて、アヤ ソフィアの奥にあるトリカブ宮殿へ。「オスマン朝の支配者の居城として400年もの間、政治や文化の中心であった(「地球の歩き方 イスタンブールとトルコの大地」)」

 皇帝の門をくぐり城壁の中に入ると、庭園、調理場、宝石など皇室由来の品々を集めた宝物館などがある。宝物殿の財宝、衣装は圧巻。興味深かったのはハレム(ハーレム)。宦官の部屋、妻たちの部屋、召使の部屋など、淫靡な雰囲気を感じるのは自分だけだろうか?


≪ハレム入り口≫


≪ハレム内の通路。左側には女たちの部屋がある≫



 宮殿の奥には、金角湾やマルマラ海を臨み、新市街やアジア側を見渡せる絶景の地が。最高の天気に恵まれ、ここで遅めの昼食。







(つづく)
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2011クリスマス イスタンブール旅行(その1)

2012-12-24 00:04:55 | 旅行 海外
(昨年の丁度今頃、クリスマスの休暇を利用してイスタンブルールを訪れました。1年遅れですが、その際の記録です)

 2011年12月24日

 8:50発のBA便でヒースロー・ターミナル5からイスタンブールへ。15:40にアタデュルク空港へ到着。地下鉄+路面電車で市街へ向かう。日没が16:40なので、もう廻りは薄暗い。人で一杯の路面電車の車内、車窓から見える薄暗い中にネオンが光る街なみなどの雰囲気は、それまでに訪れた欧州の街とは明らかに異なり、アジア的な雰囲気が満載。エキサイティングな旅の予感が一杯。結構寒くて、気温は間違いなく一ケタ台。ロンドンと変わらない。


<路面電車車内。夕方のせいか日本の通勤電車並みの混みよう>

 トルコはなんちゃってイスラムと言われるように、イスラムの戒律は緩いようだが、それでも車内の人の8割以上が男性だったり、服装も皆さん地味目で、イスラム国に来た実感を覚える。ホテルにチェックインして、空腹を埋めるためにホテル近くの大衆食堂へ。定番料理の豆のスープが美味しい。しかも安い。


<スープとピラフ。薄味で日本人好み>

 食事中、夕方のお祈りの時間なのか、町中に響き渡るような大音響のコーランの読経が、街のどこかに設置されているらしいスピーカーから流れてくる。なんちゃってイスラムでも、イスラムはイスラムなんだなあ~。欧州の街で聞こえる音と言えば教会の鐘だが、鐘の音が天国への響きとすれば、コーランの節は私には地上の人々の色んな思いが詰まった「念」の呻きに聞こえる。強烈な、非日常、異文化を感じた瞬間だった。 

 さあ、腹ごしらえもできたので、暗くなった街をさあ散策と、勇み歩き始めたところ5分も経たないうちに途上国の洗礼を受けた。

 ちょっと人通りの少なくなった道を歩いていたところ、5メートル強ぐらい前を歩いていたおじさんが靴磨きのブラシを落としたのが目に入った。おじさんは落としたことを気がついていそうにない。靴置きとか、靴墨、ワックスなどが入った道具箱が見えたので、既に何人も見かけた通りの靴磨き屋さんであることは簡単に分かった。商売道具のブラシを失くしたらさぞかし困るだろうと思って、ブラシを拾って、おじさんを追って、声をかけ、「落としましたよ」とブラシを渡してあげた。見たところ40歳ぐらいの靴磨きおじさんだったが、大いに感謝され、「これが失くしたら大変なことになった。本当にありがとう。お礼に貴方の靴を磨かせてくれ」と言ってきた(ように聞えた)。別に、靴を磨いてもらうほど汚れていないので、私は「それには及ばないよ。(No, thank you.)」と返事をしたのだが、その一言が終わらないうちの「あっ」という間に、男は有無を言わせず私の靴を磨き始めた。まあ、「Free」と言っていたから良いかと思って、磨かれるままにしていたら、「家には子供が3人いて皆お腹をすかせている。XXXという田舎から出てきたが、イスタンブールで生活するのは大変だ・・・」とかの苦労話を始める。「これは、怪しいなあ」と思ったが後の祭り。確かに靴はピカピカになったが、終わるや否や「10リラ(500円ぐらい)」と右手を出してきた。流石に「はい、ありがとう」というわけには行かないので、「こっちは頼んでない。勝手にお前が始めたんだろ」「だいたいフリーって言ったじゃないか」と大抗議。最初は「こんなに靴は綺麗になった」などと言っていた男も、段段と表情が険悪で凶暴なものに変わってきて、危ない雰囲気になってきた。私が立ち去ろうとしても、服を掴んで離さない。時たま車は通るが、人通りは殆どないし、周囲は暗く、土地勘のない場所でのやり取りはかなり緊張を伴った。結局、お人好しのお大尽日本人は100リラ払って金で解決と言う情けない結果となった。忘れかけていた途上国人の狡さとたくましさ。学生時代にアジア諸国のバックパック旅行で散々な目にあってきたので、十分手口は知っているつもりだったが、さすがに当時から時間も経ち、自分の感度が弱くなっていることを実感。舐めてると酷い目に遭うぞという、入国から3時間後の洗礼だった。

 傷心のまま、初日の行動予定であったトルコ名物ハマム(蒸し風呂)に行く。風呂に入るところまでの雰囲気は、脱衣所が個人別である点を除いては日本の温泉と似ていて、道後温泉に来たかと思ったぐらい。風呂内は蒸し風呂なので、巨大スチームサウナに入った感じ。東京の銭湯の大浴場より一回り大きいぐらいの広さの浴室の中央に、大きな暖かい大理石(岩盤浴の岩盤のイメージ)がある。そこに寝そべって、汗が段々とにじんでくるのを楽しむ。赤摺りを頼んだので、しばらくすると三助のおじさんが呼びに来た。相撲取りのような体格。石鹸を体中に乱暴に塗ったくられて、石綿タオルのようなものでゴシゴシやられる。すごい力なので痛い。サービスという感じではなくて、もうまさにイモ洗いの芋にでもなった気分。体が泡で埋まるかと思うぐらい、泡におおわれたところで、お湯を頭からぶっかけられる。所要時間は5分ぐらいだったろうか?あっという間に終わってしまった。ko優しく丁寧に全身を洗い流してくれるようなサービスを期待したもんだから、随分予想と違って、正直、満足度は低し。終わったら「チップ、よろしく」と微笑みかけてきた。こういうところだけは、調子いいんだよなあ。


<チェンべルリタッシュ・ハマムという観光客向けハマムとしては大手。1584年建造のたてものだそうです>

 
<広間>


<脱衣所>

 外に出ると温まった体に夜風が冷たく当たる。夜にライトアップされたモスクが美しい。でも、初日のイメージはブーである。
 


 ※チェンべルリタッシュ・ハマムのHPはこちら→

(つづく)

 
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夏野 剛 『なぜ大企業が突然つぶれるのか 生き残るための「複雑系思考法」』 (PHPビジネス新書)

2012-12-22 21:43:31 | 


 IT社会、複雑系をキーワードに、個人の生き方や日本の未来を解説した本です。はじめにには「この類書なき本を最後まで読み終えたとき、あなたのIT観はもちろん、仕事観、世界観が大きく変わっていることを、私は約束したい。」(p6)と自信満々に書いてありますが、私自身には本書によって新しい情報や見方を得るところは多くなく、「残念な本」リスト行きとなりました。

 その中で、「尤も」とうなずけたのは、第6章で求められるリーダー像について語った部分です。

 「いまや「経営者が最先端の技術を理解しているかどうか」は、企業の未来を左右する大問題。・・・新しい技術が出てきたとき、自分のビジネスにどのような影響があるかを把握して、消費者のニーズを読み取ること」(p137)

 「部下からの2次情報しかソースを持たないトップは、市場の変化についていくことができない。一次情報を率先して取りに行き、ディテールについて現場レベル知識を持ちながら、部下から上がってくる二次情報を精査する。これがいまのリーダーに求められる資質なのだ」(p139)

 と経営者もディテールを把握することの重要性を説きます。

 また、リーダーが哲学を持つことの重要性もこう述べます。

 「情報を集めて議論するやり方が通じなくなったIT革命後の世界では、組織をどのようにしたいのか、というリーダーの「決断」が必要不可欠になった。その決断の基準になるのが、リーダーが持つ「哲学」や「主義主張」である。」(pp160-161)

 「哲学に加え、それを貫徹する「覚悟」がリーダーには不可欠だ。日本型人事システムにおける「出世競争の勝者としての社長」のように、トップに就任してから「やりたいことを考える」と言っているようでは、いつまでたってもその覚悟を持つことはできない」(p163)

 部分部分では首肯できる部分もあるのですが、全体として書籍としての一貫性、ストーリーが弱く、著者が書いた雑誌、Web等での記事をまとめてみましたとでも言うような編集姿勢が透けて見えるのが、残念です。
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新国立劇場/ バレエ 「シンデレラ」

2012-12-19 22:04:46 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
新国立劇場で「シンデレラ」を見ました。


≪おじさんはちょっと引いてしまうポスター≫

「シンデレラ」は、吉田都さんのロイヤルバレエ最終公演(@ロンドン)の感動の舞台(最終公演(その1)→最終公演(その2)→)を見て以来です。今回の公演は、(幕が上がるまで気付かなかったのですが)そのロイヤルバレエの時と同じ、振付アシュトン、監修・演出はウェンディ・エリス・サムスの舞台です。プロコフィエフの音楽聞きたさに、当日券を求めて行ったのですが、思いもかけぬ同じ演出・振付で、私にとっては懐かしさが一杯の公演となりました。

4年半ぶりの新国立劇場でしたが、立派な劇場ですね。フランクフルト歌劇場やベルリン・ドイツ・オペラにも似ています。クリスマスシーズンの演目でもあり、親に連れられた小学生ぐらいの女の子達が沢山いました。座席の入りは8割強といったところでしょうか。開演15分前に駆け込んだのですが、まだ全ての座席種に空きがあり、私は下から2番目の3150円の席を購入。それでも、舞台も良く見えるし、音の聞こえ方も全く不満はないものでした。

バレエはほとんど見ないのでコメントは難しいのですが、期待以上の水準でした。シンデレラの米沢 唯さんはスポーティーな動きが特徴です。優美でもあるのですが、切れの良い踊りで、見ていて気持ちが良いです。華奢な体格はシンデレラの可憐なイメージとも合い、動きは美しい中に凛とした体操競技を見るような爽快感があります。感情表現の奥行きがもっとあれば、更に素晴らしいと思いました。王子様の厚地康雄はエラクいい男、かつダンスもいい。そのほかのダンサー達も上出来で、仙女や4人の精たちの踊りは柔らかく、見ていて惚れ惚れとしました。 また、シンデレラの姉達のコミカルな動きも良く、道下の動きもキビキビしていて好みだったです。お手ごろ価格のチケットだったので、クリスマスシーズンのファミリー公演かと思った自分がいい意味で馬鹿でした。とてもレベルの高い公演に大満足。

一方、お目当てだった音楽の方は、東フィルの演奏は音は良く出ていたし、第3幕のラストシーンなどはとっても美しい音色だったのですが、ちょっと全体としてのまとまりやプロコフィエフの音楽らしいキレは感じられず、悪くはないですが、揺さぶられる演奏ではありませんでした。

余談ですが、休憩時間に吉田都さんを発見。ロンドンでの日本人関係者の年始パーティーでお見かけして以来です。お話し中だったので、お声掛けする機会はありませんでしたが、相変わらず若々しく華のある方です。



音楽: セルゲイ・プロコフィエフ
Music : Sergei Prokofiev

振付: フレデリック・アシュトン
Choreography : Sir Frederick Ashton

監修・演出: ウェンディ・エリス・サムス
Production Directed and Supervised by Wendy Ellis Somes

美術: デヴィッド・ウォーカー
Designs : David Walker

照明: 沢田 祐二
Lighting : Sawada Yuji

指揮: エマニュエル・プラッソン
Conductor : Emmanuel Plasson

管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
Orchestra : Tokyo Philharmonic Orchestra..

シンデレラ:米沢 唯
王子:厚地康雄
義理の姉たち:古川和則 野崎哲也
仙女:本島美和
父親:石井四郎
春の精:細田千晶
夏の精:堀口 純
秋の精:奥田花純
冬の精:厚木三杏
道化:福田圭吾
ナポレオン:吉本泰久
ウェリントン:小笠原一真
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佐藤優 『読書の技法 誰でも本物の知識が身につく熟読術・速読術「超」入門』

2012-12-16 09:44:33 | 


 膨大な読書量で有名な佐藤優氏による読書の方法論です。本屋・図書館には多くの読書論がありますが、本書は月間平均300冊以上に目を通すという筆者ならではのユニークなハウツーが紹介されています。

 筆者は、読書を同じ本を3回読む「熟読」、1冊を5分で目を通す「超速読」、30分で読む「普通の速読」の3種類に分け、其々のやり方について実例を挙げて説明します。実例として取り上げられている本、その読書実践を追うと、如何に筆者の技法が「骨太」かがわかります。

 技法については読んでもらうとして、筆者の基本的な考え方は・・・

「読書の要諦は基礎知識をいかに身につけるかにある。(改行)基礎知識は熟読によってしか身につけることができない。しかし、熟読できる本の数は限られている。そのため、熟読する本を絞り込む。時間を確保するための本の精査として、速読が必要になるのである。」(p45)

 多読のための速読のノウハウを説く本は多く見かけますが、何故速読が必要なのかという考えを明確にしているこのくだりはとても首肯できます。

 また、その基礎知識を身につけるために、高校生用の教科書と学習参考書が有用として、学科ごとに実例にあげての説明も参考になります。

 あとは、これを実践できるか?机に座って考える時間を殆どとっていない自分には、かなりハードルは高そうです。
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マドリッド週末旅行/ プラド美術館ほか

2012-12-13 22:18:32 | 旅行 海外
 翌朝の日曜日は、前日とは打って変わった快晴の天気。空気は冷たいですが、絶好のランニング、ウォーキング日和です。この日のお目当てプラド美術館はホテルから3キロ弱程だったので、歩いて行きました。


≪シべレス広場に面する財務省の建物≫


≪プラド通りには美しい彫像がいくつもあります≫

【プラド美術館】
 プラド美術館を訪ねるのは2回目ですが、前回は夜間開館時に駆け足で立ち寄っただけですので、じっくりと見学するのは初めてです。特別展が開催されていたせいか、入場券を買う列が長々とできていて、チケット購入に20分ほどかかりました。限られた時間の旅行ではこうした待ち時間は、結構イライラさせられます。


≪正面から≫


≪ゴヤの銅像≫


≪チケット売り場。結構、並びました≫

 中に入ってみれば、ここのコレクションの素晴らしさにうならされます。ため息が出るほど、重量級の作品がこれでもかという程、並んでいます。イタリアルネッサンスから、ベラスケス、ゴヤ、エル・グレコなどの本場スペイン絵画、そして16-17世紀にはスペイン領であったフランドルの絵画も。ただただ、驚き、感動しながら、絵を追って館内を練り歩きました。さすが、王室のコレクションがベースになっているだけあります。たっぷり半日かけても、全然時間と体力が足りません。


≪入り口です≫


≪2階の中央廊下≫


≪ベラスケスの「女官たち」の前≫



【サンミゲル市場】
 その後、マドリッドの「へそ」プエルタ・デル・ソル広場で友人と待ち合わせ、数十年ぶりの再会。


≪プエルタ・デル・ソル広場≫

 近辺を散策しながら、サンミゲル市場(Mercado de San Miguel)を訪れました。クリスマスを前にした買い物客でどった替えしていましたが、所狭しと並んだ魚介やハムやフルーツは、思わず手が伸びそう。市場の中にはワインバーやタパス屋が入っており、見るからにおいしそうで、ワイングラスを片手にタパスと行きたいところだったのですが、年末のアメ横のようなすごい人出(もう何年も行ってませんが)で、とてものんびりワインなんぞ飲んでいる雰囲気ではありません。このはしゃいだ、高揚した雰囲気を味わうにとどめ、市場を後にしましたが、何とも後ろ髪引かれる思いでした。


≪市場入り口≫


≪生ハム売り場≫


≪凄い人出です≫


≪魚屋さん≫

 結局、近くのスペイン料理レストランに入って、再会を祝って地元のワインで祝杯をあげ、2時間のゆったりランチを楽しみ、マドリッドを後にしました。30時間に満たない短い滞在でしたが、懐かしい友人にも会えたし、行きたかった所には足を運べたので、大満足の週末旅行となりました。

 2011年12月4日
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テアトロ・レアル/ ムツェンスク郡のマクベス夫人/ ショスタコーヴィチ

2012-12-11 01:04:09 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 夜は、マドリッドの代表的オペラハウスであるテアトロ・レアル(Teatro Real、王立劇場)へ。王宮の向かい合って建つ劇場は、堂々としたもので、ライトアップされた白壁がなんとも美しいです。


≪外観だけオリジナルサイズで≫

 伝統的な外観に比べて、劇場内はとっても綺麗で先進的はハイテクシアターの趣でした。なんと、私が座った最上階席には大型スクリーンが設置されていたのです。舞台の様子がモニター中継され、最上階に居ても細部まで分かるようになっています。ただ、オペラの舞台を見たりスクリーンを見たりというのは、結構面倒なので、上演中は殆ど見ることはありませんでした。


≪ステージ前からロイヤルボックスを臨む≫


≪私が座った最上階からの眺め≫


≪舞台を映すモニター≫

 この夜のプログラムはショスタコーヴィチの『ムツェンスク郡のマクベス夫人』。一度見てみたかったオペラな上に、タイトルロールは、ROHでアンナ・ニコルを演じたEva-Maria Westbroek(エヴァ=マリア・ウェストブロック。劇場のクレジットにはWestbroeckと記載されてますが、スペイン語では綴りがかわるんかしら)。何ともラッキーな巡り合わせに、大感謝です。


≪テアトロリアルのHPから≫

 オペラの方は、もうウェストブロックの一人舞台と言っても良いほどのウェストブロック横綱オペラ。彼女は堕ちたお色気ヒロインを演じると抜群ですね。迫真の演技と繊細かつ十二分の声量のソプラノに痺れまくりでした。エロチックな演出も彼女の醸し出す雰囲気とぴったりです。男性陣は悪くはないですが、ウェストブロックに比べてしまうと存在感が薄く、ちょっと迫力不足だったでしょうか?

 ショスタコーヴィチのオペラを観るのは『賭博師』、『鼻』に続いて2作目ですが、緊張感と躍動感にあふれる音楽は魅力的で、個人的にとっても好みです。ハルトムート・ヘンヒェンの指揮は初めてでしたが、もう少し切れがあっても良いような気がするところもありましたが、全体としては不満はありません。

 しかし、海外でオペラを観て困るのは言葉が分からないこと。今回は、歌はロシア語で、字幕はスペイン語。話の筋は頭に入っているものの、何について話してるのかが分からないと、正直、このオペラの意味するところがどこまで分かっているかは、自分としては甚だ怪しいです。このオペラでカトリ―ナはどういう女性として描かれているのか?音楽と演技で分かるようなところもありますが、正直、自信なし。これでは、このオペラについて語る資格はありませんね。

 まあ、ショスタコーヴィチの音楽とウェストブロックを声を十二分に楽しめたから良いとするか~
 

≪カーテンコールより≫





3 December, 2011

Programme
Shostakovich, Dmitri Dmitriyevich:
Lady Macbeth of the Mtsensk District

Lady Macbeth of the Mtsensk District is an opera in four acts with libretto by Alexander Preys and Dmitri Shostakovich.

The opera will be performed in Russian.

Conductor, Hartmut Haenchen
Stage director, Martin Kusej
Scenography, Martin Zehetgruber
Costume designer, Heide Kastler
Lighting, Reinhard Traub
Choir director, Andrés Máspero

Cast:
Boris Timfeyevich, Ismailov Vladimir Vaneev
Zinovi Borisovich Ismailov, Ludovít Ludha
Katerina Ismailova, Eva-Maria Westbroeck
Serguéi, Michael König
Aksinya/A prisoner, Carole Wilson
A worker, John Easterlin
Pope/A sentry, Alexander Vassiliev
A sergeant/an officer, Scott Wilde
A teacher, Valentin Jar
Sónietka, Lani Poulson

Choir & Orchester of Teatro Real
(Choir Intermezzo & Madrid Symphonic Orchestra)

※付録 向かいの王宮のライトアップです。






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マドリッド週末旅行/ ソフィア王妃芸術センターでゲルニカを見る

2012-12-09 19:19:35 | 旅行 海外
 (昨年のこの時期にスペインのマドリードに週末旅行で訪れました。1年遅れですが、その時の記録を。)

 週末にマドリードへ弾丸旅行。学生時代の友人との再会が目的でしたが、マドリードは出張で1度訪れただけでしたので、少し街めぐりとオペラ観劇も。南欧の国スペインなのでロンドンと違って、さぞかし暖かいかと思いきや、思いのほか寒い気候でびっくりでした。

≪ソフィア王妃芸術センター≫
 私にとって、マドリッドに来たら見なくてはいけないこと。それは、ソフィア王妃芸術センターでのピカソのゲルニカでした。ソフィア王妃芸術センターは有名なプラド美術館から歩いて10分弱のところで、20世紀の近現代美術を中心に展示されています。ピカソの他にも、スペインの現代画家ミロやダリの絵も多くあるので、ミロ好き、ダリ好きの私には、たまらない美術館です。


(外観)


(もと病院の建物を美術館に改装したとか)

 さて、お目当てのゲルニカですが、他の展示室はすきすきだったのですが、ここだけは沢山の人だかりが出来ていました。しかも、作品の3メートル以内には近づけないように、線が引かれ、警備員が厳しく見張っています。私の経験では、これほどまでの扱いを受けている絵は、欧州ではルーブルのモナリザぐらいでしたので、いかにゲルニカが特別扱いされているかが分かります。



 349 cm × 776 cmの絵ですから相当大きいはずなのですが、3m離れているせいか、思っていたほどの大きさは感じませんでした。あと、これは私が無知だっただけですが、「ゲルニカ」は白黒(モノクローム)なのですね。

 絵全体から何とも言えない重々しいオーラが発せられていました。泣く女、嘶く馬、叫ぶ人、うつろな目をした牛、倒れる人・・・語らぬ絵から断末魔の叫びが聞こえて来ます。白黒が作品の重々しさを更に引きたてているようでした。

 ちょっと重くなった気分を絶ち切れないまま美術館を後にすると、外はもう夕暮れ。美術館の前庭でスケートボートに興じる少年達の歓声が、沈んだ気持ちを励ましてくれるように聞えます。コートの襟を立て、晩秋と言うより冬のマドリッドの街を歩きはじめました。


(美術館前庭)


 ※付録 クリスマスムード一杯のマドリッド市内です。



 2011年12月3日


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とある東京の秋

2012-12-08 19:26:13 | 日記 (2012.8~)
 4年ぶりの東京の秋なのですが、紅葉の艶やかさを再認識しています。この色彩の豊富さはロンドンにはなかったです。日比谷公園にて。





 2012年12月5日
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巨匠たちの英国水彩画展/ Bunkamura ザ・ミュージアム

2012-12-02 21:10:45 | 美術展(2012.8~)


 行きたいと思いつつなかなか行けなかった『巨匠たちの英国水彩画展』にやっと足を運ぶことが出来ました。西洋絵画ではマイナーな「英国」に加えて、「水彩画」の展覧会ということでそれほど混んでないことを期待したのですが、身動きとれないという程ではありませんが、絵の前の人の流れが途切れない、なかなかの盛況ぶりでした。

 英国マンチェスター大学ウィットワース美術館が所蔵する、ターナーなどの英国水彩画の作品が150点程展示されています。私の3年半ちょっとのロンドン生活では、結局マンチェスターを訪れることが無かったので、本展覧会はとても楽しみにしていたのですが、内容は期待に十分に応えてくれるものでした。

 大きかったのは、150点の作品全体から、私自身がイギリス生活で感じたイギリスそのものの雰囲気が溢れていたことです。イギリスのイメージというのは人それぞれでしょうが、私のそれは、週末のウオーキングや旅行の中で、五感で感じた「静けさ」、「素朴さ」、「自然の豊かさ」なのですが、それらが水彩画と言うメディアを通じて、会場いっぱいに広がっていました。

イギリスを描いた風景画のかなりのところは私自身が訪れたところでしたし、イタリア、フランスと言った大陸の風景を描いた作品にも、イギリス人のまなざし、筆致、感性にかかると、大陸の画家が描くとは異なった素朴さや自然に対する敬意に溢れているような気がします。何かとっても懐かしい風景に出合った感覚です。

風景画以外にも、私が好きなラファエル前派のロセッティ、ミレイ、ハント、バーン=ジョーンズらの水彩画があったのも嬉しかったです。
 
通常の特別展覧会でよく見るルネッサンス期以降の油彩画と違って、肩こることなく、リラックスして、絵画鑑賞を楽しめる良い機会でした。今週末で終了ですが、まだの方には足を運ばれることをお勧めします。

展覧会のホームページはこちら→
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