今回の「作曲家の肖像」シリーズは北欧の作曲家の曲を集めたプログラムです。指揮もノルウェイ人のアイヴィン・オードランさん。私は初めての方です。かなりの早歩きでステージ上を歩いたり、指揮台に飛び乗ったりする姿は、後期シニア指揮者が中心のN響を見慣れた私には新鮮です。
オーランドさんはオーソドックスながら非常にクリアで見通しの良い音楽作りで、都響も概ね安定した演奏で楽しめました。一番印象的だったのは、やっぱり後半の「ペール・ギュント」でしょうか。今回は劇音楽版と組曲を組み合わせ、筋立てを踏まえた抜粋版の演奏でした。私は組曲しか聞いたことが無かったですので抜粋版とは言え新鮮でしたし、ソルヴェイグを歌った小林沙羅さんの歌唱がとっても良かったです。純白のドレスを着た小林さんのソプラノは、派手なところや奇をてらったところが無く、自然で透明感ある清らかな美声で、しみじみ聞き惚れました。一度、劇音楽として合唱等も入れた全編を聞いてみたいものです。
前半も《フィンランディア》は重厚かつパンチの効いた演奏で、この曲の良さを堪能。都響は管と弦のバランスが良く、ハーモニーがとても美しかったです。冒頭のアルヴェーンの《祝典序曲》は祝典音楽らしい賑やかな曲。ニールセンの序曲《ヘリオス》はちょっと集中力を失い、ウトウトしてしまったのですが、最後に音が鳴りやもうとする間での超フライング・ブラボーがあり、これにはかなり興を削がれました。都響の聴衆マナーは良いと聞いていますが、これほどのフライングは私も経験が無いぐらいでがっかり。
全体としては、肩ひじ張らず、リラックスしながらもハイレベルな演奏が楽しめた満足度の高いコンサートでした。
「作曲家の肖像」シリーズVol.102〈北欧〉
日時:2015年4月29日(水)14:00開演(13:20開場)
場所:東京芸術劇場コンサートホール
指揮/アイヴィン・オードラン
ソプラノ/小林沙羅 *
アルヴェーン:祝典序曲 op.25
ニールセン:序曲《ヘリオス》 op.17
シベリウス:交響詩《フィンランディア》 op.26
グリーグ:劇音楽《ペール・ギュント》 op.23 * (全曲版より抜粋)
"Portrait of Composers" Series Vol.102
Date: Wed. 29. April 2015, 14:00 (13:20)
Hall: Tokyo Metropolitan Theatreseat
Eivind AADLAND, Conductor
KOBAYASHI Sara, Soprano *
Alfvén: Festspel, op.25
Nielsen: Helios Overture, op.17
Sibelius: Finlandia, op.26
Grieg: Peer Gynt, op.23 * [excerpts]