その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

閉幕間近!:白衛軍 The White Guard(作:ミハイル・ブルガーコフ、翻訳:小田島創志、演出:上村聡史)@新国立劇場 中劇場

2024-12-20 17:42:34 | ミュージカル、演劇

1

918‐19年のウクライナのキーフ。ロシア帝政を支持しドイツの支援を受ける「白衛軍」、キーウでのソヴィエト政権樹立を目指す「ボリシェヴィキ」、ウクライナ人民共和国勢力「ペトリューラ軍」が三すくみの状態で戦う。白衛軍の高級将校であるアレクセイとその兄弟たちのトゥルビン家の人々を軸に物語は進む。戦争、民族、人間、家族愛と重厚なテーマが散りばめられた人間劇だ。

展開の巧みさや登場人物たちの緊張感あふれるやりとり、そして笑いも差し込まれる物語は、3時間近い上演時間の長さを全く感じず、描かれる世界に没入できる。政治・戦争に翻弄される人間の哀しさ、逞しさの両方を感じる。

役者は誰も熱量高く、本作品への意気込みが感じられた。トゥルビン家の末っ子ニコライ役を演じた森井良大の溌溂とした演技も印象的。

大がかりな舞台装置も中劇場ならでは。奥行きを目一杯使い立体感が演出される。

今現在、ロシアと戦争状態にあるウクライナであり、その前史となる時代でもあるので、現代との連続性は否が応でも意識する。この土地や国の複雑な成り立ち、構成を学ぶ機会にもなる。見応え一杯で、今、観る価値がある作品だろう。

唯一残念だったのは客入り。中劇場でそれなりのキャパがあるのだが、観客だけなら小劇場でも十分ではないかと思う程の客の入りは寂しかった。私が行ったのは2日目だったが、その後のお客さんの入りは気になるところである。22日が最終日、少しでも興味がある人は是非、足を運んでみて欲しい。

 

白衛軍 The White Guard
日本初演
文化庁劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業

公演期間:2024年12月3日[火]~22日[日]

予定上演時間:約3時間10分(第1幕 105分 休憩 20分 第2幕 65分)

スタッフ
【作】ミハイル・ブルガーコフ
【英語台本】アンドリュー・アプトン
【翻訳】小田島創志
【演出】上村聡史
【美術】乘峯雅寛
【照明】佐藤 啓
【音楽】国広和毅
【音響】加藤 温
【衣裳】半田悦子
【ヘアメイク】川端富生
【演出助手】中嶋彩乃
【舞台監督】北条 孝/加瀬幸恵

 

キャスト
ニコライ(士官候補生):村井良大
エレーナ:前田亜季
レオニード(副官):上山竜治
アレクセイ(大佐):大場泰正
フョードル(従僕)・マクシム(学監):大鷹明良
ラリオン:池岡亮介
ヴィクトル(大尉):石橋徹郎
アレクサンドル(大尉):内田健介
ラリオン:前田一世
タリベルク(大佐)・ボルボトゥン(大隊長):小林大介
将校3:今國雅彦
靴屋:山森大輔
将校1西原やすあき
ゲトマン:釆澤靖起
ガラニバ:駒井健介
武田知久
草彅智文
笹原翔太
松尾 諒

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翻案はこうでなきゃ! 俳優座<慟哭のリア> (翻案・上演台本・演出:東憲司) @俳優座劇場

2024-11-11 07:30:13 | ミュージカル、演劇

『リア王』の翻案ものということは分かっていてチケットを購入したのだが、その違いは遙かに想像を超えていたし、期待を大きく上回って惹きつけられた上演だった。

たしかに「リア王」を元ネタに使ってはいるが、場面設定もストーリーも大きく異なっている。設定は明治時代の九州の筑豊炭鉱にある非財閥系石炭会社「影登」で、メインとなるのはその女性炭鉱主・室重セイと3名の息子、そして(先代の)隠し子だ。原作では、リアとその娘たち、グロスター伯とその息子たちと、二つの家族の親子が対になって描かれるが、本作ではそれをミックスさせて、室重家の一族の話になっている。ストーリーも相続を巡る争いと言えば争いだが、人物の性格や相互の関係性が原作とは大きく異なっている。原作とは別の作品として考えた方が良いだろう。原作とは違うがゆえに、見ていて、原作との差分や翻案自体の面白さで興味が絶えることないし、この作品、結末をどう持っていくのかもドキドキで、2時間半の上演時間、舞台に釘付けであった。

役者たちの熱量も大きい。主演の岩崎加根子は92歳という。先月のブロムシュテット翁やデュトワといい、最近はスーパー高齢者たちばかりに接している。炭鉱主であり経営者としての威厳ある社母から、哀しみの老婆・老母への変遷が痛ましい。(全くの余談だが、最初は、この役者さんの所作がデジャブで、ずーっと気なっていたのだが、途中で「ミュージカル ビリー・エリオット」のビリーの祖母にそっくりだった。)3兄弟の中では、長男・室重龍之輔役の斉藤淳が、家を背負う役割としての自己と本来の自己とのギャップに悩む人物を好演。そして、 私生児・善治の渡辺聡が、原作のエドマンド以上の徹底した悪人ぶり。加えて、悪人ならではの逞しさ、しぶとさの表現が強烈だった。原作ではグロスター伯にあたる与平役の森一の献身ぶりも哀れを誘う。

舞台は木材で組み立てた屋敷の門や壁をメインセットとして置く以外は、適宜、板版で仕切ったり、机を置いたりで、場を設定する。派手な箱ものは無いが、場の設定には過不足なく、想像力も刺激される舞台。また、乞食集団が重要な役回りで何度か登場するが、マクベスの魔女たちを彷彿させ、炭鉱の別世界ふりを際立たせ、現実と魔性の境を曖昧にしているようで効果的だった。

東憲司(私は初めて)の脚本も、ところどころに原作の要素を織り込みつつ、殆どはオリジナル。最後、どうクロージングするのか固唾を飲んで見守った。原作にある主人公の傲慢から悔恨、気づきの変遷も描かれるが、人の裏側に潜む鬼や親子・家族の愛が中心に描かれ、原作とニュアンスが異なる終わり方だった。これはこれで不自然さも無く、素直に受け入れられた。逆に、如何に私が原作のフレームワークに縛られていて、普段から予定調和の中でシェイクスピア劇を見ているかが露見することとなった。

カーテンコールでは、新しい「リア王」の翻案として素晴らしく、熱演の役者陣に大きな拍手を寄せた。

(俳優座 転載OKの舞台写真)

 

【余談】
初めて、俳優座劇場を訪れたのだが、そのこじんまりとして、古い劇場のたたずまいや内装が、「こういうのロンドンにあるある」と10年以上前の体験がフラッシュバックしてとっても懐かしかった。しかも、別経営ではあるが、バーまである(パブ<HUB>)。これはめちゃ嬉しくて、普段は観劇前は自重するのだが、思わずエールを飲んでしまった。

この劇場は来春に閉館となるらしい。たしかに劇場の椅子はスプリングがお尻にダイレクトに感じられる年代物だったが、初めての私にはとっても残念。今日の観客の平均年齢はかなりシニアで、N響の定演以上ではないかと思わせたが、それだけ長いファンがいらっしゃるということなのだろう。残り半年の間に、もう1回ぐらいは訪れてみたい劇場だ。

 

2024年11月5日観劇

2024年11月公演「慟哭のリア」
No.358
築地小劇場開場100年
劇団俳優座創立80周年
俳優座劇場創立70周年<共催>

 <配役>
  室重セイ(炭鉱主)   ・・・岩崎加根子
  室重龍之輔(長男)  ・・・斉藤淳
  綾華(龍之輔の妻)    ・・・瑞木和加子
  室重正之輔(次男)  ・・・田中孝宗
  頼子(正之輔の妻)   ・・・荒木真有美
  室重文之輔(三男) ・・・野々山貴之
  ハル(文之輔の恋人)・・・増田あかね
  与平(使用人) ・・・・・ 森一
  善治(私生児) ・・・・・ 渡辺聡
  徳右衛門(地元名士) ・・  川口啓史
  影1(佐門)・・・・・・ 小田伸泰
  影2(嵯峨野) ・・・・・ 山田定世
  影3(兵吉)・・・・・・ 丸本琢郎
  影4(又蔵)・・・・・・ 山田貢央
  影5(犬丸)・・・・・・ 松本征樹
  影6(ぬゑ)・・・・・・ 関山杏里
  影7(すゑ)・・・・・・ 稀乃
  影8  ・・・・・・・・  近藤万里愛
  乞食一ツ  ・・・・・・  片山万由美
  乞食二ツ  ・・・・・・  阿部百合子

スタッフ

原作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
翻案・上演台本・演出:東憲司(劇団桟敷童子)
美術:竹邊奈津子
照明;石島奈津子
音響:木内拓
衣裳:西原梨恵
舞台監督:川口浩三
演出助手:あり紗
舞台監督助手:石井道隆、宮下卓、武藤礼乃
宣伝美術:若林伸重、花岡文子
宣伝写真:藤田一真、小泉将臣
鑑賞サポート:舞台ナビLAMP
制作:劇団俳優座 演劇制作部
制作協力:渡辺裕美

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せんがわ劇場芸術監督演出公演「ドクターズジレンマ」(作:バーナード・ショー、演出:小笠原響、翻訳:小田島創志)

2024-10-23 07:30:07 | ミュージカル、演劇

名前は良くお見かけするが、芝居は観たこと無かった演出家・小笠原響氏による「ドクターズジレンマ」(作:バーナード・ショウ、翻訳:小田島創志)を初日に観劇。仙川劇場の芸術監督に就任され、その初演出とのことである。

ベテランと若手の役者陣が良く組み合わさった、見応えある心理/倫理サスペンス劇だった。結核の治療法を開発した有能な医師が、命を救うべき患者の絞込みに倫理的、論理的、そして個人的な愛情の間で迷い、最終的な行動を取る。主人公とその友人の医師たちや患者である将来を嘱望される若手芸術家とそのパートナー、夫々の社会的地位や価値観に基づきながら、交わされる会話は密度が濃く、ユーモアを含ませつつも、その展開は緊張感一杯。テーマについても観衆にも問いかける問題提起型の作品とも言える。1900年代初頭の作品らしいが、今でも全く古さを感じず、良くできた脚本だと感心した。

役者陣の安定しつつ、熱意籠った演技も光った。主人公の医師リジョンをはじめとした医者陣は、夫々が個性的で、キャラクターの人物造形を明確に演じベテランの味たっぷりだった。また、天才芸術家とそのパートナー(妻)を演じた若手二人も、社会的地位と責任を持つ「大人」の成熟と思考との対称性が際立っていた。石川 湖太朗さんの奔放な芸術家ぶりが、とりわけ印象的。

舞台はUの字型に舞台を取り囲むつくり。観衆の集中力が三方から舞台に向かい、役者と観客の一体感がある。私は一辺の最前列だったので、今にも役者さんとぶつかるんではないかと言うぐらいの至近距離で、臨場感がMaxだった。

最近、シェイクスピア悲劇の観劇が続いていたので、また違った演劇の面白さを味合わせて貰い、とっても充実感ある観劇体験であった。

 

せんがわ劇場芸術監督演出公演「ドクターズジレンマ」
2024年10月18日(金) 
会場: 調布市せんがわ劇場

キャスト CAST
佐藤 誓 Sato Chikau
髙山 春夫 Takayama Haruo
清水 明彦 Shimizu Akihiko
山口 雅義 Yamaguchi Masayoshi
内田 龍磨 Uchida Ryuma
佐藤 滋 Sato Shigeru
大井川 皐月 Oigawa Satsuki
石川 湖太朗 Ishikawa Kotaro
なかじま 愛子 Nakajima Aiko
星 善之 Hoshi Yoshiyuki ★

スタッフ STAFF
演出 小笠原響
翻訳 小田島創志
美術 乘峯雅寛
美術アシスタント 酒井佳奈、関 由樹
小道具 出崎健太(高津装飾美術)
音楽 日高哲英 (HP)
照明 石島奈津子(東京舞台照明)
音響 藤平美保子(山北舞台音響)
衣裳 加納豊美
舞台監督 伊達一成
舞台監督助手 西條義将
演出助手 深堀絵梨 (HP)(HOLIDAYS HP) ★
制作助手 平松香帆 (JAPLIN HP) ★
宣伝美術 チャーハン・ラモーン
宣伝撮影 福山楡青 (HP)
音声ガイド 藤井佳代子
字幕 松田香緒
鑑賞ナビゲーター 佐川大輔(HP) (THEATRE MOMENTS HP) ★
鑑賞サポート 舞台ナビLAMP (HP)

主催 公益財団法人調布市文化・コミュニティ振興財団

芸術監督 小笠原響

★せんがわ劇場DELメンバー

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KAAT神奈川芸術劇場プロデュース W.シェイクスピア『リア王の悲劇』(演出:藤田俊太郎)

2024-10-04 07:29:19 | ミュージカル、演劇

私には今年3つめの「リア王」の公演。今回は滅多に上演されないフォーリオ版(シェイクスピア自身が『リア王の物語』(クオート版)を改訂したもの)です。翻訳者の河合祥一郎氏によると「フォーリオ版はリア王の長女と次女たちの言い分もしっかり描いてあり、世代間価値観の相違という問題が浮き彫りになっている」(プログラム)とのことです。

木場勝己が演じるリアの圧倒的な存在感に痺れました。王の威厳が滲み出る気魄から段々と認知がおかしくなり狂人と化し、一人の弱き老人と変わっていく寂しさを演じ分けるのは見事。とても今年75歳には見えず、格好いい。

エドマンド役の章平の悪役ヒーロー振りも舞台映えしました。私生児としての逆境を跳ね返すため、肉親も陥れ、打算的に権力者の妻たちの気を引き、自らの立身のために利用する。これだけ徹底していれば、返って清々しいぐらいですが、そのヒール役に章平が綺麗に嵌っていました。

男性陣では、加えてグロスター伯爵の伊原剛志も強い印象が残りました。息子エドマンドに嵌められながらも、主人リアを想い、目をえぐられ、野で遭遇したエドガーを実の子と知らず、手を取られ導かれる姿は涙を誘います。

二人のリアの娘、ゴネリルとリーガンの水原希と森尾舞は凛とした王家の娘らしい演技でした。フォーリア版故か、意地悪さよりも論理的というか、言うことは言う強い女という印象です。コーディリアと道化の2役を演じた原田真絢は、道化役の活き活きとして柔軟な動きや美しい歌が良かった。

これは演出家の考えで、役者には何の責めは無いのですが、土井ケイトが演じるエドガーはエドマンドの姉という設定になっていたのは首を傾げました。女性が男性役をやるというのなら分かりますが、設定そのものを女性に変えてしまうというのは、その意図が良く分からず。いくら今がジェンダーレスの時代とは言っても、役の性別を変える狙いは何なのだろうか。土井ケイトのトムの演技がとっても良かっただけに、個人的にモヤモヤ感が張れなかったのは残念でした。

舞台は大きなステージを目一杯使い、装置も玉座や金属パイプで積み上げたジャングルジム風のグロスター家の屋敷など効果的。嵐のシーンでは強い霧雨を舞台上から降らせ劇的効果を高めていました。風の仕掛けがあればもっと良いのにとはちょっと思ったところはあります。

台詞も適度に削ってあるので、シェイクスピアの日本語劇で時々感じる言葉の洪水的な感じはせずに、自然なスピードと量の日本語劇になっていました。音楽も挿入されて、全般的にとっても今風に仕上がった舞台で、閉幕近づいていることもあってか、とっても完成度が高まっていると感じました。

今回は前列2列目正面のチケットを採れたのも良かった。全然迫力が違うわ~。カーテンコールで役者さん達と目が合う距離で拍手を送れるのも嬉しかった。

 

2024年10月2日 KAAT神奈川芸術劇場

【作】W.シェイクスピア 
【翻訳】河合祥一郎(『新訳 リア王の悲劇』(角川文庫))
【演出】藤田俊太郎  
 

【出演】

木場勝己 
水夏希 森尾舞 土井ケイト 石母田史朗 章平 原田真絢 
新川將人 二反田雅澄 塚本幸男 
伊原剛志

 

稲岡良純 入手杏奈 加茂智里 河野顕斗 宮川安利 柳本璃音 山口ルツコ 渡辺翔

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やっぱり素晴らしい! <ミュージカル ビリー・エリオット> @東京建物Brillia HALL

2024-09-27 07:30:13 | ミュージカル、演劇

大好きな「ミュージカル ビリー・エリオット」の日本語版の再演があり、足を運んだ。

(イングランド北部訛り英語の)日本語化の難しさ、政治・社会の理解のハードル、子役陣の育成などなど、この作品の日本語化は極めて難しいと思うのだが、今回で3回目となる日本語公演を実現させた関係者の努力に感謝したい。これは安定した固定ファンの支持もあってのことでもあると思う。

一方で、ロンドンでのロングランはずいぶん前に終了しているし、日本でも3度目ともなるとチケット販売に苦戦しているところはあるようだ。直前購入の割引DMが私のメールボックスにも入ってきていた。

私自身は、日本語公演の観劇は2017年に続いての2回目で、7年ぶりである。観客の8割以上が女性で、ブルックナーの演奏会の真逆を行く華やかな雰囲気。おじさんにはアウエー感満載だったが、「ビリー」にかけての熱意は負けないつもりなので、「ここはワイのホームだ」と自信をもって着席。

冒頭のダーラムの炭鉱ストライキの映像には、サッチャー政権の炭鉱国有化廃止の演説のフィルムが差し込まれていたり(これが無いと今やサッチャーも歴史的政治家だから理解されないだろう)、ロイヤルバレエスクールのオーディションのシーンで、ビリーが用意したカセットテープを回すシーンが無くなっていたりした変更には気づいたものの、基本的にはこれまでの版と同じで、懐かしさで一杯だった。(個人的な話で恐縮だが、このミュージカルは私がロンドン駐在時に一番繰り返して観た作品なので、ロンドン生活の思い出と重なっているのである。)

改めて、本当によくできたミュージカルであることを確認する。階級問題、ジェンダー問題、LGBT、中央・地方格差、地域の共同体意識、経済政策、世代間の価値観乖離、親子の愛、様々なテーマを作品の中に織り込み、ごっちゃ煮にしつつ、ビリーの成長物語として涙と笑い一杯に仕上げる。そして、それを彩るエルトン・ジョンの耳に残る名曲の数々。

今回の公演で言えば、ビリーの石黒瑛土君はもう少しワイルドさや舞台映えが欲しい感じはあったが、悩みもがく寂しがり屋の少年ビリーを堅実に演じた。親友マイケル役の豊本燦汰君ものびのび好演。ダンス陣、子役のバレエダンサーたちもグッド。子役たちの稽古は、ロンドンのロングラン時のような長期に渡って継続的に出演し続けるわけではないので、公演前に相当な準備が入ると思うが、ホント頑張っている。

大人組では、ウイルキンソン先生役の安蘭けいの存在感や動きが、「さすが元宝塚スター!」というオーラであった。鶴見慎吾はちょっと格好良すぎるお父さんだが、長男トニー役の西川大貴との確執は迫力満点で、夫々に感情移入してしまう。

細かいところを上げれば、ピケの迫力やスト破り(Scab)の位置づけ等、もっとこうして欲しいと思うところはあったものの、細かい点はこの作品の良さを考えれば全く気にならない。久しぶりにこのミュージカルの生演を鑑賞できたことを、心から感謝した。

個人的にイチ押しミュージカルなので、是非、一人でも多くの人に見て欲しい作品だ。東京公演は10月26日(土) まで。

 

 

[東京・オープニング公演]2024年7月27日(土)~8月1日(木)
[東京公演]2024年8月2日(金)~10月26日(土)
[東京]東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)


キャスト

ビリー・エリオット:石黒瑛土
お父さん:鶴見辰吾
ウィルキンソン先生:安蘭けい
おばあちゃん:阿知波悟美
トニー(兄):西川大貴
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー:厚地康雄
ブレイスウェイト:森山大輔
死んだお母さん:大月さゆ

加賀谷真聡、黒沼亮、後藤裕磨、齋藤桐人、聖司朗、辰巳智秋、照井裕隆、春口凌芽、丸山泰右、森内翔大、小島亜莉沙、咲良、竹内晶美、森田万貴、石田優月、白木彩可、新里藍那

マイケル:豊本燦汰
デビー:内藤菫子
トールボーイ:猪股怜生
スモールボーイ:張浩一
バレエガールズ:石澤桜來、鈴木結里愛、松本望海、南夢依、宮野陽光

スタッフ

ロンドンオリジナル・クリエイティブスタッフ
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン
【振付】ピーター・ダーリング
【美術】イアン・マックニール
【演出補】ジュリアン・ウェバー
【衣裳】ニッキー・ジリブランド
【照明】リック・フィッシャー
【音響】ポール・アルディッティ
【オーケストレーション】マーティン・コック

日本公演スタッフ
【翻訳】常田景子
【訳詞】高橋亜子
【振付補】前田清実・藤山すみれ
(ドラスティックダンス"O")
【音楽監督補】鎭守めぐみ
【照明補】大島祐夫・渡邉雄太
【音響補】山本浩ー
【衣裳補】阿部朱美
【ヘアメイク補】柴崎尚子
【擬闘】栗原直樹
【演出助手】伴眞里子・坪井彰宏・加藤由紀子
【舞台監督】松下城支
【技術監督】清水重光
【プロダクション・マネージャー】金井勇一郎

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お初の「こんにゃく座」は〈リア王〉 @吉祥寺シアター

2024-09-20 07:32:21 | ミュージカル、演劇

以前から「オペラシアターこんにゃく座」の名前は聞いたことはあったけど、初めて実演に接する機会を得た。演目は「リア王」。シェイクスピア悲劇の中でも「マクベス」と並んで好きな作品だ。公演初日に吉祥寺シアターにて観劇(中央最前列)。

「リア王」のオペラ作品は、以前、アリベルト・ライマン作曲のオペラ「リア」(2013年二期会公演、指揮:下野竜也、演奏:読響)を聴いたことがある。こんにゃく座のオペラ「リア王」とは一体どんな舞台・音楽になるのか興味津々だった。

様式は音楽劇であった。音楽はサックス、コントラバス、パーカッション、ピアノの4人の小編成。演劇が進む中で、 萩京子作曲の音楽が奏でられる。演劇が主で、音楽は従と言う印象だ。

演劇と音楽が効果的にミックスされて、収容100名規模の吉祥寺シアターの密空間効果も加わり、濃厚なリア王が展開された。役者は多くの台詞を音楽に載せて歌う。音楽が日本語台詞にマッチして、非常に聴きとりやすい。言葉の嵐に吞み込まれるシェイクスピアの演劇としては、むしろ演劇よりも聴きやすいほどで驚きだった。

その分、原作の個々の台詞は取捨選択され、その分人物の造形描写も薄まるところはあるものの、それは致し方無いだろう。

本作のキーとなる道化役は男女のペアにより演じられた。ペアになることにより、音楽的にも重唱になったり、交互の音階を違えての歌唱が耳にも心地よく、このやり方は上手くできているなと感心した。

役者さんは、夫々、熱演であったが、とりわけ題名役の大石哲史の重みある演技、泉篤史演じるエドワードの狂人ぶり、エドマンド島田大翼の悪人ぶり、道化の2人組が特に印象的だった。

舞台中央に運動会の大玉転がしに使えるぐらいの球体が置かれ、場面により上下する。あとは、右手奥に姿見のような鏡のつい立が置かれているぐらいでシンプルなもの。芝居に集中できる舞台装置であった。

大舞台のオペラとは趣の異なる音楽劇。演劇性が高く、とっても満足度高い。他の公演もまた足を運んでみたい。

 

2024年9月13日
吉祥寺シアター

スタッフ
原作       ウィリアム・シェイクスピア(小田島雄志訳による)
作曲       萩京子
演出       上村聡史
美術       乘峯雅寛
衣裳       宮本宣子
照明       阪口美和
舞台監督              大垣敏朗
音楽監督              萩京子
宣伝美術              ワタナベケンイチ(イラスト)・片山中藏(デザイン)

キャスト

リア王:大石哲史
ゴネリル(リアの長女):鈴木あかね
リーガン(リアの次女):豊島理恵
コーディリア(リアの三女):小林ゆず子
ケント伯爵(リアの忠臣):佐藤敏之
オールバニ公爵(ゴネリルの夫):富山直人
コーンウォール公爵(リーガンの夫):北野雄一郎
グロスター伯爵(リアの重臣):髙野うるお
エドガー(グロスターの息子):泉篤史
エドマンド(グロスターの息子):島田大翼
オズワルド(ゴネリルの執事):彦坂仁美
道化1:金村慎太郎
道化2:沖まどか
淑女(ブリテン王国に仕える人物):青木美佐子
フランス王(コーディリアの夫)・兵士:沢井栄次
バーガンディ公爵・兵士:吉田進也
使者・刺客:冬木理森
人々:鈴木裕加、川中裕子、入江茉奈、小林ゆず子

サクソフォン:野原孝
コントラバス:佐々木大輔
パーカッション:高良久美子
ピアノ:服部真理子

2024年9月13日(金)~23日(月祝)

 

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桐朋学園芸術短期大学自主上演実習公演『フローズン・ビーチ』 @せんがわ劇場

2024-07-15 08:21:57 | ミュージカル、演劇

ご縁あって桐朋学園芸術短期大学の認定専攻科(2年間の短期大学を卒業した後のプログラム)の演劇専攻の56期学生さんによる自主上演実習の公演を観劇。

「フローズン・ビーチ」がどんな話しかも全く知らないままに席に着いたが、南国のビーチリゾートで起こるコメディタッチのサスペンスと言えるような物語。笑いもあるのだが、殺人(未遂)、人間関係の愛憎・嫉妬、心理的かけひきが含まれていて、難しいというか、とっつきにくい物語であった。2時間半の作品を1時間10分のカットバージョンでの上演ということもあってか、登場人物の心理的立場も少々分かりにくいところもあった。

一方で、4名の学生役者さんのエネルギー一杯の熱演には、大いに引き込まれた。山田さんの双子姉妹の演じ分けや、千津役の上田さんの3場夫々での変化ぶりも楽しめた。未知の作品だった故に、何に注目していけばいいのかはわからずじまいだったけど、小劇場のライブ感あふれる若手によるお芝居は見ていて元気貰える。この4名の皆さん、これからどういう演劇人生、役者人生を送っていくのだろうか。頑張ってほしい。

会場は出演者のお友達や同じ専攻の学生さんと思しき若い人が7割ほど。

 

2024年7月12日

せんがわ劇場×桐朋学園芸術短期大学自主上演実習公演

『フローズン・ビーチ』 

作・ケラリーノ・サンドロヴィッチ/演出・ペーター・ゲスナー

キャスト:上田実祐那(千津)、今野まい(咲恵)、磯馴萌々子(市子)、山田みづは(萌、愛)

 

 

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横田栄司さん快演✕怪演の「オセロー」 (演出:鵜山仁)@紀伊國屋サザンシアター

2024-07-07 07:37:35 | ミュージカル、演劇

台本良し、役者良し、演出良しの3拍子揃ったレベル高い「オセロー」であった。

中でも、題名役の横田栄司の快演・怪演が強烈な印象を残した。横田さん、数年前のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の和田義盛役で存在感を放っていたが、暫く体調崩してお休みをされていたらしい。

この舞台では、とても休養明けとは思えない、ほとばしるエネルギーにただただ圧倒される(義盛役の時は、小柄な方なのかと思っていたが、全く誤解であった)。救国の英雄として誰もが羨む花嫁と結婚した絶頂期から嫉妬に狂い、破滅していくまでのムーアの武人を演じた。強さ、弱さ、可愛さオセローの人間的特質を演じ分け、オセローが乗り移ったにも見える迫力は見ていて怖くなるほど。

対する、スキャンダルの仕掛け人イヤーゴーを演じた浅野雅博はオセローの「動」に対して、「静」的なキャラで知能犯を安定感たっぷりに演じた(この方、新国立の「スカイライト」で蒼井優さんとの会話劇が今でも印象深い)。ちょっと、スマートすぎて、「毒」要素が抑えれれていた気がしたが、私の気のせいか、それともそういう演じ方なのかな。

初めて拝見するデスデモーナを演じたsaraは可憐な役を素であるように自然に演じていて、とっても好感度高い(初めてなので、何が「素」なのかわからないが)。

主要級3役以外の脇役陣も、エミリアの増岡はじめ、夫々安定感たっぷりで、隙が無い。私は初めてなので何とも言えないが、これが「文学座」の格とでも言うのだろうか。

演出は鵜山仁。昨年の新国立劇場での「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」もそうだったが、ここ数年観るシェイクスピア劇の演出はかなりが鵜山さんによるもの。

舞台上の中央に4畳半規模の立体ケージが置かれ、夫婦の寝室など様々な場面で活用される。群青色をベースにした照明も美しく、背景のカーテンに漁火のようなライトが投影され、ベネチアであったり、キプロスの幻想的な雰囲気をうまく作っていた。役者さんは観客エリアも縦横に動き、私の通路横に着席されていたお客さんは、横田さんに凄まれてマジでびっくりしてた。

第5幕は小田島の翻訳を忠実に、場面、セルフカット無しに演じられた。クライマックスではあるのだが、自分の集中力が切れかかってたのか、少々冗長な印象はあった。死んだデスデモーナやエミリアが(生き返るわけではないが)動くのも私には良く理解できなかった。

それにしても、オセローはシェイクスピア悲劇の中でも、ちょっとかなり感情移入が難しい。オテロ―は思い込み激しいお馬鹿さんすぎるし、デスデモーナはあまりにも可哀そうすぎる。それでも、こうやって見に来てしまうのは、この作品の引力なのだろう。

余談だが、この日の観衆は大学生ぐらいの若い人多く、会場の雰囲気もフレッシュだった。関係するかどうかは分からないが、終演後の拍手はとっても大きく、スタンディングオベーションの方も多数いた。

(2024年7月5日)

 

文学座公演  

『 オセロー 』

作:ウィリアム・シェイクスピア

訳:小田島雄志

演出:鵜山 仁

   

日程:2024年6月29日(土)~7月7日(日)

会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

   

Cast

石川 武(ヴェニスの公爵)

高橋ひろし(ブラバンショー/グレーシアーノー)    

若松泰弘(モンターノー)

浅野雅博(イアーゴー)

横田栄司(オセロー)

石橋徹郎(ロダリーゴー)

上川路啓志(キャシオー)

柳橋朋典(ロドヴィーコー)

千田美智子(ビアンカ)

増岡裕子(エミリア)

萩原亮介(役人 ほか)

sara(デスデモーナ)

河野顕斗(紳士 ほか)

 

□スタッフ

美術:乘峯雅寛 照明:古宮俊昭 音響:丸田裕也 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹

アクション:渥美 博 劇中歌監修:高崎真介 舞台監督:加瀬幸恵 演出補:大内一生 制作:梶原 優、鈴木美幸 制作助手:畑田麻衣子

宣伝美術:三木俊一(文京図案室) 宣伝写真:佐藤克秋

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フライングシアター自由劇場第二回公演「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」@新宿村LIVE

2024-06-14 08:05:09 | ミュージカル、演劇

串田和美さんのシェイクスピア劇は、2019年に「テンペスト」を拝見して以来。

「夏の夜の夢」(以下、「夏夜夢」)を解体・再構成した作品とのことで、意味ありげな長いタイトルと相まって、どんな芝居が展開されるのかとっても楽しみだった。

ベースの筋立てや登場人物は原作と変わらないながら、全体としてはアレンジ度も強い。なので、「夏夜夢」としても楽しめるし、原作とは別物の芝居としても楽しめる、一粒で二度おいしい舞台ともいえる。

一番大きなアレンジは、劇の冒頭と最後に出てくる串田和美演じる旅人(パック?)がソフトボール大の球体を弄りながら、過去の森の中での球体との遭遇が語られる。球体のメタファーは何なのか?終始、観るものに考えさせる。これと言った答えを見つけるのは難しいが、過去から現在までの時間軸をつなげたり、夢の世界と現実の世界を結ぶものとしての、球体なのかと思ったりした(映画「2001年宇宙の旅」の冒頭に登場する黒い石板やハムレットが持つ球体を思い出した)。

これ以外にも、後半、壁が崩れるところもあるが、否が応でも、ベルリンの壁、現在のガザ地区とイスラエルとの壁を思い起こさせる。

8名で「夏夜夢」を演じてしまった役者さんたちのパワーあふれる体当たり演技が強烈だった。串田和美さんと前回ノゾエ版「マクベス」でマクベス夫人を演じた川上友里さん以外はお初の方々だったが、皆さん、セリフ回し、動きともにしっかりしていて安定した舞台であった。一人二役は珍しくないだろうが、一人三役も四役もこなしていて、運動量だけでも相当だと思う。

串田さんの演出のやり方なのかどうかわからないが、台本にないアドリブシーンと思わせるところもいくつかあった気がしたのだがどうだったのだろうか。場面により、一瞬、役者さんが怯むように感じられた一方で、それが舞台の緊張感を高めた印象があって、観劇していてライブ感が満載で楽しい。

舞台装置はシンプルで、舞台中央奥に4つの扉が置かれ、その扉での出入りで場を表す。ナチュラルで無理がない。一方で、全般に中心的な場となる「森」は、役者さんの動きによって表せられるのだが、「夏夜夢」が初めての人にはちょっとイメージつきにくいかも。背景や衣装も白を基調にしながらも、劇中劇の舞台だけは原色系の非常に派手な色合いで舞台映えした。

この舞台、この後、ルーマニアの演劇祭で披露されるという。国際的にどう評価されるのか、興味深い。上演時間は2時間弱。あっという間の舞台であった。

(余談いくつか)
・観客層:シェイクスピア劇は女性観客多いが、今回は特に多かった気がした。8割がたは女性で占められていたように見えた。通常の観劇聴衆と雰囲気が若干異なる叔母様がたがいらした気がしたのは、元宝塚の大空さん目当てなのだろうか(憶測です)。

・新宿村LIVE:初めて訪れたが特異なシアターである。丸ノ内線の西新宿から7分ほど歩いて、小さなビルの地下4階(もしかしたら3階?)にある。階段でひたすら降りたところに小劇場がある。こりゃ、歳取るとつらいなあとか、火事になったらアウトだなと思ったりしたが、まさにアングラ劇場だ。

・アフタートーク:初めてアフタートークなるものに参加。稽古で大変だったところ、苦労したところなどが、役者さんから直接語られて楽しめた。球体の意味するところも各役者さんによって理解が違っており、別に共通の認識をもってやって演じているわけではないということも知る。串田さんの演出も相当自由度が高いようで、舞台を思振り返って思い当たるところもあった。

公演       フライングシアター自由劇場第二回公演
「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」
原作       ウィリアム・シェイクスピア 「夏の夜の夢」
翻訳       松岡和子
脚色・演出・美術             串田和美
出演       大空ゆうひ 川上友里 皆本麻帆 小日向星一
串田十二夜 谷山知宏 島地保武 串田和美

日程       2024年6月6日(木)-6月12日(水)
会場       新宿村 LIVE

スタッフ
照明:齋藤茂男
音響:市來邦比古
映像:栗山聡之
衣装:原田夏おる
演出助手:荒井遼
舞台監督:福澤諭志
制作:梶原千晶 長谷川きなり ・ 串田明緖
宣伝絵画:平松麻
宣伝写真:串田明緖
宣伝デザイン:GRiD CO.,LTD.  
企画・製作:フライングシアター自由劇場
主催:(有)自由劇場

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吉田羊さんのハムレット:PARCO STAGE「ハムレットQ1」(演出:森新太郎)

2024-06-04 07:33:19 | ミュージカル、演劇

(時系列ぐちゃぐちゃの投稿続きますが、先月見たお芝居の感想です。)

吉田羊さんがハムレットを演じるということで、慌ててチケットを購入した。Q1のテキストも安西徹雄  訳で一読済。

想定通り、非常にサクサクとテンポよく進む展開で、鑑賞者の集中力が途切れることがない。吉田羊さん、吉田栄作さんを始め、テレビ等のメディアで目にする俳優さんも多く出演し、熱籠ったプロの演技を楽しんだ。

吉田羊さんのハムレットは、女性が演じていることを感じさせない若き貴公子ハムレットだった。凛々しい。台詞廻しも歯切れ良く、所作もスマートで美しい。復讐のための欺きとして、気が触れたふりをする阿呆ぶりも、声の変化が豊かで楽しめる。流石、ここ数年引っ張りだこの女優さんという感じだ。悩める青年ぶりは少し弱いと感じたが、これはむしろQ1の台本に拠るものだと思われる。

もう一方の吉田栄作さんは、先のデンマーク王(亡霊)と現王クローディアスの2役を演じた。興味深かったのはクローディアスの演じ方で、この物語の契機となる先王を殺した諸悪の源の悪人としてはあまりにも格好良すぎて、立派だった。クローディアスは、人間的に醜悪で、権力欲にまみれ、ギトギトしたエロオヤジの理解なのだが、そうは見えない人物に見えたのは、そういう人物設定としての解釈なのか、それとも吉田栄作さん自身のかっこいいオーラが強すぎたせいなのかは、ちょっと私には判別つがず。いずれにしても、この王であれば、王妃ガートルードが、先夫が無くなって2ヵ月もしないうちに、その弟である現王と再婚するのも致し方ないか。逆に、ガートルードこそ色狂いではないかとも思ってしまう。

このドラマ、ポローニアスが隠れ主役とも言えると思うが、佐藤哲さんがしっかりと安定して、俗物ぶりを演じていて良かった。途中、台詞忘れ?にも見えなくもないところもあったが、その凌ぎ方も流石(私の誤認であればゴメンナサイです)。

オフィーリア役の飯豊まりえさんも頑張って、ひたむきな演技。驚いたのは、フォーティンブラス役も担当。このノルウエイの若王子ぶりが凛々しくて、惚れ惚れ。最初誰だかわからず、「これは誰?」と動揺した。

舞台は、岩山を背景にしたような基本セットを照明や幕等を上手く使って、セット変更は無く様々な場面を作っていた。音楽が時折挿入されたり、劇中劇は歌で台詞を語るところもあり、こんな見せ方もあるのねと楽しめた。

丁度、彩の国の劇場で『ハムレット』を上演中で、そちらも興味があったのだが、日とチケットの空きが合わず観劇ならず残念。比較出来たらなお、楽しめただろう。

それにしても、シェイクスピア劇は特にそうだが、外国の芝居は本当に言葉の洪水だ。よくもまあ、あれだけの言葉を発することができるものだと感心する。そもそも比較が適切かという問題はあるが、前回見た平田オリザさんの『S高原から』の沈黙や間の長さとのあまりにも違いに戸惑うほどだ。良い悪いではないが、外国劇は疲れるわ~。

(2024年5月14日)

 

作:ウィリアム・シェイクスピア
訳:松岡和子
演出:森新太郎

出演
吉田 羊 飯豊まりえ 牧島 輝 大鶴佐助 広岡由里子
佐藤 誓 駒木根隆介 永島敬三
青山達三 佐川和正 鈴木崇乃 高間智子 友部柚里 西岡未央 西本竜樹
吉田栄作

STAFF
美術=堀尾幸男 照明=佐藤 啓 音響=高橋 巌 音楽=落合崇史 衣裳=西原梨恵 ヘアメイク=河村陽子 アクション指導=渥美 博 演出助手=石田恭子 舞台監督=林 和宏

宣伝=DIPPS PLANET 宣伝美術=東 學(一八八) 宣伝写真=渞 忠之 宣伝衣裳=宮本真由美 宣伝ヘアメイク=河村陽子

制作=麻場優美・大友 泉 ラインプロデューサー=冨士田 卓 プロデューサー=尾形真由美 製作=小林大介

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こまばアゴラ劇場サヨナラ公演 青年団『S高原から』(作・演出:平田オリザ)

2024-04-23 07:44:06 | ミュージカル、演劇
 
こまばアゴラ劇場サヨナラ公演、青年団による『S高原から』を観劇。10年ほど前に平田オリザさんの社会人向け演劇ワークショップに参加した際、『S高原から』はテキストして部分的に朗読した覚えある作品だ。
 
とある夏の日の午後の高原にあるサナトリウムが舞台。死と隣合わせで生活する患者たちと見舞いに訪れる友人・恋人たちとの会話が淡々と描かれる。

オリザさんらしく、日常の一瞬に現れる死生観や人の意識がさりげなく表現される。ダイナミックなプロットや明快な結論があるわけではない。夫々のエピソードの結末が回収されることもない。沈黙の間も多く、極めて普通の時間が舞台に流れることで、観るものは日々の自分たちの生活を見るように、療養所の談話室の出来事を目撃する。住宅街にひっそりと佇むこまばアゴラ劇場のように、この演劇もひっそりと佇んでいる感じだ。

役者さんは青年団らしい個性あふれる演技であったが、個人的には入院患者の西岡と村西を演じた、吉田庸さんと木村巴秋さんが舞台をしっかり支えてた。また、村西の恋人の友人久恵役の田崎小春さんの表情が印象的だった。

アゴラ劇場は通い詰めたというほどでは無いが、ちょくちょく青年団の芝居を中心にお邪魔してきて、いろんな思い出の詰まった場であったので、無くなるのはとっても寂しい。70名程度収容の芝居小屋的雰囲気がとっても好きだった。ありがとうございました。
 
劇場訪問の際は寄っていた近くの定食屋さん菱田屋も足が遠のきそうだ。残念・・・。
 
(2024年4月18日)
 
(劇場正面)

(1階ロビー)
(2014年公演のパネル)
(菱田屋さんの生姜焼き定食。これは本当に美味しい)
 
青年団第99回公演
こまばアゴラ劇場サヨナラ公演

『S高原から』
作・演出:平田オリザ
2024年4月5日(金) - 4月22日(月)

会場:こまばアゴラ劇場

出演     
島田曜蔵 大竹 直 村田牧子 井上みなみ 串尾一輝 中藤 奨 永山由里恵 南波 圭 吉田 庸 木村巴秋 南風盛もえ 和田華子 瀬戸ゆりか 田崎小春 松井壮大 山田遥野

スタッフ   
舞台美術:杉山 至
舞台監督:中西隆雄
照明:西本 彩
衣裳:正金 彩 中原明子
宣伝美術:kyo.designworks
票券:服部悦子
制作:金澤 昭
 
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『新ハムレット』(作:太宰治、演出:早坂彩)@こまばアゴラ劇場

2024-03-25 07:31:06 | ミュージカル、演劇

こまばアゴラ劇場で太宰治原作、早坂彩 演出の〈新ハムレット〉を観劇。原作は直前に慌てて読んだが、シェイクスピアのムレット」と似て非な心理劇的物語展開に魅せられたので、この原作がどう芝居化されるのか楽しみであった。

9つの場面に分かれている原作を1幕ものにコンパクトにまとめ、テンポよく約100分で一気に駆け抜けた。原作のやや冗長に感じるところが削ぎ落とされ、引き締まって、観客をぐいぐい引き込んだ。心理劇的な面は抑えられたところは感じたが、推進力強い上に、小劇場ならではの密室空間(しかも私は最前列に着席)もあり、役者の熱量もダイレクトに伝わり、あっという間に時間が過ぎる集中度の高い舞台だった。

役者さんでは、王夫婦を演じた太田宏さんと川田小百合さん(申瑞季さんからキャスティング変更)が安定した演技で舞台に落ち着きを与えていた。題名役の松井壮大さんは、シェイクスピアの「ハムレット」よりも更に悩めるハムレットを上手く演じた。これは役者というより原作の特徴と思うが、このハムレット、悩み過ぎで、悩むために悩んでいるとしか見えないところある。

個人的に拍手を送りたかったのは、ポローニアス役のたむらみずほさん。劇中劇での奇演と劇中劇後の王の居室における王とのやりとりは迫力満点で真に迫り、本作の心理劇的要素が表現されていて唸らされた。

舞台は木材を組み合わされたバリケード風の構築物がセンターに置かれ、適宜回転させて場面場面で活用される。椅子としてや、劇中劇の舞台や、王城として使われたりで、効果的に観衆の想像力が刺激された。悩むハムレットのモノローグに他の登場人物らが一人ひとり声を寄せるシーンも演出も感心させられた。

もちろん期待はあったのだが、正直、期待を上回る観劇体験であった。このこまばアゴラ劇場もまもなく閉館というのも寂しすぎる。4月に最後のさよなら公演を見に来る予定。

(2024年3月22日 観劇)

 

早坂彩『新ハムレット』

作:太宰治  演出:早坂彩(トレモロ/青年団)

CAST

太田宏*、松井壮大*、たむらみずほ*、清水いつ鹿(鮭スペアレ)、大間知賢哉、川田小百合、瀬戸ゆりか*、黒澤多生* (*=青年団)

STAFF

演出助手・スウィング:長順平 舞台監督:鐘築隼[京都公演]/久保田智也[東京公演]
舞台美術:杉山至 照明:黒太剛亮(黒猿) 音響:森永恭代 音楽:やぶくみこ
衣装協力:徳村あらき 宣伝美術:荒巻まりの 制作:飯塚なな子

協力:青年団、黒猿 主催:トレモロ

 

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PARCO STAGE W.シェイクスピア <リア王> @東京芸術劇場プレイハウス

2024-03-18 07:36:56 | ミュージカル、演劇

段田安則さんがリア王を演じるということで、先月の<マクベス>に続いてシェイクスピア劇を観劇。TVでもしばしば目にする役者を多く揃え、熱量高い、充実した舞台であった。

段田さんは、傲慢国王から気がふれた哀れな老人へ転落するリア王を好演。身から出た錆とはいえ、権力を失った元権力者の悲哀が胸を打つ。

三姉妹の中では江口のりこさんが、ゴネリルの役柄にぴったりハマっていて、怖いぐらいだった。また玉置玲央さんが庶子エドマンドを活き活きと演じていていた。更に、この救いようのない絶望的な悲劇の中で唯一息をつけるのが、道化の振る舞い。とぼけたことばかりを言うが、実は世の中や人間が一番見えている。その道化を平田敦子さんが好演していた。

ショーン・ホームズさんの演出作品は初めて。衣装から察するに場を現代に置いているのだが、深い読替え的な意図はなさそう。舞台装置はシンプルで、椅子と白色のウオールボードが基本。手紙はOHPを使ってその壁型ホワイトボードに投影される。場面によってそのボードを吊り上げ、奥行きあるステージをフルに活用する。舞台天井に蛍光灯を多数設置し、そのON,OFFで嵐や天候が示された。

演出上、唯一の不満は、この天井の蛍光灯演出かな。この<リア王>はドーバー(の岸壁や荒野)、嵐、狂気が3点揃って最高のヤマ場というイメージを持っているので、ちょっと今回はその点において物足りなかった。

今回は事前に松岡和子さんの翻訳を読み返す時間なく、ぶっつけ本番となった。休憩入れての3時間の上演時間だったこともあり、舞台ではそれなりにカットが入っていたと思う。リアの放浪場面とか、もう少し長かった気がする。出来ればもう一度観なおしてみたいものだが、残念ながら今回はちょっと時間が合いそうにない。

(2024年3月14日)

 

作:ウィリアム・シェイクスピア
翻訳:松岡和子
演出:ショーン・ホームズ
美術・衣裳:ポール・ウィルス
出演

段田安則 小池徹平 上白石萌歌 江口のりこ 田畑智子 玉置玲央 入野自由 前原滉 盛隆二 平田敦子 / 秋元龍太朗 中上サツキ 王下貴司 岩崎MARK雄大 渡邊絵理 / 高橋克実 浅野和之

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W.シェイクスピア<マクベス> (演出:ノゾエ征爾)@東京芸術劇場シアターイースト

2024-02-23 08:59:31 | ミュージカル、演劇

久しぶりにシェイクスピア劇。個人的に最も好きな「マクベス」。芸劇では、ちょうど都民芸術フェスティバル開催中でN響公演日だったようだが、今日はエスカレーターを上らず、地下のイーストシアターへ。

演劇界に通じていない私は初めて聞く方なのだが、劇団はえぎわを主宰されていているノゾエ征爾さんの台本・演出である。

「彩の国さいたま芸術劇場では、2022年春、ノゾエを招いてシェイクスピアの『マクベス』を題材としたワークショップを実施。ワークショップでは「演劇を見慣れていない若者に演劇の魅力を知ってもらう」という目標を掲げ、ノゾエは親しみやすく、飽きさせない構成と演出で約100分の『マクベス』をつくりあげた。」(彩の国さいたま芸術劇場ホームページより)

翻訳は松岡和子さん版を使いつつも、ノゾエ氏により100分にまとめるため大胆にカットされたり、アレンジが施されている。ただ、観ていて、劇のスピーディな展開とテンポ良さは感じたものの、「ここを抜くか!」という違和感は無かった。確かに「飽きさせない」構成だった。

少し物足りなさという観点では、マクベス夫妻の関係性の変化(どの本か忘れたが、松岡さんの著述にあった、運命共同体であった夫妻関係からそれぞれが離れていく関係に変化)のプロセスという点での描写は弱かったかな。

舞台は木製椅子を多数(ぱっと見、20脚以上はあった)を組み合わせ様々な場に活用される。シンプルだか、観る人の想像力を掻き立てうまく作ってあるなあと思った。

役者では、マクベス夫人を演じた川上友里さんの血気迫った力ある演技が好印象。マクベスの内田健司さんはイケメンで格好良すぎて、野心と野性に満ちたマクベスのイメージと違った。最後のトゥマロースピーチは劇のハイライトとして十分盛り上げた。

冒頭や劇中に、スマフォやVR機器が使われたり、現代国際政治事情が挿まれた現代アレンジが施されている。ワークショップの目的のとおり、若者に親しみやすさを増すためだろう。個人的に楽しみにしている、4幕1場のマクベスが魔女に八人の王の幻影を見させられるシーンが、観客には見えないVR機器内で展開されるのは残念だった。ただ現代アレンジは、劇全体に対する影響度は大きくなく、原作の世界観を覆すようなものではなく、アクセント的に上手く使われていると感じた。

18時半に始まって、終演は20時15分。手軽に、久しぶりに〈マクベス〉が楽しめ満足。

 

日程

2024年02月17日 (土) 〜02月25日 (日)

会場:シアターイースト
原作:W.シェイクスピア
翻訳:松岡和子
上演台本・演出:ノゾエ征爾

出演
内田健司、川上友里、山本圭祐、村木 仁、町田水城、広田亮平、上村 聡、
茂手木桜子、菊池明明、踊り子あり

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W.シェイクスピア/演出:鵜山 仁「終わりよければすべてよし」 @新国立劇場中劇場

2023-11-26 07:28:22 | ミュージカル、演劇

 (もう1月前の記録です。アップし忘れて、公演期間も終了してますが・・・)

「尺には尺を」に続けて、「終わりよければすべてよし」を観劇。

この2作品、ともにシェイクスピアの中でも単純なハッピーエンドでは終わらないダークコメディである点、女性が主人公である点、男性とベッドをともにする女性が入れ替わるというベッドトリックを使っている点など、共通点が多い。今回の企画は、それを交互に演じることで、類似性と相違性があぶりだし、作品理解を深めようとするもの。かなり凝っている。

前日に「尺には尺を」を演じた役者さんたちが、全く違う役柄で、違う芝居をやっている。そのキャパシティ/ケイパビリティ、切り替えにプロフェッショナルを感じ、驚嘆した。

キャスティングは前日の「尺」よりも、この日の「終わり」の方が、よりピッタリはまっていて、舞台がとっても安定しているように感じられた(前日が不安定だったわけではなく、相対的な話である)。主人公ともいえるヘレナを演じる中嶋朋子はさすがのベテラン。猪突猛進、思い込んだら一途に行動するヘレナを好演。若き処女の役柄との年齢差も感じさせず、自然で違和感ない。大したものだと感心した。

個人的には、軽薄男ぺーローレスを演じた亀田佳明も笑わせてもらった。こういう奴って、いる・いる。また、シェイクスピア劇のどの作品でも重要な「道化」であるラヴァッチを吉村直が軽妙に演じていたのも印象的だった。全体的に舞台を落ち着いて感じさせてくれたのは、フランス王の岡本健一、ラフューの立川三貴、ルシヨン伯爵夫人の那須佐代子らも堅実な立ち回りによるところも大きいだろう。

舞台造形は、舞台前方の草や池は「尺」とそのまま同じものが使われていたようだ。舞台中央には、大きなテントのような幕が吊られ、幕の形の変化や照明で、場の設定替えや舞台効果が演出される。舞台に集中出来る必要十分な演出で好感度高い。

「尺」と同じダークコメディなのだが、「終わり」は「尺」に比較すると「ダーク」度は薄い。戯曲を読んで不思議ちゃんと感じたヘレナも思いを遂げて結婚でき、この結婚相手が、正直、男としてどうかよと思うバートラムではあるものの、本願成就である。この結婚がうまくいくかどうかはわからないが、「尺」が罰としてのアンジェロとマリアナの結婚や謎の侯爵からイザベラへの求婚で終わったのと比較すると、後味もずっと軽やかだ。

この2作品、とっても良かったので、できれば期間中にもう一度観てみたい。

10月19日(木)



2023/2024シーズン
シェイクスピア、ダークコメディ交互上演

尺には尺を
Measure for Measure

終わりよければすべてよし
All's Well That Ends Well

公演期間:2023年10月18日[水]~11月19日[日]

予定上演時間:
『尺には尺を』約2時間55分(第1幕95分 休憩20分 第2幕60分)
『終わりよければすべてよし』約3時間10分(第1幕85分 休憩20分 第2幕85分)

Staff&Castスタッフ・キャスト

スタッフ
【作】ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】小田島雄志
【演出】鵜山 仁
【美術】乘峯雅寛
【照明】服部 基
【音響】上田好生
【衣裳】前田文子
【ヘアメイク】馮 啓孝
【演出助手】中嶋彩乃
【舞台監督】北条 孝

キャスト (役名:『尺には尺を』(左)/『終わりよければすべてよし』(右))
岡本健一:アンジェロ/フランス王
浦井健治:クローディオ/バートラム
中嶋朋子:マリアナ/ヘレナ
ソニン:イザベラ/ダイアナ 
立川三貴:典獄/ラフュー
吉村 直:バーナーダイン/紳士1、ラヴァッチ
木下浩之:ヴィンセンシオ/フィレンツェ公爵
那須佐代子:オーヴァーダン/ルシヨン伯爵夫人
勝部演之:判事/リナルドー
小長谷勝彦:ポンピー/兵士2
下総源太朗:エスカラス/デュメーン兄 
藤木久美子:フランシスカ/キャピレット
川辺邦弘:エルボー・紳士2/兵士1
亀田佳明:フロス・アブホーソン/ぺーローレス
永田江里:ジュリエット/マリアナ
内藤裕志:ピーター/紳士
須藤瑞己:召使い/従者
福士永大:使者/小姓
宮津侑生:ルーシオ/デュメーン弟 

 

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