劇団東演の公演「マクベス」を観に行った。この劇団は全く初めてだが、創立60周年ということなので随分と歴史ある劇団だ。演出はロシアのV・ベリャコーヴィッチ(故人)という方によるものだが、チラシ等を読むと随分と有名な方のようである。
舞台は、自称〈マクベス〉ファンの私にとって大満足のパフォーマンスだった。特に、印象的だったのは、演出と役者陣。演出はシンプルなプロダクションなのだけど、舞台の中央に設置した2組4枚の回転扉を上手く使って、空間や時間経過を表していた。照明はブルーとレッドを基調にし、舞台の陰影が良く表れていて迫力あるステージとなっていた。
役者陣の熱演も大拍手。マクベス夫妻を筆頭に、ダンカン、バンクォーらの男優陣も舞台を引き締めた。特にマクベス夫人を演じた神野三鈴さんの台詞回しの切れの良さは、以前<シンベリン>で見た大竹しのぶさんを思い出した。表情の豊かさも素晴らしい。魔女たちを、筋肉隆々の男優さんたちが、後頭にお面を被り、背中を正面に向けて前後逆に演技するという形式はサプライズだったが、魔女たちの不気味さが良く表れていた。
台本はシェイクスピアの原作をかなり現代語に即して訳してあり、シェイクスピアの舞台にありがたちな台詞の周りくどさはほとんど感じず、とても自然体。一方で、時間内に納めるためか、カットの場面や順番をいじったところが少なからずあったところは多少に気になった。(例えば、第5幕で夫人が死ぬ場面にマクベスが立ち会っていたり、その後随分時間が経ってからTomorrow Speechが始まったりとか)。
当日券で駆け込んだのだが、渡されたチケットは前から3列目。シアタートラムも全くの初体験の劇場だが、下北沢の小劇場ほどではないけども収容200名程度の小劇場で、役者さんの唾や汗が飛んできそうな距離だった。芝居の醍醐味を満喫した2時間半だった。
2019年3月24日(日)~4月7日(日)
シアタートラム
スタッフ/キャスト
【作】W・シェークスピア
【翻訳】佐藤史郎
【翻案・演出・美術・衣裳】V・ベリャコーヴィッチ(ロシア人民芸術家)
【演出補】O・レウシン(ロシア人民芸術家)
【照明】鵜飼守
【舞台監督】相川聡
【制作】横川功
【出演】
マクベス:能登剛
マクベス夫人:神野三鈴(オフィスゆっくり)
バンクォー:豊泉由樹緒
フリーアンス(息子):椎名啓介
ダンカン(国王):島英臣(俳優座)
マルコム(息子):木野雄大
アンガス、門番:星野真広
メンティース:小泉隆弘
レノックス:原野寛之
ケイトネス:奥山浩
ロス:蓮池龍三(バオバブ)
兵士、他:内田龍磨(Pカンパニー)
マクダフ:南保大樹
マクダフ婦人:岸並万里子
娘:三森伸子(Wキャスト)、村山かおり(Wキャスト)
刺客:M・インチン(ユーゴザパト劇場)
藤牧健太郎
上村遥
魔女:G・イオバッゼ(ユーゴザパト劇場)
A・ナザーロフ(ユーゴザパト劇場)
清川翔三
藤本稜太(フリー)