N響の90周年を記念した特別演奏会。「千人の交響曲」は6月にハーディング/新日フィルで聴いたばかりだが、パーヴォ/N響の「千人」を聴かないわけにはいかない。
蒸し暑い小雨振る代々木公園横を小走りし、遅刻寸前でNHKホールに駆け込む。あのNHKホールが超満員。定期では完売と言えども、会員席には空席があったりするのだが、見回したところ空席が見当たらないほど。そのお蔭で、息を切らせて3階Rに入ったものの、自分の席は直ぐ見つかった。定演のマイ・シートに近く、ちょっとほっとした。
冒頭から衝撃的。300名は超える大合唱がいきなり爆発。合唱団の座席のため、いつもより前にせり出したステージで、オケもいつもより観客席に近い。そのためか、オケも良く鳴って聴こえる。全員外国人歌手のソリストたちは、見た目もボリューミーで、人で一杯のステージがより狭く見える。相当の実力歌手陣とお見受けしたが、3階席からでは、合唱とオケに押されてるか、と思うぐらい、合唱とオケが重厚だった。NHKホールが狭く感じるぐらい。
ただ、駆け込んだ自分のコンディションが上手く回復せず、いきなりのハイテンションに完全に乗り切れなかった。集中力を欠き、目の前で展開されている「名演」に上手く体と呼吸を合わせることができず、第一部は自分としては消化不良のまま終わってしまった。
自分の気合を入れ直した第2部は、天にも昇る気分だった。この第2部ってこんなに美しくかつ劇的だったのかと初めて気づかされた。ソリストたちの美声が心地よく良く耳に響く。N響のアンサンブルは精緻で美しい。児童合唱を含めた3つの合唱団による合唱は、質と量を両立。そして、それらを見事に融合させるパーヴォさん。至高のパフォーマンスだった。字幕がほぼ視線に近いところにあったのも助かった。音と文字が一体となって、脳裏に、崇高な絵巻が展開された。
充実の1時間25分。超満員のホールから、滅多に聞いたことがないほどの大拍手。ソリストやパーヴォさんも何度も呼び戻された。
ホールを後にしながら考えがよぎる。あと10年で100周年か。100周年、記念コンサートは誰が振るのだろうか?是非、このままパーヴォさんに振って欲しい。その時、N響はどんなオケになっているだろうか。真のワールドクラスのオケになり得るんではないか?夢は膨らむばかりだった。
N響90周年記念特別演奏会|マーラー「一千人の交響曲」
2016年9月8日(木) 開場 6:00pm 開演 7:00pm
NHKホール
マーラー/交響曲 第8番 変ホ長調「一千人の交響曲」
指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ソプラノ:エリン・ウォール
ソプラノ:アンジェラ・ミード
ソプラノ:クラウディア・ボイル
アルト:カタリーナ・ダライマン
アルト:アンネリー・ペーボ
テノール:ミヒャエル・シャーデ
バリトン:ミヒャエル・ナジ
バス:アイン・アンガー
合唱:新国立劇場合唱団
合唱:栗友会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
NHK Symphony Orchestra 90th Anniversary Special Concert | Mahler “Symphonie der Tausend”
Thursday, September 8, 2016 7:00p.m. (doors open at 6:00p.m.)
NHK Hall
Mahler / Symphony No.8 E-flat major “Symphonie der Tausend”
Paavo Järvi, conductor
Erin Wall, soprano
Angela Meade, soprano
Claudia Boyle, soprano
Katarina Dalayman, alto
Annely Peebo, alto
Michael Schade, tenor
Michael Nagy, baritone
Ain Anger, bass
New National Theatre Chorus, chorus
Ritsuyukai Choir, chorus
NHK Tokyo Children Chorus, children chorus