田坂氏の著作を久しぶりに読みました。10年以上前に、シンプルな表現で宗教家のように仕事の本質を説く氏の幾つかの著作を、一時集中的に読みましたが、ここ数年はすっかりご無沙汰してました。
今回は、図書館の新刊コーナーで見つけ手に取りました。タイトル通りいわゆるハウツー本ですが、全編を通して、「深層対話」の重要性、そのやり方を説いています。深層対話とは、ノン・バーバル(非言語)コミュニケーションのことです。
本書の特徴は、いろんな実際の職場での会話の再現を通じて、深層対話とは何かを示していることでしょう。職場「あるある」的に自らの体験と照らし合わせて読むことができるので、腹落ち感もあります。
例えば、本書では下記のような、いわゆるレッスンで各章が締められますが、その前段階の実例としての会話が紹介されますから、「なるほど」となるわけです
・商談や交渉、会議や会合の後には必ず、「直後の反省会」を行え
・「直後の反省会」では、時間の流れに沿って、「追体験」を行え
・「追体験」においては「相手の視点」に徹し、「相手の心の動き」を想像せよ
私が、本書が単なるハウツー本だけでないと思うのが、最終話で説かれる「相手の、深い「敬意」を持って接する」というところです。えてしてこの手の技法は「操作主義」に陥る危険を孕んでいますが、やはり人のコミュニケーションの基本は、相手に対するリスペクトだと思うのです。
特に、若い人にお勧めしたい一冊です。
第一話 すべての分野で役に立つ「仕事の技法」は「深層対話の技法」
第二話 「仕事のできる人」は必ず身につけている「相手の心を感じ取る技法」
第三話 「心配り」や「気配り」の本質は「言葉以外のメッセージ」を感じ取る力
第四話 相手の「真意」や「本音」を感じ取る「深層対話力」
第五話 「言葉以外のメッセージ」こそが相手に伝わってしまう
第六話 本を読んだだけでは掴めない「プロフェッショナルの技法」
第七話 「深層対話の技法」が身につく本の読み方
第八話 多忙な日々の中でも深層対話力を身につける「反省の習慣」
第九話 商談や交渉、会議や会合の直後に必ず行うべき「追体験」
第一〇話 「追体験」において求められる「視点の転換」
第一一話 相手の表情、仕草、動作から感じ取る「言葉以外のメッセージ」
第一二話 優れたプロフェッショナルから学ぶべき「深層対話の視点」
第一三話 「一人での反省」がしばしば陥る「解釈の誤り」
第一四話 究極の「深層対話力」を身につける「深夜の反省日誌」
第一五話 「深夜の反省日誌」において見つめるべきは「自分の心の動き」
第一六話 相手から必ず見抜かれる心の中の「操作主義」
第一七話 「直後の反省会」を効果的にする「場面想定」の技法
第一八話 「場面想定」の習慣で身につく最も実践的な「戦略思考」
第一九話 「無意識に相手に伝えているメッセージ」に気がつく高度な「深層対話の技法」
第二〇話 最も成熟した「深層対話力」は「聞き届け」の技法から
第二一話 すべての仕事において活用すべき「深層対話力」
第二二話 「心理学」を学ぶだけでは決して身につかない「深層対話の技法」
第二三話 「深層対話力」とは極めて切れ味の良い「諸刃の剣」