その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響、9月Cプロ、指揮 尾高忠明、チャイコフスキー・プログラム

2024-09-30 07:32:09 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

Bプロは都合で行けず友人にチケットを譲ったので、今シーズン2回目のN響定期。正指揮者の尾高さんによるチャイコフスキー・プログラムです。

前半の<ロココ風の主題による変奏曲>は、チェロ独奏辻本さんの響きにうっとり。美しい音色がホール一杯に響きます。オーケストラとの息もぴったりで、優美なことこの上なし。幸福感一杯に包まれ、音楽を楽しみました。

アンコールではチェロ隊4名も参加してカタルーニャ民謡〈鳥の歌〉。N響のチェロチームの想いも伝わる演奏でした。

後半の〈白鳥の湖〉は、バレエ公演を一度経験しただけなので、有名な〈情景〉の曲ぐらいしか馴染みが無いのですが、さすがチャイコフスキー、どの音楽も美しく、耳に残る旋律にうっとりとさせられます。

N響の演奏も素晴らしく、ヴィオリン、オーボエ、トランペットなどなどのソロとともにアンサンブルの美しさが格別。フィナーレの「情景・終曲」のスケール感一杯で重層的な演奏には胸が一杯。

この日は何といっても、尾高さんのN響の力を最大限に発揮させる指揮ぶりが最も印象的でした。まさに職人芸で、匠のなせる技。ルイージさんのようなぐいぐいと引っ張る熱とは違った、いぶし銀の渋さに唸らせられた演奏会でした。

 

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2018回 定期公演 Cプログラム
2024年9月28日(土) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 作品33(フィッツェンハーゲン版)*
チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」作品20(抜粋)

指揮:尾高忠明
チェロ:辻󠄀本 玲(N響首席チェロ奏者)*

Subscription Concerts 2024-2025Program C
No. 2018 Subscription (Program C)
Saturday, September 28, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Tchaikovsky / Variation on a Rococo Theme, Op. 33 (Edited by Fitzenhagen) *
Tchaikovsky / The Swan Lake, ballet Op. 20 (Excerpts)

Conductor: Tadaaki Otaka
Cello: Rei Tsujimoto (Principal Cello, NHKSO)*

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やっぱり素晴らしい! <ミュージカル ビリー・エリオット> @東京建物Brillia HALL

2024-09-27 07:30:13 | ミュージカル、演劇

大好きな「ミュージカル ビリー・エリオット」の日本語版の再演があり、足を運んだ。

(イングランド北部訛り英語の)日本語化の難しさ、政治・社会の理解のハードル、子役陣の育成などなど、この作品の日本語化は極めて難しいと思うのだが、今回で3回目となる日本語公演を実現させた関係者の努力に感謝したい。これは安定した固定ファンの支持もあってのことでもあると思う。

一方で、ロンドンでのロングランはずいぶん前に終了しているし、日本でも3度目ともなるとチケット販売に苦戦しているところはあるようだ。直前購入の割引DMが私のメールボックスにも入ってきていた。

私自身は、日本語公演の観劇は2017年に続いての2回目で、7年ぶりである。観客の8割以上が女性で、ブルックナーの演奏会の真逆を行く華やかな雰囲気。おじさんにはアウエー感満載だったが、「ビリー」にかけての熱意は負けないつもりなので、「ここはワイのホームだ」と自信をもって着席。

冒頭のダーラムの炭鉱ストライキの映像には、サッチャー政権の炭鉱国有化廃止の演説のフィルムが差し込まれていたり(これが無いと今やサッチャーも歴史的政治家だから理解されないだろう)、ロイヤルバレエスクールのオーディションのシーンで、ビリーが用意したカセットテープを回すシーンが無くなっていたりした変更には気づいたものの、基本的にはこれまでの版と同じで、懐かしさで一杯だった。(個人的な話で恐縮だが、このミュージカルは私がロンドン駐在時に一番繰り返して観た作品なので、ロンドン生活の思い出と重なっているのである。)

改めて、本当によくできたミュージカルであることを確認する。階級問題、ジェンダー問題、LGBT、中央・地方格差、地域の共同体意識、経済政策、世代間の価値観乖離、親子の愛、様々なテーマを作品の中に織り込み、ごっちゃ煮にしつつ、ビリーの成長物語として涙と笑い一杯に仕上げる。そして、それを彩るエルトン・ジョンの耳に残る名曲の数々。

今回の公演で言えば、ビリーの石黒瑛土君はもう少しワイルドさや舞台映えが欲しい感じはあったが、悩みもがく寂しがり屋の少年ビリーを堅実に演じた。親友マイケル役の豊本燦汰君ものびのび好演。ダンス陣、子役のバレエダンサーたちもグッド。子役たちの稽古は、ロンドンのロングラン時のような長期に渡って継続的に出演し続けるわけではないので、公演前に相当な準備が入ると思うが、ホント頑張っている。

大人組では、ウイルキンソン先生役の安蘭けいの存在感や動きが、「さすが元宝塚スター!」というオーラであった。鶴見慎吾はちょっと格好良すぎるお父さんだが、長男トニー役の西川大貴との確執は迫力満点で、夫々に感情移入してしまう。

細かいところを上げれば、ピケの迫力やスト破り(Scab)の位置づけ等、もっとこうして欲しいと思うところはあったものの、細かい点はこの作品の良さを考えれば全く気にならない。久しぶりにこのミュージカルの生演を鑑賞できたことを、心から感謝した。

個人的にイチ押しミュージカルなので、是非、一人でも多くの人に見て欲しい作品だ。東京公演は10月26日(土) まで。

 

 

[東京・オープニング公演]2024年7月27日(土)~8月1日(木)
[東京公演]2024年8月2日(金)~10月26日(土)
[東京]東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)


キャスト

ビリー・エリオット:石黒瑛土
お父さん:鶴見辰吾
ウィルキンソン先生:安蘭けい
おばあちゃん:阿知波悟美
トニー(兄):西川大貴
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー:厚地康雄
ブレイスウェイト:森山大輔
死んだお母さん:大月さゆ

加賀谷真聡、黒沼亮、後藤裕磨、齋藤桐人、聖司朗、辰巳智秋、照井裕隆、春口凌芽、丸山泰右、森内翔大、小島亜莉沙、咲良、竹内晶美、森田万貴、石田優月、白木彩可、新里藍那

マイケル:豊本燦汰
デビー:内藤菫子
トールボーイ:猪股怜生
スモールボーイ:張浩一
バレエガールズ:石澤桜來、鈴木結里愛、松本望海、南夢依、宮野陽光

スタッフ

ロンドンオリジナル・クリエイティブスタッフ
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン
【振付】ピーター・ダーリング
【美術】イアン・マックニール
【演出補】ジュリアン・ウェバー
【衣裳】ニッキー・ジリブランド
【照明】リック・フィッシャー
【音響】ポール・アルディッティ
【オーケストレーション】マーティン・コック

日本公演スタッフ
【翻訳】常田景子
【訳詞】高橋亜子
【振付補】前田清実・藤山すみれ
(ドラスティックダンス"O")
【音楽監督補】鎭守めぐみ
【照明補】大島祐夫・渡邉雄太
【音響補】山本浩ー
【衣裳補】阿部朱美
【ヘアメイク補】柴崎尚子
【擬闘】栗原直樹
【演出助手】伴眞里子・坪井彰宏・加藤由紀子
【舞台監督】松下城支
【技術監督】清水重光
【プロダクション・マネージャー】金井勇一郎

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今回も記憶に残る名演! チョン・ミョンフン/東フィル、ヴェルディ〈マクベス〉

2024-09-23 07:30:10 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

去年7月の記憶に残る〈オテロ〉からはや1年。今年のチョン・ミョンフン✕東フィルによるヴェルディのシェイクスピア・オペラは〈マクベス〉。このシリーズの最終回ということだ。〈マクベス〉は演劇の方はそれなりの数を観ているが、オペラは10年以上ぶりで、この日が待ち遠しくてしょうがなかった。

期待通りの素晴らしい公演だった。マエストロの指揮の元、独唱陣、合唱、オケが三位一体となって非の打ち所無いハイレベルなパフォーマンス。

冒頭の序曲から、東フィルの集中力溢れる演奏に痺れた。そして、全幕を通して刃の上を渡るような緊迫感と攻めの演奏が続く。弦・管・打各楽器がまとまりスコットランドの嵐のような圧を感じた。

外国人歌手を中心とした独唱陣も底力を見せつけた。題名役のセバスティアン・カターナとバンクォー役のアルベルト・ペーゼンドルファーは迫力の低音。マクベス夫人役のヴィットリア・イェオのソプラノも張りがあって美しい。夫を叱咤激励する強い妻であった。久しぶりのマクベスだったので、夫人に多くのアリアが与えられているのは新鮮だった。そして、マクダフ役のステファノ・セッコのテノールも高らかに響く。

更に、個人的に最も受けたのは、新国合唱団の合唱。合唱の美しさもさることながら、特に魔女たちの演技には大拍手。第3幕の舞台上での表情、動作のいかれ方がまさに魔女たちで、舞台装置なくとも魔界に引き込まれた気分であった。演奏会方式でここまでの迫真の演技があると、正直、舞台セットは無くても構わないと思ってしまうほどだ。

合唱指揮の冨平さんのポストによると、この場面、魔女たちをステージ最前線に配置して、演技まで入れたのは、練習の際にチョンさんから出た提案だという。劇的な効果を高めたこの演出に見事に応えた新国合唱団、さすが。

合唱団だけでなく、独唱陣にもしっかり演技が入る。また、照明も場面で変化し、舞台を盛り上げた。演奏会方式として、これ以上はあるまいと断言できるほどの、ステージが展開された。

終演後は、割れんばかりの大拍手と歓声に包まれた。3回の公演の最後ということもあってか、チョンさんを初め独唱歌手陣、合唱陣、オケの皆さん、大きな仕事を終えた安心感と充足感が表情に現れていた印象を受けた。私自身も、大きな満足感一杯で拍手を送り、帰路についた。

 

2024年9月19日(木)19:00
東京オペラシティ コンサートホール

第164回東京オペラシティ定期シリーズ 

指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
マクベス(バリトン):セバスティアン・カターナ
マクベス夫人(ソプラノ):ヴィットリア・イェオ
バンクォー(バス):アルベルト・ペーゼンドルファー
マクダフ(テノール):ステファノ・セッコ
マルコム(テノール):小原啓楼
侍女(メゾ・ソプラノ):但馬由香
医者(バス):伊藤貴之
マクベスの従者、刺客、伝令(バリトン):市川宥一郎
第一の幻影(バリトン):山本竜介
第二の幻影(ソプラノ):北原瑠美
第三の幻影(ソプラノ):吉田桃子

合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)

ヴェルディ/歌劇『マクベス』
全4幕・日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
公演時間:約2時間45分(休憩含む)

September 19, 2024, Thu
19:00
Tokyo Opera City (Concert Hall)

The 164th Subscription Concert in Tokyo Opera City Concert Hall
Conductor: Myung-Whun Chung (Honorary Music Director)
Macbeth: Sebastian Catana
Lady Macbeth: Vittoria Yeo
Banquo: Albert Pesendorfer
Macduff, thane of Fife: Stefano Secco
Malcolm, Duncan's son: Keiroh Ohara
Lady-in-waiting to Lady Macbeth: Yuka Tajima
A Doctor: Takayuki Ito
Servant of Macbeth/Murderer/Herald: Yuichiro Ichikawa
Apparition 1: Ryusuke Yamamoto
Apparition 2: Rumi Kitahara
Apparition 3: Momoko Yoshida

Chorus: New National Theatre Chorus (Chorusmaster: Kyohei Tomihira)

Verdi: Opera "Macbeth" in concert style

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お初の「こんにゃく座」は〈リア王〉 @吉祥寺シアター

2024-09-20 07:32:21 | ミュージカル、演劇

以前から「オペラシアターこんにゃく座」の名前は聞いたことはあったけど、初めて実演に接する機会を得た。演目は「リア王」。シェイクスピア悲劇の中でも「マクベス」と並んで好きな作品だ。公演初日に吉祥寺シアターにて観劇(中央最前列)。

「リア王」のオペラ作品は、以前、アリベルト・ライマン作曲のオペラ「リア」(2013年二期会公演、指揮:下野竜也、演奏:読響)を聴いたことがある。こんにゃく座のオペラ「リア王」とは一体どんな舞台・音楽になるのか興味津々だった。

様式は音楽劇であった。音楽はサックス、コントラバス、パーカッション、ピアノの4人の小編成。演劇が進む中で、 萩京子作曲の音楽が奏でられる。演劇が主で、音楽は従と言う印象だ。

演劇と音楽が効果的にミックスされて、収容100名規模の吉祥寺シアターの密空間効果も加わり、濃厚なリア王が展開された。役者は多くの台詞を音楽に載せて歌う。音楽が日本語台詞にマッチして、非常に聴きとりやすい。言葉の嵐に吞み込まれるシェイクスピアの演劇としては、むしろ演劇よりも聴きやすいほどで驚きだった。

その分、原作の個々の台詞は取捨選択され、その分人物の造形描写も薄まるところはあるものの、それは致し方無いだろう。

本作のキーとなる道化役は男女のペアにより演じられた。ペアになることにより、音楽的にも重唱になったり、交互の音階を違えての歌唱が耳にも心地よく、このやり方は上手くできているなと感心した。

役者さんは、夫々、熱演であったが、とりわけ題名役の大石哲史の重みある演技、泉篤史演じるエドワードの狂人ぶり、エドマンド島田大翼の悪人ぶり、道化の2人組が特に印象的だった。

舞台中央に運動会の大玉転がしに使えるぐらいの球体が置かれ、場面により上下する。あとは、右手奥に姿見のような鏡のつい立が置かれているぐらいでシンプルなもの。芝居に集中できる舞台装置であった。

大舞台のオペラとは趣の異なる音楽劇。演劇性が高く、とっても満足度高い。他の公演もまた足を運んでみたい。

 

2024年9月13日
吉祥寺シアター

スタッフ
原作       ウィリアム・シェイクスピア(小田島雄志訳による)
作曲       萩京子
演出       上村聡史
美術       乘峯雅寛
衣裳       宮本宣子
照明       阪口美和
舞台監督              大垣敏朗
音楽監督              萩京子
宣伝美術              ワタナベケンイチ(イラスト)・片山中藏(デザイン)

キャスト

リア王:大石哲史
ゴネリル(リアの長女):鈴木あかね
リーガン(リアの次女):豊島理恵
コーディリア(リアの三女):小林ゆず子
ケント伯爵(リアの忠臣):佐藤敏之
オールバニ公爵(ゴネリルの夫):富山直人
コーンウォール公爵(リーガンの夫):北野雄一郎
グロスター伯爵(リアの重臣):髙野うるお
エドガー(グロスターの息子):泉篤史
エドマンド(グロスターの息子):島田大翼
オズワルド(ゴネリルの執事):彦坂仁美
道化1:金村慎太郎
道化2:沖まどか
淑女(ブリテン王国に仕える人物):青木美佐子
フランス王(コーディリアの夫)・兵士:沢井栄次
バーガンディ公爵・兵士:吉田進也
使者・刺客:冬木理森
人々:鈴木裕加、川中裕子、入江茉奈、小林ゆず子

サクソフォン:野原孝
コントラバス:佐々木大輔
パーカッション:高良久美子
ピアノ:服部真理子

2024年9月13日(金)~23日(月祝)

 

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N響、新シーズン好発進!:F.ルイージ指揮、 ブルックナー交響曲第8番

2024-09-16 07:15:11 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

いよいよ24-25年シーズンのスタート。例年であれば、代々木公園の木々が秋の装いを始めている時期だが、今年はまだその気配全くなし。

シーズン開幕演奏会は首席指揮者ルイージさんが登壇。オーケストラの顔がしっかりオープニングを務めるって、とっても大事だと思う。プログラムは生誕200年を祝って、ブルックナー交響曲第8番の一本勝負。NHKホールは満員に近い入りで、熱気でむんむん。この雰囲気はとっても好き。

今回は初稿を利用とのことだが、生で8番を聴くのは2回目だし、ブルックナー沼はいつも畔で眺めているだけの私には、稿の相違は関係なし。ただ、90分にも及ぶブルックナーの交響曲ということで、前日の睡眠は十分、この日の午前中は家でまったりと、万全の体調で臨んだ。

90分の楽曲は背筋を伸ばして聴いている間に「もう?」という感じで終わってしまった。楽章を通じて、ルイージさんとオケの気迫が3階席までひしひしと伝わってくる。ブルックナーの交響曲らしい、精巧に作り込まれた楽曲の構成や機能の美しさはもちろんのこと、ルイージさんの指揮は加えて、ヒューマンタッチな感情に触れるように感じる音楽作りだった。

第2楽章の強烈なスケルツォの厳しさや険しさは、波となって大きく覆いかぶさってきた。第3楽章の優雅さは美と優しさが溶けあって天にも昇る感覚、そして第4楽章の壮大なフィナーレにも圧倒される。各楽章が素晴らしく、毎楽章ごとに拍手したくてたまらなかった。

オケは、管弦打楽器、どのパートも奏者もすばらしい。とりわけ、金管陣は出色で、大きなNHKホールをものともせず音が稲妻のごとく響いたし、弱音部分も盤石の安定感。管楽器もフルート、オーボエの要所要所でのソロが美しい。弦はコンマス郷古さんの元、前のめりでN響らしい重厚なアンサンブルを奏でる。ハーブの音色は天上のもの。ティンパニー、シンバルの強烈な打音は高揚感の極致だった。

終演後は割れんばかりの大拍手に包まれる会場。ルイージさん、オケのメンバーもしっかりと仕事をやり遂げた達成感で一杯の様子が伺えた。集中してこの大曲の素晴らしい演奏を聴き終えた私も満足感と感謝の気持ちで一杯だった。

今シーズンも数々の名演を期待しています!

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2016回 定期公演 Aプログラム
― ブルックナー生誕200年 ―

2024年9月15日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

曲目
ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(初稿/1887年)

指揮
ファビオ・ルイージ

 

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2016 Subscription (Program A)
- The 200th Anniversary of Anton Bruckner’s Birth -

Sunday, September 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Bruckner / Symphony No. 8 C Minor (First Version/1887)


Conductor: Fabio Luisi


(まだまだ真夏)

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春風亭昇太・桂宮治「二人会」(+桂小すみ) @調布グリーンホール

2024-09-13 07:30:41 | 落語

笑点〈大喜利〉の司会、レギュラーメンバーとして夫々活躍される春風亭昇太と桂宮地の「二人会」に足を運んだ。

ただ、今回の私のお目当ては、今年のゴールデンウイークに浅草演芸ホールで初実演に接した音曲担当の桂こすみ姐さん。その時は、初めて生で聴く姐さんの三味線と唄、そして越後獅子とともに、プッチーニ「蝶々夫人」での引用部分を歌ってくれたのが感激だった。

今回は後半、トリを務める昇太さんの前に登場。越後獅子も弾いてくれたが、「蝶々夫人」についてはほんの触りだけの歌の披露だったのは残念。

一方で、今回の目玉は七・七・七・五の音律で歌われる「隅田川さえ 竿さすのに・・・」の替え歌。隅田川をナイル川、ラプラタ河に置き換え、曲も思い切って編曲した「干乾しのピラニア」をご披露頂いた。「隅田川・・・」との違いや、現場を想像させる曲と歌が素晴らしい。

昇太さんの紹介によると(落語家のコメントではあるが)「東京学芸大学出身で、ウイーン音楽大学に国費留学もされているとのこと。もともとはリュート弾き」だそうである。歌も三味線も魅力的で素晴らしい上に、差し込まれる楽器や曲の小話も勉強になる。独演会とまでは行かなくても、どっかでもっと長い時間枠でやってもらえないかしら。今後もフォローしていきたい芸人さんである。

落語の方は、前半は前座さん(春風亭昇ちく)の「初天神」に続いて宮治さん。何度か実演聴いているが、いつもながら声の張りと勢いが素晴らしい。演目は「お見立て」。

トリは昇太さん。鉄板の「笑点」ネタの枕から入って、演目は「不動坊」。昇太さんの落語はいつも手軽で、素直に聴きやすい。

今回は最前列の席を確保していたので、ホール落語と言えども、演者さんの表情もしっかり確認できて嬉しかった。

一方で、会場が大きいと動作や声も自然大きくなるので、必ずしも近ければよいというものでもないのかな、という感想もよぎる。いずれにせよ、2時間10分、たっぷり笑って帰路に就いた。今週前半、仕事でストレス続いたので、良い発散になった。「笑い」はとっても大事。

演目
初天神   昇ちく
お見立て  宮治
 お仲入り
      小すみ
不動坊   昇太

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映画 「ノマドランド」(監督クロエ・ジャオ、2020年)

2024-09-11 07:28:19 | 映画

「移動は人類の本能である」という話を聞いたことがある。アフリカで誕生したホモ・サピエンスは移動に移動を重ねて南アメリカ大陸まで到達したし、日本を含め古今東西の世界を見渡しても移動する人類はいつもどこかに存在している。

「ノマドランド」は現代米国でのノマド(意味は遊牧民)であり、老齢期に入る女性ファーンを描いた映画。今どきのITを駆使して、場所を問わず自由に働くノマド・ワーカーとは正反対で、自家用車のヴァンで移動し、必要最低限の仕事(クリスマス商戦でのアマゾン配送センターでの時季アルバイトや町の食堂のキッチン担当など)で移動生活の糧を得る生活だ。

移動を通じて、宇宙や自然への畏怖・共生、人との相互援助・共感に触れつつ、最後は自分次第という個の自立の精神を貫く。ドキュメンタリータッチなロードムービーの趣がある。

主演のフランシス・マクドーマンドが強い個を持った女性を好演。台詞よりも表情、仕草でファーンの生き様を表現する。ネバダ、アリゾナと言ったアメリカの広大な砂漠、荒野を舞台にスケール大きく美しい映像も印象的だ。このスケール感は映画館で観てこそと思われ、ロードショウの際に劇場に見に行かなかったことが今更のように悔やまれる。

ファーンは、もとはネバダのエンパイアという田舎町(実在の町らしい)で、夫を病気で失いながらも、夫との想い出とともにエンパイアに定住を選んだはずだった。「移動」を通じて、ファーンは価値観・自己を拡げて成長する。

「コスパ」、「安心・安全」、「健康」などの現代社会の価値観の中では説明できない生き方であるし、個人的にも真似をしたいとは思わない。それでも、ファーンの生き方に魅かれるのは、私の中にも人類の本能が隠れているということなのだろうか。

"See you down the road!" (また(どこかで)会おう!) 味わい深い映画である。 

(2024年8月30日 Amazon Primeにて視聴)

 

監督
クロエ・ジャオ
製作
フランシス・マクドーマンド ピーター・スピアーズ モリー・アッシャー ダン・ジャンビー クロエ・ジャオ
原作
ジェシカ・ブルーダー
脚本
クロエ・ジャオ
撮影
ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ
美術
ジョシュア・ジェームズ・リチャーズ
編集
クロエ・ジャオ
音楽
ルドビコ・エイナウディ

CAST
ファーン:フランシス・マクドーマンド
デイブ:デビッド・ストラザーン
リンダ:リンダ・メイ
スワンキー:スワンキー
ボブ:ボブ・ウェルズ

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はじめてBリーグのゲームを観る:アルバルク東京 VS 広島ドラゴンフライズ

2024-09-09 07:34:34 | 日記 (2012.8~)

アルバルクファンからお誘いを受け、初めてBリーグのゲームを観に行った。シーズン開幕は10月からなので、プレシーズンマッチだ。場所は味の素スタジアムの向かいにある武蔵野の森総合スポーツプラザ。この会場も初訪問。

バスケットボールのゲーム観戦は昨秋の米国東海岸を訪れた際に、たまたまニューヨークのマディソンスクウェアガーデンでカレッジバスケットボールのゲーム(これもプレシーズンマッチだった)を観て以来。

飛田給駅から続々とファンが詰めかける。FC東京戦のような人混みにまでは至らないが、アルバルクのユニフォームを着こんだファンたちが、列をなすように会場に続いていて、昨今のバスケットボール人気の高さを伺わせた。

チケットに4階自由席と記載があったので、きっと芥子粒のように見えるだけではと想定していたのだが、会場は想像よりずっとコンパクトで、4階席からでもはっきりと選手が見える。NHKホールの2階席ぐらい。

ゲーム前のお祭り的な雰囲気も、米国には及ばないものの、チアリーダーのダンスや選手紹介の演出など楽しい雰囲気満載だ。

対戦相手の広島は昨シーズンの優勝チームと聞いたので、ゲームのほうはあまり期待していなかったが、第1クオーターからアルバルクのワンサイドの展開で、3ポイントも含めゴールラッシュとなって、嬉しい誤算。広島は選手の調整が遅れているのか、アルバルクのディフェンスが冴えているのかの区別がつかなかったが、シュートの成功率が極めて低くなかなか点が取れない。

外国人選手も一定数交じるが、敏捷な選手の動きやアルバルクのシュートの正確性は、想像以上で楽しめた。一方で、コンタクトの激しさ、ゴール前の厳しさなどはもう少しパワフルであればもっとエキサイティングなのではと思わせた。まあ、プレシーズンゲームだから怪我は避けなくてはいけないので、そんなことも影響しているのかもしれない。

プレシーズンゲームということもあってか、タイムアウトも少なく、試合はサクサクと進み1時間40分ほどでゲームは98-50のアルバルクの完勝で終了した。

野球、サッカー、ラグビー、バスケットボールと日本のプロスポーツ界も競争激しく、ファンの取り合いと思われる。コート上のゲーム以上の厳しさが伺われた。

 

2024年9月7日

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ブルックナー誕生日に交響曲7番を聴く: 都響A定期、指揮 大野和士 @東京文化会館

2024-09-06 10:08:05 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

1ヶ月ぶりの音楽会でワクワク感一杯で上野へ向かう。この日は、なんとブルックナーの生誕200年記念日とのことである。そんな日にブルックナー交響曲7番をメインに据えたプラグラム。ブルックナーのお誕生会にお呼ばれされたような気分だ。しかも前半はポール・ルイスによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。B&Bの鉄板の横綱プログラムと言える。

ポール・ルイスは聴いたことあると思い込んでいたのだが、個人記録を辿ってみても見つからないので初めてのようだ。実に洗練された演奏だった。強奏するわけでもないし、加飾があるわけでもない。端正で、この楽曲そのものの素晴らしさを自然に伝えてくれる。ピアノの音は柔らかいというよりはやや硬質に聴こえたが、これはホールのせいだろうか。いずれにしても、音が体に素直に溶けて行く、そんな快感を味わった。

アンコールはシューベルトのピアノ・ソナタ 第21番から第3楽章。こちらは軽快で、優しい。清涼剤のようなピースであった。

休憩後のブルックナー交響曲第7番。私自身はブルックナー・ファンとは言わないが、7番はおそらく最も実演に接している。冒頭から、チェロの厚い響きに震えた。全般的に、過去に聴いた演奏の印象と比較すると、角の取れた柔らかめで、ロマンティックとまでは行かないが、構造美を打ち出したものとは異なる演奏に聴こえた。

矢部コンマスのもと、弦陣の前のめりで重厚なアンサンブルは聴き応え十分で、ホールで聴くブルックナーならでは。フルートら木管の調べも美しい。ちょっと残念だったのは金管。揃っての強奏の迫力は素晴らしいものだったが、弱音部分など、不安定というか緩いというか、がっかりさせられること何度か。

熱演であったことは間違いないし、演奏も一部を除きとっても良かったのだが、何故かブルックナーを聴いた時の没入感や体を貫かれるような衝撃までは、今回感じられなかった。大野さんが訴えようとしたことが、私には理解できていなかったのだろう。なので、終演後も手が痛くなるほどの拍手までは至らなかった。

そんな感想を持ちはしたものの、久しぶりの演奏会を堪能し、終演後の充実感を味わった。やっぱり、生音は最高だ。9月に入って、演奏会シーズンが再開。ルーティンにならず、新鮮な気持ちを維持して、一期一会を楽しみたい。

第1007回定期演奏会Aシリーズ
日時:2024年9月4日(水) 19:00開演(18:00開場)
場所:東京文化会館 

【ブルックナー生誕200年記念】
指揮/大野和士
ピアノ/ポール・ルイス

曲 目
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37           
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 WAB107(ノヴァーク版)      

【ソリスト・アンコール】
シューベルト :ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960より 第3楽章
 (ピアノ/ポール・ルイス)

Subscription Concert No.1007 A Series
This concert is over. Date: Wed. 4. September 2024 19:00 (18:00)
Venue: Tokyo Bunka Kaikan 

[Bruckner 200]
Kazushi ONO, Conductor
Paul LEWIS, Piano

Program
Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minor, op.37             
Bruckner: Symphony No.7 in E major, WAB107(Nowak edition)

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2024年夏 高知の旅(最終回)まとめ

2024-09-03 07:30:09 | 旅行 日本

いよいよ最終日。7:40発の飛行機のため、朝6時前にホテルをチェックアウト。まだ朝早すぎで、高知観光の看板でもある日曜市に足を運ぶことは叶わなかった。ただ、3泊4日(実質の現地稼働時間は2日+1/4日程度)の高知旅は、四万十川を始めまだまだ訪ねたいところはたくさん残っているものの、充実した時間で記憶に残る旅となった。


(空港行きバス停から空を見る。今日も暑そうだ)

自分なりの旅行の総括として、高知の良さ・印象を記録しておきたい。

一つは、圧倒的な観光資源の充実である。

高知城などの歴史的名所、仁淀川などの自然、そして何と言っても、鰹、鶏、日本酒と言った食。旅の様々な面白さが凝縮されているのが高知だと感じた。特に、食に関しては、素朴ながらも素材の良さを活かした料理が印象的で、どの飲食店も素晴らしかった。そして、それらが地酒と絶妙にマッチしている。

歴史的名所やその整備、見せ方も、派手な演出ではなく、堅実に歴史・文化を自分たちの遺産としてしっかり伝え、広めて行こうとする姿勢が感じられた。博物館も知的関心を十分に誘うもので、それなりの費用もかけて整理・展示しいる印象で、レベルも高い。

自然に関しては、十二分に堪能する時間もなければ活動もしてないが、少し触れただけでもその豊かさは十分に伝わった。


(高知県庁前から見る高知城)

二点目は、高知の町全体が古き良き地方都市の雰囲気を残しているように感じられるところだ。今、日本の地方都市は人口減やドーナツ化、東京化が進み、その地方ならではの特徴や良さが少しづつ失われている。これは私の全くの感触だが、高知はその点、個性一杯の地方都市だった。

中心地にはエリアごとに商店街が残っている。商店街はシャッター街でなく個人商店も多く並び、学生や町の人が訪れる。生活の足としての路面電車のある風景も、関東の人間には嬉しい。そして、タワーマンションも無い。生活と観光が一体となった活気を感じる。あくまでも私の肌感覚でしかないし、もちろん影の部分もあるのだろうが、例えば同じ県庁所在地でも、(個別名出して恐縮だが)東京の隣県である山梨の県庁所在地である甲府とはその活気度が大きく異なる。そうした点が滞在していて、実に快適で心地よかった。


(帯屋町商店街)


(アンパンマンの路面電車)


(CoCaColaの路面電車)

三つめとして、非常に限られた人としか話してないが、龍馬屋の大将やおねえさん、高知城のボランティアガイドの方、久礼大正市場で取り合わせた室戸からのご夫婦、みなさん自然なホスピタリティのある方々で、記憶に残る一期一会だった。数限られた事例で高知県の人を語るつもりはないが、その他の方々との事務的な会話を含めて、とっても気持ちよく過ごせたのは、偶然では無いような気がする。

高知とは全く関係ない自分の話で恐縮だが、よくよく考えてみると、私自身、全く未踏の地に滞在したのは随分と久しぶりだった。新しい土地を訪ねるのがとっても刺激的で、気づきも多いことを再認識した。日本国内でも未踏の県、土地はたくさんある。もっと、いろいろ行きたいし、行かねばだわ。

最後に、南海トラフ地震の注意報が出た時期であったが、各地で地震/津波の注意喚起がされているのが印象的だった。「天災は忘れたころにやってくる」というフレーズは高知出身の寺田寅彦の言ということも今回初めて知ったが、今や、日本の何処にいても自然災害は常態と考えた方が良い。高知に限ったことではないが、自分事として、災害への備えの重要性を改めて感じさせられた。


(久礼大正市場の無料休憩所には高知県の観光ポスターとともに、小学生作成の地震関連の掲示がある)

いずれにせよ、高知は旅行先としてとってもお勧めです。


(高知出身のレスリングの桜井選手、清岡選手の金メダルの記事を掲示してある高知図書館)


(さよなら、高知)

だらだらと9つの記事にわたって書いてきましたが、読んで頂いた方、ありがとうございました🙇

(おわり)

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最後の夜も美味い! @まるた商店:2024年夏 高知の旅(8)

2024-09-02 07:32:33 | 旅行 日本

だらだらと書き続けた高知旅行記もあと2回の予定。

須崎から16時頃に高知に戻る。レンタカーを返却し、ホテルで一休み。夕刻になって、お土産などの買い物に商店街をぶらついた。

高知最後の夜は、特に店を予約しておらず、有名な観光名所のひろめ市場のフードコートでいろんな料理をつまむのも良いかと思い市場へ向かった。

【ひろめ市場】

釧路の和商市場的な市場を想像していたが、海産物など生ものを扱うお店は少なく、特産品のお店や飲食店が多い。土曜日の夕食時ということもあってか、想像以上にすごい人出で、熱気がムンムン。これは台北の夜市の雰囲気だ。座席を確保するのも一苦労。さらにお店の前にも注文列ができている。この熱気と喧騒に飛び込んで、食事を楽しむにはエネルギー不足だった。


(鰹の藁焼き実演中)

【まるた商店】

ということで ひろめ市場からは早々に 退散し、商店街や 裏通りを徘徊し、食事処を探索。いくつかの店を覗いて最終的に落ち着いたのは、まるた商店というホテル近くのモダンな居酒屋さん。

魅かれたのは、この日出かけた久礼の沖合で取れた鯵を推しにしているところ。高知のアジとはいかなる感じか、試してみたかった。1階はカウンター席のみで既に一杯。カウンター越しに 見えた 厨房の人は 若い板前さんだったが、テキパキしてるし、厨房も綺麗で皆さんの動きに無駄がない。

2階のテーブル席なので、お店の人と会話する機会には恵まれなかったが、落ち着いて食事ができる環境は嬉しい。BGMは今風の洋楽だったので、お店のターゲットゾーンは若者かな。当日のお魚のお勧めメニューを手に取ると、全品頼みたいぐらい。期待が高まる。

頼んだ品々は 全て美味しく、お勧め通りアジ料理が特に最高だった。


(お通しの鰹の刺身)


(揚げ出しナス)


(アジの炙り・・・絶品でした!)


(鬼〆メジカ・・・お昼に食べた刺身の〆バージョン。身が締まって、刺身とはまた違う食感)


(鰹のたたき)


(〆に鯵の茶漬け)

このお店、食べログのポイントは3.1ぐらいで、決して目立ったものではないのが不思議。逆に、そういうお店に巡り合えるととっても嬉しい。

最終日の夜も高知は美味かった!

 

※週末夜のひろめ市場は、元気一杯で行くべし。
※まるた商店、お勧めです。

(3日目 夕~夜)

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久礼大正町市場でメジカの新子を食す!: 2024年夏 高知の旅(7)

2024-09-01 07:30:04 | 旅行 日本

10時過ぎににこ淵を出発し、この旅のハイライトの1つである久礼大正町市場へ向かう。今回の高知旅行にあたって情報を頂いた人から、「8月に高知に行くなら、ここのメジカの新子は外すな」とお勧めされたスポットである。

にこ淵からは70キロほど。上って来た仁淀川を下って、土佐ICから高速に入る。

【久礼大正町市場】

1時間半弱のドライブで久礼には11時半頃到着。久礼は昔からカツオの一本釣の漁師の町として知られ、青柳裕介の漫画『土佐の一本釣り』の舞台となった町である(私は「ビックコミック」で連載されていたのは覚えているが、当時は読んでなかった)。2011年に「久礼の港と漁師町の景観」として国の重要文化的景観に選定されたとのことだ。町の中をきょろきょろとしながら車を動かすが、人通りは殆どなく閑散とした町というか村という印象だ。

車を停めて、目的の大正町市場周辺に近づくと、急に人の気配が増す。ガイドブックには「11時に行けば、どこも開店済で丁度良い」と書いてあったが、11時半には市場はもう人でいっぱいで、熱気むんむんである。40mほどのアーケードのもとに魚関連のお店が並ぶ。

お目当てのメジカの新子とは「マルソウダ(カツオの一種)の生後1年未満の幼魚。獲れるのは8~9月の2か月間だけ!「朝釣った新子は昼までに食べろ」というくらい鮮度が落ちやすいので、地元で食べるしかない幻の魚です。」(「久礼大正町市場」パンフレット)。

新子を扱っている店(小屋)は限られているが、どこも行列をなしている。小屋の中で漁師のおかみさん風の女性たちが、今朝獲れたメジカを次々とさばいていく。「出遅れたか~」と思いつつ、一つ小屋の一つ雄誠丸に並んだら、数分後に丁度前の方で、「今日はここのお客さんまでで品切れです。」と、ダメだしを受けてしまう。市場にはメジカの新子を扱う各店舗の在庫状況がモニターで掲示されているという驚きの人気である。かなりのお店に既に×マーク(終了)が・・・。

メジカ目的でここまで来たのに危うく食べれないかと思ったら、まだ1店「とみぃの台所」という食堂で提供しているのをモニターで確認し、直行した。何とか注文するが、「50分ほどお待ちいただきます」とのことで番号札を渡される。 店内は既に満員なので、通りを挟んで向かいにある市場の無料休憩所で待つ。

その間、市場で買ったメジカの煮物をつつきながら待った。この煮メジカも十二分に美味しい。丁度、お隣に座っていた 初老のご夫婦とおしゃべり。コロナでなかなか外に出れなかったが、「4年ぶりに室戸から車を飛ばしてメジカを食べに来た」という。同じ高知の西(久礼)と東(室戸)なんだけど、「メジカの新子はこの地域でしか食べれないから」ということだ。奥様の方は、日本酒と一緒に実に美味しそうに食べられていて、期待感がますます高まる。

40分ほどで、メジカの新子定食登場。下したてのメジカに仏手柑(ゆずのような柑橘類)の皮を薄く擦ったものがまぶしてある。口に入れてみると、身が柔らかく粘り、しっかりした食べ応え。口の中一杯に身の甘みが広がる。美味い~。これは未体験の味だわ。日本酒と一緒に食べれれば、もう言うことなしなのだが、流石にドライバーなのでノンアルビールで我慢した。

 

食後は町の中を散策。まさに漁師の町という空気だ。ただ、照り付ける太陽が強すぎて倒れそう。ほどほどに切り上げ、2時前に町を後にした。


【須崎の鍋ラーメン】

続いて向かったのは隣町の須崎へ。ここでの目的は鍋焼きラーメンなるものの発祥の地ということだ。いまいちなぜラーメンを鍋焼きにしたのかは分からないが、前述の高知経験者も「是非、一度食べてみて」ということだった。発祥の店と言われ、最も有名らしい橋本屋さんは14時が閉店時間で間に合わず、「まゆみの店」というラーメン屋さんに伺った。

店内は普通と言えば普通のラーメン店だが、壁には多くの訪れたタレントの色紙や記念写真が貼ってある。お~、この人も来てるのかという感じだ。鍋焼きラーメン(しょうゆ)を注文し、待つことを10分ほど。土鍋の中でグツグツと煮たラーメンが登場。外は強い日差しだが、店内は冷房が十二分に効いているので鍋焼きうどん仕様なのだ。

スープはちょっと甘めの醤油味。生卵に竹輪の輪切りとネギが載っている。鍋焼きなので麺は太麺かと想像してたが、普通の太さの麵だった。確かに珍しいし、味もいけてる。

15時前に2回の昼食は終了。近くのJR四国の土佐新荘駅(無人駅)を見学して、高知市街への帰路についた。


(土佐新荘駅から)



高知は美味い~。

※季節や曜日にもよると思いますが、久礼大正町市場は11時には到着した方が良さそうです。

(3日目 昼時~午後)

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