コロナ禍でも充実の演奏会が続くN響です。5月演奏会3本目は広上淳一さん指揮のいろいろプログラム。今回は広上さんの顔芸鑑賞狙いでP席に陣取りました。
冒頭のチャイコフスキーの弦楽四重奏曲 第1番 作品11ー第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」(弦楽合奏版)。一昔前の喫茶店でBGMとして流れていそうな、万人が知っている曲です。それが、サントリーホールでN響の生演奏を聴くと、その繊細な弦の音色、美しいアンサンブルには、平板なBGMを遥かに超えた、奥深さ、豊かさを感じます(当たり前か・・・)。音楽ってこんなに気持ちを落ち着かせ、穏やかにしてくるのですね。
2曲目はサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番。N響のゲストコンマスを勤めている白井圭さんのソロです。これは白井さんのヴァイオリンが絶品。すーっと自然に体の中に染みこんでいくような音色でした。気負いや気取りがなく、素直でピュアな響きにうっとり。N響とのコラボもパーフェクト。第2楽章の美しさには涙がこぼれんばかりでした。
後半は尾高惇忠の交響曲 ~時の彼方へ~。現代曲としては聞きやすい音楽です。初めての私には今一つ聴き所はつかみ切れないところがありましたが、現代オペラとかにも使えそうなドラマティックな音楽でした。広上さんが師と仰ぐ方ということで、指揮者の気合・情熱・敬意がひしひしと伝わってきます。オーケストラもチェロのソロ、木管の優しい音色、そして6名のパーカッション陣の活躍を初めとして、切れの良い音楽を聞かせてくれました。
P席は楽器の音がダイレクトに感じ取れることに加えて、指揮者の全身を使った指揮と合わせて楽しめるので、正面席よりも参加感が高まりますね。特に、広上さんが振る時は是非、P席で!
NHK交響楽団 5⽉公演 サントリーホール
2021年5月27日(木)7:00pm
サントリーホール
指揮:広上淳一
ヴァイオリン:白井 圭(N響ゲスト・コンサートマスター)
チャイコフスキー(マカリスター編)/弦楽四重奏曲 第1番 作品11ー第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」(弦楽合奏版)
サン・サーンス/ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61
(アンコール:ドント/24の練習曲と奇想曲 作品35 ― 第23曲(ヴァイオリン:白井 圭))
尾高惇忠/交響曲 ~時の彼方へ~
NHK Symphony Orchestra May Concerts at Suntory Hall
Thursday, May 27, 2021 7:00p.m.
Suntory Hall
Junichi Hirokami, conductor
Kei Shirai, violin (Guest Concertmaster of NHKSO)
Tchaikovsky (McAlister) / String Quartet No. 1 – 2nd Mov. "Andante cantabile"
Saint-Saëns / Violin Concerto No. 3 B Minor Op. 61
Atsutada Otaka / Symphony "Au-delà du Temps"