その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

白井さんの絶品ヴァイオリン N響6月演奏会 指揮:広上淳 @サントリーホール

2021-05-29 09:10:26 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


コロナ禍でも充実の演奏会が続くN響です。5月演奏会3本目は広上淳一さん指揮のいろいろプログラム。今回は広上さんの顔芸鑑賞狙いでP席に陣取りました。

冒頭のチャイコフスキーの弦楽四重奏曲 第1番 作品11ー第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」(弦楽合奏版)。一昔前の喫茶店でBGMとして流れていそうな、万人が知っている曲です。それが、サントリーホールでN響の生演奏を聴くと、その繊細な弦の音色、美しいアンサンブルには、平板なBGMを遥かに超えた、奥深さ、豊かさを感じます(当たり前か・・・)。音楽ってこんなに気持ちを落ち着かせ、穏やかにしてくるのですね。

2曲目はサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番。N響のゲストコンマスを勤めている白井圭さんのソロです。これは白井さんのヴァイオリンが絶品。すーっと自然に体の中に染みこんでいくような音色でした。気負いや気取りがなく、素直でピュアな響きにうっとり。N響とのコラボもパーフェクト。第2楽章の美しさには涙がこぼれんばかりでした。

後半は尾高惇忠の交響曲 ~時の彼方へ~。現代曲としては聞きやすい音楽です。初めての私には今一つ聴き所はつかみ切れないところがありましたが、現代オペラとかにも使えそうなドラマティックな音楽でした。広上さんが師と仰ぐ方ということで、指揮者の気合・情熱・敬意がひしひしと伝わってきます。オーケストラもチェロのソロ、木管の優しい音色、そして6名のパーカッション陣の活躍を初めとして、切れの良い音楽を聞かせてくれました。

P席は楽器の音がダイレクトに感じ取れることに加えて、指揮者の全身を使った指揮と合わせて楽しめるので、正面席よりも参加感が高まりますね。特に、広上さんが振る時は是非、P席で!


NHK交響楽団 5⽉公演 サントリーホール
2021年5月27日(木)7:00pm
サントリーホール

指揮:広上淳一
ヴァイオリン:白井 圭(N響ゲスト・コンサートマスター)

チャイコフスキー(マカリスター編)/弦楽四重奏曲 第1番 作品11ー第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」(弦楽合奏版)
サン・サーンス/ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61
(アンコール:ドント/24の練習曲と奇想曲 作品35 ― 第23曲(ヴァイオリン:白井 圭))
尾高惇忠/交響曲 ~時の彼方へ~

NHK Symphony Orchestra May Concerts at Suntory Hall
Thursday, May 27, 2021 7:00p.m.

Suntory Hall 

Junichi Hirokami, conductor
Kei Shirai, violin (Guest Concertmaster of NHKSO)

Tchaikovsky (McAlister) / String Quartet No. 1 – 2nd Mov. "Andante cantabile"
Saint-Saëns / Violin Concerto No. 3 B Minor Op. 61
Atsutada Otaka / Symphony "Au-delà du Temps"

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本と映画のセット経験がおすすめ:映画〈蜜蜂と遠雷〉(監督:石川慶)

2021-05-26 07:30:00 | 映画


直木賞を受賞した恩田睦の同名小説の映画化。国際ピアノコンクールを舞台にコンテスタント達の音楽への情熱、人間的成長が描かれます。原作が素晴らしかったので、どう映像化されるのか期待半分、不安半分でしたが、原作の良さを損なわない佳作に仕上がっていました。
ストーリーは、本選の指揮者小野寺の人物設定やリハーサル場面など細かいところで原作と異なるところがありますが、大筋は原作に準じています。良いのは、コンテスタントのキャスティング。原作のイメージとぴったりで、原作を読んだ人にも、違和感なく入っていくことが出来ます。松岡茉優は相変わらず可愛いし、自然体の演技が良い。松坂桃李、森崎ウィン、鈴鹿央士の男優陣も登場人物のキャラを的確に演じていて好感度高いです。
ただ、難しいところですが、1頁2段組みで500頁ある単行本と2時間の映画では必然的に情報量が圧倒的に違ってきます。原作ではコンテスタントそれぞれの視点で、音楽やコンテストに向き合う心情が描かれますが、俳優の演技、ストーリー展開、演出だけで描き切るのは限界があるのはしょうがないですね。コンテスタントの深堀という点においては、物足りなさは残ります。
一方で、原作では言葉で描写される音楽が、映画の中でリアルに聴くことができるのは嬉しいです。河村尚子、福間洸太朗、金子三勇士、藤田真央という当代きっての日本人ピアニストが起用されているので聴きごたえもたっぷり。これは映画ならではですね。
観てから読むか、読んでから見るか、どちらも楽しめると思いますが、是非、両方を体験されることをお勧めします。


スタッフ・キャスト
監督:石川慶
原作:恩田陸
脚本:石川慶
製作:市川南
ピアノ演奏
河村尚子 福間洸太朗 金子三勇士 藤田真央
オーケストラ演奏
東京フィルハーモニー交響楽団

松岡茉優:栄伝亜夜
松坂桃李:高島明石
森崎ウィン:マサル・カルロス・レヴィ・アナトール
鈴鹿央士:風間塵
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日本人歌手が大活躍:新国立劇場オペラ/ヴェルディ〈ドン・カルロ〉

2021-05-22 07:31:13 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

〈ドン・カルロ〉は、ヴェルディのオペラの中でも特に好きな作品の一つだ。美しく耳に馴染みやすい音楽に加え、歴史劇であり、恋愛ドラマであり、友情劇であるストーリーが良い。なかなか公演されない作品でもあり、今回の公演をとっても楽しみにしていて、コロナでキャンセルとならないことを祈っていた。

初日の公演は、いろんな制限下であることもあり、ベストとは言えないものだったが、十分にこのオペラの魅力が現れていたし、これから公演を重ねることでさらに良くなることも予感させた。

歌手陣では、日本人歌手の活躍が目立った。特に、エリザベッタ役の小林厚子の清らかなソプラノとロドリーゴの高田智宏の声量たっぷりのバリトンは舞台を盛り上げた。ともに、共演したエボリ公女役のアンナ・マリア・キウリ(声量あったが一本調子でやや単調)、題名役のジュゼッペ・ジパリ(声量不足かつ籠って聞こえる声で残念組入り)に引けを取らないどころか完全に食っていた。フィリッポ二世役の妻屋秀和はいつもながらの安定ぶりで、宗教裁判長役のマルコ・スポッティとのやりとりは、大きな見どころの一つで迫力満点だった。

前半戦大きく活躍したのは合唱団。新国合唱団の実力の見せ場が幾つもあり、聴く方も嬉しい。民の声がしっかりと伝わってくる。

パオロ・カリニャーニ指揮の東フィルは、前半、集中を欠いたところもあるように聴こえ、拍子抜けの感もあったが、尻上がりに調子を上げ、後半盛り上げてくれた。

演出は、複数枚の灰色の壁を使って場面を作り、十字架を中心軸として展開する。節約型の舞台だが、照明も上手く使っていて、とても効果的だった。

演劇要素と音楽要素が統合されて創られるオペラは、音楽だけのオーケストラに比べるとコロナによる行動制限の影響を大きく受けるのが、この1年で良く分かった。そんな中にあっても、公演を続け、鬱積した毎日の中での大きな楽しみを提供してくれることに大いに感謝させられる公演だった。


ジュゼッペ・ヴェルディ
ドン・カルロ
Don Carlo/Giuseppe Verdi
全4幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
2021年5月20日[木]
約3時間30分(第1・2幕100分 休憩30分 第3・4幕80分)

スタッフ
【指 揮】パオロ・カリニャーニ
【演出・美術】マルコ・アルトゥーロ・マレッリ
【衣 裳】ダグマー・ニーファイント=マレッリ
【照 明】八木麻紀

キャスト
【フィリッポ二世】妻屋秀和
【ドン・カルロ】ジュゼッペ・ジパリ
【ロドリーゴ】高田智宏
【エリザベッタ】小林厚子
【エボリ公女】アンナ・マリア・キウリ
【宗教裁判長】マルコ・スポッティ
【修道士】大塚博章
【テバルド】松浦 麗
【レルマ伯爵/王室の布告者】城 宏憲
【天よりの声】光岡暁恵
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団


2020/2021 SEASON
Music by Giuseppe VERDI
Opera in 4 Acts
Sung in Italian with English and Japanese surtitles
OPERA PALACE

20 May

CREATIVE TEAM
Conductor: Paolo CARIGNANI
Production and Set Design: Marco Arturo MARELLI
Costume Design: Dagmar NIEFIND-MARELLI
Lighting Design: YAGI Maki

CAST
Filippo II: TSUMAYA Hidekazu
Don Carlo: Giuseppe GIPALI
Rodrigo: TAKADA Tomohiro
Elisabetta di Valois: KOBAYASHI Atsuko
La Principessa d’Eboli: Anna Maria CHIURI
Il Grande Inquisitore: Marco SPOTTI
Un frate: OTSUKA Hiroaki
Tebaldo: MATSUURA Rei
Il Conte di Lerma/Un araldo reale: JO Hironori
Una voce dal cielo: MITSUOKA Akie

Chorus: New National Theatre Chorus
Orchestra: Tokyo Philharmonic Orchestra
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またもコロナ禍の名演リスト入り:N響5月演奏会/指揮 尾高忠明 @サントリーホール

2021-05-18 07:30:15 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


今月もコロナ禍ならではの不幸中の幸いプログラム。N響首席奏者のソロ発表会の趣もあるユニークな企画です。実力のソロ奏者、献身的にコラボ・サポートするオケ、そして優しくまとめ上げる尾高シェフ、と三役が揃った充実の演奏会でした。

前半から幸せ一杯の音楽体験。ハイドンのチェロ協奏曲とモーツァルトの協奏交響曲は、いずれもソリストたちの優しい音色と美しいアンサンブルが至福で、柔らかなソファに体を100%委ねて脱力させている気分に浸ります。自分がとても緊急事態宣言下の東京に居るとは思えず、欧州の絶対王朝の貴族にでもなったような感覚で、異次元の世界に時空を移動していました。

後半は、ドビュッシーの舞曲で早川さんのハープの音にうっとりした後に、初めて聴いたパヌフニクの交響曲 第3番でこれまでの夢心地気分が一気に覚醒させられました。ステージの四角に陣取ったトランペットの目が醒めるような壮麗なファンファーレに始まって、スケール大きく、緊張感があり、ダイナミックで、密度の濃い音楽が続きます。N響の一糸乱れぬ演奏がお見事で、体が自然と前のめりになって聴く自分でした。

コロナ下の演奏会になってから聴衆席の雰囲気が大きく変わったことは以前の記事でも触れましたが、この日はいつもより更に暖かい拍手が長く続きました。LA席に陣取りましたが、この席は拍手の響きの違いや変化を団員のように楽しめる気がします。団員も聴衆も一つの大きなファミリーのような親しさと心からの称賛に満ちた拍手だったような気がしたのは私だけでしょうか。

NHK交響楽団 5⽉公演 サントリーホール
2021年5月16日(日)開場 1:00pm 開演 2:00pm

ハイドン/チェロ協奏曲 第2番 ニ長調 作品101 Hob.VIIb-2
モーツァルト/4つの管楽器と管弦楽のための協奏交響曲 変ホ長調 K. 297b
ドビュッシー/神聖な舞曲と世俗的な舞曲
パヌフニク/交響曲 第3番「神聖な交響曲」
指揮:尾高忠明 指揮:尾高忠明

チェロ:辻󠄀本 玲(ハイドン/N響チェロ首席奏者)

オーボエ:吉村結実(モーツァルト/N響オーボエ首席奏者)
クラリネット:伊藤 圭(モーツァルト/N響クラリネット首席奏者)
ファゴット:水谷上総(モーツァルト/N響ファゴット首席奏者)
ホルン:福川伸陽(モーツァルト/N響ホルン首席奏者)

ハープ:早川りさこ(ドビュッシー/N響ハープ奏者)

トランペット(パヌフニク)
菊本和昭(N響トランペット首席奏者)
長谷川智之(N響トランペット首席奏者)
安藤友樹(N響トランペット奏者)
山本英司(N響トランペット奏者)

NHK Symphony Orchestra May Concerts at Suntory Hall
Sunday, May 16, 2021 2:00p.m. (doors open at 1:00p.m.)
Suntory Hall 

Haydn / Cello Concerto No. 2 D Major Op. 101 Hob. VIIb-2
Mozart / Sinfonia Concertante for 4 Winds and Orchestra E-flat Major K. 297b
Debussy / Danse sacrée et danse profane
Panufnik / Symphony No. 3 "Sinfonia sacra"
Tadaaki Otaka, conductor

Rei Tsujimoto, cello (Haydn)

Yumi Yoshimura, oboe (Mozart)
Kei Ito, clarinet (Mozart)
Kazusa Mizutani, bassoon (Mozart)
Nobuaki Fukukawa, horn (Mozart)

Risako Hayakawa, harp (Debussy)

Trumpet Section of NHKSO (Panufnik)
Kazuaki Kikumoto
Tomoyuki Hasegawa
Tomoki Ando
Eiji Yamamoto

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初夏を感じる武蔵野・野川公園

2021-05-16 07:30:00 | 日記 (2012.8~)
インドア系の投稿が続いているので、たまにはアウトドアの投稿を。
とは言っても、ろくに外出していないので、近隣のランニング風景です。

昨日は、武蔵野公園、野川公園までジョギング。ゴールデンウイーク時の新緑は緑の度を強め、初夏を感じさせるものでした。走り途中に立ち止まって撮っているので、ぼーっとした写真ばかりですが、ご愛敬ということで。


〈武蔵野公園〉


〈野川公園へ〉


〈野川公園は広々として気持ちがいい〉




〈聴き慣れない鳥の鳴き声が聞こえました。バードウォッチングのグループが追っかけてましたが、何という鳥だろう〉



天気予報のお姉さんが「梅雨入りも近い」という話です。この眩しくて、爽やかなこの時期が短過ぎるのが残念です。
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村田 沙耶香 『コンビニ人間』 (文藝春秋, 2016)

2021-05-14 11:51:11 | 


ゴールデンウイーク中に普段とは違ったジャンルの本を読んでみようと思い、地元図書館の企画コーナーにあった本を手に取った。第155回芥川賞受賞作である(2016年上期)。
コンビニでのバイト歴18年となるアスペルガー症候群(と思われる)36歳の独身女性を巡る物語。さらりとした文章で日常生活が描かれるので、すいすい読める。ただそれだけでなく、多くの人が持つ「普通」に対する意識があぶりだされる展開になっていて、考えさせられることが多い。アスペルガー症候群については、ここ10年で随分世の中の理解も広まったと思うが、主人公のモノローグを追うことで、読者はこうした障がいを持った人の社会や人への見え方を追体験できる。肩ひじ張らず、難しい問題を上手く捌いていると感じた。
芥川賞という「権威」に身構えながら読み始めたのだが、気軽に真面目に楽しめる一冊だった。
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古代の奈良に思いを馳せる: 内田康夫『箸墓幻想』(角川文庫、2014)

2021-05-10 07:30:07 | 


緊急事態宣言でステイホームのゴールデンウィークになり、普段あまり読まない推理小説を読んでみた。内田康夫という作家の名はもちろん知っていたが、読むのは初めて。奈良の箸墓古墳や周辺の古墳を舞台にし、邪馬台国論争にも関連する殺人事件という題材に引かれて手にとった。

一気に読ませる推理小説である。特に中盤以降、加速度的にページをめくる手が早まる。フィクションではあるが、奈良の古墳の歴史的位置付けが触れられたり、折口信夫の『死者の書』から中将姫伝説などが引用されながら展開する物語は、謎解きだけでなく、日本の古代に思いを馳せる楽しさがある。

5月の連休に新緑の奈良を訪れたのは丁度2年前だ。一日も早く、奈良古墳巡りの旅に出掛けられる日が来て欲しいものだ。
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現代日本版『1984』:桐野夏生『日没』(岩波書店、2020)

2021-05-06 07:30:41 | 


怖い小説である。とある女性作家が性犯罪や暴力を肯定的に描いているとの読者からの告発をもとに、政府機関である文化文芸倫理向上委員会(ブンリン)に召喚される。そして、そのまま「収容所」で「更生」のための「療養」が行われる。

「更生」に必死で抵抗する主人公の行方は本書を読んでいただきたいが、オーウエルの「1984」を思い起こさせるディストピア小説である。なので、心躍ったり、気持ちが暖かくなる物語ではない。それでも、怖いもの見たさに、話が進むにつれてページをめくる手は加速度的に速くなった。そして、読後の後味も気持ちの良いとはとても言えない。

スターリン時代のソ連はまさにこうだっただろうし(「更生」すらなくそのまま銃殺刑だったようだが)、今の時代においても反政府的な人物、言動に対して近しい統制が行われている国はある。日本でもここで描かれる世界を単なる虚構として片づけてはいけないだろう。ゴールデンウイークに読む本としては重かったが、「思想の自由」、「表現の自由」について考えるきっかけとなる一冊だ。
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巣ごもり疲れ時の東京郊外ウォ-キング @片倉城址公園

2021-05-02 08:49:09 | 日記 (2012.8~)

野草観察が趣味の母のリクエストで東京八王子市にある片倉城址公園なるところを訪れた。1時間余りで散策できる規模の丘陵地だが、緑豊かで巣ごもりの沈んだ気分をリフレッシュできたので、簡単にご紹介したい。

誰の居城跡か正確な史料はないようだが、室町時代に片倉の小山に築城された城跡で東京都指定史跡になっている。空堀跡や二の丸跡、本丸跡とかも残っている。周囲の長閑な風景と相まって、日本の里山と言った風である。

母のお目当てだったヤマブキソウは残念ながらシーズン終了の様子だったが、目線を落として色んな野花を探すのは楽しい。野花とは言えないかもしれないが、本丸跡の広場の奥に大きな藤の木に花がついている見事さには感嘆した。

汗ばむぐらいの日差しだったが、公園内はおおむね木に覆われているので涼しいし、深みを増しつつある新緑が美しい。今回は、城址公園のみの散策で終わりとしたが、周辺エリアに足を延ばすこともでき、もっといろんな楽しみ方もできそうだ。JR横浜線の片倉駅、京王線の京王片倉駅からも徒歩圏内なので、巣ごもりに疲れた時の息抜きとしてお勧めだ。

2021年4月29日

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