その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

梅雨明け前の山中湖に滞在

2016-07-31 08:00:00 | 旅行 日本
 海の日の連休に涼を求めて山中湖へ。四季それぞれに良さがあり毎年2・3回訪れます。首都圏から近くて、東京の暑さを避けれるところはそうはないので、夏季には特に無くてはならないところ。代わり映えしない写真ですが、何枚かスナップを残しておきます。

 毎度ですが、朝6時前に起きて、湖畔一周Run。

 朝靄がだんだんと切れていきます。


 水墨画の世界のよう。


 7時過ぎにはスカッと靄が晴れました。


 山中湖のシンボル的存在の白鳥。


 日中帯も自転車を借りて、更に一周。朝の風景とはまた違っているところが楽しいです。


 お昼は忍野村のうどん屋さんで素朴な田舎うどんを。


 民家の一間で頂く一杯。麺が太くて、腰もたっぷり。


 紫陽花がまだ綺麗に咲いていました。


 梅雨明け前でしたので、湿気が多めだったのは残念でしたが、ゆっくりリラックスした連休を過ごせました。

 2016年7月16-18日
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昭和の時代を思い起こさせてくれる映画 「の・ようなもの のようなもの」 (監督:杉山泰一 、2015)

2016-07-29 18:53:02 | 映画


 「の・ようなもの」(監督 森田芳光)の35年後を描いた作品。「の・ようなもの」で助監督を務め、その後も森田監督と一緒に仕事をした杉山泰一が監督。落語家に入門した若者の日々がコメディ要素も含みながら淡々と描かれる。

 森田監督が急逝された後に、森田監督に所縁のある人たちが集まって作った映画ということで、映画そのものから哀悼の気持ちがにじみ出ていると思うのは私だけだろうか?物語も、師匠の十三回忌一門会に向け、弟子たちが師匠を偲ぶというお膳立ても偶然ではないだろう。暖かい人の気持ちや人の縁に思いを感じる映画だ。

 ただ、むか~し「の・ようなもの」を観ている私には、この映画ならではの懐かしさ、面白さが理解できるのだけど、初めての人にはどうだろうか?起承転結はあるものの、スローで起伏の小さい展開は、少々観ていてつらいかもしれない。悪く言えば、「毒にも薬にもならない」と言えなくもない。

 主演の松山ケンイチが素朴で真面目な若者を好演。確か、4年前に観た「僕たち急行 A列車で行こう」(監督 森田芳光)も似たようなまったり映画だったが、彼にはこういう役柄がよく似合う。



キャスト
松山ケンイチ:出船亭志ん田
北川景子:夕美
伊藤克信:出船亭志ん魚
尾藤イサオ:出船亭志ん米
でんでん:出船亭志ん水
野村宏伸:出船亭志ん麦
鈴木亮平:蕎麦屋の出前
ピエール瀧:渡辺孝太郎
佐々木蔵之介:みやげ物屋の店主
塚地武雅:銭湯の男
宮川一朗太:弁当屋のオジちゃん
鈴木京香:都せんべい女主人
仲村トオル:居酒屋の主人
笹野高史:床屋の主人
内海桂子:秋枝婆さん
三田佳子:斉藤女会長

スタッフ
杉山泰一:監督
堀口正樹:脚本
大島ミチル:音楽
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終幕を感じる寂しさ/ 宮本輝 『長流の畔: 流転の海 第八部』 (新潮社、2016年)

2016-07-24 08:25:15 | 


 学生時代から読み続けてきた『流転の海』シリーズ。いよいよ次巻が最終巻という。時代は昭和38年、確実に戦後日本の一つの時代の変わり目を迎えている中、主人公松坂熊吾も66歳となり人生の晩秋を迎えている。

 これまでと同様に本巻においても、変わる日本・世界の背景にして、主人公のダイナミックな思考と行動力、主人公を巡る多様な市井の人々の人生、夫々が織り込まれて物語は進んでいく。大きな社会の潮流と人のディテールが絶妙に組み合わされ、不思議なリズム感で進行するこの物語を二十年以上追いかけてきた。その終わりが近づいている。

 どういう結末で終わるのか?楽しみというよりも、寂しさを感じてしまう一冊である。
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北川智子 『ハーバード白熱日本史教室』 (新潮新書、2012年)

2016-07-20 20:37:10 | 


 ハーバード大学で日本史を教える日本人女性研究者の奮闘記。タイトルからマイケル・サンデル先生の『これからの「正義」の話をしよう』のような講義の書物版を予想していたのだが、ちょっと違った。実況中継的な章もあるものの、むしろ筆者のアメリカの大学界におけるサバイバル記録と言った方が良い。

 もともと数学と生命科学を専攻していたのに、日本史専攻に変更し博士課程を修了。さらに職を得たハーバード大学で、創意工夫を凝らして「思い出に残る教授」賞まで獲得する。その筆者のバイタリティ、エネルギー、行動力には感心するばかりだ。競争社会のアメリカで生きていくためには、このぐらいでなければとてもやっていけないのだろう。

 一方で、本書を通じて痛切に感じるのは、そうした努力・がんばり・成果をしっかり評価し、認めていくハーバード大学であり、アメリカ社会である。もちろん、筆者も仄めかしているように、女性やマイノリティに対する差別はまだ残っているのだろう。それでも、本書を通じて伝わってくるのは、ユニークなこと、成果をあげることをしっかりポジティブに評価し、そしてまた次のチャンスを与えるアメリカの価値観と社会システムである。

 翻って、もし筆者は日本のアカデミアで同様なことができるだろうか?あくまでも仮定・想像の話であるが、「邪道だ」(確かに筆者の授業は学術日本史としてはかなり危うい感が満載)、「過去の研究成果を踏まえていない」、と言う批判が先に立ち、際立ったところを伸ばすとはならないのではと思う。もう昔の話になってしまうが、私が米国大学院在籍時代におつきあいした、学者を目指す日本人研究者たちの多くが、日本の大学の閉鎖性を嘆いていたこともあるし。

アマゾンの読者レビューにおいても、本書を筆者の自慢話にすぎないものとして批判する記事が複数あった。研究上の過ちを正すのは理解できるが、筆者の取り組みを否定するようなコメントは、チャレンジを讃えるよりも足を引っ張る日本社会の縮図のようで悲しい。

 一面的な米国賛美をするつもりは毛頭ないが、米国の強さ・エネルギーの根源を見る一方で、新たなイノベーションを生み出せず苦しむ日本の課題を感じさせる一冊となった。


【目次】
第1章 ハーバードの先生になるまで(大学の専攻は理系だった、ハーバード大学に行こう! ほか)
第2章 ハーバード大学の日本史講義1―LADY SAMURAI(サムライというノスタルジア、時代遅れの日本史 ほか)
第3章 先生の通知表(キューと呼ばれる通知表、学生のコメントは役に立つ ほか)
第4章 ハーバード大学の日本史講義2―KYOTO(アクティブ・ラーニング、地図を書こう! ほか)
第5章 3年目の春(歴史は時代にあわせて書き換えられる、印象派歴史学 ほか)
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初めて同志社大学を訪問

2016-07-17 11:41:21 | 旅行 日本
 ちょっとしたご縁があって、先日、同志社大学の学生さんにグローバルビジネスをテーマに90分の講義をする機会がありました。むか~し、採用活動で会社説明を学生さん相手に行ったことはありますが、いわゆる通常の講義というのは初めて、なかなか緊張しました。まあ、なんとか無事に終わりましたし、いくつか質問も頂いたので、それなりの手応えは感じましたが・・・。

 同志社大学を訪れたのはまったく初めて。京都のどこにあるのかも知りませんでした。が、なんと京都御所の真裏にあるんですね。びっくり。キャンパスもとっても綺麗で、重要文化財となっている建物もいくつかあり、感動モノでした。

 記念にスマフォで撮った写真をいくつかアップします。

 地下鉄の駅に隣接しており、地上に出るとすぐキャンパス。キャンパスというのは未来に向かったポジティブなイオンが降ってます。



 アメリカのキャンパスみたいに、芝の上で車座になってディスカッション。こんな時に戻りたい。


 キリスト教系の学校のためキャンパス内にチャペルがあります。これはクラーク記念館。重要文化財です。


 彰栄館。こちらは京都で最も古い煉瓦建物とか。これも重要文化財です。


 また機会があれば、是非、訪れたい学生さんとキャンパスでした。
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原田マヤ 『楽園のキャンヴァス』 (新潮文庫 2014)

2016-07-14 22:14:54 | 


 2人の美術研究家が、伝説の美術収集家からアンリ・ルソーの絵に酷似した作品の鑑定を競わされる。往年のルソーと鑑定の進行が交互に描写され、物語は、過去と現実が交錯しながらミステリータッチに展開する。

 絵画というテーマの新鮮さ、スリリングなストーリー展開、ルソーやピカソといった歴史的画家たちの登場など、面白さには事欠かない。ページをめくる手が止まらない。アマゾンのポイントが高いのも納得。

 筆者の絵に対する愛情もにじみ出ている。一枚の絵をこう見るのね、と勉強になるところも多かった。

 個人的に、アンリ・ルソーの絵は昔から好きなので、フィクションとは言え、人間ルソーの生活を追うのも楽しめた。あんな素朴な絵を描く人だから、きっと本書で描かれている純朴なルソーは、当たらずとも遠からじというところだろう。

 絵好きの人にはもちろんのこと、そうでない人にもお勧めしたい。
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映画 「The lady in the Van」 (Director: Nicholas Hytner 、2015)(邦題:ミス・シェパードをお手本に)

2016-07-11 20:00:00 | 映画


 飛行機の中で見た2015年製作のイギリス映画。ロンドンに住む脚本家の敷地内に、バンを住まいとするホームレスの老婦人が15年間居ついた。この二人の15年に及ぶ交流を描くコメディタッチのヒューマンドラマ。実話に基づいた話だそうである。

 イギリス映画らしく、派手さはないが丁寧に「人」を描いた作品。人生の巡り会わせの運・不運や人の「強さ」・「優しさ」・「厭らしさ」がリアリティ一杯に描かれる。単純な人間讃歌でない一方で、鑑賞後はほのぼのした気持ちになれる。

 主演女優のマギー・スミスは、映画「ハリー・ポッター」シリーズやTVドラマ{ダウントン・アビー」シリーズでも顔なじみ。紆余曲折の激しい半生を過ごした挙句に、ホームレスに行き着いた老婦人を自然体で演じている。

 日本での公開はまだないようだが、この類の映画が好きな人は、私も含めて結構いると思う。

(※2016年12月14日現在、上映中)


Director: Nicholas Hytner
Writer: Alan Bennett
Stars: Maggie Smith, Alex Jennings, Jim Broadbent

The Lady in the Van tells the true story of Alan Bennett's strained friendship with Miss Mary Shepherd, an eccentric homeless woman whom Bennett befriended in the 1970s before allowing her temporarily to park her Bedford van in the driveway of his Camden home. She stayed there for 15 years. As the story develops Bennett learns that Miss Shepherd is really Margaret Fairchild (died 1989), a former gifted pupil of the pianist Alfred Cortot. She had played Chopin in a promenade concert, tried to become a nun, was committed to an institution by her brother, escaped, had an accident when her van was hit by a motorcyclist for which she believed herself to blame, and thereafter lived in fear of arrest.
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オペラ「夕鶴」/團伊玖磨 @新国立劇場

2016-07-06 21:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 昨夏の「沈黙」以来、1年ぶりに国産オペラを鑑賞。日本人であれば、誰でも知っているだろう木下順二の「夕鶴」のオペラ。いわゆる「鶴の恩返し」である。作曲は團伊玖磨。国内外で公演回数は800回を超え最も成功した和製オペラとのこと。

 私は初見だったが、人気があるのが十分理解できる作品だった。むしろ、事前の期待以上に素晴らしく、胸動かされた。

 純日本的な民話をもとにして、幼児の頃から絵本、読み聞かせ、朗読などいろんな形で体に刷り込まれている物語が、オペラという西洋の芸術表現に全く違和感なくマッチするというのが驚きだった。耳に馴染みやすい音楽、シンプルながらも必要十分な要素が織り込まれた舞台装置、美しい照明、歌手陣の安定した歌唱など、オペラの諸要素一つ一つに全く無駄が無く、各ピースが綺麗にはまって出来上がった日本の芸術作品だった。

 とりわけ印象的だったのは、つうを演じた澤畑恵美さん。ベテラン(?)らしい安定した歌唱はもちろんのこと、演技が胸を打つ。「蝶々夫人」を外国人歌手が演じる時に感じる、妙な座りの悪さが、当たり前だが全くない。むしろ、日本人の所作は、動きそのものが美しく、それが芸術の一部を構成するということを再認識させられた。
 
 与兵衛役の小原啓楼さんも、俗っぽくはあるが純粋な農夫を、うまく表現していた。また、日本の原風景の一部になりきっていた世田谷ジュニア合唱団の歌と動きも素晴らしく、彼らがなくては、画竜点睛を欠く舞台になったことは間違いない。

 大友氏指揮による東フィルの演奏も、過度に情緒的になることなく極めて自然体の演奏で好感がもてた。

 これで、今シーズンの新国立劇場オペラはラスト。残念なのは、来シーズンには和製オペラの上演がないこと。国立劇場と名乗るからには、年に1プログラムぐらいは、何か国産企画があっても良いと思うのだが・・・。



2015/2016シーズン
オペラ「夕鶴」/團伊玖磨
Yuzuru/Dan Ikuma
全1幕〈日本語上演〉
オペラパレス

2016年7月3日(日)2:00

【作】木下順二
【指揮】大友直人
【演出】栗山民也
【美術】堀尾幸男
【衣裳】植田いつ子
【照明】勝柴次朗
【振付】吾妻徳穂
【再演演出】澤田康子
【舞台監督】大澤 裕

【つう】澤畑恵美
【与ひょう】小原啓楼
【運ず】谷 友博
【惣ど】峰 茂樹

【児童合唱】世田谷ジュニア合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
【芸術監督】飯守泰次郎

2015/2016 Season
Yuzuru (Twilight Crane)

Music by DAN Ikuma
Opera in 1 act
Sung in Japanese
Opera Palace


Staff
Libretto KINOSHITA Junji
Conductor OTOMO Naoto
Production KURIYAMA Tamiya
Scenery Design HORIO Yukio
Costume Design UEDA Itsuko
Lighting Design KATSUSHIBA Jiro
Choreographer AZUMA Tokuho
Revival Director SAWADA Yasuko

Children Chorus Setagaya Junior Chorus
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra

Artistic Director IIMORI Taijiro
Stage Manager OSAWA Hiroshi

Cast
[7/1,3]
Tsu SAWAHATA Emi
Yohyo OHARA Keiroh
Unzu TANI Tomohiro
Sodo MINE Shigeki
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ダニエル・ハーディング/ 新日本フィル/ マーラー交響曲第8番「千人の交響曲」

2016-07-04 22:31:17 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
 マーラーの交響曲第8番を生で聴くのは2回目。前回は、現田茂夫氏の指揮で神奈川フィルの演奏だったが、とっちらかった印象が残る残念な演奏会だった。今回ハーディングさんの新日フィル・ミュージック・パートナー(客演指揮者?)としての最後の演奏会ということで、大いにリベンジを期待し、墨田トリフォニーホールへ。

 墨田トリフォニーホールを訪れるのは初めて。濃い茶色で木目調の内装は、シックで落ち着いた雰囲気で好み。ホールも大きすぎず、良い感じ。

 そして約1時間30分、そのホール一杯に、俗世間とは別世界の神々しい「気」が満ち溢れた。

 第一部、第二部を通して素晴らしかったのは、合唱団。気持ちは一杯に入っているが、発せられる音声は邪念なく澄み通っている。どんな楽器もかなわない。児童合唱の清らかな声にも胸が揺さぶられる。体がどんどん浄化されていくようだ。

 実力派を揃えた独唱陣もいかんなく力を発揮。ロンドンで「オテロ」を聴いて以来、サイモン・オニールは大ファン。今回も半分は彼目当て。当時はとっちゃん坊やみたいな雰囲気を残していたが、あれから7年過ぎた今、顎髭も生やし堂々たる貫録だった。大声量で逆に浮いてしまうのではないかと心配していたのだけど、さすが、プロ。周りとのバランスを上手く取って、抑えながらも、伸びやかで表現豊かなテノールを聴かせてくれた。日本人歌手も素晴らしく、アルトの加納悦子、急遽代役登壇の中島郁子のメゾ・ソプラノも存在感十分だった。

 ステージ一杯に座っていたオーケストラも相当気合が入っているのが、3階席からも良くわかった。演奏では気なるところが無かったわけではないが、この日のような気合に充ちた舞台では、聴き手には大した問題ではない。最後まで集中力の途切れない、緊張感ある演奏だった。

 エンディングが近づくにつれて、フライング・ブラボーが何より怖かった。それだけに、演奏が終わり、ハーディングさんの腕がゆっくりと降ろされて、ポツポツと拍手が始まるまでの、余韻は何物にも代えがたい時間だった。

 良いものを聴かせてもらった。ハーディングさん、ありがとう!そんな感謝の気持ち一杯で満たされながら、ホールを後にした。



日時・会場
2016.7.1(金) 19:15 開演/すみだトリフォニーホール

プログラム
マーラー作曲 交響曲第8番変ホ長調 『千人の交響曲』

出演者


指揮:ダニエル・ハーディング
罪深き女:エミリー・マギー
懺悔する女:ユリアーネ・バンゼ
栄光の聖母:市原 愛
サマリアの女:加納 悦子
エジプトのマリア:中島 郁子
マリア崇敬の博士:サイモン・オニール
法悦の教父:ミヒャエル・ナジ
瞑想する教父:シェンヤン

合唱:栗友会合唱団
合唱指揮:栗山 文昭
児童合唱:東京少年少女合唱隊
児童合唱指揮:長谷川 久恵
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青年団第75回公演 『ニッポン・サポート・センター』 (作・演出:平田オリザ )@吉祥寺シアター

2016-07-03 11:20:16 | ミュージカル、演劇



久しぶりにお芝居を見に行く。平田オリザさんの8年ぶりの新作。

 DV、失業、コミュニケーション障害など社会の様々な問題が、地域のNPOセンターに持ち込まれ、悲喜こもごもの物語が展開する。まさに現代社会の一つの縮図であり、結節点が表現されている。

 芝居自体は淡々と進行するが、一つ一つのエピソードがリアリティで一杯だ。個人的には、サポートセンターのようなところとはこれまで縁が無いが、日常では、マスコミで接する情報には含まれない、こうした人と人のドラマが繰り広げられているのだろうとは容易に想像がつく。

 口語、被せたセリフ、舞台に背を向けて話す俳優さんなど、平田演劇らしさが所々に現れている。特に、キーとなるのは当事者であるセンターの職員や相談者でなく、第三者的な視点で様々なハプニングを見つめる地域のサポートスタッフの面々。物語をより立体的に見せるのに効果的だった。

 青年団の皆さんも好演。

 観ながら、この物語どうやって終わらせるのだろうと気になっていたのだが、ラストは「ヤマト寿歌」の合唱で締めくくられた。この歌詞、平和ボケした日本を揶揄していると思われる歌詞だが、このドラマのラストとしては、私にはあまり腹落ち感はなかった。

 現代社会の矛盾を少しでも解決しようと真面目で誠実に生きる市井の人々を描きつつ、最後は、日本の揶揄で終わってしまうのか・・・、というやりきれなさ。決して後味は良くない。

 これが、平田作品でなかればどう評価されるのだろうか?そこまで計算した平田さんの問題提起というか、諦めなのかもしれない。


《初めて訪れた吉祥寺シアター》


《開演前》

青年団第75回公演

『ニッポン・サポート・センター』(新作)
作・演出:平田オリザ
2016年6月23日(木)- 7月11日(月) 22ステージ

会場:吉祥寺シアター


出演

山内健司 松田弘子 志賀廣太郎 永井秀樹 たむらみずほ 辻 美奈子 小林 智 兵藤公美 島田曜蔵 能島瑞穂 大塚 洋 大竹 直 村井まどか 河村竜也 堀 夏子 海津 忠 木引優子 井上みなみ 富田真喜 藤松祥子

スタッフ

舞台美術:杉山 至
照明:三嶋聖子
衣裳:正金 彩
舞台監督:中西隆雄
宣伝美術:工藤規雄+渡辺佳奈子 太田裕子
宣伝写真:佐藤孝仁
宣伝美術スタイリスト:山口友里
制作:石川景子 金澤 昭 有上麻衣
撮影協力:稲荷湯
協力:(株)アレス (有)あるく

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楽しい調布音楽祭の無料公演

2016-07-02 00:00:06 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 調布音楽祭のイベントの大きな柱の一つに無料公演がある。市の文化施設内のオープンステージでの市民音楽家の演奏や、地元桐朋学園の音大生による演奏が楽しめるミュージックカフェ(飲み物・食べ物は持ち込みもOK)など、気軽にいろんな音楽に触れることが出来る。

 一グループ30分弱で廻していて、オープンステージとミュージックカフェを梯子して1日中楽しめる。有料公演も質が高いが、私はこの無料公演のアットホームな雰囲気が好きで、毎年楽しみにしている。

 今年も、土・日の2日間、多くのプログラムの中からつまみ食いして楽しんだ。ミュージックカフェは「国」をテーマにおいてプログラムを組んでいる。土曜日の「日本」では、萩原朔太郎の詩に柏木恒希氏が曲をつけた歌曲集「艶めける霊魂」をバリトンの今井学氏が歌った。歌詞がエロチックで驚いたが、曲と詩が良くマッチしており、歌も緊張感あふれるものだった。「アメリカ」は土曜日がガーシュウィンらの曲のピアノ連弾、日曜日はジョブリンの「エンターテイナー」やミーチャムの「アメリカン・パトロール」のパーカッションアンサンブルなどを楽しんだ。

 プロ音楽家ではないにしても、プロを目指している学生さんやオーディションで選ばれた一定レベル以上の市民音楽家の演奏なので、満足度も高い。気安く、上質の音楽に触れられる調布音楽祭は、なかなか例を見ないユニークなものだと思う。来年も楽しみだ。

 

《駅前でウエルカム・コンサート》


《オープンステージの様子》






《ミュージックカフェ》




《視聴したプログラム》
ミュージックカフェ

6月25日
12:30
日本(作曲)
森 円花編曲 ~ヴィオラとピアノのための~
成田為三:浜辺の歌
岡野貞一:ふるさと
柏木恒希作曲/萩原朔太郎作詩:歌曲集「艶めける霊魂」
森 円花(作曲) 田原綾子(ヴィオラ) 原嶋 唯(ピアノ)
柏木恒希(作曲)今井学(バリトン)根本英亮(ピアノ)

13:30 学生主催企画 アメリカ(ピアノ連弾) America!!!!!
ガーシュウィン:パリのアメリカ人[連弾版] ほか
渡邉理紗子、平野友理(ピアノ)

6月26日
13:30 アメリカ(打楽器)
ジョプリン:エンターテイナー ほか
伊藤綾香、中野 花、牧田莉香(パーカッション、マリンバ)

14:30 学生主催企画[アラカルト]
Our daydream ~木管四重奏で過ごす素敵な1日~
ボザ:《夜の音楽のための3つの小品》より ほか
江黒奏美(フルート) 川村美樹(オーボエ)
青木 萌(クラリネット)、渡邊愛梨(ファゴット)


オープンステージ

6月25日
12:00 TRIO MAJENDA 森保由美子(クラリネット)
五老海幸(フルート、篠笛)
田中美香(ピアノ)
ドビュッシー:シリンクス
コバーチェ:ファリャへのオマージュ
ムチンスキー:フルートとクラリネットのための6つのDUOより抜粋
ドビュッシー(編曲:ミッチェル・ウエブスター):牧神の午後への前奏曲 ほか

13:00 Ensemble Samedi 三好理英子(フルート)
小滝翔平(ピアノ)
バッハ:管弦楽組曲 第2番BWV1067より ポロネーズ
ロッシーニ:La Danza-踊り-
ショパン:プレリュード Op.28-1、3、5、16
トマ=タファネル:ミニョンの主題によるグランドファンタジー

14:00 響香&聡美ヴァイオリンデュオ 鈴木聡美(ヴァイオリン)
鈴木響香(ヴァイオリン)
落合直樹(ピアノ)
エルガー:愛の挨拶
ルクレール:2つのヴァイオリンのためのソナタより
シューマン トロイメライ
サラサーテ ナヴァラ
ジョブリン:エンターティナー

15:00 la nature 中村音舞(フルート)
玉野優希(フルート)
栁田桜(ピアノ)
G.Scocker:The further adventures of two flutes (Ⅰ)Jungle Charleston (Ⅲ)Whoosh!
A.Piazzolla:Oblivion for two flutes and piano
F.Doppler:Andante et Rondo Op.25
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