10時過ぎににこ淵を出発し、この旅のハイライトの1つである久礼大正町市場へ向かう。今回の高知旅行にあたって情報を頂いた人から、「8月に高知に行くなら、ここのメジカの新子は外すな」とお勧めされたスポットである。
にこ淵からは70キロほど。上って来た仁淀川を下って、土佐ICから高速に入る。
【久礼大正町市場】
1時間半弱のドライブで久礼には11時半頃到着。久礼は昔からカツオの一本釣の漁師の町として知られ、青柳裕介の漫画『土佐の一本釣り』の舞台となった町である(私は「ビックコミック」で連載されていたのは覚えているが、当時は読んでなかった)。2011年に「久礼の港と漁師町の景観」として国の重要文化的景観に選定されたとのことだ。町の中をきょろきょろとしながら車を動かすが、人通りは殆どなく閑散とした町というか村という印象だ。
車を停めて、目的の大正町市場周辺に近づくと、急に人の気配が増す。ガイドブックには「11時に行けば、どこも開店済で丁度良い」と書いてあったが、11時半には市場はもう人でいっぱいで、熱気むんむんである。40mほどのアーケードのもとに魚関連のお店が並ぶ。
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お目当てのメジカの新子とは「マルソウダ(カツオの一種)の生後1年未満の幼魚。獲れるのは8~9月の2か月間だけ!「朝釣った新子は昼までに食べろ」というくらい鮮度が落ちやすいので、地元で食べるしかない幻の魚です。」(「久礼大正町市場」パンフレット)。
新子を扱っている店(小屋)は限られているが、どこも行列をなしている。小屋の中で漁師のおかみさん風の女性たちが、今朝獲れたメジカを次々とさばいていく。「出遅れたか~」と思いつつ、一つ小屋の一つ雄誠丸に並んだら、数分後に丁度前の方で、「今日はここのお客さんまでで品切れです。」と、ダメだしを受けてしまう。市場にはメジカの新子を扱う各店舗の在庫状況がモニターで掲示されているという驚きの人気である。かなりのお店に既に×マーク(終了)が・・・。
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メジカ目的でここまで来たのに危うく食べれないかと思ったら、まだ1店「とみぃの台所」という食堂で提供しているのをモニターで確認し、直行した。何とか注文するが、「50分ほどお待ちいただきます」とのことで番号札を渡される。 店内は既に満員なので、通りを挟んで向かいにある市場の無料休憩所で待つ。
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その間、市場で買ったメジカの煮物をつつきながら待った。この煮メジカも十二分に美味しい。丁度、お隣に座っていた 初老のご夫婦とおしゃべり。コロナでなかなか外に出れなかったが、「4年ぶりに室戸から車を飛ばしてメジカを食べに来た」という。同じ高知の西(久礼)と東(室戸)なんだけど、「メジカの新子はこの地域でしか食べれないから」ということだ。奥様の方は、日本酒と一緒に実に美味しそうに食べられていて、期待感がますます高まる。
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40分ほどで、メジカの新子定食登場。下したてのメジカに仏手柑(ゆずのような柑橘類)の皮を薄く擦ったものがまぶしてある。口に入れてみると、身が柔らかく粘り、しっかりした食べ応え。口の中一杯に身の甘みが広がる。美味い~。これは未体験の味だわ。日本酒と一緒に食べれれば、もう言うことなしなのだが、流石にドライバーなのでノンアルビールで我慢した。
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食後は町の中を散策。まさに漁師の町という空気だ。ただ、照り付ける太陽が強すぎて倒れそう。ほどほどに切り上げ、2時前に町を後にした。
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【須崎の鍋ラーメン】
続いて向かったのは隣町の須崎へ。ここでの目的は鍋焼きラーメンなるものの発祥の地ということだ。いまいちなぜラーメンを鍋焼きにしたのかは分からないが、前述の高知経験者も「是非、一度食べてみて」ということだった。発祥の店と言われ、最も有名らしい橋本屋さんは14時が閉店時間で間に合わず、「まゆみの店」というラーメン屋さんに伺った。
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店内は普通と言えば普通のラーメン店だが、壁には多くの訪れたタレントの色紙や記念写真が貼ってある。お~、この人も来てるのかという感じだ。鍋焼きラーメン(しょうゆ)を注文し、待つことを10分ほど。土鍋の中でグツグツと煮たラーメンが登場。外は強い日差しだが、店内は冷房が十二分に効いているので鍋焼きうどん仕様なのだ。
スープはちょっと甘めの醤油味。生卵に竹輪の輪切りとネギが載っている。鍋焼きなので麺は太麺かと想像してたが、普通の太さの麵だった。確かに珍しいし、味もいけてる。
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15時前に2回の昼食は終了。近くのJR四国の土佐新荘駅(無人駅)を見学して、高知市街への帰路についた。
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(土佐新荘駅から)
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高知は美味い~。
※季節や曜日にもよると思いますが、久礼大正町市場は11時には到着した方が良さそうです。
(3日目 昼時~午後)