その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

KAAT神奈川芸術劇場プロデュース W.シェイクスピア『リア王の悲劇』(演出:藤田俊太郎)

2024-10-04 07:29:19 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

私には今年3つめの「リア王」の公演。今回は滅多に上演されないフォーリオ版(シェイクスピア自身が『リア王の物語』(クオート版)を改訂したもの)です。翻訳者の河合祥一郎氏によると「フォーリオ版はリア王の長女と次女たちの言い分もしっかり描いてあり、世代間価値観の相違という問題が浮き彫りになっている」(プログラム)とのことです。

木場勝己が演じるリアの圧倒的な存在感に痺れました。王の威厳が滲み出る気魄から段々と認知がおかしくなり狂人と化し、一人の弱き老人と変わっていく寂しさを演じ分けるのは見事。とても今年75歳には見えず、格好いい。

エドマンド役の章平の悪役ヒーロー振りも舞台映えしました。私生児としての逆境を跳ね返すため、肉親も陥れ、打算的に権力者の妻たちの気を引き、自らの立身のために利用する。これだけ徹底していれば、返って清々しいぐらいですが、そのヒール役に章平が綺麗に嵌っていました。

男性陣では、加えてグロスター伯爵の伊原剛志も強い印象が残りました。息子エドマンドに嵌められながらも、主人リアを想い、目をえぐられ、野で遭遇したエドガーを実の子と知らず、手を取られ導かれる姿は涙を誘います。

二人のリアの娘、ゴネリルとリーガンの水原希と森尾舞は凛とした王家の娘らしい演技でした。フォーリア版故か、意地悪さよりも論理的というか、言うことは言う強い女という印象です。コーディリアと道化の2役を演じた原田真絢は、道化役の活き活きとして柔軟な動きや美しい歌が良かった。

これは演出家の考えで、役者には何の責めは無いのですが、土井ケイトが演じるエドガーはエドマンドの姉という設定になっていたのは首を傾げました。女性が男性役をやるというのなら分かりますが、設定そのものを女性に変えてしまうというのは、その意図が良く分からず。いくら今がジェンダーレスの時代とは言っても、役の性別を変える狙いは何なのだろうか。土井ケイトのトムの演技がとっても良かっただけに、個人的にモヤモヤ感が張れなかったのは残念でした。

舞台は大きなステージを目一杯使い、装置も玉座や金属パイプで積み上げたジャングルジム風のグロスター家の屋敷など効果的。嵐のシーンでは強い霧雨を舞台上から降らせ劇的効果を高めていました。風の仕掛けがあればもっと良いのにとはちょっと思ったところはあります。

台詞も適度に削ってあるので、シェイクスピアの日本語劇で時々感じる言葉の洪水的な感じはせずに、自然なスピードと量の日本語劇になっていました。音楽も挿入されて、全般的にとっても今風に仕上がった舞台で、閉幕近づいていることもあってか、とっても完成度が高まっていると感じました。

今回は前列2列目正面のチケットを採れたのも良かった。全然迫力が違うわ~。カーテンコールで役者さん達と目が合う距離で拍手を送れるのも嬉しかった。

 

2024年10月2日 KAAT神奈川芸術劇場

【作】W.シェイクスピア 
【翻訳】河合祥一郎(『新訳 リア王の悲劇』(角川文庫))
【演出】藤田俊太郎  
 

【出演】

木場勝己 
水夏希 森尾舞 土井ケイト 石母田史朗 章平 原田真絢 
新川將人 二反田雅澄 塚本幸男 
伊原剛志

 

稲岡良純 入手杏奈 加茂智里 河野顕斗 宮川安利 柳本璃音 山口ルツコ 渡辺翔


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N響、9月Cプロ、指揮 尾高忠明、チャイコフスキー・プログラム

2024-09-30 07:32:09 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

Bプロは都合で行けず友人にチケットを譲ったので、今シーズン2回目のN響定期。正指揮者の尾高さんによるチャイコフスキー・プログラムです。

前半の<ロココ風の主題による変奏曲>は、チェロ独奏辻本さんの響きにうっとり。美しい音色がホール一杯に響きます。オーケストラとの息もぴったりで、優美なことこの上なし。幸福感一杯に包まれ、音楽を楽しみました。

アンコールではチェロ隊4名も参加してカタルーニャ民謡〈鳥の歌〉。N響のチェロチームの想いも伝わる演奏でした。

後半の〈白鳥の湖〉は、バレエ公演を一度経験しただけなので、有名な〈情景〉の曲ぐらいしか馴染みが無いのですが、さすがチャイコフスキー、どの音楽も美しく、耳に残る旋律にうっとりとさせられます。

N響の演奏も素晴らしく、ヴィオリン、オーボエ、トランペットなどなどのソロとともにアンサンブルの美しさが格別。フィナーレの「情景・終曲」のスケール感一杯で重層的な演奏には胸が一杯。

この日は何といっても、尾高さんのN響の力を最大限に発揮させる指揮ぶりが最も印象的でした。まさに職人芸で、匠のなせる技。ルイージさんのようなぐいぐいと引っ張る熱とは違った、いぶし銀の渋さに唸らせられた演奏会でした。

 

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2018回 定期公演 Cプログラム
2024年9月28日(土) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

チャイコフスキー/ロココ風の主題による変奏曲 作品33(フィッツェンハーゲン版)*
チャイコフスキー/バレエ音楽「白鳥の湖」作品20(抜粋)

指揮:尾高忠明
チェロ:辻󠄀本 玲(N響首席チェロ奏者)*

Subscription Concerts 2024-2025Program C
No. 2018 Subscription (Program C)
Saturday, September 28, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Tchaikovsky / Variation on a Rococo Theme, Op. 33 (Edited by Fitzenhagen) *
Tchaikovsky / The Swan Lake, ballet Op. 20 (Excerpts)

Conductor: Tadaaki Otaka
Cello: Rei Tsujimoto (Principal Cello, NHKSO)*


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やっぱり素晴らしい! <ミュージカル ビリー・エリオット> @東京建物Brillia HALL

2024-09-27 07:30:13 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

大好きな「ミュージカル ビリー・エリオット」の日本語版の再演があり、足を運んだ。

(イングランド北部訛り英語の)日本語化の難しさ、政治・社会の理解のハードル、子役陣の育成などなど、この作品の日本語化は極めて難しいと思うのだが、今回で3回目となる日本語公演を実現させた関係者の努力に感謝したい。これは安定した固定ファンの支持もあってのことでもあると思う。

一方で、ロンドンでのロングランはずいぶん前に終了しているし、日本でも3度目ともなるとチケット販売に苦戦しているところはあるようだ。直前購入の割引DMが私のメールボックスにも入ってきていた。

私自身は、日本語公演の観劇は2017年に続いての2回目で、7年ぶりである。観客の8割以上が女性で、ブルックナーの演奏会の真逆を行く華やかな雰囲気。おじさんにはアウエー感満載だったが、「ビリー」にかけての熱意は負けないつもりなので、「ここはワイのホームだ」と自信をもって着席。

冒頭のダーラムの炭鉱ストライキの映像には、サッチャー政権の炭鉱国有化廃止の演説のフィルムが差し込まれていたり(これが無いと今やサッチャーも歴史的政治家だから理解されないだろう)、ロイヤルバレエスクールのオーディションのシーンで、ビリーが用意したカセットテープを回すシーンが無くなっていたりした変更には気づいたものの、基本的にはこれまでの版と同じで、懐かしさで一杯だった。(個人的な話で恐縮だが、このミュージカルは私がロンドン駐在時に一番繰り返して観た作品なので、ロンドン生活の思い出と重なっているのである。)

改めて、本当によくできたミュージカルであることを確認する。階級問題、ジェンダー問題、LGBT、中央・地方格差、地域の共同体意識、経済政策、世代間の価値観乖離、親子の愛、様々なテーマを作品の中に織り込み、ごっちゃ煮にしつつ、ビリーの成長物語として涙と笑い一杯に仕上げる。そして、それを彩るエルトン・ジョンの耳に残る名曲の数々。

今回の公演で言えば、ビリーの石黒瑛土君はもう少しワイルドさや舞台映えが欲しい感じはあったが、悩みもがく寂しがり屋の少年ビリーを堅実に演じた。親友マイケル役の豊本燦汰君ものびのび好演。ダンス陣、子役のバレエダンサーたちもグッド。子役たちの稽古は、ロンドンのロングラン時のような長期に渡って継続的に出演し続けるわけではないので、公演前に相当な準備が入ると思うが、ホント頑張っている。

大人組では、ウイルキンソン先生役の安蘭けいの存在感や動きが、「さすが元宝塚スター!」というオーラであった。鶴見慎吾はちょっと格好良すぎるお父さんだが、長男トニー役の西川大貴との確執は迫力満点で、夫々に感情移入してしまう。

細かいところを上げれば、ピケの迫力やスト破り(Scab)の位置づけ等、もっとこうして欲しいと思うところはあったものの、細かい点はこの作品の良さを考えれば全く気にならない。久しぶりにこのミュージカルの生演を鑑賞できたことを、心から感謝した。

個人的にイチ押しミュージカルなので、是非、一人でも多くの人に見て欲しい作品だ。東京公演は10月26日(土) まで。

 

 

[東京・オープニング公演]2024年7月27日(土)~8月1日(木)
[東京公演]2024年8月2日(金)~10月26日(土)
[東京]東京建物Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)


キャスト

ビリー・エリオット:石黒瑛土
お父さん:鶴見辰吾
ウィルキンソン先生:安蘭けい
おばあちゃん:阿知波悟美
トニー(兄):西川大貴
ジョージ:芋洗坂係長
オールダー・ビリー:厚地康雄
ブレイスウェイト:森山大輔
死んだお母さん:大月さゆ

加賀谷真聡、黒沼亮、後藤裕磨、齋藤桐人、聖司朗、辰巳智秋、照井裕隆、春口凌芽、丸山泰右、森内翔大、小島亜莉沙、咲良、竹内晶美、森田万貴、石田優月、白木彩可、新里藍那

マイケル:豊本燦汰
デビー:内藤菫子
トールボーイ:猪股怜生
スモールボーイ:張浩一
バレエガールズ:石澤桜來、鈴木結里愛、松本望海、南夢依、宮野陽光

スタッフ

ロンドンオリジナル・クリエイティブスタッフ
脚本・歌詞:リー・ホール
演出:スティーヴン・ダルドリー
音楽:エルトン・ジョン
【振付】ピーター・ダーリング
【美術】イアン・マックニール
【演出補】ジュリアン・ウェバー
【衣裳】ニッキー・ジリブランド
【照明】リック・フィッシャー
【音響】ポール・アルディッティ
【オーケストレーション】マーティン・コック

日本公演スタッフ
【翻訳】常田景子
【訳詞】高橋亜子
【振付補】前田清実・藤山すみれ
(ドラスティックダンス"O")
【音楽監督補】鎭守めぐみ
【照明補】大島祐夫・渡邉雄太
【音響補】山本浩ー
【衣裳補】阿部朱美
【ヘアメイク補】柴崎尚子
【擬闘】栗原直樹
【演出助手】伴眞里子・坪井彰宏・加藤由紀子
【舞台監督】松下城支
【技術監督】清水重光
【プロダクション・マネージャー】金井勇一郎


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今回も記憶に残る名演! チョン・ミョンフン/東フィル、ヴェルディ〈マクベス〉

2024-09-23 07:30:10 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

去年7月の記憶に残る〈オテロ〉からはや1年。今年のチョン・ミョンフン✕東フィルによるヴェルディのシェイクスピア・オペラは〈マクベス〉。このシリーズの最終回ということだ。〈マクベス〉は演劇の方はそれなりの数を観ているが、オペラは10年以上ぶりで、この日が待ち遠しくてしょうがなかった。

期待通りの素晴らしい公演だった。マエストロの指揮の元、独唱陣、合唱、オケが三位一体となって非の打ち所無いハイレベルなパフォーマンス。

冒頭の序曲から、東フィルの集中力溢れる演奏に痺れた。そして、全幕を通して刃の上を渡るような緊迫感と攻めの演奏が続く。弦・管・打各楽器がまとまりスコットランドの嵐のような圧を感じた。

外国人歌手を中心とした独唱陣も底力を見せつけた。題名役のセバスティアン・カターナとバンクォー役のアルベルト・ペーゼンドルファーは迫力の低音。マクベス夫人役のヴィットリア・イェオのソプラノも張りがあって美しい。夫を叱咤激励する強い妻であった。久しぶりのマクベスだったので、夫人に多くのアリアが与えられているのは新鮮だった。そして、マクダフ役のステファノ・セッコのテノールも高らかに響く。

更に、個人的に最も受けたのは、新国合唱団の合唱。合唱の美しさもさることながら、特に魔女たちの演技には大拍手。第3幕の舞台上での表情、動作のいかれ方がまさに魔女たちで、舞台装置なくとも魔界に引き込まれた気分であった。演奏会方式でここまでの迫真の演技があると、正直、舞台セットは無くても構わないと思ってしまうほどだ。

合唱指揮の冨平さんのポストによると、この場面、魔女たちをステージ最前線に配置して、演技まで入れたのは、練習の際にチョンさんから出た提案だという。劇的な効果を高めたこの演出に見事に応えた新国合唱団、さすが。

合唱団だけでなく、独唱陣にもしっかり演技が入る。また、照明も場面で変化し、舞台を盛り上げた。演奏会方式として、これ以上はあるまいと断言できるほどの、ステージが展開された。

終演後は、割れんばかりの大拍手と歓声に包まれた。3回の公演の最後ということもあってか、チョンさんを初め独唱歌手陣、合唱陣、オケの皆さん、大きな仕事を終えた安心感と充足感が表情に現れていた印象を受けた。私自身も、大きな満足感一杯で拍手を送り、帰路についた。

 

2024年9月19日(木)19:00
東京オペラシティ コンサートホール

第164回東京オペラシティ定期シリーズ 

指揮:チョン・ミョンフン(名誉音楽監督)
マクベス(バリトン):セバスティアン・カターナ
マクベス夫人(ソプラノ):ヴィットリア・イェオ
バンクォー(バス):アルベルト・ペーゼンドルファー
マクダフ(テノール):ステファノ・セッコ
マルコム(テノール):小原啓楼
侍女(メゾ・ソプラノ):但馬由香
医者(バス):伊藤貴之
マクベスの従者、刺客、伝令(バリトン):市川宥一郎
第一の幻影(バリトン):山本竜介
第二の幻影(ソプラノ):北原瑠美
第三の幻影(ソプラノ):吉田桃子

合唱:新国立劇場合唱団(合唱指揮:冨平恭平)

ヴェルディ/歌劇『マクベス』
全4幕・日本語字幕付き原語(イタリア語)上演
公演時間:約2時間45分(休憩含む)

September 19, 2024, Thu
19:00
Tokyo Opera City (Concert Hall)

The 164th Subscription Concert in Tokyo Opera City Concert Hall
Conductor: Myung-Whun Chung (Honorary Music Director)
Macbeth: Sebastian Catana
Lady Macbeth: Vittoria Yeo
Banquo: Albert Pesendorfer
Macduff, thane of Fife: Stefano Secco
Malcolm, Duncan's son: Keiroh Ohara
Lady-in-waiting to Lady Macbeth: Yuka Tajima
A Doctor: Takayuki Ito
Servant of Macbeth/Murderer/Herald: Yuichiro Ichikawa
Apparition 1: Ryusuke Yamamoto
Apparition 2: Rumi Kitahara
Apparition 3: Momoko Yoshida

Chorus: New National Theatre Chorus (Chorusmaster: Kyohei Tomihira)

Verdi: Opera "Macbeth" in concert style


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お初の「こんにゃく座」は〈リア王〉 @吉祥寺シアター

2024-09-20 07:32:21 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

以前から「オペラシアターこんにゃく座」の名前は聞いたことはあったけど、初めて実演に接する機会を得た。演目は「リア王」。シェイクスピア悲劇の中でも「マクベス」と並んで好きな作品だ。公演初日に吉祥寺シアターにて観劇(中央最前列)。

「リア王」のオペラ作品は、以前、アリベルト・ライマン作曲のオペラ「リア」(2013年二期会公演、指揮:下野竜也、演奏:読響)を聴いたことがある。こんにゃく座のオペラ「リア王」とは一体どんな舞台・音楽になるのか興味津々だった。

様式は音楽劇であった。音楽はサックス、コントラバス、パーカッション、ピアノの4人の小編成。演劇が進む中で、 萩京子作曲の音楽が奏でられる。演劇が主で、音楽は従と言う印象だ。

演劇と音楽が効果的にミックスされて、収容100名規模の吉祥寺シアターの密空間効果も加わり、濃厚なリア王が展開された。役者は多くの台詞を音楽に載せて歌う。音楽が日本語台詞にマッチして、非常に聴きとりやすい。言葉の嵐に吞み込まれるシェイクスピアの演劇としては、むしろ演劇よりも聴きやすいほどで驚きだった。

その分、原作の個々の台詞は取捨選択され、その分人物の造形描写も薄まるところはあるものの、それは致し方無いだろう。

本作のキーとなる道化役は男女のペアにより演じられた。ペアになることにより、音楽的にも重唱になったり、交互の音階を違えての歌唱が耳にも心地よく、このやり方は上手くできているなと感心した。

役者さんは、夫々、熱演であったが、とりわけ題名役の大石哲史の重みある演技、泉篤史演じるエドワードの狂人ぶり、エドマンド島田大翼の悪人ぶり、道化の2人組が特に印象的だった。

舞台中央に運動会の大玉転がしに使えるぐらいの球体が置かれ、場面により上下する。あとは、右手奥に姿見のような鏡のつい立が置かれているぐらいでシンプルなもの。芝居に集中できる舞台装置であった。

大舞台のオペラとは趣の異なる音楽劇。演劇性が高く、とっても満足度高い。他の公演もまた足を運んでみたい。

 

2024年9月13日
吉祥寺シアター

スタッフ
原作       ウィリアム・シェイクスピア(小田島雄志訳による)
作曲       萩京子
演出       上村聡史
美術       乘峯雅寛
衣裳       宮本宣子
照明       阪口美和
舞台監督              大垣敏朗
音楽監督              萩京子
宣伝美術              ワタナベケンイチ(イラスト)・片山中藏(デザイン)

キャスト

リア王:大石哲史
ゴネリル(リアの長女):鈴木あかね
リーガン(リアの次女):豊島理恵
コーディリア(リアの三女):小林ゆず子
ケント伯爵(リアの忠臣):佐藤敏之
オールバニ公爵(ゴネリルの夫):富山直人
コーンウォール公爵(リーガンの夫):北野雄一郎
グロスター伯爵(リアの重臣):髙野うるお
エドガー(グロスターの息子):泉篤史
エドマンド(グロスターの息子):島田大翼
オズワルド(ゴネリルの執事):彦坂仁美
道化1:金村慎太郎
道化2:沖まどか
淑女(ブリテン王国に仕える人物):青木美佐子
フランス王(コーディリアの夫)・兵士:沢井栄次
バーガンディ公爵・兵士:吉田進也
使者・刺客:冬木理森
人々:鈴木裕加、川中裕子、入江茉奈、小林ゆず子

サクソフォン:野原孝
コントラバス:佐々木大輔
パーカッション:高良久美子
ピアノ:服部真理子

2024年9月13日(金)~23日(月祝)

 


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N響、新シーズン好発進!:F.ルイージ指揮、 ブルックナー交響曲第8番

2024-09-16 07:15:11 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

いよいよ24-25年シーズンのスタート。例年であれば、代々木公園の木々が秋の装いを始めている時期だが、今年はまだその気配全くなし。

シーズン開幕演奏会は首席指揮者ルイージさんが登壇。オーケストラの顔がしっかりオープニングを務めるって、とっても大事だと思う。プログラムは生誕200年を祝って、ブルックナー交響曲第8番の一本勝負。NHKホールは満員に近い入りで、熱気でむんむん。この雰囲気はとっても好き。

今回は初稿を利用とのことだが、生で8番を聴くのは2回目だし、ブルックナー沼はいつも畔で眺めているだけの私には、稿の相違は関係なし。ただ、90分にも及ぶブルックナーの交響曲ということで、前日の睡眠は十分、この日の午前中は家でまったりと、万全の体調で臨んだ。

90分の楽曲は背筋を伸ばして聴いている間に「もう?」という感じで終わってしまった。楽章を通じて、ルイージさんとオケの気迫が3階席までひしひしと伝わってくる。ブルックナーの交響曲らしい、精巧に作り込まれた楽曲の構成や機能の美しさはもちろんのこと、ルイージさんの指揮は加えて、ヒューマンタッチな感情に触れるように感じる音楽作りだった。

第2楽章の強烈なスケルツォの厳しさや険しさは、波となって大きく覆いかぶさってきた。第3楽章の優雅さは美と優しさが溶けあって天にも昇る感覚、そして第4楽章の壮大なフィナーレにも圧倒される。各楽章が素晴らしく、毎楽章ごとに拍手したくてたまらなかった。

オケは、管弦打楽器、どのパートも奏者もすばらしい。とりわけ、金管陣は出色で、大きなNHKホールをものともせず音が稲妻のごとく響いたし、弱音部分も盤石の安定感。管楽器もフルート、オーボエの要所要所でのソロが美しい。弦はコンマス郷古さんの元、前のめりでN響らしい重厚なアンサンブルを奏でる。ハーブの音色は天上のもの。ティンパニー、シンバルの強烈な打音は高揚感の極致だった。

終演後は割れんばかりの大拍手に包まれる会場。ルイージさん、オケのメンバーもしっかりと仕事をやり遂げた達成感で一杯の様子が伺えた。集中してこの大曲の素晴らしい演奏を聴き終えた私も満足感と感謝の気持ちで一杯だった。

今シーズンも数々の名演を期待しています!

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2016回 定期公演 Aプログラム
― ブルックナー生誕200年 ―

2024年9月15日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

曲目
ブルックナー/交響曲 第8番 ハ短調(初稿/1887年)

指揮
ファビオ・ルイージ

 

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2016 Subscription (Program A)
- The 200th Anniversary of Anton Bruckner’s Birth -

Sunday, September 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Bruckner / Symphony No. 8 C Minor (First Version/1887)


Conductor: Fabio Luisi


(まだまだ真夏)


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ブルックナー誕生日に交響曲7番を聴く: 都響A定期、指揮 大野和士 @東京文化会館

2024-09-06 10:08:05 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

1ヶ月ぶりの音楽会でワクワク感一杯で上野へ向かう。この日は、なんとブルックナーの生誕200年記念日とのことである。そんな日にブルックナー交響曲7番をメインに据えたプラグラム。ブルックナーのお誕生会にお呼ばれされたような気分だ。しかも前半はポール・ルイスによるベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番。B&Bの鉄板の横綱プログラムと言える。

ポール・ルイスは聴いたことあると思い込んでいたのだが、個人記録を辿ってみても見つからないので初めてのようだ。実に洗練された演奏だった。強奏するわけでもないし、加飾があるわけでもない。端正で、この楽曲そのものの素晴らしさを自然に伝えてくれる。ピアノの音は柔らかいというよりはやや硬質に聴こえたが、これはホールのせいだろうか。いずれにしても、音が体に素直に溶けて行く、そんな快感を味わった。

アンコールはシューベルトのピアノ・ソナタ 第21番から第3楽章。こちらは軽快で、優しい。清涼剤のようなピースであった。

休憩後のブルックナー交響曲第7番。私自身はブルックナー・ファンとは言わないが、7番はおそらく最も実演に接している。冒頭から、チェロの厚い響きに震えた。全般的に、過去に聴いた演奏の印象と比較すると、角の取れた柔らかめで、ロマンティックとまでは行かないが、構造美を打ち出したものとは異なる演奏に聴こえた。

矢部コンマスのもと、弦陣の前のめりで重厚なアンサンブルは聴き応え十分で、ホールで聴くブルックナーならでは。フルートら木管の調べも美しい。ちょっと残念だったのは金管。揃っての強奏の迫力は素晴らしいものだったが、弱音部分など、不安定というか緩いというか、がっかりさせられること何度か。

熱演であったことは間違いないし、演奏も一部を除きとっても良かったのだが、何故かブルックナーを聴いた時の没入感や体を貫かれるような衝撃までは、今回感じられなかった。大野さんが訴えようとしたことが、私には理解できていなかったのだろう。なので、終演後も手が痛くなるほどの拍手までは至らなかった。

そんな感想を持ちはしたものの、久しぶりの演奏会を堪能し、終演後の充実感を味わった。やっぱり、生音は最高だ。9月に入って、演奏会シーズンが再開。ルーティンにならず、新鮮な気持ちを維持して、一期一会を楽しみたい。

第1007回定期演奏会Aシリーズ
日時:2024年9月4日(水) 19:00開演(18:00開場)
場所:東京文化会館 

【ブルックナー生誕200年記念】
指揮/大野和士
ピアノ/ポール・ルイス

曲 目
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番 ハ短調 op.37           
ブルックナー:交響曲第7番 ホ長調 WAB107(ノヴァーク版)      

【ソリスト・アンコール】
シューベルト :ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960より 第3楽章
 (ピアノ/ポール・ルイス)

Subscription Concert No.1007 A Series
This concert is over. Date: Wed. 4. September 2024 19:00 (18:00)
Venue: Tokyo Bunka Kaikan 

[Bruckner 200]
Kazushi ONO, Conductor
Paul LEWIS, Piano

Program
Beethoven: Piano Concerto No.3 in C minor, op.37             
Bruckner: Symphony No.7 in E major, WAB107(Nowak edition)


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フェスタサマーミューザ KAWASAKI2024 読売日本交響楽団 〈沖澤のどかが鮮やかに描く、壮厳なる音物語〉

2024-08-11 07:17:06 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

毎年7,8月は演奏会に行く機会が減るのですが、今年は7月が2回で8月は0。期間が空くと、久しぶりの演奏会はルーティンとならず、集中して聴けるのでこういうメリハリもあっていいのかな。

今年の私のサマーミューザは、6月のN響を指揮した沖澤のどかさんが読響を振るこの1本。後期ロマン派で固めたプログラムも魅力です。のどかさんのプレトークを楽しみにしていたのですが、夏風邪で声が不調ということで、阪田さんが代役を務めました。代役とは思えない慣れた感じのトークで、流石だなと感心。

冒頭の「ドン・ファン」も情景が浮かぶ演奏が素晴らしかったのですが、続くリストのピアノ協奏曲第2番と後半のサン=サーンス:交響曲第3番が私自身の収穫が大きかったです。

阪田知樹さんのピアノは初めての実演に接しましたが、堂々たる演奏でした。ダイナミックさと優雅でロマンティックさが共存し、聴きごたえたっぷり。リストのピアノ協奏曲第2番を生で聴くのも3度目くらいですが、初めて、こういう音楽だったんだと、少し楽曲にお近づきになれた気がしました。

後半のサン=サーンスの交響曲第3番。こちらも目が開かせられる演奏。沖澤さんの指揮、読響の演奏は、直球ど真ん中で、変なアクセントや癖がありません。それ故か、音楽が体に染み込むように吸収されます。楽曲の素晴らしさを自然に語らせるような指揮ぶりです。

この曲、昨年11月にニューヨークでNYPの演奏を聴いたのですが、旅の疲れもあって、終盤の畳みかけるスケール感ぐらいしか印象に残っていません。今回初めて、曲の構成や第1楽章後半の美しさなど、様々な気づきがありました。読響の前のめりの演奏も素晴らしかった。

終演後は私も含めてホールの隅々から大拍手。のどかさんも何度も呼び戻されていましたが、体調不調に加えて、ご妊娠中のようで、少々しんどそうでしたが、拍手に応えてました。

数を減らしているの中で、こんな演奏会を聴いてしまうと、「もっと行きたい/行かねば」ということになってしまいますね。

 

2024.7.31(水)
ミューザ川崎シンフォニーホール

指揮:沖澤のどか
ピアノ:阪田知樹*サン=サーンス:交響曲第3番
パイプオルガン:大木麻理☆

R.シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』op. 20
リスト:ピアノ協奏曲第2番 イ長調 S125/R456*
サン=サーンス:交響曲第3番 ハ短調 op. 78『オルガン付き』☆

  • フォーレ:ネル(阪田知樹編曲)

Wed 31 Jul 2024
19:00|18:00 Doors open | 18:20-18:40 Pre-concert Talk

MUZA Kawasaki Symphony Hall

Nodoka Okisawa, Conductor
Tomoki Sakata, Piano*
Mari Ohki, Pipe Organ✩

  1. Strauss: Don Juan, op. 20
    Liszt: Piano Concerto No. 2 in A major, S125/R456*
    Saint-Saëns: Symphony No. 3 in c minor, op. 78, "Organ"✩

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都響/アラン・ギルバート: リムスキー・コルサコフ〈シェヘラザード〉ほか @東京文化会館

2024-07-27 07:30:20 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

1カ月ぶりの生音。アラン・ギルバートと都響コンビ、プログラムには久しぶりの〈シェヘラザード〉とあって、楽しみにしていた演奏会。

前半2曲は全く初めて聴く曲。マグヌス・リンドベルイのEXPOは変化に富み、SFの映画音楽のような趣もあり楽しめた。2曲目のエドゥアルド・トゥビンのコントラバス協奏曲も耳になじみやすい音楽。コントラバスソロの池松さんの豊かな音に身を任せていたら、危うくあっちの世界に行きそうになった。カーテンコールでは、還暦を迎えられた池松氏が団員から赤のちゃんちゃんこをプレゼントされる一幕があり、アンコールはそれを着てハープの吉野直子さんとも入ってジャズ風のアメイジング・グレイス。味わい深く、ハープとの組み合わせも美しく、しみじみい聴いた。

後半の〈シェヘラザード〉は圧巻。いや~、都響ってこんなに上手なんだと感嘆しきり。コンマス矢部さんの深みがあって、愁いを帯びた美しいヴァイオリンはもちろん特筆ものだが、木管をはじめとした各パートのソロの響きもうっとり聞かせる。そして、オケが一体となっての合奏はうねりがあって、ドラマチックでスケール大きい。「隙が無い」とはこういう演奏を言うのではというほど、素晴らしいものだった。

アランと都響の相互の信頼感から、こうした演奏が引き出されているのだろう。ステージを見ていて、アランの指示に応えつつ、それに終始することなくメンバーが夫々の自分の色を出そうとする余裕のようなものも感じたのは気のせいだろうか。このコンビの底時からを見た気がする。

終演後はブラボーの掛け声も含めて大拍手。団員引き上げ後も続く拍手に、アランは矢部さんを伴って登場し応えてくれた。前週のベートヴェンの〈運命〉を聴きに行けなかったのは実に悔やまれるが、今後もこのコンビは必聴だ。

 

第1005回定期演奏会Aシリーズ
 日時:2024年7月24日(水) 19:00開演(18:00開場)

出 演
指揮/アラン・ギルバート
コントラバス/池松 宏(都響首席奏者)

曲 目
マグヌス・リンドベルイ:EXPO(2009) 
エドゥアルド・トゥビン:コントラバス協奏曲 ETW22(1948)     
リムスキー=コルサコフ:交響組曲《シェヘラザード》 op.35(ヴァイオリン独奏/矢部達哉)         

【ソリスト・アンコール】
アメイジング・グレイス(安田 芙充央 編曲)
(コントラバス/池松 宏、ハープ/吉野直子)

 

 

Subscription Concert No.1005 A Series
Date: Wed. 24. July 2024 19:00 (18:00)

Artists
Alan GILBERT, Conductor
Hiroshi IKEMATSU, Contrabass

Program
Magnus Lindberg: EXPO(2009)             
Eduard Tubin: Double Bass Concerto ETW22 (1948)          
Rimsky-Korsakov: Sheherazade, op.35     

【Soloist Encore】(7/24up)
Amazing Grace(arr by Fumio YASUDA)
(Hiroshi IKEMATSU, Contrabass、Naoko YOSHINO,Harp)


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桐朋学園芸術短期大学自主上演実習公演『フローズン・ビーチ』 @せんがわ劇場

2024-07-15 08:21:57 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

ご縁あって桐朋学園芸術短期大学の認定専攻科(2年間の短期大学を卒業した後のプログラム)の演劇専攻の56期学生さんによる自主上演実習の公演を観劇。

「フローズン・ビーチ」がどんな話しかも全く知らないままに席に着いたが、南国のビーチリゾートで起こるコメディタッチのサスペンスと言えるような物語。笑いもあるのだが、殺人(未遂)、人間関係の愛憎・嫉妬、心理的かけひきが含まれていて、難しいというか、とっつきにくい物語であった。2時間半の作品を1時間10分のカットバージョンでの上演ということもあってか、登場人物の心理的立場も少々分かりにくいところもあった。

一方で、4名の学生役者さんのエネルギー一杯の熱演には、大いに引き込まれた。山田さんの双子姉妹の演じ分けや、千津役の上田さんの3場夫々での変化ぶりも楽しめた。未知の作品だった故に、何に注目していけばいいのかはわからずじまいだったけど、小劇場のライブ感あふれる若手によるお芝居は見ていて元気貰える。この4名の皆さん、これからどういう演劇人生、役者人生を送っていくのだろうか。頑張ってほしい。

会場は出演者のお友達や同じ専攻の学生さんと思しき若い人が7割ほど。

 

2024年7月12日

せんがわ劇場×桐朋学園芸術短期大学自主上演実習公演

『フローズン・ビーチ』 

作・ケラリーノ・サンドロヴィッチ/演出・ペーター・ゲスナー

キャスト:上田実祐那(千津)、今野まい(咲恵)、磯馴萌々子(市子)、山田みづは(萌、愛)

 

 


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横田栄司さん快演✕怪演の「オセロー」 (演出:鵜山仁)@紀伊國屋サザンシアター

2024-07-07 07:37:35 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

台本良し、役者良し、演出良しの3拍子揃ったレベル高い「オセロー」であった。

中でも、題名役の横田栄司の快演・怪演が強烈な印象を残した。横田さん、数年前のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の和田義盛役で存在感を放っていたが、暫く体調崩してお休みをされていたらしい。

この舞台では、とても休養明けとは思えない、ほとばしるエネルギーにただただ圧倒される(義盛役の時は、小柄な方なのかと思っていたが、全く誤解であった)。救国の英雄として誰もが羨む花嫁と結婚した絶頂期から嫉妬に狂い、破滅していくまでのムーアの武人を演じた。強さ、弱さ、可愛さオセローの人間的特質を演じ分け、オセローが乗り移ったにも見える迫力は見ていて怖くなるほど。

対する、スキャンダルの仕掛け人イヤーゴーを演じた浅野雅博はオセローの「動」に対して、「静」的なキャラで知能犯を安定感たっぷりに演じた(この方、新国立の「スカイライト」で蒼井優さんとの会話劇が今でも印象深い)。ちょっと、スマートすぎて、「毒」要素が抑えれれていた気がしたが、私の気のせいか、それともそういう演じ方なのかな。

初めて拝見するデスデモーナを演じたsaraは可憐な役を素であるように自然に演じていて、とっても好感度高い(初めてなので、何が「素」なのかわからないが)。

主要級3役以外の脇役陣も、エミリアの増岡はじめ、夫々安定感たっぷりで、隙が無い。私は初めてなので何とも言えないが、これが「文学座」の格とでも言うのだろうか。

演出は鵜山仁。昨年の新国立劇場での「尺には尺を」「終わりよければすべてよし」もそうだったが、ここ数年観るシェイクスピア劇の演出はかなりが鵜山さんによるもの。

舞台上の中央に4畳半規模の立体ケージが置かれ、夫婦の寝室など様々な場面で活用される。群青色をベースにした照明も美しく、背景のカーテンに漁火のようなライトが投影され、ベネチアであったり、キプロスの幻想的な雰囲気をうまく作っていた。役者さんは観客エリアも縦横に動き、私の通路横に着席されていたお客さんは、横田さんに凄まれてマジでびっくりしてた。

第5幕は小田島の翻訳を忠実に、場面、セルフカット無しに演じられた。クライマックスではあるのだが、自分の集中力が切れかかってたのか、少々冗長な印象はあった。死んだデスデモーナやエミリアが(生き返るわけではないが)動くのも私には良く理解できなかった。

それにしても、オセローはシェイクスピア悲劇の中でも、ちょっとかなり感情移入が難しい。オテロ―は思い込み激しいお馬鹿さんすぎるし、デスデモーナはあまりにも可哀そうすぎる。それでも、こうやって見に来てしまうのは、この作品の引力なのだろう。

余談だが、この日の観衆は大学生ぐらいの若い人多く、会場の雰囲気もフレッシュだった。関係するかどうかは分からないが、終演後の拍手はとっても大きく、スタンディングオベーションの方も多数いた。

(2024年7月5日)

 

文学座公演  

『 オセロー 』

作:ウィリアム・シェイクスピア

訳:小田島雄志

演出:鵜山 仁

   

日程:2024年6月29日(土)~7月7日(日)

会場:紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

   

Cast

石川 武(ヴェニスの公爵)

高橋ひろし(ブラバンショー/グレーシアーノー)    

若松泰弘(モンターノー)

浅野雅博(イアーゴー)

横田栄司(オセロー)

石橋徹郎(ロダリーゴー)

上川路啓志(キャシオー)

柳橋朋典(ロドヴィーコー)

千田美智子(ビアンカ)

増岡裕子(エミリア)

萩原亮介(役人 ほか)

sara(デスデモーナ)

河野顕斗(紳士 ほか)

 

□スタッフ

美術:乘峯雅寛 照明:古宮俊昭 音響:丸田裕也 衣裳:前田文子 ヘアメイク:鎌田直樹

アクション:渥美 博 劇中歌監修:高崎真介 舞台監督:加瀬幸恵 演出補:大内一生 制作:梶原 優、鈴木美幸 制作助手:畑田麻衣子

宣伝美術:三木俊一(文京図案室) 宣伝写真:佐藤克秋


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鈴木優人×イザベル・ファウスト NHK交響楽団 @調布国際音楽祭

2024-06-24 07:11:54 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

昨年は都合つかず訪れること叶わなかったけど、12年目を迎えるという調布の音楽祭に今年は参戦です。有料の演奏会も年々充実し、選ぶのに迷ってしまうのですが、今年はイザベル・ファーストさんが出演されることもあり、この音楽祭の顔でありエグゼクティブプロデューサーである鈴木優人さん指揮のN響の演奏会へ。

初っ端から、今日の目玉とも言えるファウストさんが登場。数日前にB定期のサントリホールで聴いたばかりですが、その時はシューンベルグのヴァイオリン協奏曲が私には難しすぎて、せっかくのファウストさんの真価も堪能し切れず。今回はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲。聴き慣れた曲でもあり、期待大でした。

そして、期待通りの素晴らしい演奏でした。ファウストさんのヴァイオリンの音色は繊細で、様々な要素の最高のバランスの上に成り立っているように聴こえます。とっても知的でありながら、情熱的でもある。柔らかくもあれば、堅実さを見せることもある。愁いがあれば、歓びにも満ちている。発せられる一音一音に耳をそばだてます。音が不思議なほど素直に、体の中にしみ渡って行くような感覚でした。

彼女にとってはこれまで何百回、何千回と演奏した曲だとは思うのですが(それでも譜面台に楽譜が置いてあったのはちょっと不思議でした)、私にはまさに一期一会のファウストさんによるベートーヴェンのヴィオリン協奏曲。背筋伸ばして、手を握りしめて聴きました。

N響の演奏も素晴らしい。特にファウストのヴィオリンと木管陣の柔らかな音色が、ホール内で溶け合う化学反応にはうっとりと別次元に連れて行かれるようでした。第一楽章後半のカデンツァではティンパニーの伴奏が入りました。

終演後はこのホールでは聞いたことのないボリュームでの、賞賛と感動の拍手で会場は覆われました。ファウストさん、ヴァイオリンの素晴らしさは言うまでもありませんが、拍手に応える姿やオーケストラへの賞賛などの仕草もとってもチャーミング。大拍手に応えてアンコールはシャルル・オーギュスト・ド・ベリオ作曲12の情景作品109第12番コンソレーション(なぐさめ)でした。

後半は、B定期と同じ曲目ですが、私は定期の後半を聴けなかったので、丁度良かった。ラストのシューベルト交響曲第5番は全く初めて聴く曲でしたが、構造もはっきりして、音楽としてもとっても聴き易い楽曲。N響の弦のアンサンブル力や管楽器の美しい音色を堪能しました。

鈴木Jr.(お父さんも聴きに来られてました)もご自身がエグゼクティブプロディーサーとなっている調布国際音楽祭で、N響を自ら指揮されるということで、いつも以上に気合入っているように見えました。マルチな才能を見せる鈴木さん、これからも音楽祭の充実を期待したいと思います。

蛇足ですが、今回、ファーストさんということで、最高ランク席を購入。前から10列目という両席だったこともあり、市民ホールではありますが、細部のニュアンスを含めとっても良く聴こえました。正確に数えたことは無いけど、N響には過去100回以上の演奏会に足を運んでいるはずですが、指定席はNHKホールの3階席とサントリーの舞台後ろ席なので、う~ん、やっぱり高い席は高い席ならではのことがあると納得。回数減らして良席を取りに行くのが良いのか、安席で回数を楽しむのか、悩んじゃいますね。

 

鈴木優人×イザベル・ファウスト
NHK交響楽団 in Chofu

2024年6月23日(日)開演 2:00pm [開場 1:15pm]
調布市グリーンホール 大ホール

ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品61
バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ
シューベルト/交響曲 第5番 変ロ長調 D. 485

指揮:鈴木優人
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

Sunday, June 23, 2024 2:00p.m.
Chofu City Green Hall, Large Hall

Conductor : Masato Suzuki
Violin : Isabelle Faust

Beethoven / Violin Concerto D Major Op. 61
S. Bach / Webern / Ricercata
Schubert / Symphony No. 5 B-flat Major D. 485


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6月N響B定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第3弾は鈴木優人さんのウイーンプログラム(前半のみ)

2024-06-21 17:40:43 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

(公開するほどの内容でも無いのですが、記録のため)

本シーズン最後のN響定期であり、6月定期日本人若手指揮者競演シリーズ第3弾。鈴木Jr.の登場でしたが、残念ながら所要により前半のみ参加。

この日はウィーン所縁の作曲家のプログラムで、前半はウエーベルンとシューンベルグの20世紀の作品。

個人的には最近でも類を見ない大苦行となりました。私には音楽が難しすぎて、理屈としても感覚としても、私の理解の範疇超えていて、無条件降伏状態。シューンベルグのヴァイオリン協奏曲は、イザベル・ファーストさんが奏でるヴァイオリンの美音やハイレベルな技巧は感じ取れましたが、感想を言葉にするには難易度高すぎで、手も足も出ない見逃し三振。

鈴木ジュニア、N響、ファウストさんのコンビは週末に調布国際音楽祭に行くので、そこでリベンジ予定。ヴァイオリン協奏曲もシューンベルグからベートーヴェンに変わりますので、まだこちらの方は楽しめそう。

今シーズンもN響には大変お世話になりました。ルイージさんとのコンビも更に成熟度が上がっていると思ったし、コープマンさん、ソヒエフさん、エラス・カサドさん、ヤノフスキさん、エッシェンバッハさんらの名だたる欧米指揮者、尾高さん、ミッキー、原田さん、沖澤さんらの日本人指揮者など、バライティに富んだ出演者で毎回、異なった楽しみを味合わせてくれました。来シーズン、かなりの値上げとなったのはお財布にかなり応えますが、値上げに相応しい更なる満足度高い定期演奏会を期待したいと思います。

 

定期公演 2023-24シーズン
第2015回 定期公演Bプログラム
2024年6月20日(木)開演 7:00pm

サントリーホール

ウェーベルン/パッサカリア 作品1
シェーンベルク/ヴァイオリン協奏曲 作品36
バッハ(ウェーベルン編)/リチェルカータ
シューベルト/交響曲 第5番 変ロ長調 D. 485

アンコール
6/20:ルイ=ガブリエル・ギユマン/無伴奏ヴァイオリンのためのアミュズマン 作品18 ー 第12曲 アルトロ
ヴァイオリン:イザベル・ファウスト

指揮 : 鈴木優人
ヴァイオリン : イザベル・ファウスト

 

No. 2015 Subscription (Program B)
Thursday, June 20, 2024 7:00pm
Suntory Hall

Conductor : Masato Suzuki
Violin : Isabelle Faust

Webern / Passacaglia Op. 1
Schönberg / Violin Concerto Op. 36
S. Bach / Webern / Ricercata
Schubert / Symphony No. 5 B-flat Major D. 485


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6月N響C定期:日本人若手指揮者競演シリーズ、第2弾は沖澤のどかさんのフランスプログラム

2024-06-18 07:20:19 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

6月のN響、若手日本人指揮者競演シリーズ第2弾は、初めて実演に接する沖澤まどかさん。フランスもののプログラムも魅力的で、楽しみにしていました。

ステージに現れた沖澤さん、想像以上に小柄な方でしたが、姿勢よく堂々とされています。そして、指揮ぶりも自信あって迷いを一切感じさせない確信に満ちたものでした。古いですが漫画「ドカベン」の里中投手につけられた「小さな巨人」というニックネームを思い出すほど。

イベール<寄港地>は冒頭から香るようなオーケストラの優雅な響きにうっとり。ちょっと私自身が夏バテ気味の体調もあって、あまりの心地よさにかなり意識が遠のくほどでした。第2曲の吉村さんのオーボエも異国情緒満載で美しい。全曲通じて、まさに各寄港地の情景が脳裏に浮かんでくる演奏でした。

2曲目のラヴェルの<左手のためのピアノ協奏曲>は過去に2回は生で聴いていますが、未だ聴きどころ良く分かっていません。それでも、デニス・コジュヒンさんのピアノは、左手だけとは思えない力強さがあり、1音1音がとっても明瞭に聞こえてきました。オーケストラとの呼吸もぴったり。

そして、3曲目はドビュッシー〈夜想曲〉。1曲〈雲〉では、タイトルそのものですが、雲の上に横になって空中をのんびりとくつろいでいるような浮揚感。イングリッシュホルンの愁いを帯びた音色も夢の中で遠くから聞こえて来るやまびこのようでした。第2曲〈祭〉は切れよくワクワク。N響の金管、打楽器の活躍も光ります。第3曲〈シレーヌ〉は美しい女声合唱とともに、N響がキラキラと眩いような神秘的な世界を見せてくれました。

1時間ちょっとの演奏会ですが、無理無く自然体で、体に染み込むように吸収される純粋な音楽をN響と創り上げた沖澤さんの指揮ぶりは、本人の比較的淡々としているように見えた終演後の様子と併せて、返って凄みを感じるものでした。是非、もっといろんな楽曲を聴いてみたい方です。

定期公演 2023-2024シーズンCプログラム
第2014回 定期公演 Cプログラム
2024年6月15日(土) 開演 2:00pm(休憩なし) [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

イベール/寄港地
ラヴェル/左手のためのピアノ協奏曲
ドビュッシー/夜想曲*

指揮:沖澤のどか
ピアノ:デニス・コジュヒン
女声合唱:東京混声合唱団*

Subscription Concerts 2023-2024Program C
No. 2014 Subscription (Program C)
Saturday, June 15, 2024 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Ibert / Escales (Ports of Call)
Ravel / Piano Concerto for the Left Hand
Debussy / Nocturnes*

Conductor: Nodoka Okisawa
Piano: Denis Kozhukhin
Female chorus: The Philharmonic Chorus of Tokyo*


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フライングシアター自由劇場第二回公演「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」@新宿村LIVE

2024-06-14 08:05:09 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

串田和美さんのシェイクスピア劇は、2019年に「テンペスト」を拝見して以来。

「夏の夜の夢」(以下、「夏夜夢」)を解体・再構成した作品とのことで、意味ありげな長いタイトルと相まって、どんな芝居が展開されるのかとっても楽しみだった。

ベースの筋立てや登場人物は原作と変わらないながら、全体としてはアレンジ度も強い。なので、「夏夜夢」としても楽しめるし、原作とは別物の芝居としても楽しめる、一粒で二度おいしい舞台ともいえる。

一番大きなアレンジは、劇の冒頭と最後に出てくる串田和美演じる旅人(パック?)がソフトボール大の球体を弄りながら、過去の森の中での球体との遭遇が語られる。球体のメタファーは何なのか?終始、観るものに考えさせる。これと言った答えを見つけるのは難しいが、過去から現在までの時間軸をつなげたり、夢の世界と現実の世界を結ぶものとしての、球体なのかと思ったりした(映画「2001年宇宙の旅」の冒頭に登場する黒い石板やハムレットが持つ球体を思い出した)。

これ以外にも、後半、壁が崩れるところもあるが、否が応でも、ベルリンの壁、現在のガザ地区とイスラエルとの壁を思い起こさせる。

8名で「夏夜夢」を演じてしまった役者さんたちのパワーあふれる体当たり演技が強烈だった。串田和美さんと前回ノゾエ版「マクベス」でマクベス夫人を演じた川上友里さん以外はお初の方々だったが、皆さん、セリフ回し、動きともにしっかりしていて安定した舞台であった。一人二役は珍しくないだろうが、一人三役も四役もこなしていて、運動量だけでも相当だと思う。

串田さんの演出のやり方なのかどうかわからないが、台本にないアドリブシーンと思わせるところもいくつかあった気がしたのだがどうだったのだろうか。場面により、一瞬、役者さんが怯むように感じられた一方で、それが舞台の緊張感を高めた印象があって、観劇していてライブ感が満載で楽しい。

舞台装置はシンプルで、舞台中央奥に4つの扉が置かれ、その扉での出入りで場を表す。ナチュラルで無理がない。一方で、全般に中心的な場となる「森」は、役者さんの動きによって表せられるのだが、「夏夜夢」が初めての人にはちょっとイメージつきにくいかも。背景や衣装も白を基調にしながらも、劇中劇の舞台だけは原色系の非常に派手な色合いで舞台映えした。

この舞台、この後、ルーマニアの演劇祭で披露されるという。国際的にどう評価されるのか、興味深い。上演時間は2時間弱。あっという間の舞台であった。

(余談いくつか)
・観客層:シェイクスピア劇は女性観客多いが、今回は特に多かった気がした。8割がたは女性で占められていたように見えた。通常の観劇聴衆と雰囲気が若干異なる叔母様がたがいらした気がしたのは、元宝塚の大空さん目当てなのだろうか(憶測です)。

・新宿村LIVE:初めて訪れたが特異なシアターである。丸ノ内線の西新宿から7分ほど歩いて、小さなビルの地下4階(もしかしたら3階?)にある。階段でひたすら降りたところに小劇場がある。こりゃ、歳取るとつらいなあとか、火事になったらアウトだなと思ったりしたが、まさにアングラ劇場だ。

・アフタートーク:初めてアフタートークなるものに参加。稽古で大変だったところ、苦労したところなどが、役者さんから直接語られて楽しめた。球体の意味するところも各役者さんによって理解が違っており、別に共通の認識をもってやって演じているわけではないということも知る。串田さんの演出も相当自由度が高いようで、舞台を思振り返って思い当たるところもあった。

公演       フライングシアター自由劇場第二回公演
「あの夏至の晩 生き残りのホモサピエンスは終わらない夢を見た」
原作       ウィリアム・シェイクスピア 「夏の夜の夢」
翻訳       松岡和子
脚色・演出・美術             串田和美
出演       大空ゆうひ 川上友里 皆本麻帆 小日向星一
串田十二夜 谷山知宏 島地保武 串田和美

日程       2024年6月6日(木)-6月12日(水)
会場       新宿村 LIVE

スタッフ
照明:齋藤茂男
音響:市來邦比古
映像:栗山聡之
衣装:原田夏おる
演出助手:荒井遼
舞台監督:福澤諭志
制作:梶原千晶 長谷川きなり ・ 串田明緖
宣伝絵画:平松麻
宣伝写真:串田明緖
宣伝デザイン:GRiD CO.,LTD.  
企画・製作:フライングシアター自由劇場
主催:(有)自由劇場


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