その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

東京マラソン2015 完走記 「めざせサブ4!」 (1/2)

2015-02-28 08:56:53 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)


【スタートまで】
 前夜の天気予報は午前中から午後にかけて雨。朝、5時15分に起床して、恐る恐る雨戸を開けると夜明け前の暗い中、軒からポッツン、ポッツンという音が聞こえ、濡れた車のボディに居間の灯が反射するのが見えた。「やっぱり、雨か・・・」と肩を落とし、ため息をつきながらも、気を取り直して、洗面・着替え・トイレ・朝食を予定通り済ませる。朝食は、餅を3つ焼いて味噌汁に入れた味噌餅に、バナナも一本食べて、エネルギー充填。「この3カ月間、この日のためにやるべきことはやった。あとは雨が降ろうと、風が吹こうとやり抜くだけ」と気合を入れ、小雨の中7時10分に家を出る。

 乗った電車の車両にランナーらしき人が一人も居なかったので、もしかして時間を間違えたかと心配になったが、初台駅で降りると、ランナーたちが続々とホームに降り会場のゲートに向かう姿が目に止まり、少し安心。今大会は、テロへの警戒から、スタートエリアに入るにも空港並みの持ち物検査とセキュリティゲートがある。ゲートをくぐると、まだスタートまでは1時間以上もあるというのに、エリアはランナーで溢れていた。


《入口でセキュリティゲート待ち》


《さすが東京マラソン。かわいい女子アナがTV取材中》

 荷物をトラックに預け、最後のトイレを済ませる。アミノバイタル・ゼリーを吸い飲み、バナナを一本頬張って、いよいよスタートエリアに突撃。まだスタートまで30分近くあるので、体を冷やさないようにストレッチをしながら時間がたつのを待つ。すると、突然、後ろから話しかけてくる人がいた。「この時は強い風と雨だったよな~」、英語だったので誰に話しかけているのか一瞬分からなかったが、どうやら相手の目は私のTシャツに向かっている。私が着ていた2009年のアテネクラシックマラソンのTシャツを見ながら、にこやかにスペイン系の顔付をした人が私に話しかけてきていた。「そうそう、ひどい天気だった。貴方もあの時に走ったの?」と返して始まった会話は、お互いのマラソン大会経験を語る思ってもみない会話に発展した。フランスのトゥールーズから来たという、見たとこ40歳位のフランス人の彼は、既に世界5大陸のマラソンを走破しているとのこと。

 そんな話をしていたら、更にベルギーから来たという女性も会話に加わってきた。「私は6大陸走っているわ」と。「世界、色んな所に行ったけど、東京の清潔さは驚いたわ(Amazing!)。人もとっても親切で、日本大好きになったわよ。でも、この大会の運営はまだまだ工夫の余地があるわ。トイレが込み過ぎ。運営はニューヨーク・シティ・マラソンが素晴らしいのよ。」だそうである。前日の朝日新聞の夕刊に、東京マラソンがずいぶん国際化したという記事があったが、まさか、こんなところで30分近くも英会話をするとは思ってみなかった。でも、おかけで退屈なスタート前の時間をリラックスして、楽しく過ごせた。空には雲が相変わらず立ち込めているけど、気持ち雨を含んだ暗い雲ではなくなってきた気がする。


《スタート25分前》


《スタート20分前》

【スタート~10キロ地点】
 車いすの部に続いて、いよいよ9時10分にスタートの号砲がなる。東京マラソンのスタートの演出は素晴らしい。男性合唱団のコーラスが流れる中、桜吹雪が一面に舞う。青空ならもっと美しいのだろうけど、曇り空でも十分に情緒的だ。さあ、4時間前後の自分との闘いの幕開けだ。「3か月の練習の成果をしっかり出して、石にかじりついてもサブ4達成!」と誓って、スタートのマットを力を込めて蹴った。ダービーを走る競走馬もゲートが開いたときにはこんなことを思っているに違いない。都庁通りを出て、新宿駅のガード下を通って、靖国通りに出る。左右前後から飛び交う歓声で、改めて自分が東京マラソンを走っているんだとの実感をしみじみと感じる。


《スタート!》


《新宿駅横を走り抜ける》

 どんなマラソン大会でもスタート直後というのはランナー渋滞で自分のペースがつかめずイライラするものだが、東京マラソンは違った。靖国通りを上下車線を通行止めにして、道路いっぱいでランナーが走れるようになっている。何とも壮観だ。1キロ地点のラップは5分35秒と目標の5分20~30秒に若干遅れたが、気にするほどではない。最初の5キロは緩い下りが続く。ここで調子の乗ってスピードを上げないことが大事。靖国通りから外堀通りに出て、飯田橋の手前で5k地点を過ぎる。手持ちの時計で27分30秒、計算通りだ。

 開放的で気持ちが良い外堀通りから、飯田橋駅を右に曲がり、靖国通りを横切って竹橋を通過。マイケルジャクソンが走っていて、思わずカメラを向けた。皇居の周回通りに出る。テストランの時は吹きさらしで、体が戻されるぐらいの強風に難儀したが、この日は全くの無風。雲にこそ覆われているが、何とラッキーなことだろうか。祝田橋に突き当たり、日比谷公園に出る。10キロ地点で、54分35秒。早すぎず、遅すぎず、最初の10キロはパーフェクト。早いかもしれないけど、最初のブドウ糖飴をウエスト・ポーチから取り出し口に入れた。


《この会話が耳に入ってきて、走りながら大笑い。
マイケル「yeah!」
隣のオレンジの親父「あんた、ちょっと目立ちすぎだよ。お蔭で俺が全然目立たないじゃないか」
マイケル「yeah!」》


《皇居横》

【10キロ~20キロ地点】
 次の10キロとなる日比谷から品川までの日比谷通り、第一京浜を走る往復は結構退屈だが、一定のペースを維持することだけを考えて、淡々と走った。この辺りは、オフィスも多いせいか、会社で集団で応援しているグループが多く目に入る。途中、なんと昨秋、NHK趣味Do楽 「3か月でフルマラソン めざせ!サブ4」で金先生のトレーニング生として出演されていた元プロボクシング世界チャンピョン内藤大助さんが居た。この間、揖斐川マラソン走ってたのに、またフルマラソン。すごい。


《中央が内藤さん》

 増上寺、芝公園を通過し、田町駅、泉岳寺を通って、15キロ地点通過。タイムは1時間22分台。よしよし好調持続。品川駅手前で最初の折り返し。給水所を何度か通るが、ここのお姉さんやお兄さんたちの明るい笑顔にはホント癒されるし、元気が出る。次の目標は20キロ地点。そこには家族がいる筈なので、まあ余裕綽綽のところを見せられるように走ろう。それにしても、外国人ランナーが多いわ。


《品川駅横、15キロちょっとの地点》


《ウオーター エンジェルズ》

(つづく)
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東京マラソンより帰還

2015-02-22 21:01:27 | 日記 (2012.8~)


 東京マラソン完走してきました!詳細は、また別にご報告しますが、雨の天気予報も外れ、気温も思ったほど上がらず、走るには最高のコンディションでした。そして、何よりもロンドンマラソンに勝るとも劣らない沿道の声援が背中を押してくれました。ここで記録が出なかったら、いつ出る?そんな環境です。

 そのおかげもあって、ネットタイムを自己新記録の3時間48分台でゴールすることができました。さらに嬉しいのは、グロスタイム(スタートの号砲が鳴ってからのタイム。私の場合はスタートラインをまたぐのはだいたい7~8分後)である公認記録でも4時間を切ることができ、名実ともにサブ4ランナーの仲間入りです。

 今回は自分としては、相当準備を重ねたつもりだったので、期するところが大いにあったのですが、それが結果として表れて嬉しさいっぱいです。

 詳細は次の機会に・・・。とりあえず、ご報告まで。
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東京マラソン 決戦前夜

2015-02-21 20:07:25 | 日記 (2012.8~)


 いよいよ明日に迫った東京マラソン。今日は東京ビッグサイトにゼッケンを取りに行ってきました。



 ゼッケン引き取りと同時開催されるマラソンEXPOがすごい人でびっくり。ロンドン在住時にロンドンマラソン、パリマラソン、アムステルダムマラソンなどのシティマラソンに参加してきましたが、EXPOの規模、派手さでは東京が間違いなく一番です。




《スポンサーの東京METROのポスター 堀北真希さんがさわやか》

 いろんな企画や展示がしてあり、歩いているだけで楽しいです。



 ほんとはじっくり時間をかけて情報収集したり、買い物したいところですが、明日の本番に備えて早めに切り上げました。

 天気予報が雨なのがちょっと心配ですが、3か月のトレーニングの成果を結果で出したいと思います。なんか大学受験生の試験前夜の気分。がんばるぞ~。
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ホイッスラー展 @横浜美術館

2015-02-19 22:34:09 | 美術展(2012.8~)


 横浜美術館で開催中のホイッスラー展にでかけました。ジェームズ・マクニール・ホイッスラーはアメリカ出身ですが、若き時に絵画の勉強でパリに渡り、その後ロンドンを中心に活動した画家です。晩年はイギリス美術家協会会長まで務めているので、英国の美術家と言っていいでしょう。先般読んだ高橋裕子著『イギリス美術』でも、ジョン・シンガー・サージェントとともに外国生まれで、イギリス美術に多大な影響を与えた画家として紹介されていました。

 展示は人物画、風景画、ジャポニズムと様式ごとに展示されています。私としては、これまで散発的に目にしたことはあっても、個展としてまとまって作品を鑑賞するのは初めてですし、どの作品も初見のものばかりだったので、食い入って見ました。油彩の他にも多くのエッヂングが展示されており、版画ならでは味わいが楽しめます。ジャポニズムのコーナーでは、構図やテーマで参考にされた浮世絵が併せて展示されており、その類似点も興味深かったです。

 個人的には《青と銀色のノクターン》や《ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ》が好み。タイトルに誘発されるのか、絵を見ていると脳裏に音楽が流れるようです。数年前は毎日眺めていたテムズ川の流れに懐かしさを感じるせいかもしれません。


《青と銀色のノクターン》


《ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ》

 週末でかつ会期も残り3週間を切ったせいか、開館時間直後から混み合っていました。昨年の「ラファエロ前派展」「ロイヤル・アカデミー展」など、最近は質の高い英国美術が楽しめる機会が多く、嬉しい限り。都内からは少し遠いですが、遠征する価値は十二分にある美術展でお勧めです。3月1日まで。

2015年2月11日訪問


《横浜美術館は初めてでした》


《久しぶりに中華街で食事》
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東京マラソン 本番一週間前の下見ラン

2015-02-17 01:35:37 | 日記 (2012.8~)
本番一週間前の下見ラン。今回は28k地点の浅草からゴールのビックサイトまでの14kを、ゴールイメージを描きながらゆっくりと走りました。銀座を経由して築地を過ぎると、ぐっと寂しくなりますね。一番つらい35k過ぎからがこの風景だと精神的にこたえそう。佃大橋などのアップダウンもあり、頑張りどころです。豊洲駅近辺は一時的に賑やかになりますが、最後の2kは相当辛くなりそうで、精神的タフさが求められます。


《雷門前からスタート》


《銀座通り。まだ10時半前なので人もまばら》


《歌舞伎座です》


《吹きっさらしの橋の上。眺めは良いのですが・・・》


《東京ビッグサイト。ゴール会場です》

この日も入れて2回テストランしてみて分かったのは、風が一番の大敵と言うこと。この日も体ごと飛ばされな風に何度もぶつかりました。レース当日は、上手く壁になってくれるような大男が近くに居れば良いのだけど・・・。

これでほぼ大会前の練習は終了。あとはしっかり体調を整え、3日前からのカーボンローディング(とは言ってもなんちゃってローディングですが・・・)に取り組むぐらい。この1週間は仕事が大変なのが分かっているので、何とか上手く凌ぎたいですが、思ったようにいくか・・・?

 帰りは滅多に乗らないゆりかもめで観光気分を。


《東京の冬の空は本当に綺麗です》


《ベイブリッジ》
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今週も痺れた・・・N響定期演奏会 Cプロ/ パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ ショスタコーヴィチ 交響曲 第5番 他

2015-02-15 17:03:15 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 自分の中では先週の興奮がまだ覚めやらぬ中でしたが、更なる高みを期待してNHKホールへ突撃。ヤルヴィさんの指揮に加え、この日は庄司紗矢香さんが登場するためか、チケットは1か月以上も前から売り切れ状態で、あの巨大ホールが満員です。

 その庄司紗矢香さんの独奏によるシベリウスのヴァイオリン協奏曲。庄司さんはN響デビューの時以来、(追いかけているわけでは無いですが)聴く機会が多く、昨年もロッテルダムフィルや都響との共演を聴いています。そして、この日の庄司さん、私には間違いなく今まで最高でした。赤の地に金の水玉のような柄の入ったドレスに身を包んだ庄司さんは、いつものとおりほっそりと華奢ですが、いざ弾き始めると燦然とオーラが湧きたちます。紡がれる音は、あの体格から出てくるとは思えないような芯のある骨太な音です。かと言って無骨ではない。繊細で、情感も籠っていて美しい。そんな音に身を浸す我々は何と幸せなことでしょうか。その求道者のごとく音を追及する姿を見て、私はMIDORI(五嶋みどり)さんに似てきているなあと感じました。着実に大きく成長されているのだと思います。

 そして、庄司さんを支えるN響の演奏がまた素晴らしかった。音を抑えるところは徹底的に抑え、爆発させるところは雄大に鳴らす。庄司さんとのバランスが絶妙です。こんなシベリウスのヴァイオリン協奏曲は欧州にいても滅多に聴けるものではありません。

 休憩後のショスタコーヴィチの交響曲第5番も前週のマーラーに勝るとも劣らず素晴らしいものでした。ヤルヴィさんの音楽は、柔と剛の使い分けがきわめて明確で、N響のハイレベルの演奏力がそれに応えます。聴衆として実に聴きごたえのある演奏です。特に、弦と木管のソロ陣の音の美しさが際だっていました。第3楽章の美しさなんぞは、もう涙です。ヤルヴィさんは、終演後は金管をまず立たせて賞賛していましたが、逆に私には金管は前週のマーラーの方が良く鳴っていたような気が・・・。

 前週のサプライズがあまりにも大きかったので、過去にないスーパーパフォーマンスにも少し慣れましたが、ヤルヴィ・N響の演奏は、この日も圧巻で、聴衆の拍手も先週に負けないものでした。この2回の演奏を聴いていると、このコンビはワールドメジャーオケと肩を並べるまで行くのではないかと期待が膨らみます。まあ、メジャーかどうかは私にはどうでも良いので、ただただより高いレベルに進化していくことが心底楽しみです。

 最後になりましたが、この日は長年コンサートマスターを務めてきた堀正文さんと第2ヴァイオリンの主席の永峰高志さんがご定年で最後の定演出演。終演後に大きな花束の贈呈がありました。私も、なんだかんだでN響とのお付き合いも長くなりましたので、このお二方が去られるのは感慨がひとしおです。お疲れ様でした。



《先週とは打って変わった冬晴れ》


《お疲れ様でした!》


《庄司さんのアンコール曲。弓を使わないピッチカートの曲です》


第1803回 定期公演 Cプログラム
2015年2月14日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

シベリウス/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 作品47
ショスタコーヴィチ/交響曲 第5番 ニ短調 作品47

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:庄司紗矢香

No.1803 Subscription (Program C)
Saturday, February 14, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Sibelius / Violin Concerto d minor op.47
Shostakovich / Symphony No.5 d minor op.47

Paavo Järvi, conductor
Sayaka Shoji, violin
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エリック・シュミット (著),ジャレッド・コーエン (著) 『第五の権力---Googleには見えている未来』

2015-02-14 10:15:33 | 


 原題はTHE NEW DIGITAL AGE。デジタル技術、そしてそれにより実現するコネクティビティや仮想世界が現実世界をどう変えていくのか。国家、革命、テロリズム、戦争はどう変わるのかを論じる。グーグルの元CEOエリック・シュミット氏が共著者であることもあり手に取ってみた。

 残念ながら、私にはピンとこない一冊だった。「最終章 私たちの結論」で結論付けられるのは、「技術はそれ自体では、諸悪を解決する万能薬にはならないが、賢明に利用すれば大きな違いを生む」、「仮想社会は既存の世界秩序を覆したり、組み替えたりすることはないが、現実世界でのあらゆる動きを複雑にしていく」、「国家は、それぞれにとって自由度の高い世界ー個人は仮想世界、国家は現実世界ーでの活動を好むようになり、インターネットが続く限り、両者の緊張関係は続く」、「コネクティビティと携帯電話で、市民はかつてない大きな力を手に入れるが、プライバシー・セキュリティといった代償も伴う」といった、特に新しいとは思えない考察ばかりだ。エッヂが立っておらず、全然、グーグルっぽくない。

 アマゾンのレビューではそれなりの高評価を得ているようなので、私と合わないだけなのかもしれないが、最近、読書に費やす時間が限られているだけに、こうした「ハズレ」本に会うと、がっかり度がさらに高まってしまう。

 
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これから凄いことになるかも・・・N響定期演奏会 Aプロ/ パーヴォ・ヤルヴィ指揮/ マーラー交響曲第1番 他

2015-02-09 23:52:32 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)
 次期常任指揮者のヤルヴィさんとニュー・ボスを迎えるN響が、お互いに意識し合った、すさまじい緊張感があふれる公演でした。自宅に辿り着くまで全くの興奮状態で、胸の鼓動が収まりませんでした。私もかれこれN響の演奏会に出かけ始めてうん十年になりますが、これほどのマーラー交響曲一番を聴いたのは初めてと断言できますし、昨日はいつもとも全く違った次元にN響はいました。

 昨年12月にヤルヴィさんがドイツ・カンマ―フィルを振った時に、初めて実演に接したのですが、カンマ―フィルの熱い演奏に感動するとともに、果たしてN響との相性はどうなるのか一抹の不安を覚えました。しかし、それはど素人の杞憂だったようです。N響とは10年ぶりの指揮ということですが、N響が持つ実力と情熱をここまで引き出すことができるのですから、この9月に常任指揮者になった以降、どんな変化がN響に起こるのでしょうか?

 3階席から一望するN響メンバーの姿勢や動きは、普段の定期演奏会の残像とは全く違うものでした。失礼ながら、Jリーグの試合に目が慣れた私が、初めてイングランドでプレミアリーグの試合を見たときぐらいの驚きがありました。前のめりの姿勢、調和も大切にしつつもリスクを取って鳴らそうとする気持ち、指揮者に対する集中力、美しい音・アンサンブルはいつもと同じながら、その音には明確な意志が感じられました。これから新たなステージに飛躍するN響を大いに予感させるもので、聴衆からの過去に聞いたことのないような大拍手が何よりも皆の思いの代弁です。

言いたいことは以上なのですが、備忘録的に付記すると、マーラー交響曲1番では、ヤルヴィさんはテンポ、強弱共にアクセントをしっかつつけ、音楽がメリハリ良く見通しの良い音楽作りでした。爽やかで情熱的、若きマーラーを思い起こさせる実に気持ちの良い音楽です。N響は弦・管共にヤルヴィさんのリクエストにしっかり応えた演奏でした。

 また前半のエルガーのチェロ協奏曲も良かったです。チェロ独奏のアリサ・ワイラースタインさんは、非常に暖かく包み込むような音。3階席からは音量はちょっと物足りないところもありましたが、美しい響きに安心して身を委ねることができます。N響とのコラボレーションの良さも光っていました。それなりの大編成オケだったのですが、大きく鳴らすことはせず、チェロとのバランスがとても心地よかった。

 演奏への衝撃と酔い、そしてこれからN響の「変化」への楽しみが掛け合わさって、春めいたウキウキ気分でNHKホールを後にすることができました。間違いなく私の記憶に残る公演になるでしょう。



《開演前は冷たい雨》


《この日はゲストコンマス》


《ワイラースタインさんのアンコール曲》



第1802回 定期公演 Aプログラム
2015年2月8日(日) 開場 2:00pm 開演 3:00pm

NHKホール

エルガー/チェロ協奏曲 ホ短調 作品85
マーラー/交響曲 第1番 ニ長調「巨人」

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
チェロ:アリサ・ワイラースタイン

No.1802 Subscription (Program A)
Sunday, February 8, 2015 3:00p.m. (doors open at 2:00p.m.)

NHK Hall

Elgar / Cello Concerto e minor op.85
Mahler / Symphony No.1 D major “Titan”

Paavo Järvi, conductor
Alisa Weilerstein, cello
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アシックス GELFEATHER GLIDE 2 WIDE

2015-02-07 16:44:04 | 日記 (2012.8~)


 あと2週間に迫った東京マラソンのために、この冬買い換えたアシックス社のランニングシューズGELFEATHER GLIDE 2 WIDEです(写真手前)。

 ほぼ1年前に買った旧モデル(写真奥)は、サイズが思いのほか窮屈だったのと、さほど走りこんでいるわけではないと思うのですが、親指の下あたりのソールが擦り切れて第2層が出てきたので、1年で泣く泣くお役御免となりました。耐久性という点では、以前履いていたGEL-NIMBUS、GT-2000NewYorkとかの初級者モデルの方がずっと良いのですが、しっかりできている分どうしても重めになります。それでGELFEATHER GLIDEシリーズに代えてみたのですが、1年で交代とは意外でした。私の走り方が悪いのかな?

 今回はサイズを0.5cm大きいものを購入しました。練習で計100キロぐらい履いてますが、足にしっかりフィットしてます。これで自己新を目指します。

 

 
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東京マラソン トライアルラン

2015-02-05 22:27:12 | 日記 (2012.8~)
 2月22日の東京マラソンまでいよいよ3週間を切り、事前準備も調整期に入ろうとしている。今回のレースは、個人的に期すところがあり、過去にないほどトレーニングを積んでいる。真面目なランナーには笑われてしまうような内容であるが、12月、1月は月間総走行距離は160kを超えたし、何よりウーイクデーも1日だが必ず5-8km走っている。おかげで、もともと贅肉はあまりついてないほうだが、この2ヶ月で体重は2kg減り、グランドを走り回っていた高校時代の体重まで落ちた。周りからは、病気ではないかと冗談交じりに言われる始末である。

 結果がどこまで着いてくるかは当日のお楽しみだが、先週の日曜日にコースの試走をした。さすがに42kは練習には長すぎるので、新宿~飯田橋~竹橋~日比谷~品川(折り返し)~銀座~日本橋~浅草(折り返し)~日本橋の約32㎞を3時間かけて走ってみた。天気も良かったので、気分も良い。


《品川を折り返し、田町付近。実は道を間違えてしまった》

いくつかの気づきは・・・
・当日の天気のせいかもしれないが、風が強かった。新宿エリアのビル風、皇居の周辺の吹きっさらしなど、風に戻されるような感覚も。これはある程度覚悟しないといけなさそうだ。
・当日のスタート時間よりも1時間ほど早くスタートしたのだが、新宿エリアはビルの陰になって殆ど日が当たらないので滅法寒い。防寒要。
・新宿~飯田橋は、緩い下り坂が続くので注意要。ここで調子に乗っちゃうと、きっと後半持たなくなりそう。コントロールしないと。
・東京の地理がわかっているだけに、自分の感覚距離と実際の距離感覚が違うのに戸惑う。実際の距離は日比谷~品川往復で10kだが、自分の感覚距離ではもう少し遠い気がしていて、日比谷の10k地点で「これから品川まで往復してもまだハーフかあ~」という感覚は精神的にちょっとダメージ。


《浅草、雷門。28k地点ぐらいだけど、このあたりからがホントの後半戦》


《浅草からスカイツリーを望む。空の青さが眩しいぐらい》

 32k以降のラスト10kのテストランは来週を予定。終盤である上に、コース的にもアップダウンが重なるので、ここが一番苦しいはず。ここを乗り切れば、4時間切りが現実的なものになりそうだ。健康管理に気を付けて、なんとかして自己ベストをもぎ取りたい。
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