喬太郎師匠目当てで、久しぶりに渋谷らくごへ。似たような人が多いらしく、会場は私には過去経験無いチケット完売の満員。整理番号順に入場が許される。開演前から熱気で満々だった。
開口一番は二つ目春風亭朝枝さんの鈴ヶ森。面長の菊之丞さんに似た雰囲気。落語も端正で正統派。今後、期待です。
続いて登場したのは二つ目の桂伸べえさん。こちらは変化球系。演目は〈広末写真集〉という新作もの。まくらでは、滑舌がもう一つでハラハラさせられたが、本題に入ると、慣れた演目なのか、のびのびと話していた。広末涼子の写真集を買った中学生とその友人や家族とのやり取りが描かれる。私の好みとしては、微妙。
休憩挟んで、真打ちの歓之介師匠が登場。今年4月下席の浅草演芸ホールで主任を務めてらした時に聞いて以来。演目は〈竹の水仙〉。さすがの真打ちの貫禄で、二つ目さんたちとは、一味もふた味も違う安定した話芸を披露頂いた。
そしていよいよ喬太郎師匠の登場。どんなまくらから入るのかと思って、固唾を飲んで見守っていたら、着座と同時に本題が始まった。いきなりで面食らったが、そんな驚きもあっという間に置き去りにして、話の世界にぐぐっと引き込む師匠の迫力が凄い。
初めて聞くシリアスな駆け落ち逃避行の物語。登場人物毎に表情ががらっと変わる。小さなユーロスペース、それも前列3列目に座っていたので目をそらす間も与えてくれない。緊張感溢れる話に没入した30分だった。
話が終わり師匠から噺の一言紹介が。円朝師匠作の「品川発廿三時廿七分」で、前後にも話がついているようだ。期待とは違った展開ではあったが、喬太郎師匠の力を見せつけられた演目であった。
渋谷らくご3日目
10月13日(日)17:00-19:00
「渋谷らくご」
春風亭朝枝-鈴ヶ森
桂伸べえ-広末写真集
柳家勧之助-竹の水仙
柳家喬太郎-品川発廿三時廿七分
大入り満員