※冒頭写真は6月28日版Times紙より拝借
先週土曜日、初めてウインブルドンへテニス(正式名は、「全英ローンテニス選手権大会」)を見に行った。これもロンドンに居るからには、一度は行ってみたいと思っていたイベントである。
チケットを持っているわけではない。当日券を求めて並ぶのである。
会社の同僚5名で、ウインブルドン駅に朝の6時15分集合。同僚の一人の昨年の反省に基づいた時間設定だ。彼は、昨年、9時頃会場に着いたら、結局、入場できたのは午後4時だったという。6時の集合で、果たして何時に入場できるのだろうか?(自宅を出たのは、4時50分。ナイトバスと地下鉄を乗り継いでの到着である)
同僚の一人が、ナイトバスのハプニング(良くある、来る筈のバスが来なかったという類のもの)で集合時間を20分近く遅れてウインブルドン駅を出発。遅れを取り戻すべく、タクシーに乗って、当日券購入者の待合場所へ急行。7時ごろ到着。
待合場所は、サッカーグラウンドが3-4面分はあるかと思われる広場だった。開門10時半、各コートでの試合開始は12時からなのだが、この待機広場についた時には、既に広場一杯に人が並んでいた。そして、ぼんやり見ている間に、どんどん行列が伸びていく。「集合の20分遅れが、入場の何時間の待ちに匹敵したか!?」とケチな考えか、一瞬頭をよぎったが、もう、何を言ってもしょうがない。並ぶしかないのである。
「これが、ウインブルドン名物のキュー(行列)か~。」と驚くやら、あきれるやら。急いで、行列の最後尾を探し出し、並ぶ。直ぐに、係のお姉さんが整理券を配りに来てくれた。整理番号は、なんと6070番台。人生、そこそこ歳を重ねてきたが、6000人の行列に並ぶのは、初めてである。「6070番目の私は、一体、何時に入場できるのだろうか?」と一瞬自問する。到達点の見えない待ちは、なんとも不安だ。
(キューの最後尾を表す目印)
(キュー・カード(整理券))
救いは、一人でないことだ。同僚たちと、持参した花見用のビニールシートをひいて、腰を落ち着けることにした。あっという間に、我々の後ろにも長々と行列がどんどん延びていく。周りは、おしゃべりに花を咲かせる人、横になって寝ている人、本を読む人、思い思いに時間を潰している。並んで、待つこと自体を楽しんでいるようにも見える。もちろん、横入りしたりするような人もいない。この風景はなんともイギリス的だ。美点と言えるかどうかはわからないが、行列を楽しむことにかけてはイギリス人にかなう国民はいないだろう。
(「日焼けしますよ」)
並んでいる間に、係のおねいさんがガイドブックを無料で配っていた。「時間はたっぷりあるから、その間に、選手の経歴でも眺めているか」と思って、手に取ってみたら愕然とした。タイトルは ”A GUIDE TO QUEUEING FOR THE CHAMPIONSHIPS” (選手権観戦のための行列案内)。並び方、快適な過ごし方、チケットの購入方法などなど、並ぶためのガイドブックなのである。「ここまでやるか~。負けました。」
我々も覚悟を決めて、おしゃべりに花を咲かせる。ただ1時間半も話すと、ネタも段々途切れてくる。今度は気の効いた同僚が持参したカードゲームに移行。これがとても面白く、あっという間に11時近くまで時間が経過した。しかし、それにしても天気がいい。というか、良すぎる。陽射しがまぶしく、気温がどんどん上がっていくのが分かる。
10時半の開門時間を皮切りに、段々と徐々に行列が動き始めた。「この動きが止まらないでくれ~」と天にも祈る気持ちと言うのは、こういう心理状態を言うのだろう。係のおばさんが、「8000番ぐらいまでは12時までには入れるのでは?」と見込みを教えてくれた。
その言葉通りに、12時ちょい前にセキュリティゲートでセキュリティチェックを受け、やっとの思いで切符売り場にたどり着く。チケット(£20)を買う。いよいよ、テニスの聖地、ウインブルドンへ入場である。
(念願のチケット)
2010年6月26日 行列
(つづく)
先週土曜日、初めてウインブルドンへテニス(正式名は、「全英ローンテニス選手権大会」)を見に行った。これもロンドンに居るからには、一度は行ってみたいと思っていたイベントである。
チケットを持っているわけではない。当日券を求めて並ぶのである。
会社の同僚5名で、ウインブルドン駅に朝の6時15分集合。同僚の一人の昨年の反省に基づいた時間設定だ。彼は、昨年、9時頃会場に着いたら、結局、入場できたのは午後4時だったという。6時の集合で、果たして何時に入場できるのだろうか?(自宅を出たのは、4時50分。ナイトバスと地下鉄を乗り継いでの到着である)
同僚の一人が、ナイトバスのハプニング(良くある、来る筈のバスが来なかったという類のもの)で集合時間を20分近く遅れてウインブルドン駅を出発。遅れを取り戻すべく、タクシーに乗って、当日券購入者の待合場所へ急行。7時ごろ到着。
待合場所は、サッカーグラウンドが3-4面分はあるかと思われる広場だった。開門10時半、各コートでの試合開始は12時からなのだが、この待機広場についた時には、既に広場一杯に人が並んでいた。そして、ぼんやり見ている間に、どんどん行列が伸びていく。「集合の20分遅れが、入場の何時間の待ちに匹敵したか!?」とケチな考えか、一瞬頭をよぎったが、もう、何を言ってもしょうがない。並ぶしかないのである。
「これが、ウインブルドン名物のキュー(行列)か~。」と驚くやら、あきれるやら。急いで、行列の最後尾を探し出し、並ぶ。直ぐに、係のお姉さんが整理券を配りに来てくれた。整理番号は、なんと6070番台。人生、そこそこ歳を重ねてきたが、6000人の行列に並ぶのは、初めてである。「6070番目の私は、一体、何時に入場できるのだろうか?」と一瞬自問する。到達点の見えない待ちは、なんとも不安だ。
(キューの最後尾を表す目印)
(キュー・カード(整理券))
救いは、一人でないことだ。同僚たちと、持参した花見用のビニールシートをひいて、腰を落ち着けることにした。あっという間に、我々の後ろにも長々と行列がどんどん延びていく。周りは、おしゃべりに花を咲かせる人、横になって寝ている人、本を読む人、思い思いに時間を潰している。並んで、待つこと自体を楽しんでいるようにも見える。もちろん、横入りしたりするような人もいない。この風景はなんともイギリス的だ。美点と言えるかどうかはわからないが、行列を楽しむことにかけてはイギリス人にかなう国民はいないだろう。
(「日焼けしますよ」)
並んでいる間に、係のおねいさんがガイドブックを無料で配っていた。「時間はたっぷりあるから、その間に、選手の経歴でも眺めているか」と思って、手に取ってみたら愕然とした。タイトルは ”A GUIDE TO QUEUEING FOR THE CHAMPIONSHIPS” (選手権観戦のための行列案内)。並び方、快適な過ごし方、チケットの購入方法などなど、並ぶためのガイドブックなのである。「ここまでやるか~。負けました。」
我々も覚悟を決めて、おしゃべりに花を咲かせる。ただ1時間半も話すと、ネタも段々途切れてくる。今度は気の効いた同僚が持参したカードゲームに移行。これがとても面白く、あっという間に11時近くまで時間が経過した。しかし、それにしても天気がいい。というか、良すぎる。陽射しがまぶしく、気温がどんどん上がっていくのが分かる。
10時半の開門時間を皮切りに、段々と徐々に行列が動き始めた。「この動きが止まらないでくれ~」と天にも祈る気持ちと言うのは、こういう心理状態を言うのだろう。係のおばさんが、「8000番ぐらいまでは12時までには入れるのでは?」と見込みを教えてくれた。
その言葉通りに、12時ちょい前にセキュリティゲートでセキュリティチェックを受け、やっとの思いで切符売り場にたどり着く。チケット(£20)を買う。いよいよ、テニスの聖地、ウインブルドンへ入場である。
(念願のチケット)
2010年6月26日 行列
(つづく)