その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新潟弾丸出張

2023-01-31 07:30:38 | 日記 (2012.8~)

先週からの全国的な寒波到来前、日帰りの弾丸出張で新潟に行きました。

今年は雪が少ないのか、越後湯沢あたりでも積もっていますが、雪に覆われたという感じはあまりしませんでした。珍しく天気も良く、パソコン開けて業務しながら、時折視線を向ける車窓からの風景は美しいものでした。新潟市内も拍子抜けするほど雪は全くなしです。

ビジネスパートナーのお客様を3社訪問。ミッション完了後、地元のへぎそば(フノリという海藻をつなぎに使ったそば)を頂きました。ツルツルとした独特の食感が良しです。


<蕎麦が青みかかってます>

復路の新幹線まで多少の時間があり、お客様から勧められた新潟駅隣接の「ぽんしゅ館」に立ち寄りました。新潟の蔵元から、代表的な日本酒が100近く揃って、お猪口単位で利き酒ができるコーナーです。10年近く前に越後湯沢駅にあるぽんしゅ館を訪れたことがありますが、それ以来でした。

加齢とともに、お酒の嗜好が日本酒に寄ってきた今日この頃。少しづつ多種多様な日本酒を賞味できるということで、自然と顔がほころびます。新潟のお酒というと、さっぱりした辛口のお酒のイメージですが、いろいろですね。ガイドとして、お好みに合わせたおススメ銘柄のペーパーもおいてあり、参考になります。私は、ワイン酵母を使ったというお酒が珍しく、吞み口も良いので気に入りました。ワインのようなさわやかさと日本酒ならではのお米の風味が組み合わせされて、絶妙な口当たりでした。


<利き酒の参考資料に>

初めて足を踏んだ新潟市。3時間ちょっとの滞在でしたが、一度プライベートでゆっくり訪れたい街です。

2023年1月19日

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変幻自在! ソヒエフ/N響: ドビュッシー 交響詩「海」ほか

2023-01-28 08:11:10 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

2023年1月のソヒエフ/N響定期シリーズの最終回。ドイツもの、ロシアものと続いたプログラムは今回は東欧+フランス系。ソヒエフさんのレパートリーの広さを感じますが、フランスのオーケストラのシェフも務めたソヒエフさんのフランスものを据えた今回は、個人的には一番楽しみにしていたプログラムです。

そして、期待通りと言うか、期待を上回る「ダフニスとクロエ」と「海」でした。ソヒエフさんが創る音は実に多彩でぴちぴち。生きているという表現がぴったり。眩かったり、飛び跳ねてたり、うねったり、どこでどういう変化をするのか耳をダンボにして聴きました。各楽器の音の個々の主張と管弦楽全体のバランスが抜群で、オーケストラの醍醐味を体全体でも受け止めます。「ダフニスとクロエ」では、艶めかしい色気までを感じるほどでした。

P席からソヒエフさんの指揮ぶりをガン見しながら、この豊かな表現はこの指揮のどこから来るのか驚嘆の思いでした。そして、それに応えるN響の各奏者も素晴らしい。とりわけこの日はフルートの甲斐さんの活躍はひときわでした。

冒頭のバルトーク/ヴィオラ協奏曲は全く初めて聞く楽曲。音楽自体は私にはちょっとつかみどころが分からないまま進んでしまった感がありましたが、アミハイ・グロスさんの多彩なヴィオラの音に魅せられました。第3楽章の委嘱者の出身地を意識したであろうというバグタイプ風のエピソード(プログラムノートより)など、パーツパーツでぐぐっと引き込まれるところもありました。

珍しかったのは、アンコールでのN響ヴィオラ首席佐々木さんを誘ってのデュオ。こちらも全く初めて耳にする音楽でしたが、名手2人が揃ってのヴィオラのデリケートな音色を楽しみました。

1月の定期はA,B,Cすべてのプログラムが出色の出来。2023年の音楽鑑賞は最高の出だしとなりました。


〈甲斐さんを伴っての一般参賀〉

第1976回 定期公演 Bプログラム
2023年1月26日(木) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]
サントリーホール

曲目
バルトーク/ヴィオラ協奏曲(シェルイ版)
ラヴェル/「ダフニスとクロエ」組曲 第1番、第2番
ドビュッシー/交響詩「海」

[アンコール曲]
1/25:バルトーク(ペーテル・バルトーク編)/44のヴァイオリン二重奏曲(ヴィオラ版)―第37番「プレリュードとカノン」
(ヴィオラ/アミハイ・グロス 、佐々木亮)

指揮:トゥガン・ソヒエフ
ヴィオラ:アミハイ・グロス

No. 1976 Subscription (Program B)
Thursday, January 26, 2023 7:00pm [ 6:20pm ]
Suntory Hall

Program
Bartók / Viola Concerto (Serly Version)
Ravel / Daphnis et Chloé, suite Nos. 1 & 2
Debussy / La mer, three symphonic sketches

Conductor: Tugan Sokhiev
Viola: Amihai Grosz

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本・図書館Loverは是非!:中島京子『夢見る帝国図書館』文藝春秋、2019

2023-01-23 07:30:18 | 

作者と登場人物たちの本や図書館に対する愛がひしひしと伝わってくる物語です。きっと読者も本好きであることは間違いないでしょうから、この本のあるところに、三者三様の本好きが醸し出す暖かく幸せな時空間が形成されていることが想像されます。

登場人物それぞれの個性的なキャラクターが、魅力的に描かれ、親近感も湧きます。淡々としてはいるが丁寧な表現が、読む人なりに、しんみり、ハラハラ、どきどきの起伏が味わえると思います。

喜和子さんの一生を巡る物語と明治以降の帝国図書館の歴史物語が相互に語られ、近代文学史の一面を伝えられます。織りなす人の物語として文学史にも血が通います。

前知識が無かった帝国図書館史の追っかけは「そんなことがあったのか~」とお勉強と驚きの両方が味わえますし、謎めいた喜和子さんの前半生が解明されていくストーリー展開は計算されていて、読み始めるとなかなか本を置くことが難しいです。

お勧めしたい一冊です。

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季節感どんぴしゃ トゥガン・ソヒエフ/N響 チャイコフスキー交響曲第1番「冬の日の幻想」ほか

2023-01-21 18:01:32 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

ソヒエフさん/N響の第2弾。ラフマニノフ、チャイコフスキーというロシアものプログラム。しかも、大作曲家たちの20代の作品ということで、期待大です。

ただ1曲目は冬の演奏会の罠に嵌ってしまいました。ホール入りが開演10分前になってしまったため、冷えた体が徐々に暖まってきて、5分と持たず意識喪失。終盤、我に返りましたが、ごめんなさいとなりました。

気合を入れなおして臨んだ2曲目のチャイコフスキー交響曲第1番。実演に接するのは(記憶が正しければ)2回目。いろんな表情があって、いい音楽・いい演奏だなあとしみじみと思わせてくれるものでした。情感豊かだったり、煌びやかだったり、美しく耳に優しいメロディとともに多彩に変化する音楽、演奏が聴いていて実に楽しいです。

冷たい空気を切りながら冬枯れした代々木公園を早歩きしてきた私には、「冬の日の幻想」という標題がこの日にぴったりとマッチしてるように感じられました。東京の冬とは似ても似つかぬ冬でしょうが、前半はロシアの冬を舞台としたオペラを観ているような気がしました。

第2楽章の吉村さんのオーボエや今井さんのホルンなどはもう惚れ惚れでした。

ソヒエフさんとN響とっても良い関係性がステージから観客席にも伝播してくるようです。楽員さんたちが普段以上にアクティブに指揮者に応えようとする雰囲気が感じられます。聴いて、観ている聴衆としても嬉しいですし、こうした気を感じるのが生コンサートの醍醐味ですね。

来週のBプロも楽しみです。

第1975回 定期公演 Cプログラム
2023年1月21日 (土) 開演 2:00pm(休憩なし)

NHKホール

曲目
ラフマニノフ/幻想曲「岩」作品7
チャイコフスキー/交響曲 第1番 ト短調 作品13「冬の日の幻想」

指揮 : トゥガン・ソヒエフ

No. 1975 Subscription (Program C)
Saturday, January 21, 2023 2:00pm [ 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Rakhmaninov / The Rock, fantasy, Op. 7
Tchaikovsky / Symphony No. 1 G Minor Op. 13, Winter Dreams

Conductor
Tugan Sokhiev

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美術展 「パリ・オペラ座ー響き合う芸術の殿堂」 @アーティゾン美術館

2023-01-19 07:18:24 | 美術展(2012.8~)

パリのオペラ座をテーマに17世紀から現代に至るまでのオペラ座の歴史、芸術、関連する社会史を紹介した企画展です。

質量ともに充実した展示で、普通に鑑賞するだけで優に1時間半はかかります。各エリアでのパネル解説文もしっかり書きこまれていて、読むだけでオペラ座通になれるのではと思うほど。展示品も絵画、下絵、設計図、模型、楽譜や小道具、衣装の実物など美術展というより総合博物展の風です。欧州の芸術史を学ぶ人には絶好のケーススタディになる展示です。

どれも興味深い内容なのですが、私には「グランド・オペラ」を中心するフランスオペラの変遷やオペラにも影響を及ぼしたジャポニズム、社交場としてのオペラ座の位置づけなどなどが興味を引きました。うろ覚えでしたが、以前読んだ岡田暁生氏の『オペラの運命』(中公新書)で学んだ所を思い出すところもあって、再読してから行けばよかったと少し後悔。

(帰宅後、パラパラと読み返してみたら、パリは「19世紀オペラ史の首都」であり、「近代市民社会におけるオペラのありようについての決定的なモデルを示したのがパリであった」として、「第三章 グランドオペラ、または、ブルジョアたちのヴェルサイユ」において一章を使ってパリのオペラを巡る状況について、詳しく解説してくれていました。「読んでから行くか、行ってから読むか」、お好みで。)


〈ジャポニズムの影響がみられるオペラ「夢」のポスター>

時代を追うだけでなくて、画家、台本作家、音楽家、舞台装置担当、演出家、等の役割の視点で展示が構成されているのも面白いです。終盤に、現在のバスティーユでのオペラ座上演の映像を流していましたが、〈コジ・ファン・トゥッテ〉や〈椿姫〉のような古典的オペラの定番も、かなり奇抜な現代的な演出が施されており、伝統と今がつながる感覚も味わえます。

バレエ関連の展示も多いためか女性の鑑賞者が通常の美術展より圧倒的に多い印象でした。新装オープンして初めて訪れたアーティゾン美術館もゆったりとした空間と展示でとっても落ち着いて鑑賞できます。2月5日まで開催。お勧めです。

 

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演奏会初めに相応しい! ソヒエフ/N響 ベートーヴェン交響曲第4番ほか 

2023-01-15 20:45:04 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

2023年演奏会初めです。1月は3年ぶりにソヒエフさんを迎え、A、B、C夫々の充実のプログラムです。まずはAプロでブラームス、ベートーヴェンという王道ものでスタート。

前半のブラームスのピアノ協奏曲第2番。独奏の30歳代前半のハオチェン・チャンを聴くのは初めてです。チャンのストレートで、気取りの無いピアノが私には好感度高かったです。安定して、余裕さえ感じる演奏姿も、世界で活躍する若手ピアニストの明るい将来を感じさせてくれました。

ソヒエフとN響の演奏も素晴らしい。前半の第1,2楽章は重厚なアンサンブルがピアノとうまく組み合わされて、いかにもブラームス的な響きを楽しみました。第3楽章はチェロの藤森さんの音色が哀愁帯びてうっとり。第4楽章は明るく軽快なピアノの演奏がオケともぴったり息が合って、交響曲のような大協奏曲がしっかりと締まりました。オーボエには吉井瑞穂さんが客演していて、存在感発揮していました。

アンコールはドビュッシーから前奏曲集 第1巻 ー 第8曲「亜麻色の髪の乙女」。朝露が葉から滴り落ちるようなしっとりした小品は大曲のあとのデザートにぴったり。口の中で爽やかに広がるマスカットのシャーベットのような後味でした。

後半のベートーヴェン交響曲第4番は、最後に生で聴いたのがいつかも思い出せないぐらい、久しぶりです。いや~、この交響曲、いいですね。プログラムノートには「闇が厳然と存在するがゆえの光の世界への希求が、この曲の全てを貫いている」と解説され、まさにその通りと思うのですが、今日のソヒエフ/N響の演奏は、この「光」の部分が眩しいぐらいにキラキラ輝いていました。ファゴット、クラリネットの木管陣を筆頭に、個人技とアンサンブルがしっかり噛み合って、切れがあって凝縮された演奏にグイグイと引き込まれました。新年の演奏会初めにこれほど相応しい曲があるのかと思った程です。終演後、晴れ晴れとした気持ちで大きな拍手を送りました。

N響のニュースリリースで発表されていましたが、第1コンサートマスターのマロさんが今月で退任し、4月から新たに「特別コンサートマスター」に就任するとのこと。同じくアシスタントが取れて、4月からゲスト・コンサートマスターに就任する郷古さんから花束を贈呈され、会場からも大きな労いの拍手が飛びました。私は、正月ボケか、この日スマートフォンを忘れてしまったので、この大事なシャッターチャンスを逃してしまい、残念至極。4月からも「特別」として来ていただけるようなので、引き続きよろしくお願いいたします。

 

第1974回 定期公演 Aプログラム
2023年1月15日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]
NHKホール

曲目
ブラームス/ピアノ協奏曲 第2番 変ロ長調 作品83
ベートーヴェン/交響曲 第4番 変ロ長調 作品60

出演者
指揮:トゥガン・ソヒエフ
ピアノ:ハオチェン・チャン

No. 1974 Subscription (Program A)
Sunday, January 15, 2023 2:00pm [ 1:00pm ]
NHK Hall

Program
Brahms / Piano Concerto No. 2 B-flat Major Op. 83
Beethoven / Symphony No. 4 B-flat Major Op. 60

Artists
Conductor: Tugan Sokhiev
Piano: Haochen Zhang

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須田努, 清水克行『現在を生きる日本史』(岩波現代文庫、2022)

2023-01-12 07:30:36 | 

年末年始の読書第3弾(最後)。図書館の新刊本コーナーで見つけた本でしたが、読み始めたら私の嗜好にジャストミートだったので本屋さんでも購入しました。

通史的な叙述とは異なり、縄文から現代までの各時代毎にテーマ(論点)設定がされ、テーマを通じて各時代の一面を理解するというアプローチ。大学の教養課程の日本史が書籍化されたようです。各章のテーマの掘り下げが適切な量と質で、アカデミックでない私のような単なる歴史好きにぴったりでした。

章立ては下記の目次をご覧いただければと思いますが、テーマがどれも興味を惹かれます。特に個人的に刺さったテーマは、大和撫子とは正反対の「平安時代の女性像」(第2講)、昨年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でも描かれたリアル「鎌倉時代の武士像」(第3講)、「士農工商」間の身分間アップ&ダウン(第7講)、「経済格差と私慾の広がり」で幕府の支配が揺らいでいったプロセス(第9講)、沖縄史を通じて平和の内実を考える切り口(第13講)など。全ての講義を通じてではないですが、現代との連続性を感じるテーマが多く、タイトルともマッチします。

掘り下げのネタとなる史料や史跡も、私個人の好みや馴染みあるところも多く、身近に感じられました。戦国時代の領主と民衆の関係性は、訪れたことものある八王子城とその支配領域が取り上げられました(第5講)。また、土地勘がある山梨県での事件であった甲州騒動や居住歴もある東京多摩地域を中心に新選組幹部達が生まれ育った背景などは風土感覚もあるのでリアリティ持って読み進められました(第9講)。更に、落語界におけるレジェンド、三遊亭円朝が文明開化の教化策に乗って芸風が変わっていった指摘(第11講)など、今に繋がる落語史となって興味深いです。歴史教科書では感じることが難しい「へえ~」という驚きがありました。

年末年始に本書を読めたのは、嬉しい時間でした。歴史小説だけではない歴史に触れたいが、専門書はちょっという人にお勧めしたいです。文庫本であるにも関わらず約1800円という強気の価格設定なので、まずは図書館で借りるのが良いかと思います。

《目次》

第 0 講 縄文時代は「日本史」なのか―人類史のなかの環状列石
 1 縄文“JAPAN”?
 2 縄文はユートピアか?
 3 太陽の祭祀場―大湯環状列石
 4 環状列石とストーンサークルのアナロジー
 5 人類史の普遍と「日本史」

第 1 講 律令国家の理想と現実―巨大計画道路の謎
 1 発掘された古代道路
 2 計画道路の理想と現実
 3 地域社会と道路
 4 対外緊張と計画道路
 5 早熟な専制国家

第 2 講 平安朝の女性たち―うわなり打ちの誕生と婚姻制度
 1 控えめでお淑やかな日本女性?
 2 イニシエーションとしてのうわなり打ち
 3 古代・中世のうわなり打ち
 4 古代社会の婚姻制度
 5 正妻制の確立

第 3 講 武士の登場―武力の実態とその制御
 1 サムライはヒーローか?
 2 絵巻物にみる武士の実像
 3 敵討ちの論理と真理
 4 鎌倉幕府の成立

第 4 講 室町文化―「闘茶」体験記
 1 「闘茶」の時代
 2 現代に伝わる「闘茶」
 3 民俗行事から探る中世

第 5 講 戦国大名と百姓―戦乱のなかの民衆生活
 1 戦国の城の実像
 2 戦国大名の「国家」
 3 「禁制」と地域社会

第 6 講 江戸時代の村―鉄火裁判と神々の黄昏
 1 村と町の成熟
 2 古記録と伝承のなかの鉄火裁判
 3 自力の村
 4 中世から近世へ

第 7 講 士農工商?
 1 天正から寛永期
 2 寛文から享保期
 3 文化期以降

第 8 講 鎖国の内実―江戸時代の人びとの自他認識
 1 江戸時代の特異性
 2 日本型華夷意識の形成
 3 一八世紀の対外関係
 4 治者・知識人の朝鮮観
 5 民衆の朝鮮・朝鮮人観
 6 治者・知識人の中国観
 7 民衆の中国観
 8 武威の国という自負

第 9 講 暴力化する社会―経済格差と私慾の広がり
 1 天保の飢饉
 2 甲州騒動
 3 自衛する村
 4 農兵銃隊の結成
 5 豪農の剣術習得
 6 地域指導者の動向
 7 慶応二年世直し騒動

第 10 講 ペリー来航のショック―日本とは何かという問いかけ

 1 ロシアの接近と対外関係の見直し
 2 イギリスの接近と危機意識の形成
 3 ペリー来航による「武威」の揺らぎ
 4 会沢正志斎―「国体」と富国強兵
 5 横井小楠―「道」から富国強兵へ
 6 吉田松陰―「君臣上下一体」と「国体」

第 11 講 文明開化のなかの大衆芸能―松方デフレと三遊亭円朝
 1 国民国家の形成
 2 文明開化
 3 治安の回復と民衆の日常への介在
 4 三遊亭円朝の変化

第 12 講 植民地朝鮮・台湾から見た日本―アジアのなかで生きる現代
 1 朝鮮― 「ことごとく殺戮」せよと、「韓国併合」
 2 台湾―他民族の文化を破壊する暴力

第 13 講 「基地の島」の現実を知り、平和の内実を考える
 1 沖縄の歴史を知る
 2 「植民なき植民地」での文化破壊
 3 「方言論争」―沖縄の人びとの主体性
 4 沖縄戦―強制的動員と「集団自決」
 5 「基地の島」での現実
 6 コザのロック・ミュージシャン

第 14 講 現在を生きる日本史
 1 「危機の時代」の日本史
 2 歴史とは何か

 参考文献

 あとがき

 岩波現代文庫版あとがき

 関連年表

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素晴らしい企画!:ポーラ美術館開館20周年記念展「ピカソ 青の時代を超えて」& ギャラリートーク駅伝

2023-01-09 11:11:46 | 美術展(2012.8~)

お正月中は特に遠出もしなかったので、3連休の中日に箱根に足を運びました。主目的は大好きなポーラ美術館訪問です。毎年、この時期に箱根駅伝に引っかけて、学芸員の方がリレー方式で展示作品について解説してくれるギャラリートーク駅伝目当てです。


《海辺の母子像》1902年 ポーラ美術館

今年はギャラリートーク駅伝もさることながら、もうすぐ(1/15まで)閉幕となるポーラ美術館開館20周年記念展「ピカソ 青の時代を超えて」が圧巻でした。「青の時代」を超えてキュビズム、円熟期・晩年に至る作品を展示し、その制作過程に焦点を当てた展示が、驚きと感心の連続でとても刺激的な鑑賞でした。

絵画の分析技術、画像技術を駆使して、ピカソの絵が何重にも違った絵が描かれていたことが解明されたり、(これは既存の映画とのことでしたが)「ラ・ガループの海水浴場」が積み重ねに積み重ねを重ねて今の最終形に至ったかの映像は、絵画の価値とか完成といったものがどういう意味なのかを考えさせられます。


《ラ・ガループの海水浴場》1955年 国立近代美術館

また、QRコードでスマフォでアクセスして聴く作品トークが超秀逸。お笑いコンビチョコレートプラネットと学芸員の東海林さんのトークが、芸人さんのとっても素直で楽しい絵の鑑賞・感想に学芸員の専門的な解説が掛け合わせられるという、通常なオーディオ解説を遥かに超えた面白さで、絵を見ながら、オーディオ聴いて笑ってしまうこと数回。時間がどんどん過ぎていきます。

もともとのお目当てのギャラリートークも健在です、今年11回目を迎えるというこの企画(コロナで一時中断あり)、私は確か3回目ですが、普段、通り過ぎてしまう絵を、時代背景や画家の交友、絵の着眼点などの話を聞きながら鑑賞するのは、「へえ~」の連続です。特に、現代美術作品などはただ眺めていても唸るだけですので、作品解説を伺い「なるほど~」と少しわかった気になるのでした。


ギャラリートーク駅伝の一コマ 学芸員の人は襷かけてますが写ってないですね。絵は田中敦子《'89A》

午前早いうちに入館してお昼過ぎまでじっくり、ゆっくり。いたるところに椅子も配置され休めるので、本当に居心地良い環境です。ガラスまどから見える真っ青の箱根の空と葉の散った木々や山の風景も素晴らしい。

小田原に降りて、15時前の遅めの昼食は日本酒と海鮮丼を頂き大満足。落ち着くようで落ち着かないお正月明けの連休の1日を楽しませてもらいました。



2023年1月8日 

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テッド・チャン「あなたの人生の物語」(ハヤカワ文庫、2003)

2023-01-07 07:30:19 | 

年末年始の読書2冊目。こちらもSF短編集です。私は視れていませんが、表題の「あなたの人生の物語」は映画「メッセージ」の原作です。

各編それぞれの違ったテーマと持ち味があり、どれも読み応えがあります。テーマは「人間と神の領域」「人知を超えた能力」「言語と人間の認知形成」「神とは」と言ったテーマです。日常生活の中で当たり前として意識すらしていない前提に気づかされ、普段と違った視点で物事を見直すきっかけとなりました。SF小説の醍醐味ですね。ちょっと物理や数学の知識・理解で私にはついていけないところはありましたが、ストーリーと内容で引っ張られます。じっくりかみしめて読みたい一冊でした。

 

【収録作品】

バビロンの塔 "Tower of Babylon" , 1990 ネビュラ賞 中編小説部門受賞
理解 "Understand", 1991
ゼロで割る "Division by Zero", 1991
あなたの人生の物語 "Story of Your Life", 1998 ネビュラ賞 中長編小説部門受賞
七十二文字 "Seventy-Two Letters", 2000
人類科学の進化 "The Evolution of Human Science", 2000
地獄とは神の不在なり "Hell Is the Absence of God", 2001 ネビュラ賞 中編小説部門受賞、ヒューゴー賞 中編小説部門受賞
顔の美醜について : ドキュメンタリー "Liking What You See: A Documentary", 2002

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こんな美術館があったとは! 大倉集古館 企画展<信仰の美>

2023-01-05 07:33:46 | 美術展(2012.8~)

ホテル・オークラ東京に博物館があるというのは聞いたことがありましたが、こんなに「ブラボー!」なところとは今回初めて知りました。

何かで知った企画展「信仰の美」に興味を魅かれて訪問。立派な建物、入口の阿形・吽形の仁王像の迫力に入場券購入前からワクワク。(写真撮影禁止なので写真はありません)

チケット購入して最初に遭遇した石造如来立像がいきなり圧巻。北魏時代のものとされる石像自体は素朴なものですが、当時の当地の人々の祈りの対象としてのオーラ、時空の重みを感じるものでした。

企画展もトーハク国宝展のような大掛かりな展示ではありませんが、仏教伝来から現代に至るまでの日本の仏教、信仰の歴史を仏像や仏絵などの品々で追いかけます。国宝の〈普賢菩薩騎象像〉を初め、個人的に好きな来迎図などの浄土教の絵図も充実していて、味わい深いです。じっくり、ゆっくり鑑賞したい人に最適です。

大倉財閥を創始した大倉喜八郎が個人の収蔵品をもとに始まった日本初の私立美術館という大倉集古館。近代の財界人の懐の深さを垣間見た1時間でした。

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小川哲『嘘と正典』早川書房、2019

2023-01-03 07:20:20 | 

年末年始の読書シリーズ。友人からこの作家を勧められ、図書館で借りてみました。久しぶりのSF小説です。書き下ろしの表題作と雑誌「SFマガジン」等で発表された5作品を含む短編集。

いずれも時間を題材にした作品で、「未来/過去は変えられるか」、「過去の真実は何だったのか」をテーマ設定された物語。冗長さが全くなく、物語の中に引き込む筆力は鋭く、一話一話を一気読みしてしまいました。

表題作は、マルクス主義の生みの親の一人エンゲルスを、タイムトラベルで過去の裁判結果を変えることで、マルクス主義の誕生を阻止し、歴史を変えようとするCIAエージェントを巡る物語。物語の発想、スケール大きく楽しめます。

他の作品もいくつか読んでみたいと思います。

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