その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

晩秋のつくば路を走る @第38回つくばマラソン

2018-11-29 07:30:20 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 秋のフルマラソンは、ここ2年ほど水戸黄門漫遊マラソンに出走してきましたが、今年は未体験コースにチャレンジしたく、つくばマラソンにエントリー。万全の体調でスタートに臨むため、前夜に土浦にて宿泊(つくば学園駅周辺のホテルは取れず)し、春の古河はなももマラソンで3時間46分台を上回る自己新、あわよくば3時間45分切りを狙う意気込みです。


《ホテルの部屋の窓から見る夜明け前の霞ヶ浦のヨットハーバー》

 ホテルを7:20にチェックアウト。土浦駅からのシャトルバスは本数が少なく、20分程度待ちましたが、8:10には会場入り。天気は快晴、風はなし、気温も暑くなく寒くもない、言い訳NGのコンディションです。


《スタート前整列》


《紅葉も後半ですがそれでも美しい》

 持ちタイムによるウェーブ・スタートで9:10にGo。エントリー時に「このコースは平坦で走りやすいけど、単調で退屈だよ」とランナー仲間数人からコメントを貰いましたが、最初の5kは晩秋の紅葉あふれる筑波大学キャンパス内を走り、予想外に爽快です。5kは26:45でまずまずの入り。


《キャンパス内の並木道を走ります》





 5k過ぎると、キャンパスの外に出ますが、幹線道路を筑波山を見据えながら走り、ここも気分良しです。10k過ぎると今度は銀杏並木。青空に銀杏の黄色が映えて美しい。前半、周りのランナーに押される感じで、ペースが速い目なのが気になりましたが、体の動きは良く、好記録の期待感が高まります。


《遠くに筑波山が》


《銀杏が綺麗》



 ハーフで1時間52分台。このままのペースが維持できれば目標の3時間45分切りも行けそうな予感。後半は32kまでをいかに我慢して極力、体力を無駄使いせず走るかがポイント」と自分に言い聞かせます。同じ茨城県の大会としては、水戸黄門マラソンや霞ケ浦マラソンに比べると、沿道の応援は寂しめではありますが、エイドは飲み物、食べ物共に充実していて、運営もしっかりしており好印象です。

 中盤からはいかにも茨城県らしいまっ平らな関東平野そのものといった道を淡々と走ります。



 ただ、やはりフルマラソンは甘くはありません。異変は30k過ぎから、徐々に訪れました。まず、足が上がらなくなってきて、1キロのラップが少しづつ数秒落ちる。その上に尿意と便意が同時に訪れ、我慢できるか、できないか・・・の自問自答区間が2キロ。結局、34kのトイレに駆け込みついにトイレ・インターバル。2.5分。


《30k地点ぐらいの折り返し地点》

 出すもん出した後(汚くてすいません)は、一旦体が軽くなって、まだまだ行けるかと思いきや、既に体が動かなくなってました。苦し紛れに、スピード緩めて体幹リセット体操などをやってみるものの、殆ど効き目なし。35k前の地点で楽しみにしていたお汁粉の給食が、実は汁だけのお汁粉で餅も白玉も入っておらず、超ショック。


《餅の入っていないお汁粉なんて・・・》

 35kのタイムが3:8:29。どう計算しても、45分切のゴールは無理。あとは4時間切りだけは死守という新たな目標を置くものの、惰性で前に進んでいるだけでヘロヘロ状態。最後の5kは本当に長かった。既に色んな言い訳や反省が頭の中に浮かんでくる。1キロ毎の距離表示板と一緒に掲示してある応援メッセージがやたら硬派で「自分に負けるな!」風のメッセージで、天邪鬼な私には応援メッセージで頑張るどころか、毒つく始末で、かえって恨めしい(かすみがうらマラソンの応援メッセージは茨城弁のゆるゆるメッセージだったので、そっちのがいい)。


《やっとキャンパスに戻ってきた》

 40kを3:41:41で通過し、なんとか最後の陸上競技場のトラックに入ったものの、ゴール30mまえで足が痙攣。ゴールゲートの写真を撮ろうとしたのが裏目に出たらしい。最後の直線で固まってしまったのですが、1分ほど立ち止まり、足を無理やり引きずって、3:55:24という最低限の目標サブ4だけは維持してゴール。記録はサブ4ですから悪いとまでは言えませんが、思ったような走りが35K以降全くできなかったので、満足度は極めて低いレースとなってしまいました。


《ここで左足痙攣》

 ただこの大会自体は走りやすいコース、綺麗な紅葉、エイドの充実等、非常に好印象です。来年も出てみたいと思います。

【反省点】
・前半もっと抑えるべきだった
・生理系のコントロール
・明らかに後半のエネルギー切れ。直前のカーボローディングが足りなかったか?

【大会運営等】
・運営は極めてスムーズ。ロッカー、着替え、トイレ等も特に不満無く、走りに集中できる
・コースも平坦で走りやすい。ただ、キャンパス内は車のスピード抑制のための段差があるので、。注意。友人は転んで、救急車行きで病院送りに。
・エイド、応援も不満無く、ともよい。
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N響11月A定期/指揮:広上淳一/アイヴズ 交響曲 第2番ほか

2018-11-27 07:30:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 私にとっては名前は聞いたことこそあるものの、その楽曲には全く馴染みのないアメリカの作曲家3名の音楽で固めた実にユニークなプログラム。未知の音楽についていけるか、かなり不安な気持ちで席に着きましたが、席を立つ時には充実感と感謝の気持ちで一杯となった演奏会でした。

 一番印象的なのは、なんといっても広上さんの指揮ぶりですね。観客席からの風景ですので、顔芸まではわかりませんが、狭い指揮台を動き、飛び跳ね、腕も左右上下に縦横無尽に3次元・4次元で活用する指揮姿は、よくもまああれだけうまく曲に合わせて踊れるものだと感心しきり。そして、そのダイナミックというかコミカル(失礼します)な指揮にかかると、複雑そうな作りの音楽も、実に明瞭に、分かりやすく聴えてくるから不思議です。小骨ばかりの魚が、きれいに骨が除かれ、捌かれるさまを見ているよう。

 2曲目のオルガンを弾いた鈴木優人さんやプログラムを通してN響のソロ、アンサンブルも素晴らしかった。曲自体は初めてなのでまとまった感想は書けないのがですが、コープランドの「オルガンと管弦楽のための交響曲」は、滅多に使われないNHKホールのオルガンがホール一杯に響きその雄大さにうっとり。更に、アンコールのバッハでは、鈴木さんの真骨頂という様で、ここでもオルガンの響きを堪能しました。

 後半のアイヴズの交響曲は様々な旋律が展開し、ワクワクです。曲自体は聴くのは初めてですが、どこかで聞いたことがあるようなフレーズがいろんなところで顔を出します。チェロのソロ、N響の一糸乱れぬアンサンブルが美しい。

 この日は、プログラムのせいか、私のN響歴の中でも珍しいほどの不入り。パット見、7割弱ぐらいの入りだったでしょうか?しかし、私は「今回欠席は来れなかった人は残念でしたねえ。滅多に聴けない曲を聞き逃してしまいましたよ」と言いたい。私自身も自分からこの演目の演奏会を購入するのはちょっとハードル高いので、今日の不入りは分かる気がしますが、今回はえり好み困難な定期会員で良かったと心底思いました。



第1899回 定期公演 Aプログラム

2018年11月24日(土)
NHKホール

バーバー/シェリーによる一場面のための音楽 作品7
コープランド/オルガンと管弦楽のための交響曲
アイヴズ/交響曲 第2番

指揮:広上淳一
オルガン:鈴木優人


No.1899 Subscription (Program A)

Saturday, November 24, 2018
NHK Hall

Barber / Music for a Scene from Shelley op.7
Copland / Symphony for Organ and Orchestra
Ives / Symphony No.2

Junichi Hirokami, conductor
Masato Suzuki, organ
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ビゼー「カルメン」 @新国立劇場

2018-11-24 08:00:00 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 久しぶりの「カルメン」です。2年前にデュトア、N響による演奏会方式の素晴らしい公演を聴きましたが、カルメンはやっぱり舞台付きがいいです。

 ただ今回、4幕(3幕2場?)が始まるまではモヤモヤしながら見ていました。カルメン役のジンジャー・コスタ=ジャクソンのはまり役ぶりには感心したものの、主要役柄を占める外国人歌手陣がどうもパンチ不足。有名どころの曲が並ぶ音楽の演奏もありきたりな印象で、訴えるものが強くない。が、第4幕のカルメンとホセのやりとりは舞台の緊張感と歌唱の迫力が満点で、引き込まれました。結果、終わりよければすべて良しということで。

 「「新世代のカルメン歌い」と世界中から熱い視線を浴びる」とHPで紹介されていたコスタ=ジャクソンは確かにその美貌とワイルドな演技はカルメンそのもので、目を魅かれました。歌唱の表現力や声量はもう一歩に感じましたが、これからが期待されます。
ホセ役のオレグ・ドルゴフは伸びやかなテノールなのですが、こちらは演技の動きがもう一つ。ただ、4幕はなかなか気持ちの入った迫真のパフォーマンスだったので、出し惜しみしていたのかな?
ミカエラ役の砂川涼子さんは可憐さが、待つ女ミカエラにぴったりでした。歌唱も美しいソプラノで、今回の主要歌手陣の中では一番安定していた印象です。
合唱団はいつも通り安定した美しさが引き立っていました。

 演出は非常にオーソドックスなものでしたが、スペインの雰囲気が良く表れていました。4幕のカルメンとホセに焦点を集中させる舞台造りはとても効果的だったと思います。

 ジャン=リュック・タンゴー指揮の東フィルの演奏は、冒頭の前奏曲、4幕のクライマックスでは溌溂として盛り上がりを見せていましたが、全般的には平均的な演奏で、期待値を下回り残念。

 初日ということで回を重ねて良くなっていくことを期待したいです(まあ、それではいけないのでしょうが)。

2018年11月23日 @新国立劇場オペラパレス

スタッフ
指揮:ジャン=リュック・タンゴー
演出:鵜山 仁
美術:島 次郎
衣裳:緒方規矩子
照明:沢田祐二
振付:石井 潤
再演演出:澤田康子
舞台監督:斉藤美穂

キャスト
カルメン:ジンジャー・コスタ=ジャクソン
ドン・ホセ:オレグ・ドルゴフ
エスカミーリョ:ティモシー・レナー
ミカエラ:砂川涼子
スニガ:伊藤貴之
モラレス:吉川健一
ダンカイロ:成田 眞
レメンダ―ド:今尾 滋
フラスキータ:日比野 幸
メルセデス:中島郁子

合唱指揮:三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
ダンサー:新国立劇場バレエ団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

Staff
Conductor Jean-Luc TINGAUD
Production UYAMA Hitoshi

Set Design SHIMA Jiro
Costume Design OGATA Kikuko
Lighting Design SAWADA Yuji
Choreographer ISHII Jun

Cast
Carmen Ginger COSTA-JACKSON
Don José Oleg DOLGOV
Escamillo Timothy RENNER
Micaëla SUNAKAWA Ryoko
Zuniga ITO Takayuki
Moralès YOSHIKAWA Kenichi
Le Dancaïre NARITA Makoto
Le Remendado IMAO Shigeru
Frasquita HIBINO Miyuki
Mercédès NAKAJIMA Ikuko

Chorus New National Theatre Chorus
Dancers The National Ballet of Japan
Orchestra Tokyo Philharmonic Orchestra

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特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」 @東京国立博物館

2018-11-21 07:30:27 | 美術展(2012.8~)


 大報恩寺(千本釈迦堂)という京都の寺は全く知らなかった。近隣にある北野天満宮は訪れたことがあるが、この寺には全く気付かなかった。だが、ここの本堂は京都で最も古い鎌倉時代の木造建築として国宝指定を受け、慶派の仏像を多数持つ歴史的名刹なのである。開創は1220年(承久2年)。京都は広く、深いことを改めて実感。



 本展は、その大報恩寺から本尊「釈迦如来坐像」(行快作・重要文化財)を初め、快慶による「十大弟子立像」(重要文化財)や肥後定慶の「六観音菩薩像」(重要文化財)が揃って展示される。まさに一家総出の引っ越し展示である。余計なことだが、この会期中に大報恩寺を訪れた人は運が悪いとしか言いようがない。

 夫々が表情豊かでリアリティたっぷりの「十大弟子立像」が本尊様「釈迦如来坐像」を囲むように配置してある展示空間は圧巻である。十大弟子は優しく人を包み込むような表情の阿難陀立像(あなんだりゅうぞう)から、松平健似の富楼那立像(ふるなりゅうぞう)や閻魔様のような大迦葉立像(だいかそうりゅうぞう)まで様々で、夫々の個性に魅かれる。

 中心に配置された本尊の「釈迦如来坐像」は鎌倉時代の作とは思えないほど、綺麗だった。金の塗も綺麗に残っており、ふくよかな顔はつやがあってすべすべしている。全く傷みを感じないのは、普段は秘仏として、年に数回しか公開されないからだろうか。台座の蓮の葉にも緑の彩色が残る。

 奥の部屋にある肥後定慶の「六観音菩薩像」も一つ一つの保存状態が良いのが印象的。こちらの菩薩さまも表情が豊か。聖観音菩薩立像、千手観音菩薩立像、馬頭観音菩薩立像、十一面観音菩薩立像、准胝観音菩薩立像、如意輪観音菩薩坐像の夫々が地獄、餓鬼、畜生、阿修羅、人、天を菩薩像に見立てているらしい。個人的には、如意輪観音菩薩坐像の「考える像」が好き。



 夜間開館での訪問だったので、空いている中、好きなペースで見ることが出来た。会場は平成館の2階の半分を使っており、通常の特別展よりは場所的には半分だが、一定時間にすべてを見なくてはというプレッシャーから解放されるので、じっくり、気持ちに余裕をもって見ることができてよい。結局、1時間ちょっと過ごしたので、出展数の多寡にかかわらず、人の集中できる時間というのは変わらないようだ。


《夜の国立博物館》
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映画 『LBJ ケネディの意志を継いだ男』  (監督ロブ・ライナー 、2016)

2018-11-18 08:30:00 | 映画


 リンドン・ジョンソン元大統領(1908年8月27日 - 1973年1月22日)がケネディ大統領の暗殺に伴い、副大統領から大統領となり、ケネディの政策を継いで、公民権法を成立させる過程を描く。観た後に知ったのだが、監督は私の大好きな『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー。地味で硬派なトピックを、重厚かつ質の高い作品に仕上げている。

 正直、リンドン・ジョンソン大統領は、地味でベトナム戦争を始めた泥沼化させた大統領ということで、私自身のイメージは良くなかったのだが、自分の無知に気づかさせてくれた映画だった。ケネディが打ち出した公民権の法案を引き継ぎ、基盤である南部の支持勢力が反対する中、押し切って歴史的な立法にこぎつけているのだ。

 もともとはワシントンの党内実力者として、意見調整が得意分野で、どちらかというと影のボス的存在(昔の自民党の金丸さんのような感じ?)であったこともわかる。ケネディ政権内をジョンソンの視点で描かれているのを見るのも興味深かった。

 作品を支えているのは主演のウディ・ハレルソン。私にはあまりなじみはない俳優さんだが、民主党予備選での人気絶頂のケネディとの対決する悩み、カヤの外的であった副大統領時、そしてケネディを引き継いで大統領となっての決意と行動などが、リアリティたっぷりに演じられていた。

 政治モノが好きな方にはお勧めしたい映画だ。


キャスト
ウディ・ハレルソン:リンドン・B・ジョンソン
マイケル・スタール=デヴィッド:ロバート・F・ケネディ
リチャード・ジェンキンス:リチャード・ラッセル
ビル・プルマン:ラルフ・ヤーボロー
ジェフリー・ドノヴァン:ジョン・F・ケネディ
ジェニファー・ジェイソン・リー:レディ・バード・ジョンソン

スタッフ
ロブ・ライナー:監督
マーティン・シェイファー:製作総指揮
ジョーイ・ハートストーン:脚本
マーク・シェイマン:音楽
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富田 芳和『なぜ日本はフジタを捨てたのか?―藤田嗣治とフランク・シャーマン1945~1949』静人舎、2018

2018-11-16 07:30:00 | 



 1945~1949の4年間の画家・藤田嗣治と彼を陰で支えたアメリカGHQのフランク・シャーマンの交流を、これまで陽を見ることがなかった資料等を駆使して明らかにしたノン・フィクション。私自身は、藤田嗣治のことはいくつかの回顧展を見て知った程度だが、人間・藤田の一面を知ることができる貴重な一冊になっていると感じた。

 二人の交流から藤田の素顔に接近できるのが興味深い。戦時中に軍の要請に応え『アッツ島玉砕』などの戦争画を描いた藤田だが、彼がどのような思いで描いたのかなど、彼の芸術に向かう姿勢や考えがわかる。

 人の運命や縁の不思議さ、大切さを感じさせる一冊だ。 シャーマンのような人を呼び寄せた藤田の磁力も凄いし、藤田を活かし続けさせたことになったシャーマンの実行力も凄い。シャーマンがいなければ、藤田のニューヨーク行き、そしてその後のパリ行きも実現することはなかっただろう。彼のような人物がGHQに居て日本に派遣されたというのも、アメリカの占領政策やGHQの奥深さも伺い知れる。日本との懐の違いを様々と見せつけられる。

 タイトルは藤田が君代夫人へ言っていた言葉(「藤田が日本を捨てたのではなく、日本が藤田を捨てた」)から取ったものだが、必ずしも本の趣旨とあってない。副題の『藤田嗣治とフランク・シャーマン1945~1949』で十分だと思う。


【目次】
戦時下の闘争
フランク・シャーマン
GHQの戦争画収集
フジタはどこに
挑発
出会い
戦犯追及
フジタとの日々
シャーマンルーム
日展の抗争
二人の裸婦
妨害
ケネディ画廊の個展
作戦
京都遊興三昧
光明
フジタを探せ
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映画 『カメラを止めるな!』(監督:上田慎一郎)

2018-11-13 07:30:00 | 映画


 上映館が2館から口コミで評判となり大ヒットとなった映画。職場の映画通から勧められていたのだが、なかなか見に行く機会がなかったがやっと観れた。

 売れない映像監督が、ニッチな「ゾンビ」チャンネル向きにゾンビ映画を撮る話なのだが、90分強の上映時間、息をつかせず一気に見せる映画だ。最初の30数分がワンカットのシーンになっているが、映像のリアル感、迫力がすさまじい。登場人物の立ったキャラやそれを演じる俳優陣の熱演にも支えられ、かなり特異な映画だった。

 評判通り、一回は観ておいて損はしない映画である。

【公開日】2018年6月23日
【製作年】2017年
【製作国】日本
【上映時間】96分
【配給】ENBUゼミナール
【監督・脚本・編集】上田慎一郎
【撮影】曽根剛
【録音】古茂田耕吉
【助監督】中泉裕矢
【特殊造形・メイク】下畑和秀
【ヘアメイク】平林純子
【制作】吉田幸之助
【主題歌・メインテーマ】鈴木伸宏 / 伊藤翔磨
【音楽】永井カイル
【アソシエイトプロデューサー】児玉健太郎 / 牟田浩二
【プロデューサー】市橋浩治
【出演】
濱津隆之
真魚
しゅはまはるみ / 長屋和彰
細井学
市原洋
山崎俊太郎
大沢真一郎
竹原芳子
浅森咲希奈
吉田美紀
合田純奈
秋山ゆずき
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浅田次郎 『天子蒙塵 第一巻~第四巻』 講談社

2018-11-12 07:30:00 | 
   

 『蒼穹の昴』から始まった中国近現代を描く浅田版歴史大河小説シリーズの第五部。今回は清の最後の皇帝であり、北京を追われた溥儀が、日本の傀儡ではありながらも満州国皇帝に即位するまでの話が語られる。 蒙塵とは「天子が、変事のために難を避けて、都から逃げ出すこと。」(デジタル大辞泉より)

 相変わらず、作者のストーリー展開のうまさ、セリフの中に中国語を適度に混ぜることで生じるリズム感、感情移入を誘う心情描写などは感服する。ページをめくる手が止まらない。どこまでが史実で、どこからが物語なのかは区別がつかないが、時代の匂いも感じ取ることができる。

 登場人物がどれも個性と魅力に満ちている。張作霖の子・張学良、側妃・文繡、満州馬賊・馬占山、宦官・李春雲と馬賊の李春雷などなど。人間の多様さや奥深さにひかれる。

 ちょっと首をひねったのは、物語としては全4巻を通じての起承転結的な展開が乏しく、終盤に向けての高揚感が乏しいことぐらいか。これも第5部に向けての布石なのかもしれない。

 全4巻をあっという間に読んでしまったが、読み応えはたっぷりだった。
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2018年秋 山中湖の紅葉狩り

2018-11-07 07:30:00 | 旅行 日本
ここ数年、秋の恒例行事となっている山中湖紅葉ツアーに行ってきました。

今回はいきなりアクシデント。いつも道志みちと呼ばれる国道413号線を使って、高速道路を回避して山中湖入りするのですが、この日は津久井湖まで行ったところで、まさかの道志みち通行止めの案内板(10月の台風の影響だそうです)。仕方なく、相模湖まで北上して、中央道に入りましたが、文化の日ということもあり、下も上も道路は混み混みで結局4時間以上かけて山中湖に到着。行くだけで結構疲れてました。

天気の方も、週中の晴れ具合から抜けるような青空を期待していたのですが、土曜日は曇り、日曜も曇り時々小雨という冴えない天気で、2日間で富士山は全く見えず。ちょっと今回はついてなかった。

それでも、夜の紅葉のライトアップは相変わらず美しかったです。宿の主人によると「今年は夏が暑すぎたので、色ぐあいが心配された」とのことですしたが、時期的にややピークは過ぎたものの、美しい赤・黄に染まった葉を堪能しました。









翌日も、定例の朝の山中湖一周ジョギングで始まり、朝食後、再び紅葉狩り。夜はライトに導かれて鑑賞する紅葉も、昼は自由気ままに。見る角度によって表情を変える紅葉を楽しみました。日経新聞の日曜版のススキの名所として紹介されていたパノラマ台も訪問。富士山は雲に隠れたままでしたが、ススキ野原から湖を見下ろす雄大な風景を満喫しました。

《朝5:45からランニング開始》




《再び紅葉祭り会場へ》








《パノラマ台から》




決まって春・夏・秋に訪れる山中湖ですが、秋のさわやかな空気と色合いの華やかさは格別です。今回は天気が思わしくありませんでしたが、それでも十分リフレッシュして、東京に戻りました。

コメント (3)
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「京都・醍醐寺-真言密教の宇宙-」展 @サントリー美術館

2018-11-04 08:00:00 | 美術展(2012.8~)


昨年来、静かなマイ密教ブーム中。京都の醍醐寺(創建は貞観16年(874))は、秀吉の醍醐の花見ぐらいしか知らず、行ったことも無かったが、本展で真言密教の中でもかなり大事な位置づけにある寺であることを知った。

本展は醍醐寺の宝物を通じて、平安時代から近世にいたる醍醐寺の歴史を追う。仏像、仏画、書、書状が偏らずバランス良く展示されている。会期によって、展示が若干入れ替わるので全てを見れたわけではないが、Webサイトによると国宝36件、重要文化財60件が展示されるので、見るもの見るもの、ほとんどが国宝か重文という印象だ。

どれも凄いのだが、3次元で楽しめる仏像の存在感が好き。会場に入るといきなり展覧会ポスターの顔となっている重要文化財《如意輪観音坐像》が飛び込んでくる。思いのほか小さかったが、膝を立てて物思いに耽る様子が、可愛いと思うのと同時に、人の心を落ち着かせてくれるのが不思議だった。煩悩の塊のような六本木ミッドタウンから、瞑想の場にワープするような感覚を持たされる。そのあたりは計算づくの配置なのだろうか?

国宝《薬師如来および両脇侍像》も迫力満点。像自体2メートルほどの高さがあるにも関わらず台座も私の身長ぐらい高いので、見上げる形になるだが、その落ち着いた優しい表情に癒される。両脇侍像はちょっとセクシー度が足りなかったかな。

会期違いで、俵屋宗達の《扇面散図屛風》(重要文化財)を見られなかったのは残念だった。途中で醍醐寺のマップが掲示してあったが、随分と広い敷地に驚いた。是非、一度訪ねてみよう。会期は11月11日までなので、仏像好きの人は急ぐべし。


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碧海 寿広 『仏像と日本人-宗教と美の近現代』 (中公新書、2018)

2018-11-02 07:30:00 | 


 久しぶりに読み応えたっぷりの新書に遭遇。とかく物事を歴史的、社会的に見るのが好きな私には、近年ますます魅せられている仏像を対象として、日本人と仏像の関係性について歴史的、社会的に分析した本書は、私の好みが交差する「あたり」の一冊だった。

 近現代における日本人の仏像への接し方について、岡倉天心、和辻哲郎、土門拳、白洲正子、みうらじゅんらの著作や発言等を引用しつつ、宗教心と美術鑑賞の軸で切り取っている。明治以降の信仰の対象であった仏像や仏画が、変化はあるものの、美術概念や文化財の思想に取り込まれていくプロセスが記述されている。

 自分自身の仏像鑑賞を客観化できる面白さもあった。私にとって仏像巡りは、どう考えても信仰ではなく鑑賞である。秘仏と称して一般公開されない仏像は、憤りの対象でしかなかったのだが、本書を読んで、仏像とはそもそも一般人の鑑賞のためにあるわけではなく、信者のためのものであるという、極めて当たり前のことに気づかせてくれた。

 仏像好きな人は、是非、手に取ってほしい。

目次
序章 仏像巡りの基層
第1章 日本美術史の構築と仏教―明治期
第2章 教養と古寺巡礼―大正期
第3章 戦時下の宗教復興―昭和戦前期
第4章 仏像写真の時代―昭和戦後期(1)
第5章 観光と宗教の交錯―昭和戦後期(2)
終章 仏像巡りの現在
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