その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

下野竜也、N響、オッフェンバック(ロザンタール編)/バレエ音楽「パリの喜び」(抜粋)

2025-02-27 07:56:44 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

遅ればせながら、土曜日のN響定期の感想です。

冬季シリーズの最後を飾るのは正指揮者の下野達也さんによる、オペレッタやバレエの楽曲を中心としたプログラム。

実演にはあまり接しない曲が並ぶプログラムで、私の行動パターンでは1回券ではなかなか購入までは至らないであろうプログラムですが、経験値を広げる機会にであえるのは定期会員ならではの有難さだと思います。

冒頭のスッペの「軽騎兵」序曲。小学校低学年の頃、親が「こどものためのクラシック」的なレコードセットを買ってきて、ちっとも好きでなかったのだけど、この曲が入った盤は子供ながらに曲の格好良さに魅かれ、好んで聴いていました。ただ、大人となってからは、録音は持ってないし、意外と実演に接する機会も無いんですよね。なので、突き抜けるような金管の美音で始まった演奏は、懐かしさとそのスケール大きさに爽快感一杯に満たされました。

続いては、三浦文彰ソロによるサン=サーンスのヴァイオリン協奏曲第3番。この曲のライブは2度目、三浦さんのソロを聴くのは3度目だと思います。奇をてらわずに音楽の美しさを自ずと語らせるような自然体の演奏がとっても素敵でした。第ニ楽章の優しい抒情的なメロディには体がとろけるようです。

アンコールはアンリ・ヴュータン:アメリカの思い出「ヤンキー・デゥードゥル(Yankee Doodle)」(「アルプス一万尺」の原曲と初めて知った!)。ヴァイオリン技をこれでもかという程ご披露いただき、聴衆も大喜びの演奏。

後半の滑り出しは、オペレッタとバレエ音楽から。「詩人と農夫」は辻本さんのチェロの音がホール一杯に響き、うっとり。

そして、ラストはオッフェンバック(ロザンタール編)のバレエ音楽「パリの喜び」(抜粋)。「地獄のオルフェ(天国と地獄)」など、N響のシンフォニックなサウンドが炸裂してとっても爽快。肩ひじ張らず、難しいことも考えず(普段も考えてないけど)気軽に音楽や演奏を楽しむことができるのも良いですね。フィナーレの「舟歌」を聴いて「ホフマン物語」がまた見たくなりました。

3月は定演はお休み月。日フィル、読響など普段なかなか行けてないオーケストラを聴きに行く予定です。

(トロンボーンの吉川さんが3月末で退団でこの日が最後の定演とのこと。お疲れ様でした!)

定期公演 2024-2025シーズンCプログラム
第2033回 定期公演 Cプログラム
2025年2月22日(土) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

スッペ/喜歌劇「軽騎兵」序曲
サン・サーンス/ヴァイオリン協奏曲 第3番 ロ短調 作品61
スッペ/喜歌劇「詩人と農夫」序曲
オッフェンバック(ロザンタール編)/バレエ音楽「パリの喜び」(抜粋)

指揮:下野竜也
ヴァイオリン:三浦文彰

 

Subscription Concerts 2024-2025Program C
No. 2033 Subscription (Program C)
Saturday, February 22, 2025 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Program
Suppè / Leichte Kavallerie, operetta―Overture (Light Cavalry)
Saint-Saëns / Violin Concerto No. 3 B Minor Op. 61
Suppè / Dichter und Bauer, operetta―Overture (Poet and Peasant)
Offenbach / Rosenthal / Gaîté Parisienne, ballet (Parisian Gaiety) (Excerpts)

Artists
Conductor:Tatsuya Shimono
Violin:Fumiaki Miura

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

東京二期会、ビゼー<カルメン> (指揮 沖澤のどか、読響)

2025-02-25 07:30:22 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

たまに無性に見たくなる定番オペラの1つが「カルメン」。登場人物にはあまり共感できない(ミハエラ除く)が、ビゼーの音楽が素晴らしい。今回は沖澤のどかさんと読響による演奏に魅かれ、4年ぶりに観劇(初日)。主要歌手陣、合唱団、オケ、演出がしっかりまとまった好演でした。

歌手陣は突出した方は居ませんでしたが、皆さんそれぞれ持ち味を出して、いい仕事をされてました。

題名役の加藤のぞみさんは初めて聴く方ですが、力強い芯のあるメゾソプラノの歌声は、カルメンの強さととってもマッチしてます。演技も堂々たるもの。ドン・ホセ役の城宏憲も美声のテナーで優男ぶりを発揮。声は素晴らしいのですが、ちょっと一本調子のところも感じられ、表現にもっと変化があればもっと良い気がしました。ミカエラの宮地江奈さんは純度の高い美しいソプラノで役柄にぴったり(小学生の遠足のような衣装は首をかしげましたが)。印象深かったのは、エスカミーリョの今井俊輔さんで、立派な体躯(着膨れかどうかは?)から歌われる声は迫力満点で、コミカルな演技も個人的に好み。カルメンはエスカミーリョが良いと、上演の厚みが増すので嬉しかった。

児童合唱も含めた合唱団も素晴らしいハーモニーでした。多くの人数を揃えたロマの一団による合唱は迫力たっぷりで、ホール一杯に響く合唱はとっても心地よいです。

今回1番のお目当てであった沖澤のどかさんが振る読響は、期待に応えた見事なタイムリーヒット。沖澤さんの指揮は、演奏会で2度聴いていますがオペラは初めて。小柄な体格を倍以上に感じさせる大きな指揮ぶりから繰り出される音楽は、とっても自然体で癖がなく体に素直に染み込んでいきます。読響との息もぴったりで、カルメンの躍動感、疾走感を存分に味わいました。作品の良さをしみじみ感じられる嬉しい演奏です。

舞台造形は、第1幕がセビリアのたばこ工場にはとても見えない荒野の設定になっていて、ずっこけて始まりました。2、3幕の間違いではと思ったり、その後も3幕も現代風のネオンセットがあったりして、時空の違和感があったのですが、プログラムには場所・時間を特定しない近未来設定との解説があるようです。ただ舞台設定が音楽や物語の進行を妨げるようなものではなかったし、照明等は美しく舞台が照らされていましたので、違和感はあったものの大きく気にはなりません。むしろ、闘牛場外の場面でダンスチームによるダンスを活用したのが、私としてはとっても好みでした。

終演後は、9割方は埋まった観客席から大きな拍手が寄せられました。演出家がカーテンコールに登場した際は、多少のブーイングも混じっていましたが、ブーイングってほどじゃないよねとの個人的感想です。昨年の同じ二期会公演の「影のない女」にはやられましたが、今回は定番オペラを定番ならではの良さをしっかり味わえる公演で、満足感一杯でホールを後にしました。

※カーテンコールの写真撮影がOKなのもとっても嬉しかった。

カルメン

<新制作>

オペラ全4幕 日本語および英語字幕付原語(フランス語)上演

2025年2月20日(木)

原作:プロスペル・メリメ 小説『カルメン』
台本:リュドヴィック・アレヴィー及アンリ・メイヤック
作曲:ジョルジュ・ビゼー

staff

指揮:沖澤のどか
演出・衣裳:イリーナ・ブルック
装置:レスリー・トラバース
照明:喜多村 貴
振付:マルティン・ブツコ
衣裳補:武田園子
合唱指揮:河原哲也
演出助手:彌六
舞台監督:村田健輔
技術監督:大平久美、村田健輔
公演監督:永井和子
公演監督補:大野徹也

Cast

カルメン:加藤のぞみ
ドン・ホセ:城 宏憲
エスカミーリョ  :今井俊輔
ミカエラ:宮地江奈
スニガ   :ジョン ハオ
モラレス:室岡大輝
ダンカイロ:北川辰彦
レメンダード:高田正人
フラスキータ:三井清夏
メルセデス:杉山由紀

合唱:二期会合唱団
児童合唱:NHK東京児童合唱団
管弦楽:読売日本交響楽団

 

CARMEN

[New Production]
Opera in four acts
Sung in the original language (French) with Japanese and English supertitles
Libretto by Henri Meilhac and Ludovic Halévy, Adapted from the novel by Prosper Mérimée
Music by GEORGES BIZET

Performance Schedule

Thu,20Feb,2025 17:00 Open/18:00 Star

Conductor: Nodoka OKISAWA
Stage Director & Costume Designer: Irina BROOK
Set Designer: Leslie TRAVERS
Lighting Designer: Takashi KITAMURA
Choreographer: Martin BUCZKO
Costume Associate: Sonoko TAKEDA
Chorus Master: Tetsuya KAWAHARA
Assistant Stage Director: Miroku
Stage Manager: Kensuke MURATA
Technical Directors: Kumi ODAIRA, Kensuke MURATA
Production Director: Kazuko NAGAI
Associate Production Director: Tetsuya ONO

Carmen: Nozomi KATO
Don José: Hironori JO
Escamillo: Shunsuke IMAI
Micaëla: Ena MIYACHI
Zuniga: Hao ZHONG
Moralès: Taiki MUROOKA
Le Dancaïro: Tatsuhiko KITAGAWA
Remendado: Masato TAKADA
Frasquita: Sayaka MITSUI
Mercédès:Yuki SUGIYAMA

Chorus: Nikikai Chorus Group
Children Chorus: NHK Tokyo children chorus
Orchestra: Yomiuri Nippon Symphony Orchestra

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024年度 公推協杯 全国若手落語家選手権に行ってきた!

2025-02-23 07:30:50 | 落語

昨年に引き続き公推協杯全国若手落語家選手権の本選を鑑賞。個人的に春風亭一花さん応援のつもりでチケット買ったのだけど、一花さんがまさかの予選で姿を消し、著しくモチベーション落として会場へ。

この選手権、観客にも投票権が与えられる。なので会場入口で投票用紙が入った資料一式を頂くと、一転して当事者意識がモリモリ上がって着席。

4人の本選出場者の若手はいずれも私にはお初の人たち。若いという共通項以外は、江戸(東京)ベースで活動される方、上方で活動される方が半々。演目も古典、新作、講談風とバラエティに飛んでいて、一人20分の持ち時間、それぞれ個性あふれる芸が披露された。大会特有の緊張化はあるものの、落語通と思しきお客様さんも多数交じっていそうな中、温かい笑いに会場は包まれた。

4名の落語終了後は投票の集計の時間に、昇太師匠のいつもの緩い笑いの一席が聞けたのも嬉しい。

大賞には、4名の中で圧倒的に会場の笑いを取ったごはんつぶさんが選ばれた。「これ落語なの?」とまで思わせる、紙資料多数付きの一人語りの新作ものだったが、話はとっても良く練られたもので、グイグイと観客に迫り会場を笑いの渦に巻き込む力量はさすが。私も少々首を傾げつつも、笑い続け、寄り切られた感じだった。どうも一花さんは予選で彼に勝てなかったようだ。確かに、良くも悪くも一花さんには、このはみ出し感は感じないから(ただ私には、そこが一花さん推しの理由でもある)ごはんつぶさんは、是非、次回は古典も聴いてみたい。

昇太師匠がまくらの中でしみじみと、師匠らがデビュー当時の落語界の不人気を語っていた。昨年から見に来ている本大会だが、ここで聞いた若手達がこれからどんな落語界を作っていくのか、とっても楽しみである。

2月21日(金)19時〜  渋谷 伝承ホール

『公推協杯全国若手落語家選手権』
昇ちく「弥次郎」

柳家小ふね「磯の鮑」
笑福亭茶光「手水廻し」
桂源太「山内一豊と千代」
三遊亭ごはんつぶ「落語業界の真実」

春風亭昇太「人生が二度あれば」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

伊藤 亜紗(編著) 中島 岳志 若松 英輔 國分 功一郎 磯崎 憲一郎『「利他」とは何か』 集英社新書、2021年

2025-02-21 07:30:58 | 

5名の論者が夫々の視点で語ることで、「利他」について多角的に俯瞰しようとする一冊。

伊藤亜紗氏は合理的利他主義の自己起点や効果的利他主義の持つ数値化への違和感に触れつつ、「相手への信頼」、「結果のコントロール不可」、「他人へのケア(距離と敬意をもって他者を気遣うこと)」に利他の本質を見る。それは「うつわ」のようなものであり、「余白」なのだ。

中嶋岳志氏は志賀直哉の『小僧の神様』、モース『贈与論』やインドでの研究体験をもとに贈与や利他を考える。人間の意思を超えた交換システムとしての「ハウ」という現象であり、直接互恵・間接互恵といった「利己的な利他」ではなく、自分の個を超えた力で生きている「業」から利他に迫る。その結果が間接互恵につながる(目的ではない)という。

若松氏英輔氏は柳宗悦の民藝の中に利他を見る。柳は「美」そのものに利他のはたらきを見て取った。そしてその「美」は人が作るものでは無くて、生まれてくるものなのだ。

國分浩一郎氏は中動態は能動態(意志がある)と対立する概念(受動は中動態の意味の一つ)として、中動態の中に利他を見る。そして、意思には責任が生じるという一般的な理解を排し、中動態における応答としての責任であり、「義」のなかに利他の本質を考える。

磯崎憲一郎氏は設計図なしに書かれる小説の中に利他を見る。

各章の中で語られる考えは奥深く、利他といったいどう繋がるのか迷子になる章もあるのだが、頭の体操にもなる。共通しているのは、私達が日常生活において、常識として考えているような数値化管理や意志と言ったものではなく、運命・他力と言ったコントトールできない大きな力の中で考えるという思考姿勢であり行動指針だ。必ずしもこれだけで前に進むとも思えないところもあるが、自分の思考や行動の立ち位置の確認になるし、世界観が広がる気になった。

 

 

【目次】
はじめに――コロナと利他           伊藤亜紗
第1章:「うつわ」的利他――ケアの現場から  伊藤亜紗
第2章:利他はどこからやってくるのか     中島岳志
第3章:美と奉仕と利他            若松英輔
第4章:中動態から考える利他――責任と帰責性 國分功一郎 
第5章:作家、作品に先行する、小説の歴史   磯崎憲一郎
おわりに――利他が宿る構造          中島岳志

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さすが伝統の青梅マラソン!

2025-02-18 07:28:54 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)

4月のフルマラソン出走に向けた練習レースとして青梅マラソンに初めて参加した。青梅マラソンは距離こそ30kだが、今回で第57回を数える伝統の大会である。

この日は、2月とは思えない温かさで、スタート時は13℃で風なし、快晴。持参したネックウォーマーの着用は止めにしたほど。スタートエリアがAからRまであり5百メートルは優に超え、多数のランナーが参加する大会。スタート前は町一杯にランナーが居る印象だ。私も昨年10月の水戸以来の大会出場だったこともあり、気分も高揚する。長いスタートエリアの先頭のスターターのデッキには高橋尚子さん(Qチャン)と高橋大輔さんが立ち、(私の位置からでは見えないが)、応援メッセージを送ってくれた。Qちゃんは「私の良いタイムが出る気温は13℃。今日は皆さん、いい走りができますよ」といつも元気がもらえるメッセージがうれしい。


(長~いスタートエリア)


(スタート台の高橋尚子さんと高橋大輔さんに送れれスタート)

今回は事情によりスマートウオッチがなくて、簡易ストップウオッチのみ持参。前週の練習中に転倒し膝を深く擦り剝いた傷がまだ治ってないので、とにかく転倒せずに完走することを第一目標にした。アップダウン激しいコースでタフなレースが予想されるので、キロ6分のペースを心掛けスタートを切る。


(5k地点過ぎ)

多くの人の声援、大太鼓隊、合唱団などの応援を受けて、奥多摩街道をひたすら西北に向かう。最初の2キロは平坦だが市街地を抜けると、アップダウンを繰り返しながら徐々に上っていく。坂で脚を消耗しないように、上りはしっかり前傾姿勢を、下りでは歩幅を小さくして衝撃を抑えるように走る。往路はお正月に試走したので、大体のコースイメージはついているのがよかった。最初の5キロは27分後半で上出来。


(勇壮な大太鼓の連打)


(ボランティアの皆さん)

左に多摩川の清流と渓谷、正面に奥多摩の山々を見ながらの走りは爽やかで気持ちがよい。都心や多摩東部とは違った新鮮で爽やかな空気を吸い込みながら気分良く走れる。繰り返されるアップダウンや徐々に上るコースは楽ではないが、皇居ランや山中湖のママの森で坂にはある程度慣れているので、走りがいがある。前半は1キロ5分30~45秒ペースを維持して折り返した。

後半は下り基調だが、22キロぐらいの軍畑駅前過ぎから1キロほど続くきつい上りが、このコースの最大の難所。前傾を保ち、視線は落としてひたすら脚を前に出す。ちょうど坂の2/3ぐらいに来たところで、「頑張ってください!」と声をかけながらランナーとハイタッチをしている高橋尚子さんがいきなり視界に入る。私もあわてて手を出してハイタッチ。彼女とのハイタッチの記憶は今回で4回目だが、いつも一人一人のランナーに気持ちのこもった声をかけてくれるQチャンは素晴らしい。

このハイタッチパワーに加えて、復路では多くの地元の人がキャンディーや水分など、様々な捕食・給水を提供してくれながら声をかけてくれる。中学生のグループとのハイタッチも嬉しい。25キロを過ぎると脚だけでなく内臓も弱ってきたが、応援に背中を押してもらった。何とかペースも落とさず、2時間44分台でフィニッシュ。タイムも上出来だ。


(あと200m)


(あと100m)

 

今回はスマートウオッチが無かったのだが、逆に細かいタイムやペース配分に気を取られずによかったかも。写真撮影も5キロごとと決めて、走りに集中するようにしたのもペース保持に役立った。フルマラソンは30キロ以降が勝負なので、今日の走りで十分とはとても思えないが、まだ2か月弱あるので、しっかり練習を積み上げていきたい。

それにしても、青梅マラソン、雰囲気といいコースといい運営といい、流石、歴史ある素晴らしい大会だ。トイレと給水所がやや少ない気がするが、自宅から1時間半かからずに来られるので、調整も難しくはない。これは毎年、出てみたいと思った。

2025年2月16日 11:30スタート

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ 『マクベス』

2025-02-17 07:29:35 | ミュージカル、演劇

ロンドンでも高評価を受けたという「マクベス」が東宝シネマで上映されるということで観に行った。マクベス夫妻を演じている二人(デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ)の名前がタイトルのマクベスに附記されているぐらいなので、相当売出し中の役者さんなのであろう。

確かに、マクベス役のテナントの熱演は、カメラワークの巧みさもあって、悩めるマクベスはスクリーンから飛び出さんばかりであった。その他の役者さんも台詞廻し、演技共にしっかりしてて、さすが本場イギリスのシェイクスピア劇だと感じた。全てはとても聴きとれないが、やっぱりシェイクスピア劇は原語で観るのが、リズム感や音韻が感じられて嬉しい。

ただ、私の体調が思わしくなかったところもあって、芝居自体にはあまりのめり込むことができず、途中うとうとしてしまった。冒頭にまず魔女が出てこないのには面食らった。また、2時間弱の芝居に仕立ててているため、展開が早すぎる。もともとマクベスはシェイクスピア劇の中ではとても短い作品だが、倍速で見てるような感覚で、これではマクベス早送りバージョンだ。そのため、夫妻の関係性や各人物の造形表出が弱く、役者の熱演に頼った舞台に見えた。

演出は極めて現代的でスマートだと思った。柔道の試合場の2割カットぐらいの大きさの正方形の舞台で役者が行き来して芝居が展開するが、造作物は何もなく、舞台設定は聴衆の想像力に委ねられる。(ラストシーンに森のような背景が初めて出てくるが、意味がよく分からなかった)こうした舞台は個人的には嫌いではない。

ドンマー・ウエアハウスというロンドンのコヴェント・ガーデンの小劇場(私は行ったことは無い)での公演だが、時折映像に映る聴衆が皆ヘッドホンをつけていたのだが、何が流れているのか気になった。目の前の芝居を見るのにヘッドホン付けるって何なんだろう。

プログラムが売っていたので、買うかどうか迷ったが、私自身、集中して観劇出来て無かったので、止めた。上記の私の疑問は、プログラムに記載があるのかもしれない。

こうした海外の舞台を映像であったとしても鑑賞できるのは嬉しい。METやナショナルシアターの作品はしばしば映像化され、上演されるので、こうしたそれ以外の上演も上映して貰えると有難い。

 

原題: Macbeth: David Tennant & Cush Jumbo

作品名: デヴィッド・テナント&クシュ・ジャンボ『マクベス』

上映時間: 約115分

演出:マックス・ウェブスター

出演:デヴィッド・テナント、クシュ・ジャンボ

制作年:2024年  制作国:イギリス 

撮影:2024年1月 ドンマー・ウエアハウス

コピーライト:© 2024 BIRNAM WOOD FILMS LIMITED

公開表記:2025/2/5(水)〜 TOHOシネマズ 日比谷ほか公開

 

CAST

Ross: MOYO AKANDÉ

Musician/Gentlewoman: ANNIE GRACE

Donalbain/Soldier/Murderer/ Musician: BRIAN JAMES O’SULLIVAN

Lady Macbeth: CUSH JUMBO

Macduf’s Son/Fleance/Young Siward: CASPER KNOPF

Banquo: CAL MACANINCH

The Singer/Ensemble: KATHLEEN MAあCINNES

Musician/Ensemble: ALASDAIR MACRAE

Lady Macduf: RONA MORISON

Macduf: NOOF OUSELLAM

The Porter/Seytan: JATINDER SINGH RANDHAWA

Macbeth: DAVID TENNANT

Malcolm: ROS WATT

Duncan/Doctor: BENNY YOUNG

 

CREATIVE TEAM

Writer: WILLIAM SHAKESPEARE

Director: MAX WEBSTER

Designer: ROSANNA VIZE

Lighting Designer: BRUNO POET

Sound Designer: GARETH FRY

Movement and Intimacy Director: SHELLEY MAXWELL

Composer and Musical Director: ALASDAIR MACRAE

 

Fight Directors: RACHEL BOWN-WILLIAMS, RUTH COOPER-BROWN

Voice and Dialect Coach: BARBARA HOUSEMAN

Resident Assistant Director: ALESSANDRA DAVISON

Casting Director: ANNA COOPER CDG

 

FOR THE CAPTURE

Director: TIM VAN SOMEREN

Producer: EMILY CECIL-DENNETT

Executive Producer: MARC ALLENBY

Executive Producer: CHARLIE HINSHELWOOD

Editor: TIM VAN SOMEREN

 

DISTRIBUTED TO CINEMAS

WORLDWIDE BY TRAFALGAR RELEASING

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポペルカ、N響、シューマン交響曲第1番〈春〉ほか @サントリーホール

2025-02-15 08:40:27 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

ポペルカとN響の2つ目のプログラムはモーツァルトとシューマンの組合せです。

前半、モーツァルトのアリア3曲を歌ったユコロフスカは初めて聴く方です。安定して美しいメゾソプラノです。ただ残念ながらP席からでは細部分からず、ホールに響く歌声を楽しむのにとどまりました。今度は前から聴きたい。

歌曲の間に挟まれて演奏されたのはモーツァルト交響曲第25番。映画「アマデウス」のシーンが蘇ります。第1楽想から音を絞り出させるようにメンバーに挑みます。その迫力に押されるに叩き込むようなアンサンブルが聴き応えたっぷりで、ドライブ感が満載。オーボエのソロなどの個人技も美しい演奏でした。

後半はシューマン交響曲第1番〈春〉。この曲、〈春〉というにはちょっと激しく忙しい印象を受けるのですが、シューマンの若さやエネルギーが感じられて好きな楽曲です。

ポペルカの指揮は、ここでもN響の合奏力を存分に引き出す力こもったもの。重層的で厚みある音がサントリーホール一杯に響き心地よいです。ヴァイオリン、ビオラ陣に飛びつかんばかりに挑み、全力投球でそれに応えるオケの姿は視覚的にもエキサイティング。第4楽章でホルンからフルートへ独奏が引き継がれる箇所などもハットさせられるような美しさでした。

終演後は満席の会場から割れるような拍手。ブラボーの歓声も多方面から飛んでました。風貌は落ち着いて中堅どころに見えるほどでしたが、まだ30歳代というこれからの活躍が大きく期待されるポペルカ。またの共演を期待したいです。


第2032回 定期公演 Bプログラム
2025年2月14日 (金) 開演 7:00pm

サントリーホール

曲目
モーツァルト/アリア「私は行く、だがどこへ」K. 583*
モーツァルト/アリア「大いなる魂と高貴な心は」K. 578*
モーツァルト/交響曲 第25番 ト短調 K. 183
モーツァルト/レチタティーヴォとアリア「私のうるわしい恋人よ、さようなら ─とどまって下さい、ああいとしい人よ」K. 528*
シューマン/交響曲 第1番 変ロ長調 作品38「春」

指揮 : ペトル・ポペルカ
メゾ・ソプラノ : エマ・ニコロフスカ*

No. 2032 Subscription (Program B)

Conductor:Petr Popelka
Mezzo Soprano*:Ema Nikolovska

Mozart / Vado, ma dove?, aria K. 583*
Mozart / Alma grande e nobil core, aria K. 578*
Mozart / Symphony No. 25 G Minor K. 183
Mozart / Bella mia fiamma, addio—Resta, oh cara, recitative and aria K. 528*
Schumann / Symphony No. 1 B-flat Major Op. 38, Frühlingssinfonie (Spring Symphony)

Suntory Hall

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

都響A定期、指揮エリアフ・インバル、ショスタコーヴィッチ交響曲第13番《バービイ・ヤール》

2025-02-13 07:22:48 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今季都響A定期会員になって最も楽しみにしていた演奏会。インバルさんのショスタコーヴィッチということで高い期待をもって出かけた東京文化会館でしたが、期待を大きく上回る圧倒的な時間となりました。

前半からインバルさんと都響は並々ならぬ気配を漂わせていました。ラフマニノフの交響詩《死の島》はベックの版画にインスピレーションを得て作曲された音楽とのことですが、波に揺られてボートが進む様や陰鬱な島の情景が目に浮かぶような音楽です。オーケストラがインバルの指揮に合わせて、冒頭から高い緊張感を放っていて、その迫力に背筋が伸びます。緩むことのない張りが持続したまま、20分程で曲は終わりましたが、一体後半はどうなるのか、怖くなるほどの前半の演奏でした。

後半のショスタコーヴィッチの《バービイ・ヤール》は昨年、井上道義さん最後のN響定演で聴いた曲です。今回は、字幕があったおかげで、N響の時以上に作品の世界に投入することができました。スターリン後の時期とはいえ、この作品を旧ソ連で発表するショスタコーヴィッチの気概を改めて強く感じます。

そしてそのショスタコーヴィッチの気概と四つに組み合うがごとくの独唱・合唱・オケのパフォーマンスでした。独唱のグリゴリー・シュカルパ、エストニア国立男性合唱団による地響きのような低音が、叙事詩とも言えるこの作品の重厚さを引き立てます。そしてインバルが指揮する都響の前のめりの入魂の演奏も素晴らしい。コンマスの水谷さん(東響から移られて私はきっと初めて)の激しい、キレのあるヴァイオリンに引っ張られる弦陣の武骨にも聴こえるアンサンブルや管陣の美音、そしてそれらを統括するインバルの気魄らが、最高に組み合わさって、至高の音楽体験を味わいました。

タクトが下りると暫しの沈黙の、熱狂的な大拍手と歓声。心の底から「感服いたしました」と唸らされる演奏でした。致し方ないことではありますが、前日のN響定期の余韻が完全に上書きされてしまったのだけは、良くも悪くも残念。

反ユダヤ主義への抗議やロシア民族や社会への敬意・皮肉・批判が同居したこの作品に触れれば、現在のウクライナ・ロシア戦争や、止むことのないパレスチナ人とユダヤ人の争いに思いを向けざるをえません。都響とは2年越しでの本曲の演奏が実現したとの記載をどこかで目にしましたが、インバル先生はどういう思いでこの曲を指揮しているのか、伺ってみたいものです。

 

日時:2025年2月10日(月) 19:00開演
場所:東京文化会館 
【ショスタコーヴィチ没後50年記念】

出 演
指揮/エリアフ・インバル
バス/グリゴリー・シュカルパ*
男声合唱/エストニア国立男声合唱団*

曲 目
ラフマニノフ:交響詩《死の島》 op.29      
ショスタコーヴィチ:交響曲第13番 変ロ短調 op.113《バービイ・ヤール》*

Date: Mon. 10. February 2025 19:00
Venue: Tokyo Bunka Kaikan 
[50th Anniversary of death of Shostakovich]

Artists
Eliahu INBAL, Conductor
Grigory SHKARUPA, Bass*
Estonian National Male Choir, Male Chorus*

Program
Rachmaninoff: The Isle of the Dead, op.29
Shostakovich: Symphony No.13 in B-flat minor, op.113, “Babi Yar”*

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

絶賛売出し中ポぺルカの自己紹介演奏会:N響2月定期Aプログラム、ペトル・ポぺルカ指揮、ヤナーチェク<シンフォニエッタ>ほか

2025-02-11 07:34:49 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

2月の定期はAプロとBプロをペトル・ポペルカが指揮を務める。私には初めて聴く指揮者であり、N響との共演も初めてということだが、「現在、ヨーロッパとアメリカで旋風を巻き起こしているチェコ人指揮者」で、24-25年シーズンからはウィーン交響楽団の首席指揮者に就任するとのこと((プログラム「フィルハーモニー」)で、とっても楽しみにしていた演奏会。

今回のプログラムは、いずれも「ポペルカの出身国であるチェコにゆかりのある作品を並べたプログラム」(「フィルハーモニー」)で、指揮者の自己紹介とも言えるラインナップ。

4曲はどれも聴き応えたっぷりだった。前半はR.シュトラウスのホルン協奏曲第1番のソロ奏者ラデク・ボバラークの朗々と響く美音が愁眉。楽曲もモーツアルトと間違うほどの、優雅で私にも聞きやすい音楽で、大きなNHKホールの隅々にも届くホルンの音色を堪能した。

後半のドヴォルザーク交響詩「のばと」は初めて聴く曲。夫を毒殺した女性の救済という物語はかなり陰鬱なのだが、音楽は叙情性に溢れ美しい。場面場面のシーンが目に浮かぶような音楽がN響の繊細なアンサンブルで演奏された。

最後のヤナーチェクのシンフォニエッタは冒頭のファンファーレで、最後列に陣取った金管のバンダ隊の輝かしい音色がホールに弾けて始まる。活力にあふれた音楽で、聴いていて元気が出る。ポぺルカの指揮はとっても端正で、N響メンバーとも初顔合わせには見えないほどの指揮姿。これから更に頭角を現す予感がする。

終演後は8割以上埋まったホールからは大きな拍手が寄せられ、ソロカーテンコールまで続いた。私が聴いたことがあるのは、ヤナーチェクだけだったが、とっても良い音楽と演奏をしっかり聴けた満足感で一杯の演奏会だった。今後、ポペルカと言えば、今日の自己紹介演奏会の記憶が蘇るだろう。

 

定期公演 2024-2025シーズンAプログラム
第2031回 定期公演 Aプログラム
2025年2月9日(日) 開演 2:00pm [ 開場 1:00pm ]

NHKホール

指揮:ペトル・ポペルカ
ホルン:ラデク・バボラーク

ツェムリンスキー/シンフォニエッタ 作品23
R.シュトラウス/ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 作品11
ドヴォルザーク/交響詩「のばと」作品110
ヤナーチェク/シンフォニエッタ

Subscription Concerts 2024-2025Program A
No. 2031 Subscription (Program A)
Sunday, February 9, 2025 2:00pm [ Doors Open 1:00pm ]

NHK Hall

Zemlinsky / Sinfonietta Op. 23
R.Strauss / Horn Concerto No. 1 E-flat Major Op. 11
Dvořák / The Wild Dove, sym. poem Op. 110
Janáček / Sinfonietta

Conductor: Petr Popelka
Horn: Radek Baborák

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新国立オペラのフィレンツェ2部作:「フィレンツェの悲劇」(ツェムリンスキー)/「ジャンニ・スキッキ」(プッチーニ)

2025-02-09 07:36:55 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

今年の初オペラ。フィレンツェを舞台にした作品2本立てです。

前半、ツェムリンスキー〈フィレンツェの悲劇〉は初めてのオペラ。登場人物は、夫婦と妻の恋人の3名のみ。不倫関係を軸に展開する重苦しく陰鬱な物語です。

外国人歌手3名の迫力あるパフォーマンスが強い印象を残しました。グイード役ポメロイの低い歌声は地響きのよう。世間にもまれる、プライド高い商人を重厚感たっぷりに演じ、存在感が圧倒的でした。

ビアンカ役のヴァイスバッハも芯あって力強いソプラノ。ラストシーン、決闘後に再び夫の元に戻るシーンでの表情は複雑で、一筋縄ではいかない女性心理が表出されていたように見えました。

シモーネ役のマイヤーは今回が初ロールということです。ちょっと貴族の御曹司という感じは全くしないのにはちょっとずっこけましたが、厚みある美しいテノールです。

沼尻さん率いる大編成の東響の演奏も重厚感あふれ、舞台を大いに盛り上げました。舞台も美しく設計され、物語の世界に没入できるものでした。

オスカー・ワイルド原作で、「サロメ」的な女性の倒錯した愛が描かれているようです。ただ私には、家柄から筋肉へあっさりと愛を切り替えてしまうビヤンカの心理は全く理解できず、共感はちょっと難しかった。

後半はプッチーニの〈ジャンニ・スキッキ〉。このオペラは何度か見ています。プッチーニらしい、耳馴染みよい音楽が、前半とは180度雰囲気を変えてくれます。物語も真面目に取れば、遺産相続をめぐる人間の卑しさが表出されるドラマですが、本作品では無邪気なコメディとしての扱いで、それがとってもユーモラスで楽しい。

題名役のスパニョーリの振舞い、演技が絶品でした。コメディは主役の印象で特に大きく変わりますから、もう彼あってのこの舞台という感じです。

題名役以外は日本人歌手で固めていますが、その中ではラウレッタ役の砂田愛梨が群を抜いていました。アリア「私のお父さん」を声量たっぷりの美声で歌い切り、うっとり。

本作でも舞台が美しく、サイズを大きくした小道具も、人や騒ぎを矮小化して見せる効果もあるのかと楽しめました。両編通じて、原作を損なわずに、舞台イメージを膨らませてくれる素晴らしい演出。

フィレンツェを舞台にした悲劇・喜劇の組合せも、鑑賞者は両極端を味わえて、後味も良い。満足感一杯で劇場を後にしました。

(2025.2.6 観劇)

2024/2025シーズン
アレクサンダー・ツェムリンスキー
フィレンツェの悲劇
Eine florentinische Tragödie / Alexander Zemlinsky
全1幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉

ジャコモ・プッチーニ
ジャンニ・スキッキ
Jianni Schicchi / Giacomo Puccini
全1幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
公演期間:2025年2月2日[日]~2月8日[土]

予定上演時間:約2時間20分(フィレンツェの悲劇 60分 休憩 25分 ジャンニ・スキッキ 55分)

Staff&Castスタッフ・キャスト
【指 揮】沼尻竜典
【演 出】粟國 淳
【美 術】横田あつみ
【衣 裳】増田恵美
【照 明】大島祐夫
【舞台監督】CIBITA斉藤美穂

『フィレンツェの悲劇』
【グイード・バルディ】デヴィッド・ポメロイ
【シモーネ】トーマス・ヨハネス・マイヤー
【ビアンカ】ナンシー・ヴァイスバッハ

『ジャンニ・スキッキ』
【ジャンニ・スキッキ】ピエトロ・スパニョーリ
【ラウレッタ】砂田愛梨
【ツィータ】与田朝子
【リヌッチョ】村上公太
【ゲラルド】髙畠伸吾(2・4)、青地英幸
【ネッラ】角南有紀(2・4)、針生美智子
【ゲラルディーノ】網永悠里
【ベット・ディ・シーニャ】志村文彦
【シモーネ】河野鉄平
【マルコ】小林啓倫(2・4)、吉川健一
【チェスカ】中島郁子
【スピネッロッチョ先生】畠山 茂
【アマンティオ・ディ・ニコーラオ】清水宏樹
【ピネッリーノ】大久保惇史
【グッチョ】水野 優

【管弦楽】東京交響楽団

2024/2025 SEASON
Eine florentinische Tragödie
Music by Alexander Zemlinsky
Opera in 1 Act
Sung in German with English and Japanese surtitles

Gianni Schicchi
Music by Giacomo Puccini
Opera in 1 Act
Sung in Italian with English and Japanese surtitles

OPERA PALACE

2 Feb - 8 Feb, 2025 ( 4 Performances )

CREATIVE TEAM
Conductor: NUMAJIRI Ryusuke
Production: AGUNI Jun
Set Design: YOKOTA Atsumi
Costume Design: MASUDA Emi
Lighting Design: OSHIMA Masao

CAST
Eine florentinische Tragödie
Guido Bardi: David POMEROY
Simone: Thomas Johannes MAYER
Bianca: Nancy WEISSBACH

Gianni Schicchi
Gianni Schicchi: Pietro SPAGNOLI
Lauretta: SUNADA Airi
Zita: YODA Asako
Rinuccio: MURAKAMI Kota
Gherardo: AOCHI Hideyuki
 (On Feburary 2 and 4, TAKABATAKE Shingo takes on this role.)
Nella: HARIU Michiko
 (On Feburary 2 and 4, SUNAMI Yuki takes on this role.)
Gherardino: AMINAGA Yuri
Betto di Signa: SHIMURA Fumihiko
Simone: KONO Teppei
Marco: YOSHIKAWA Kenichi
 (On Feburary 2 and 4, KOBAYASHI Hiromichi takes on this role.)
La Ciesca: NAKAJIMA Ikuko
Maestro Spinelloccio: HATAKEYAMA Shigeru
Ser Amantio di Nicolao: SHIMIZU Hiroki
Pinellino: OKUBO Atsushi
Guccio: MIZUNO Yu

Orchestra: Tokyo Symphony Orchestra

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 PERFECT DAYS (パーフェクト デイズ) (監督:ヴィム・ヴェンダース)

2025-02-06 07:30:31 | 映画

主演の役所広司がカンヌ国際映画祭男優賞を受賞し話題になった作品。劇場で観たかったが、時機を逸し今回DVDで視聴。

東京渋谷区の公衆トイレ清掃員として真摯に働き、清貧で充足した日々を過ごす中年男性を淡々と追うドキュメンタリー風の映画。

主人公の平山を演じる役所広司の存在感が終始スクリーンを圧している。性格的に極めて無口な設定なこともあり、台詞が非常に少ない(というか、殆ど無い)。そのため、言葉でなく、表情、仕草で人物の感情、思考を表現するのだが、その制約を超えて役所の演技は平山の人物造形をクリアに浮き上がらせていた。さすが。他の役者が演じたら、どういう映画になるのだろう。

リアリティ高い映像で、都会ならでは孤独や静謐さが表現されていたのも印象的。映画の中にあった台詞(正確ではない)だが、一つの世界の中で人は別々の違う世界を生きている。

60年代から70年代前半の洋楽を中心にした音楽は、主人公の人物理解のためにも、作品を支えるのにも重要な役割を果たす。時代は令和だが、平山が生きる「いま」とは時間的にズレがある。平山の「完璧な日々」には欠かせないアイテムだ。

計算された感動ではなく、観るもの夫々の人生経験や想いが反映される映画であると感じた。なので、人により感想は巾があると思う。私自身は平山的生き様には共感はできないし、真似たいとも思わなかった。ただ、様々な人生を追体験するのは、自分の世界が広がるし、作品としての質は高いので、観て良かったと思った映画であった。

 

PERFECT DAYS(パーフェクト デイズ)
2023年(日本/ドイツ)
監督:ヴィム・ヴェンダース
脚本:ヴィム・ヴェンダース、高崎卓馬
音楽:ルー・リード、ヴァン・モリソン、ニール・ヤング他
キャスト:役所広司、柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり、三浦友和、田中泯、他

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

近内悠太『世界は贈与でできている 資本主義のすきまを埋める倫理学』(ニュースピックス、2020)

2025-02-04 07:30:10 | 

参加している読書コミュニティでの「利他」をテーマとした課題図書の1冊。自分の認知の枠組みに新たな軸を与えてくれた1冊となりました。

筆者の贈与とは、「僕らが必要としているにもかかわらずお金で買うことのできないものおよびその移動」と定義します。身近なところでは、家族や友人、恋人との関係性などであるし、社会的には(補償金支払いの前提が無い)核廃棄物の処理場受け入れなどです。本書はその「贈与」の原理について、解きほぐすための「言葉」と「概念・思考」と併せて解明します。タイトルは「贈与」ですが、検討・記述範囲は広いです。平易に分かりやすく書かれてはいますが、内容は哲学そのもので意味深く、おそらく今時点では半分ぐらいしか理解できてないと感じる所です。

ただ、これまで深く考えることの無かった「贈与」というテーマについて考えることで、普段の自分の行動や取り巻く環境が違った角度で見えてくる新鮮さと驚きを味わえました。資本主義の真っただ中で生きることで、数値化、経済的価値、交換の発想が意識しないうちに染みついている多くの現代人に、お金で買えないものの存在、そしてその重要性(資本主義と矛盾するわけでもない)について気が付かせてくれます。(ただタイトルの「贈与でできている」は書きすぎで、サブタイトルの「『すきま』を埋める」ものとして贈与が正確)

「贈与」ということにここまで難しく考え抜かなくてはいけないのか?言葉遊びになってないか?と感じてしまう私も多分に感じながら、これからも本書を時折、読みかえすことになるでしょう。

2025年1月3日 読了

 

<印象に残った記述の抜粋>

・贈与を上げる人が嬉しいのは、贈与を受け取ってくれたということは、その相手がこちらと何らかの関係性、つまり「つながり」を持つことを受け入れたことを意味するから。

・親は自分の子供がその子供(孫)を愛するのを見て、自分の子供への愛の正当性を確認している。(pp..30-31)

・贈与はすでに受け取ったものに対する返礼(過去の負い目にもとづく)であり、受け取ることなく開始されることは無い。贈与は返礼として始まる。(pp..42-45)

・贈与の対抗は交換。交換するものが無い時、つながりや援助が必要

・贈与は、それが贈与と知られてはいけない。明示的に知らされる贈与は、見返りを求めない贈与から「交換」へ変わる。それは「呪い」(返礼義務の負い目)にもなる。

・(贈与における「受取人」の重要性)贈与は「受け取る」から始まる。受取人においては贈与は過去にある。贈与は差出人に倫理を要求し、受取人に知性を要求する。過去の中に埋もれた贈与を受け取ることのできた主体だけが、つまり贈与に気づくことができたしゅたいだけが再び未来に向かって贈与を差し出すことが出来る(pp..111-114)

・アンサングヒーロー:評価されることも褒められることもなく、人知れず社会の最悪を取り除く人。アンサングヒーローは、想像力を持つ人にしか見えない。アンサングヒーローの仕事にはインセンティブ(報酬)とサンクションが機能しない。アンサングヒーローは自分が差し出す贈与が気づかれなくても構わないと思うことができる。それどころか気がつかないままであってほしいとさえ思っている。なぜなら、受け取り人がそれが贈与だと気づかないと言う事は、社会が平和であることの何よりの証拠だから。自身の贈与によって最悪を未然に防げたからこそ、受け取り人がそれに気づかない。(pp..209‐213)

・贈与は僕らの前に、不合理なもの、つまりアノマリーと言う形で現れる。現代社会が採用しているゲームが等価交換を前提とし、市場経済と言うシステムを採用しているから。だからその中に存在している(商品じゃないもの)に、僕らは気づくことができる。だから贈与は市場経済の「隙間」に存在すると言える。市場、経済のシステムの中に存在する無数の「隙間」そのものが贈与。資本主義と言うシステム、市場経済と言うシステムが贈与をアノマリーたらしめる(pp..223‐224)

・ギブアンドテイク、winーwinの中から「仕事のやりがい」は生まれないのは、交換に目指したものだから。不当に受け取ってしまった。だから、このパスを次に繋げなければならない。誤配を受け取ってしまった。だから、これを正しい持ち主に手渡さなければならない。この自覚から始まる贈与の結果として、宛先から逆向きに「仕事のやりがい」や「生きる意味」が偶然帰ってくる。仕事のやりがいと生きる意味の獲得は、目的ではなく結果。目的はあくまでもパスをつなぐ使命を果たすこと。このような贈与によって、僕らはこの世界の「隙間」を埋めていく。この地道な作業を通して、僕らは健全な資本主義、手触りの暖かい資本主義を生きることができる。(pp..242-244)

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ソヒエフ祭り最終日:トゥガン・ソヒエフ、N響 1月Bプロ

2025-02-02 07:38:14 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

ソヒエフ祭り定演最終回はBプログラムで東欧・ロシアの作曲家の作品です。

冒頭のムソルグスキー(リャードフ編)/歌劇「ソロチンツィの市」からの2曲は、軽快で明るい音楽でしたが、こちらの準備が整わず、直ぐに睡魔に襲われ、朦朧状態。ごめんなさいでした。

続く、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番は全く初めて聴く曲で、ソリストはN響のコンサートマスターの郷古さん。マイシートがP席なので、後ろ姿ではありますが積極的な攻めの姿勢が感じられ、切れ良く、しかも美しいヴィオリンの音が響いてきました。一方で、楽曲がちょっと私には難易度高く、何をどう聴いていいのか分からないままで終わってしまいました。せっかくの郷古さんがソロなのだし、しっかり予習すべきだったと、後悔しきり。

アンコールでは、マロさんに代わってコンサートマスターに就任される長原さんとコンマスコンビでバルトークの「44のヴァイオリン二重奏曲」から第28番「悲しみ」。新しいN響の幕開けを予感させるフレッシュさが良かったです。

白眉は後半のドヴォルザーク交響曲第8番。私にもなじみのあるこの楽曲をソヒエフさんがN響から素晴らしい音を引き出していました。まずの全体の印象は、本当にN響が良く鳴っている。各パーツのリーダーの方の演奏はもちろんなのですが、各楽器からの音が隅々から明瞭に聴こえてきます。音の情報量が半端ないです。

そしてソヒエフさんが紡ぐ音は、とっても表情豊か。決して何かの情景を描いた音楽では無いとは思うのですが、印象派の画家が広い野原を描いたような、何か色のついた情景が目に浮かぶような気にさせられます。この曲はN響ではマリナーさん、広上さん、ブロム翁など、名だたる名指揮者の棒で聴いていますが、ソヒエフさんならでは重層的で味わい深く、暖かい感じのする演奏でした。

もちろん終演後は大拍手。N響メンバーの表情を観ていても、ソヒエフさんへの信頼感、一緒に音楽を創造する喜びに満ちているのが伝わってきます。これからも継続的な登壇をお願いします。





(P席にもご挨拶いただき嬉しい!)

定期公演 2024-2025シーズンBプログラム
第2030回 定期公演 Bプログラム
2025年1月31日(金) 開演 7:00pm [ 開場 6:20pm ]

サントリーホール

指揮 : トゥガン・ソヒエフ
ヴァイオリン : 郷古 廉(N響第1コンサートマスター)

ムソルグスキー(リャードフ編)/歌劇「ソロチンツィの市」─「序曲」「ゴパック」
バルトーク/ヴァイオリン協奏曲 第2番
ドヴォルザーク/交響曲 第8番 ト長調 作品88

Subscription Concerts 2024-2025Program B
No. 2030 Subscription (Program B)
Friday, January 31, 2025 7:00pm [ Doors Open 6:20pm ]

Suntory Hall

Mussorgsky / Liadov / The Fair at Sorochyntsi, opera―Introduction, Gopak
Bartók / Violin Concerto No. 2
Dvořák / Symphony No. 8 G Major Op. 88

Conductor
Tugan Sokhiev
Violin
Sunao Goko (First Concertmaster, NHKSO)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする