『灰とダイヤモンド』のDVDが近所のTSUTAYAには見当たらなかったので、第2次大戦期のポーランドを舞台にした映画は他にないだろうかと探したところを、本DVDを見つけた。ドイツに占領されたワルシャワにおける、ユダヤ系ポーランド人のピアニスト、ウワディスワフ・シュピルマンの体験をもとにした物語である。原題は"The Pianist"。
とっても重い。目を背けたくなるシーンも少なくない。こうも簡単にユダヤ人たちがナチスに虐殺されていたのかと思うと、胸が重くなる。「第二次大戦でポーランドは六百万以上の犠牲者を出した。ほぼ五人に一人が犠牲になったことになり、人口比ではソ連を上回る被害である。とくにユダヤ系住民はその九十%が殺された」(「灰とダイヤモンド」訳者川上洸氏の解説 同書上巻19ページ)らしいが、当時のポーランドのユダヤ人の悲惨さを十二分に知ることができる。
悲惨な物語であるが、映像は美しく撮影されている。廃墟と化したワルシャワの風景など、劇場で観ると更に迫力も増したであろう。ショパンのピアノ曲が多数流れるが、物悲しさを引き立てる。
個人的には、本映画で、欧州の旅行中に何度か出くわしたユダヤ人ゲットー地区の具体的イメージも掴めた。
映画としても完成度の高い作品であり、現代世界史を知っておくという意味でも一度は見るべき映画である。
キャスト
エイドリアン・ブロディ: ウワディスワフ・シュピルマン
トーマス・クレッチマン:ヴィルム・ホーゼンフェルト大尉
エミリア・フォックス:ドロタ
ミハウ・ジェブロフスキー:ユーレク
エド・ストッパード:ヘンリク
モーリン・リップマン:母
フランク・フィンレイ:父
ジェシカ・ケイト・マイヤー:ハリーナ
ジュリア・レイナー:レギーナ
ワーニャ・ミュエス:ナチス親衛隊将校
トーマス・ラヴィンスキー:保安警察
ヨアヒム・パウル・アスベック:保安警察
ポペック:ルービンシュタイン
ルース・プラット:ヤニナ
ロナン・ヴィバート:ヤニナの夫
ヴァレンタイン・ペルカ:ドロタの夫
スタッフ
ロマン・ポランスキー:監督
ティモシー・バーリル:製作総指揮
ルー・ライウィン:製作総指揮
ヘニング・モルフェンター:原作
ウワディスワフ・シュピルマン:原作
ロナルド・ハーウッド:脚本
ロマン・ポランスキー:脚本
ヴォイチェフ・キラール:音楽