その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

日本オペラ協会 『春琴抄』 @新国立劇場 中劇場

2014-03-31 22:04:49 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 「春琴抄」は決して好きな小説とは言えないですが、物語の強烈な吸引力に引っ張られて、原作に加えて、映画(衣笠貞之助監督「お琴と佐助」)・芝居(Simon McBurney演出)を見ており、いつもその独特の世界に不思議な感動を覚えています。今回、この作品がどうオペラとして表現されるのか、私にとっては初めての日本語による日本の物語のオペラ鑑賞ということも加わって、とても楽しみにしていました。三木稔氏による本オペラは1975年の作曲ということで、日本オペラ協会でも今回が9回目の公演になるそうです。


≪過去の公演チラシ≫

 音楽は、西洋のクラシック音楽と邦楽のフュージョンとでもいうような音楽でした。小編成のオーケストラに琴や三味線がピットの脇で演奏されます。歌劇というよりは、音楽に乗って台詞が進む楽劇です。

 印象的だったのはその音楽です。音楽も時折、日本的な美しいメロディも入りますが、大半は物語の緊迫感、陰影、不安定さを表現した音楽で緊張感が一杯です。倒錯したとも言える春琴と佐助の関係を表現していました。オケも熱演で、特に琴、三味線、フルートの音が効果的に場面を盛り上げます。

 舞台上では佐助を演じた柴山昌宣さんが良かった。声もさることながら、佐助の所作が失われた日本人の整った佇まい、動きが上手く表れていると思いました。春琴の佐藤美枝子さんも熱演でした。失礼ながら、「人形のような小さな足」を持つ春琴さんのイメージとはギャップはありますが、オペラ歌手ですからそこはご愛嬌です。

 必要で十分な演出も物語の持つ陰影を上手く生かしたものでした。ちょっと第2幕の梅見のシーンは歌舞伎のセットのような明るさで、ちょっと浮いていた気もしましたが、特に不満はありません。これも前後の幕の暗陰との対比という意味では有効だったのかもしれません。

 パフォーマンスは良かったと感じた一方で、「春琴抄」という作品をオペラと言う表現法を活用するのが果たして適切かについては、正直良く分かりませんでした。合唱も美しいのですが、日本語であるのに意外と聞き取りづらかったりしましたし、音楽により緊張感が高められる一方で、音楽がある分、話の展開やテンポはどうしても緩くなってしまっていて、逆に緊迫感が薄れるところもある気もしました。なかなか難しいですね。

 都民芸術フェスティバルのプログラムでもある本公演。会場もほぼ満席で、終演後は大きな拍手が出演者たちに注がれていました。



日本オペラ協会公演 日本オペラシリーズNo.74
2014 都民芸術フェスティバル参加公演 
原作:谷崎潤一郎 作曲:三木稔
台本:まえだ純
ニュープロダクション オペラ3幕
春 琴 抄

2014年3月30日(日)15:00開演
会場:新国立劇場中劇場

総監督:大賀 寛
指揮:樋本 英一
演出:荒井 間佐登

出演
春琴 佐藤美枝子
佐助 中鉢 聡
安左衛門 豊島 雄一
しげ女 郡 愛子
利太郎 大間知 覚
幇間・三平 鳴海 優一
真平 川久保 博史
芸者・蔦子 神田 さやか
菊次 田中 美佳
梅吉 西野 郁子
てる女
ヴォカリーズ 上田 由紀子
番 頭・宗兵衛  別府 真也
鵙 屋・小夜   渡辺 文子
初        植松 美帆
久助       大西 貴浩
伝介       保川 将一
温井家・お糸   山邊 聖美
お駒       丸山 さち
竹造        堀内 丈弘
木造       大塚 雄太

合唱指揮/河原 哲也
合唱/日本オペラ協会合唱団
管弦楽/フィルハーモニア東京
二十絃筝/木村 玲子
三絃/友渕のりえ
振付/飛鳥 左近

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横田 増生 『ユニクロ帝国の光と影 』 文春文庫

2014-03-29 16:59:44 | 


 本書は、2011年に単行本として発行されたものに、ユニクロとの法廷闘争の記録を最終章として追加して、文庫本として発行したもの。タイトルには「光と影」とあるが、過酷な労働環境、定着しない幹部陣など、「影」の部分が強調して書かれている。

 ユニクロの柳井社長については、その強烈なリーダシップや経営方針が頻繁にメディアから流れるし、柳井氏の著書「成功は一日で捨てよ」も読んだので、ある程度は既知である。なので、本書によりこれまでの見方が大きく変わったということはないが、改めてその強い個性について再認識させられた。

 創業者、起業家として事業を成長させ、グローバル競争に勝ち抜くためには、ここまでの覚悟と行動があってこそだろうと納得する。経営者にはある部分「狂」が必要だと言われるが、ソフトバンクの孫氏と並び、サラリーマン経営者にはない迫力に圧倒される。

 ただ、私が「ユニクロで働きたいか」とか、「ユニクロを就職先として勧めたいか」と問われれば、間違いなく否である。壊れていく自分が見えるからだ。そして、このような思いを持つ日本人はきっと自分だけでないだろう。ユニクロの成長の中に自身の成長を見いだせる人はそうはいないのではないか。柳井氏がいくら厳しいグローバル競争環境を叫んでも、踊る人は少なくなってくるだろう。

 日本企業が世界で戦うためには、ユニクロのようなマネジメントしか方法はないのだろうか?本書を読む限りは、社員と会社の関係はどう見てもWIN−WINには見えない。こういう会社がどこまで継続的な成長を続けることができるのか?柳井氏の後も会社は続くのか?柳井氏は自分が経営に携わっている時に会社が成長すればいいのであって、その後のことはどうでもよいのか?柳井氏の主張に違和感を感じる私が甘ちゃんなのか?色んな「?」が頭に浮かぶ。

 引き続き目が離せない会社であることは間違いない。
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小泉和裕 指揮/ 都響/ ブルックナー交響曲第1番ほか @東京文化会館

2014-03-26 00:24:47 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 今年は、初めて都響の<作曲家の肖像シリーズ>というプログラムの会員に申し込んでみました。すると、新会員向けに定期演奏会に抽選でご招待という企画があり、手を挙げてみれば、なんと運よく当選。会員になったのは私一人なのに、ペアのチケットまで頂き、母を誘って東京文化会館に足を運びました。東京文化会館は10年ぶりぐらいです。


≪招待席なのになんと1階≫

 プログラムは、ベートーベンとブルックナーの交響曲第一番という珍しい取り合わせです。ブルックナーの一番は生演奏も録音も聴いたことが無く、全く初めてです。

 颯爽とステージに現れた指揮者の小泉和裕さん。小泉さんは文化会館以上に久しぶりで、きっと20年ぐらい前に新日フィルとのホルスト「惑星」以来かな。軽快な足取りと、背筋が伸びて大きく棒を振る指揮ぶりは記憶のままでしたが、以前に比べて随分と風格が漂っている印象を受けました。

 ベートーベンもブルックナーも堂々たるストロングスタイルの演奏でした。ベートーベンの1番は指揮者によって演奏の仕方がかなり異なると思いますが、小泉さんは弦も人数を揃え、力強く重厚な(かといって重すぎることは無い)音楽を作っていました。ベートーベンらしい構造の美しさが明確に浮かび出るような演奏で、個人的にもとっても好みです。

 休憩を挟んでのブルックナーは人数を更に増やしたオケの爆音が冒頭から炸裂。ただ、初めてかつ予習なしで臨んだ私には、ちょっとこの曲は難しすぎ。時折、ブルックナーらしいリズムやメロディが入りますが、全体像をつかむには至らず、ただただオケの迫力に圧倒されるばかりでした。都響の音が、聴き慣れているN響と比べ、太く野性味あふれるように聞こえたのは、オケのせいか、ホールのせいかは良く分かりませんが、新鮮でした。小泉さんは、ベートーベンに続きここでも暗譜で、オケに正面対峙しながら、音楽をがっちりまとめている印象で、しっかり予習しておけば良かったと後悔。都響の聴衆はN響に劣らず平均年齢は高めですが、終演後の拍手はとても熱いものでした。

 こんな素晴らしいコンサートにご招待いただき、都響事務局には感謝感謝です。母も楽しんでいたようです。会員特典としてこんな嬉しい企画は無く、できれば他のオーケストラも見倣ってほしいです(N響にはないけど、他にはある?)。都響会員になって良かった~としみじみ思った終演後でした。



東京都交響楽団 第767回 定期演奏会Aシリーズ
日時:2014年3月24日(月)19:00開演(18:20開場)

場所:東京文化会館
指揮:小泉和裕
東京都交響楽団

曲目
ベートーヴェン:交響曲第1番 ハ長調
ブルックナー:交響曲第1番 ハ短調(リンツ稿)



Subscription Concert No.767 A Series
Date: Mon. 24. March 2014, 19:00 (18:20)

Hall: Tokyo Bunka Kaikan Artists
Conductor: KOIZUMI Kazuhiro
Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra

Program
Beethoven: Symphony No. 1 in C Major
Bruckner: Symphony No. 1 in c Minor


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新国立バレエ/ 「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」

2014-03-23 21:43:52 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 2日連続の新国立劇場です(この日は中劇場)。ツイッタ―上での評判がとっても良かったこと、好きなストラビンスキーが演目に含まれていたので、直前にチケットを購入しました。3本立てのプログラムはいずれの演目も新制作ということです(まあ、私にとってはどれも初めてなので新制作かどうかは余り関係無いのですが・・・)。

 中劇場はこじんまりしていて、舞台がとっても近くアットホームな雰囲気が好きです。今回はC席で2階2列目。大劇場では、いつも4階席からオペラグラス越しに覗き見ている私も肉眼で十分です。


≪中劇場のホワイエ≫


≪舞台が近い!≫

 今回は、どの演目も特にストーリーがあるわけではない、抽象的バレエ(ダンス)です。私としては、特に一本目の「暗やみから解き放たれて」と「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」が良かった。

 「暗やみから解き放たれて」は光のこもったぼんぼり舞台上や舞台空間におかれ、前半はまさに暗闇の中を薄い蛍光の照明がぼんやり浮いているような感じで、後半になると白熱系の色に変り明るくなります。音楽は録音テープでしたが、ジョージ・ウィンストンを思いおこさせるような曲風の音楽に合わせて、ダンサーたちが踊ります。振付が神秘的で、美しく、ダンサーたちの舞に引き込まれました。プログラムを購入していないので(ゴメンナサイ)、踊りが何を意味しているのかは分からないのですが、大きく心揺さぶられました。

 3つめの「シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ」は、ストラビンスキーらしい多様なリズム、エッジの効いた音楽で、それにぴったりと合った踊りが印象的でした。中心となる3組の男女ペアの切れのある踊りに加え、周囲を固めるダンサーたちも、揃っていて迫力満点。私としては、特に米沢唯さんの優美さと運動性の2面を合わせ持ったダンスに強く惹かれました。凄い運動量なのでしょうね。踊っているときは見えなかった汗が、カーテンコールの時は各ダンサーさん汗びっしょりでした。

 2つめの「大フーガ」は決して悪いわけではないと思うのですが、どうも演奏が私のイメージと合わず、もどかしい感じを持ってしまいました。ベートーヴェンらしい音楽の厚みや構造美が感じられなかった。ダンスは良かったです。肌色のバレエ・レオタードは、下着みたいで、年甲斐もなくドキドキしてしまいました(-_-;)。

 とっても充実したプログラムだったのですが、何故か会場は中劇場であるにもかかわらず、半分も入っていなかったような(お客さんが入っているところと、殆どいないところがはっきり分かれていたので、実際にどの程度の入りかは良く分からないのです)。こういう抽象バレエや新しもんは、人気が無いのかしら?とっても、残念です。門外漢が言ってもあんまり説得力無いですが、こういう試みを良くも悪くもバレエファンがしっかりフィードバックしていくのが、このバレエ団を育てて行くんだと思うんですけど・・・。このバレエ団、とってもレベルが高いと思うだけに、より大きく育ってほしいです。



『シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ』
【3月22日(土)2:00p.m.】

芸術監督:デヴィッド・ビントレー
Artistic Director : David Bintley


『暗やみから解き放たれて』
Escaping the Weight of Darkness

振付:ジェシカ・ラング
Choreography : Jessica Lang

音楽:オーラヴル・アルナルズ、ニルス・フラーム、ジョッシュ・クレイマー、ジョン・メトカーフ
Music : �・lafur Arnalds、Nils Fram、Josh Kramer、John Metcalfe

照明:ニコール・ピアース
Lighting : Nicole Pearce

衣裳:山田いずみ
Costumes : Yamada Izumi

Cast
本島美和、湯川麻美子、福田圭吾、古川和則、堀口 純、丸尾孝子、五月女 遥、池田武志、宇賀大将 ほか


『大フーガ』
振付:ハンス・ファン・マーネン
Choreography : Hans van Manen

音楽:ルードヴィヒ・ファン・ベートーヴェン
Music : Ludwig van Beethoven

装置:ジャン・ポール・ヴルーム
Sets : Jean-Paul Vroom

衣裳:ハンス・ファン・マーネン
Costumes : Hans van Manen

照明:ジャン・ホフストラ
Lighting : Jan Hofstra

指揮:アレクセイ・バクラン
Conductor : Alexei Baklan

管弦楽:新国立劇場プレイハウス・シアターオーケストラ

Cast: 小野絢子、堀口 純、丸尾孝子、若生愛、マイレン・トレウバエフ、福岡雄大ほか


『シンフォニー・イン・スリー・ムーヴメンツ』
指揮:アレクセイ・バクラン
Conductor : Alexei Baklan

振付:ジョージ・バランシン
Choreography : George Balanchine

音楽:イーゴリ・ストラヴィンスキー(1882–1971)
Music : Igor Stravinsky

管弦楽:新国立劇場プレイハウス・シアターオーケストラ

Cast:五月女遥、小野絢子、米沢 唯
 林田翔平、福岡雄大、菅野英男 ほか
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オペラ「死の都」 @新国立劇場

2014-03-22 08:20:49 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)


 第2幕が終わった時点では、今一つピンとこないオペラだなあと思っていました。午前中のジョギングのせいか、第1幕はウトウトしちゃったし、第2幕はマリエッタを歌うミーガン・ミラーが発するフェロモンにはぐぐっと魅かれましたが、それを除くと自分としてはあまり舞台に感情移入できない。「歌手は皆さん良い出来だし、オケも悪くないのに、何故かしら?話が好みでないのかな?」などと自問自答。それが第3幕では大逆転。パウルとマリエッタの緊張感あふれるやりとりに前のめりに引き込まれ、そしてラストのパウルが亡き妻への思いを断ち切る歌には、まさかの涙がこぼれ落ちました。

 ほぼ出ずっぱりの二人、マリエッタ役のミーガン・ミラーとパウルを演じたトルステン・ケールの熱演が光りました。お色気たっぷりのミラーさんは踊り子マリエッタがはまり役。高く美しい声量たっぷりのソプラノを聴かせてくれました。ケールさんは、安定したテノールで、持ち役らしい安心感たっぷりの演技でした。この二人がしっかりしていたので、舞台が締まります。ブリギッタ役の山下牧子さんを初め、他の歌手陣も良い出来でした。

 ヤロスラフ・キズリンクさんが振った東京交響楽団の演奏も、変幻自在なコルンゴルドの音楽を、美しくかつキレ良く聴かせてくれました。コルンゴルドの音楽は「プッチーニの旋律とリヒャルト・シュトラウスの和声を合わせた」(新国立劇場HP, 中村伸子さんのブログより)と言われるらしいのですが、その魅力を十分に引き出していたと思います。「蝶々夫人」のようにうっとりするところもあれば、「サロメ」のような緊張感一杯だったり、その幅の広さに驚かされます。

 演出・照明も良く考えられた美しいものでした。主人公パウルの部屋を中心に置きつつ、2幕では背景に「死の都」ブルージュの街を上空から見た角度で形作ります。模型の家の幾つかには照明を灯すなど、神秘的な雰囲気が演出されました。また、死んだ妻マリーを黙役が演じると言うのもこれまでにない試みのようですが、私には全く違和感はありませんでしたし、むしろマリーとマリエッタの位置関係が楽しめました。
 
 初めて見るオペラならではのドキドキ感あふれるパフォーマンス。音楽、歌、演出の総合芸術オペラの醍醐味を堪能した連休初日の午後でした。


≪幕間風景≫

 
2014年3月21日

新国立劇場 2013/2014シーズン
エーリッヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト《死の都》全3幕
Erich Wolfgang Korngold/ Die tote Stadt

【ドイツ語上演/日本語字幕付】

新国立劇場 オペラ劇場

■指揮:ヤロスラフ・キズリンク|Jaroslav Kyzlink
■演出:カスパー・ホルテン|Kasper Holten
■原作:ジョルジュ・ローデンバック Original by Georges Rodenbach
■台本:パウル・ショット (ユリウス・コルンゴルト/エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト)
Libretto by Paul Schott (Julius Korngold, Erich Wolfang Korngold)
■作曲:エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト 
Music by Erich Wolfgang Korngold
■美術:エス・デヴリン
Scenery Design:Es Devlin
■衣裳:カトリーナ・リンゼイ
Costume Design:Katrina Lindsay
■照明:ヴォルフガング・ゲッベル
Lighting Design:Wolfgang Göbbel
■再演演出:アンナ・ケロ
Revival Director:Anna Kelo
■舞台監督:斉藤美穂
Stage Manager:Saito Miho
■合唱指揮:三澤洋史
Chorus Master:Misawa Hirofumi
■芸術監督:尾高忠明
Artistic Director:Otaka Tadaaki

■キャスト
【パウル】トルステン・ケール|Torsten Kerl
【マリエッタ/マリーの声】ミーガン・ミラー|Meagan Miller
【マリー(黙役)】エマ・ハワード Emma Howard
【フランク/フリッツ】アントン・ケレミチェフ|Anton Keremidtchiev
【ブリギッタ】山下牧子
【ユリエッテ】平井香織|Juliette:Hirai Kaori
【リュシエンヌ】小野美咲|Ono Misaki
【ガストン(声)/ヴィクトリン】小原啓楼|Ohara Keiroh
【アルバート伯爵】糸賀修平|Itoga Shuhei
【マリー(黙役)】エマ・ハワード
【ガストン(ダンサー)】白鬚真二

■合唱:新国立劇場合唱団
Children Chorus:Setagaya Junior Chorus
■児童合唱:世田谷ジュニア合唱団
Children Chorus:Setagaya Junior Chorus
■管弦楽:東京交響楽団
Orchestra:Tokyo Symphony Orchestra
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ラファエル前派展 @森アーツセンターギャラリー 

2014-03-21 07:30:27 | 美術展(2012.8~)


 楽しみにしていたラファエル前派展に行ってきました。この企画展がロンドンで開催されることを知ったのが、丁度、2012年の私の帰国直前。地団太踏んで悔しい思いをしたのですが、まさかワシントン、モスクワを経由して東京までやって来てくれるとは・・・。大感激です。

 テート美術館の目玉作品が「これも!あれも!」という具合に大盤振る舞いされています。大好きで、この作品を目指し、幾度もテート美術館に足を運んだ、ミレイの「オフィーリア」も来ています。これだけのテート美術館の目玉作品群を一挙に見せてくれるとは何たる大盤振る舞い。逆に、今の時期にテート美術館にラファエル前派の作品を見に行った人は、ホントがっかりでしょうね。


≪シェクスピア『ハムレット』に登場する悲劇の女性「オフィーリア」≫

 テート美術館は、頻繁に作品や展示場所を入れ替えるので、「オフィーリア」のような目玉作品を除いては、都度都度見られる作品が変ります。今回の展示作品の中でも、「あれ、こんなのあったけな???」という作品も多数展示されていました。なので、懐かしの作品に再会するという楽しみと、新たな作品を鑑賞する楽しみと私にとっては一度で二粒美味しい美術展となりました。

 「オフィーリア」に加えて、同じくミレイの「マリアーナ」があったのも嬉しかった。鮮やかな色遣い、きめ細かい微細にわたる描写、モデルの官能的ポーズには、強裂に惹きつけられます。


≪マリアーナ≫

 これだけの規模でラファエル前派の作品を一同に鑑賞できる機会はそうは無いと断言できます。会期も残り少なくなってきましたが、強くお薦めしたいです。

 森アーツギャラリーはほぼ毎日夜8時まで開館しているのも嬉しいです。私も就業後に訪れましたが、ゆっくり、しっかり鑑賞できました。会期終了までにもう一度行きたいです。


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日野行介 『福島原発事故 県民健康管理調査の闇』  (岩波新書)

2014-03-19 00:10:43 | 


 原発事故による放射能の健康への影響を調査する福島県の県民健康管理調査を巡って、「検討会」が、どう事実を秘匿し、議論を誘導しようとしたかを生々しくレポートしている。

 考えさせられるのは、彼らは一体、誰に向いて仕事をしているのかということ。あるべきは、福島県の役人であれば福島県民であろうし、医師であれば患者であるはずである。だが、ここで報告されるのは安心重視やパニック防止という名のもとの、隠ぺいや偽りでしかない。悲しいが、これが日本のシステムだし、「組織人」の現実なのだ。

 お役所の保身文化、根回し文化を考えれば、きっとこんなことがあるのだろうなあと、誰もが漠然と思っていることが、本当に起こっているというのに驚き呆れる。その事実を明白に白日の下に照らしたという点において、このレポートの意義は非常に大きいと思う。もちろん、将来、本当に健康被害が出るかどうかは今の時点では分からない。しかし、大事なのは将来の結果よりも、ここでお役人や検討会が取っている行動であり、その意図である。

 一般市民は賢くなるしかない。玉石混合であるかもしれないが、今の世の中は昔とは全く違った質と量の情報がネットを通じて手に入る。「政府が行っているから・・・」「県が言っているから・・・」「専門家が言っているから・・・」ではなく、自分で情報を取って自分の頭で考え、行動する。それしか、自分を守る方法はないと思う。

 福島県民の人たちはこの本をどう読むのであろうか。
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さいたまシティマラソン @さいたまスーパーアリーナ 

2014-03-16 20:49:12 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 つい2週間前の日曜日、立川シティマラソンを凍えながら走ったのが、ウソのような穏やかな春の日でした。埼玉中心部の浦和、大宮地区を走るさいたまシティマラソン(ハーフの部)に参加しました。

 13,000名が参加する大規模大会で、会場の廻りも多くのテントが出店しており、お祭り気分満載です。私としては、来月のフルマラソン出走に備えた最後の練習レース。今回は、タイムよりも一定のペースで余力を残して走りきれるかがテーマでした。


≪スタート集合エリア。青空が印象的です≫


≪スタートラインに到着できたのはスタートタイムから5分後≫

 もうこれ以上は無いぐらいの暑すぎず寒すぎずの最高のランニングコンディション。走っていて、清々しい気分で一杯です。


≪旧中山道。ところどころに古いお店や民家が残っています≫

 ちょっと意外だったのは、埼玉だから真っ平なコースと思いきや、意外と幾つもの小さなアップダウンがありました。××坂下、××谷、××窪、××沼といった地名を目にしたので、「なるほどしっかり地名は地形を表しているんだなあ」などと思いながら走りました。


≪産業道路≫


≪さいたま新都心エリアが彼方に≫

 朝8時半スタートという早い時間にもかかわらず、沿道には多くの地域の方々が声援を送ってくれました。おじいさん、おばあさん、小さい子供たちのファミリーでの応援が多く、随分励まされました。

 言い訳できないコンディションでしたので、ペースの方もほぼキロ5分30秒を守ることができ、タイムは1時間55分54秒。余裕を持ってのゴールでしたので、練習としては上出来です。


≪ゴール1km前≫

 この大会、ボランティアさんの数も多く、しっかりした運営が印象的でもありました。完走証も待つことなく直ぐに頂けたし、レースだけでなくビフォー、アフターもとても気持ち良かった。

 あとは、1ヶ月後のフルマラソンに向け、しっかり調整です。

 2014年3月16日
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箱根駅伝ミュージアム @元箱根

2014-03-11 19:00:53 | 旅行 日本
 週末は、箱根に保養に行ってきました。本3冊持って、チェックインからチェックアウトまで温泉と飯以外は部屋に引きこもり。こういう週末はなかなか貴重です。

 唯一の観光は、チェックアウト後に訪れた箱根駅伝ミュージアム。芦ノ湖の湖畔、箱根駅伝往路のゴール地点近くに立っています。


≪大学ののぼりが雰囲気を盛り上げます≫

 展示はこじんまりしてますが、箱根駅伝の歴史を紹介するパネル、各大学のユニフォーム、箱根の山のぼり・山くだりのスペシャリストたち、往年の箱根ランナー達の紹介などなど見どころ満載です。甲子園の高校野球並みに商業化した近年の箱根駅伝には少々鼻白むところはありますが、1920年に始まり、戦争の中断を挟みながらも現在まで続くこの大会の歴史・伝統の重さを実感できます。


≪各大学のユニフォーム。こう写すと単なるスポーツ用品店の展示みたいですね≫

 丁度、私が入場する際に、団体さんの一緒になった関係で、ミュージアムのガイドさんの話を一緒に聞くことができました。展示内容に加わえて、大学のユニフォームの縁起など、様々なエピソードを聞かせてもらって興味深かったです。


≪箱根駅伝の歴史パネル≫

 旅行前は、5区の山登りコースを市民ランナーの端くれとして、私もチャレンジしてみようかとの思いも頭をかすめたものの、箱根湯本から小涌谷まで国道一号線を運転して、「こりゃあ無理だ」とあっさり断念。250mぐらいの高低差がある大会で痙攣しているのに、5区は800m以上の高低差があります。5区のランナーの面々の展示を見ながら、ただただ驚嘆するばかりでした。「山の神」と言われた東洋大の柏原君の靴の展示もあり、しっかり拝ませてもらいました。


≪柏原選手のシューズ≫

 駅伝を少しでも興味のある方は、箱根に行った際は訪問をお勧めします。より箱根駅伝が身近に感じられます。


≪トイレの入り口にもタスキをかけたランナーが・・・≫

 2014年3月9日
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重いが観て欲しい作品 スティーヴ・マックィーン 監督/ 映画『それでも夜は明ける』

2014-03-08 08:46:30 | 映画


 今年のアカデミー作品賞受賞作品。原題は"12 Years a Slave"。悪徳奴隷商人に仕組まれ、プランテーションに奴隷として売られ、12年間を奴隷として過ごした主人公ソロモン・ノーサップの凄惨な人生を描いた実話に基づいたドラマ。アカデミー賞では9部門にノミネートされ、作品賞に加え助演女優賞・脚色賞も受賞している。

 重く、やり切れない思いに捕われる映画。奴隷の労働環境、白人達からの仕打ちは、見ていて目を背けたくなる。原題を見て、どこかでこの生活は終わるのだろうという期待感がなければとても見られたものではない。唐突に訪れる最後のエピソードは涙のハッピーエンドとなるが、素直に喜べない。失った12年間は大きすぎるし、主人公が救われても、残された奴隷達の人生は変わるものではないからだ。

 俳優陣の地に足が着いた演技、抑制の効いた中で悲惨さを表す演出や映像、ブルースの起源を想起させる労働歌など、映画としても高い完成度を示している。重厚なテーマをいたずらに手を加えることなく、観る者に考えさせる映画になっている。唯一の違和感は、プロデューサー(製作)としても参加しているブラッド・ピッドの役柄があまりにも良すぎること。そして、自由黒人だった主人公は別としても、奴隷の皆さんの英語が随分きちっとしたスタンダードな英語だったことぐらい(当時の奴隷がどんな英語を話していたは知らずに言っているのだが・・・)。

 アメリカ合衆国の負の歴史に正面から向き合っていることが素晴らしいと思う(監督のスティーブ・マックイーンはイギリス人で、映画としては英米合作)。この作品が、アカデミー作品賞というのは如何にもアメリカらしい「アメリカの良心」の示し方と、天の邪鬼な私は捉えてしまうところもあるのだが、現代から負の過去を照射し、その意味を問う姿勢、そしてその作品を正当に評価するところにアメリカの懐の深さを感じる。負の過去を正当化したり、無かったものとすることに躍起になっているどっかの国とは随分違うものだ。

 この作品が興行的に日本でヒットするかどうかは分からない。10代前半の頃、黒人奴隷を描いた歴史的ヒットドラマ「ルーツ」に大きなショックを受けたのは強く覚えているので、今の日本人、特に若い人たちがこの作品を見てどのような感想を持つのか興味がある。ちょっと親父のお説教のようで恐縮だが、この映画で描かれることは、たまたまの不幸な時代に起こったことではなく、奴隷制ほどではないにしても相似形の人間の差別、偏見、そして社会的不公平は形を変えて残っていることにも思いを馳せて欲しい。

監督 スティーヴ・マックィーン[監督]
製作総指揮 テッサ・ロス 、ジョン・リドリー
音楽 ハンス・ジマー
脚本 ジョン・リドリー

キウェテル・イジョフォー(ソロモン・ノーサップ/プラット)
マイケル・ファスベンダー(エドウィン・エップス)
ベネディクト・カンバーバッチ(フォード)
ポール・ダノ(ジョン・ティビッツ)
ポール・ジアマッティ(フリーマン)
ルピタ・ニョンゴ(パッツィー)
サラ・ポールソン(エップス夫人)
ブラッド・ピット(バス)
アルフレ・ウッダード(ショー夫人)


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ミシェル・アザナヴィシウス監督/ 映画 「アーティスト」

2014-03-06 22:41:52 | 映画


 既にご覧になった方も多いと思いますが、2012年のアカデミー賞で作品賞を初めとして5部門で受賞したフランス映画「アーティスト」をDVDで観ました。1927年から1932年、ハリウッドが無声映画からトーキー映画に時代が変って行く中で、落ちぶれていく無声映画のスター男優とトーキーの波に乗ってスターにのし上がる若手女優の人間関係を描きます。今時の映画としては珍しい白黒の無声映画です。

 分かりやすい筋立てと俳優陣の安定した演技で、セリフ無し、白黒でも、これだけの作品ができるんだと驚かされます。主演のジャン・デュジャルダンのいかにも2枚目のスター振りと相手役のベレニス・ベジョのチャーミングさが絶妙の組み合わせ。また、名脇役のヴァレンティンの飼い犬が何とも可愛い。
  
 ルドヴィック・ブールスによるサンウンド・トラックも美しく、セリフが無い分、音楽の存在感が大きいです。

 途中ちょっとドキドキ、でも最後はハッピーエンドという、ハリウッド映画のような作りではありますが、万人が文句なしに楽しめる作品です。




監督 ミシェル・アザナヴィシウス
製作総指揮 ダニエル・ドゥリューム 、アントワーヌ・ドゥ・カゾット 、リチャード・ミドルトン 、エマニュエル・モンタマ
音楽 ルドヴィック・ブールス
脚本 ミシェル・アザナヴィシウス

ジャン・デュジャルダン(ジョージ・ヴァレンティン)
ベレニス・ベジョ(ペピー・ミラー)
ジョン・グッドマン(アル・ジマー)
ジェームズ・クロムウェル(クリフトン)
コメント (2)
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おニューのCX-Wをはいて @立川シティ・ハーフ・マラソン

2014-03-03 23:37:36 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 立川シティ・ハーフ・マラソンに出走しました。3月に入って最初の週末、春を感じながらのレースとしたかったところですが、冷たい霧雨こそ止んだものの、寒い冬曇りの天候の中でのレースとなりました。


≪大会メインステージがある昭和記念公園内の広場≫

 本大会は立川の陸上自衛隊の駐屯地がスタートで、国営昭和記念公園を外周、内周するとても走りやすいコースです。学生ハーフマラソン大会を兼ねていたので、早稲田、明治、法政といった箱根駅伝常連校の陸上部のランナーや、北海道大学、信州大学と言った首都圏以外の大学陸上部/駅伝部のランナーを見かけました。皆さん、さすがスリムで、全身から若いエネルギーが漲っています。


≪駐屯地内には自衛隊の飛行機やヘリコプターが停まっています≫


≪駐屯地内の滑走路からスタート≫


≪滑走路を2周弱走って、立川市内へ≫

 この日は、おニューのランニング・タイツCX-Wを試しました。友人から強く勧められ、やっとこの冬に購入。4月のフルマラソンでの本格利用を前にしてのトライアルです。着用した直後は締め付けられる窮屈さを覚えますが、直ぐなれますし、走っているとタイツは私のバランスの悪い走りを自動矯正してくれる感覚で、フォームも良くなっているような錯覚。なかなかグッドです。


≪後半は昭和公園内を走ります≫

 余りの寒さで途中トイレに駆け込み、1分ちょっとロスしましたが、1キロ平均5分30秒を切るラップで、手元の時計によるネットタイム1時間53分40秒は私としては上出来。ただ、フルマラソンでこの走りをしていては、どんなに頑張っても30キロで足が止まるので、むしろこれからは如何にゆっくり最初のハーフを走るかが課題です。

 また、ランニングタイツのせいか、レース後、普段とは違うところが筋肉痛。タイツの方ももう少し慣れが必要なようです。次回は2週間後の埼玉シティマラソンの予定です。


 2014年3月2日出走
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Jリーグ開幕! ヴァンフォーレ甲府vs鹿島アントラーズ @国立競技場

2014-03-01 21:30:22 | 日記 (2012.8~)
 3月の訪れとともにJリーグの開幕です。今日は、私的にFC東京についでのご贔屓チームであるヴァンフォーレ甲府の応援に、国立競技場へ。もともと地元甲府のスタジアムで行うはずだったのが、先々週の大雪のおかげで急きょ国立へ変更になったものです。

 久しぶりに訪れた国立競技場でしたが、確かに老朽化してますね。オリンピックのメインスタジアムとして使うには、レトロをテーマとしない限り難しいかも。それにしても、看板の多さが目を引きます。


≪ゲーム前≫

 ゲームは、両チームの力の差がはっきりと出た試合でした。ヴァンフォーレ・サポーターにとってはクソ試合、アントラーズ・サポーターにとってはこれ以上はない試合。オフェンス、ディフェンスともに優れた鹿島のワンサイドゲーム(0-4)となりました。寒い中、応援し甲斐の無い試合を見せられて、がっくり。身も心も寒い~。


≪寒さを吹き飛ばすヴァンフォーレの応援≫


≪ホームである甲府を上回る応援団の鹿島。未だジーコの団幕がありビックリ≫

 甲府の生試合は随分久しぶりですが、サポーターの皆さん、優しいですね。惨敗を喫した選手達に優しく拍手を送っていました。次はFC東京と。来週は逆サイドでの応援になります。

 2014年3月1日

 
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