その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

コッツウォルズ ウォーキング/ クリ―ヴ・ヒル・コモン周回(Cleeve Hill Common ring)

2012-07-30 23:45:07 | 旅行 海外
 前回のブロードウエイのウォーキングがなかなか良かったので、再びコッツウォルズ・ウェイのウォーキングに出かけました。
 
 今回はクリ―ヴ・ヒル・コモンと言う広大なゴルフ場兼大草原の外周4マイルを廻るコース。海抜330メートルで、コッツウォルズの中でも一番標高の高いところということです。コッツウォル・ウエイのコースでも有数の景色のいいコースです。

 クリ―ヴ・ヒル・ゴルフ・クラブのクラブハウスからスタート。既に高台に居ますが、更に上ります。


 いつもながらの羊たちです。


 雲が綺麗だなあ。


 有名な競馬場がある街、チェルトナムの街が見降ろせます


 鹿を発見。




 コッツウォルズ・ウェイの道標


 こんなゴルフコースで、ゴルフできたら気持ちよさそう~
 

 まさに羊の丘(コッツウォルズ)です
 

 

 天気にも恵まれ、最高の2時間半でした。

 ※ このコースの案内図はこちら→
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マイ・メダル

2012-07-29 21:57:47 | ロンドン日記 (日常)
 今日は完全に自慢ネタです。

 「なんか意外と醒めたものだなあ~」と思っていたロンドンのオリンピック前の雰囲気だったのですが、開会式1週間前ぐらいから俄かにお祭り騒ぎが盛り上がってきました。今週末は珍しく、ロンドン市内に留まり、街をぷらぷらしていたのですが、街中がとっても浮ついた雰囲気だったのが印象的でした。一方で、大英博物館なんて、週末とは思えない静かな雰囲気でびっくり。

 TVで表彰式を見ていて、「そういえば、俺だって沢山メダル持っているぞ。」と思いだし、この3年半ロードレースで貰ったメダルを集めた靴箱をごそごそと取り出して、メダルを並べてみました。

 この3年半で全部で25個。私も立派なメダリスト?



 2012年7月29日



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とある職場の風景 「手仕事、是か非か?」

2012-07-28 06:54:14 | ロンドン日記 (日常)
 こっちで3年ちょっと働いていて思うのは、こっちの人(欧州人)はホントに手仕事(マニュアル・ジョブ)が嫌いです。別に、折り紙で鶴を作ったり、難しい工芸技術や機械技術のことを言っているのではありません。もっと普通の日常業務のことです。

「お客様からの問い合わせ電話の内容を分析して、サービス向上に役立てよう」
「営業データベースから、新サービスのターゲットリストを作って、パンフレットを送付して、営業攻勢をかけよう」
「完了した工事について、お客様に請求書を発行して、回収しているか、まとめて欲しい」
「毎年更新時期が来るソフトウエアのメンテナンス契約について、どのくらい値下げが実現できているか調べて、更なるディスカウントを得るための方策を考えよう」

 などなどの、いろんな業務課題や改善提案があるのですが、これらの情報が業務システムでコマンド一つで出てくる場合は良いのですが、それが、出来ない場合、私とナショナルスタッフとの会話のパターンは決まっています。



「おっしゃる通り、それは大切なデータ、分析です。でも、今のシステムではこのデータは取れないんです。まず、システム改造が必要です。」

「じゃあ、とりあえず手作業でやってみてよ。別に対象は絞ってもらって構わないから。今の状態じゃ、何がどうなっているかわからないし。」

「手作業でやるには、日々の業務で手いっぱいで時間がありません。そこまでしなくても、だいたいのことは感覚でもわかります。」

「一週間も、一か月もかかるわけじゃないでしょう。まず、手を動かしてやってみると意外と新しい発見もあったりするものだよ」

「じゃあ、作業を業者に出してもいいですか(私はそんな手作業をやるために働いているのではありません)?予算には積んでいませんから、予算外になりますけど。それと、この間のXXXXの仕事もあるので、優先度を明確にしてください」

「・・・・」

てな会話を何度してきたことか。



 これが、日本人相手だと、1,2日である程度のデータを、手作業ではあるのの、時間外勤務をしても、まとめてくれます。こっちの人は、何があってもシステム、システム。「確かにシステムがあることにこしたことはないけど、世の中そんなに揃っているわけではないのだから、まずあるもの、できるものから、まずやってそこから考えようよ。ちょっとの無理があるのは当たり前」というのが、私の感覚です。日本人の多くの人はそう考えるのではと思います。

 ただ、この私の日本人感覚が良いのか、どうだか、ちょっと段々迷って来たところがあります。こうやって、力づくで、時間を割いて、手作業でやっちゃうことが、かえってシステムの導入を遅らせて、構造的な問題の解決を遅らせているのではないか?という疑問です。

 こちらのパートナー会社の人達の仕事のやり方や業務プロセスを、垣間見ると確かに、徹底的にシステム化進んでいます。紙は無いし、同じ仕事を私たち5名かけてやっているところを一人二人でやっていたりします。較べると、ちょっと自分たちが恥ずかしいぐらい。こんなことをやっていれば、コスト競争には絶対勝てないなあと実感します。他社から転職してきた社員から、「こんなことをシステム無しでやっているなんて信じられない!」と愕然とされることもしばしばです。仮にシステムがあったとしても、それが業務プロセスごとに別々に存在していたりして、システムとシステムのつなぎは手作業になったりもします。

 システム化の功罪や、システムの導入具合を、日本人の手作業好きだけに原因を求めるのはちょっと極端だとは思いますが、間違いなく、この日本人の強みであるはずの、手を動かしてのボトムアップの思考、行動様式が、システム化とか構造的な抜本改革を遅らせている一因と言うのは間違いないかと思いはじめています。

 ナショナルスタッフの手作業嫌い、システム化推進論には「いろいろ理屈つけているけど、要は、やりたくないんだろ~」という私の本音は変わることはありませんが、手作業を「やりたくないから何とかやらないで済ませよう」ナショナルスタッフと「やってしまう」日本人と、どっちが結果としては良いのか?ということについては、大いに悩んでしまう、今日この頃です。
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テムズ川のオリンピック開会式リハーサル???

2012-07-25 01:15:10 | ロンドン日記 (日常)
 夜の9時半過ぎ、テムズ川沿いのタワーブリッジ横を友人と夜風に吹かれながら散歩。やけに人も多いし、何と言ってもタワーブリッジがいつも違う・・・。

 大きなIDを首からつるしたアンちゃんに「何やっているの?」と聞いたら、「オープンニングセレモニーのリハーサル」とのこと。写真には撮れませんでしたが、橋の上から吊るされた五輪の輪の上を点滅したライトが回転したり、ライトアップしたタワーブリッジの下をカラフルなライトでピカピカ光ったボートが水煙をまき上げて、通り抜けて行きました。あれが、リハーサルだとしたら、本番はどんな風に仕上がるんだろうか?

 ネタばれだったかもしれませんが、ちょっと楽しみです。

(青色に照らされたタワーブリッヂ)




 2012年7月24日

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ニール マクレガー (東郷 えりか 訳) 『100のモノが語る世界の歴史1: 文明の誕生』 (筑摩選書)

2012-07-23 16:01:23 | 
 久しぶりにドキドキ、ワクワクの本に出合いました。大英博物館に行く人(特にリピーター)、ロンドン在住者の方には必携本として推薦したい本です。

 大英博物館の所蔵品から100を選んで、館長のニール マクレガー氏がそのモノにまつわる物語を語ります。そのモノに込められた製作者や保有者のメッセージ、そのモノそのものが語るその時代背景や歴史、まさに人類の歴史のパーツです。それを、コンパクトかつ分かりやすく、専門家の解説も適宜引用しながら、一点当たり6-7ページ程度にまとめてくれています。BBCラジオで放送した(映像のないラヂオでどうモノを表現したのか興味があるところです)番組を単行本化したものです。

 もともと、大英博物館のショップで原書が売っていたのは知っていました。「面白そうだなあ~、買おうかな~、でも買っても絶対読見切れないだろうな~」と思っていたところに、この日本語翻訳本の発売。今年4月、日本の本屋で見つけた時は、迷わず買いました。

 この日本語訳版の素晴らしいこと。まずハンディ。英語の原書は1冊なので辞書のように厚くて、活字も小さい。これじゃ、私が外国人でなくても読み始める前に気持ちが萎えしまいます。日本語版は3分冊だから、1冊が適当な大きさで、活字も大きい(普通)。これなら、読めると、まず思わせてくれます。

 そして、日本版の編集がすぐれていること。原書は、紹介される100の所蔵品もカラー写真だったり、白黒だったりしますし、とにかくとても読んでもらいたいと思って編集されたとは思えない、無愛想な本です。日本語版は、一点、一点の素晴らしいカラー写真にまず目を引き付けられ、そしてこんな美しいものの後ろにはどんな物語が隠されているのかと自然に興味が湧いてきます。同じ本でも、編集の仕方でこうも違う書物に仕上がるとは驚愕です。

 ロンドン在住者の方、観光される方は、この本を読んで、是非、現物を見てみてください。同じものが全く違って見えてきます。今まで見たつもりになって眺めていたものの、全く気が付かなかったシミ、模様、かけらに気が付かされます。そして、モノそのものが持つ魅力、かつてそのモノがあったり、使われていたりしていた時代と栄枯盛衰の歴史、あらゆるものが立体的に見えてきます。

 一旦、その一つ一つの物語の面白さに気づくと、大英博物館のどの展示品にもこうした物語が一つ一つにあることに注意が惹かれます。そして館内を歩いているだけで、この大英博物館の巨大な物語空間に押しつぶされそうな気分になってしまいます。

 なんかオタクっぽいなと自分で思いながら、この興奮を味あわせてくれる本書は当分離すことはできそうにありません。
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ブリティッシュ 10k

2012-07-22 09:00:12 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)
 毎年7月恒例のブリティッシュ・10kレースに会社の同僚たちと参加しました。ハイドパークコーナーから、トラファルガー広場を経由して、テムズ川沿いをセントポール寺院付近まで走り、折り返した後は国会議事堂、ウエストミニスター寺院横を通って、トラファルガー広場の手前でゴールと言うロンドン中心部を駆け抜けるいつものコースです。速いもので、私も4回目の連続出場となりました。

 当日は、今年のイングランドの天気を代表するような雨模様。イングランド西南部では洪水警報がでるような天気で、7月の晴天どころか、レース前は寒い寒いと震えながらのレースとなりました。

 会社からは枠一杯の25名の出場。最近は、社内でもかなり浸透してきたイベントになってきました。何故か私が幹事だと思われているらしく4月ごろから、やたらナショナルスタッフから「XXサン、今年もみんなで走るの?」「いつ、募集するの?」とやたら聞かれました。ホントの幹事から参加ランナー募集の募集要項が社内にメールで通知されると、数日で一杯になり、キャンセル待ちが何人もできるほどです。当日は、スタート1時間前に集合して、みんなでチームフォトをパチッ。そして、スタート地点に向かいます。

(参加ランナーは25000を超えるらしいです)


 

 スタート時点は曇っていても走る間に晴れた年もあったのですが、今年は走っている間に雨が本格化すると言うコンディション。それでも、沿道に鈴なりになった応援の方々には本当に頭が下がります。

(8キロ地点ぐらい。議事堂が見えてきました)


 私はロンドンマラソン以降、走る方はかなりさぼっているので、無理しない程度に走って、54分13秒。チームの一位はなんと42分台です。

(ゴール地点)


 レース後は、12時のパブ開店に一番乗り。家族や彼女も連れた、楽しいひと時となりました。

2012年7月8日


(参考)過去のレース模様
※ 2009年→

※ 2010年→

※ 2011年→

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映画 「僕達急行 A列車で行こう」

2012-07-20 00:15:16 | 映画
 飛行機の中で見た映画。鉄道オタクの2人の若者(松山ケンイチ、瑛太)の生活・友情を描くコメディ。森田監督らしい、長いショットによる淡々とした映像で独特の雰囲気を持つ世界を作り出している。

 鉄道オタクのオタクぶりは良く描写されていると思うが、映画としては、映像もストーリーもあまりにも平板で、ひねりもなく、少々退屈。主演の松山ケンイチ、瑛太の2人は演技派とされるらしいが、それほどうまいとも思わなかった。いまどきの若者って、こんなに純なのだろうか?私の周りの若手社員とも全然違うので、あまりリアリティが感じられなかった。

 森田監督の作品(昨年末に61歳で死去)は「家族ゲーム」のシニカルなブラックコメディや、パソコン通信の恋愛を描いた「(ハル)」はとても好きだが、最後の監督作品となった本作は、残念ながら私の好みではなかった。


スタッフ
監督 森田芳光
プロデューサー 白倉伸一郎、三沢和子、川田亮
脚本 森田芳光
撮影 沖村志宏
美術 和田洋
照明 渡邊三雄
録音 高野泰雄
装飾 湯澤幸夫
編集 川島章正
音楽 大島ミチル
音響効果 伊藤進一
衣装 宮本まさ江

キャスト
松山ケンイチ
瑛太
貫地谷しほり
村川絵梨
ピエール瀧
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ケンブリッジ・シアター/ マチルダ (ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー)

2012-07-18 00:33:47 | ミュージカル、演劇
 ※昨日、ロンドンから戻りました。とりあえず、書きたまっているものをリリース。

 今年、ローレンス・オリビエ賞を総なめにした『マチルダ』を見に行ってきました。ミュージカルはTKTSで半額にならないと行かない私なのですが、マチルダはまだTKTSにチケットが廻ってこないほどの人気で、Webで見ても週末は数週間先で無いと取れません。私は偶然、前週末に劇場近くを通ったので、BOXオフィスに寄ったら、たまたま1枚だけリターンのチケットがあるということでした(でも、その後、ウインブルドン男子決勝にアンディ・マリーがでることになり、かなり後悔)。





 日曜日のマチネと言うことで7割がたはマチルダぐらいの子供(小学校1年生)を連れた家族づれでした。私のようなおじさんが一人で見に来ているのはまれで、完全に浮いています。ケンブリッジシアターは3層構造ですが、とてもこじんまりした劇場で、ステージなんぞは日本の小学校の体育館のステージの方がよっぽど大きいぐらいです。



このマチルダは、児童文学家ロアルド・ダール(「チャーリーとチョコレート工場」もこの人の作品)の原作で、イギリスの子供ならだれでもが読む児童文学だそうです。ストーリーは極めて優秀な女の子をめぐるお話です。

 ミュージカルのほうですが、さすがオリバー賞を総なめにするだけあって、すぐれものです。これは良く言われることですが、子供たちの演技や踊りや歌がうまいこと。よくまあ、こんな小さな子どもたちがここまで出来るものだと感心します。明るく、時々ドキドキ、そしてハッピーエンドのストーリーも、音楽に乗ってこれぞミュージカルと言う雰囲気で好感が持てます。プロダクションも派手な仕掛けはあまりありませんが、とても美しく楽しめました。

 ただ、ただ・・・、私には「ちょっと、これはお子ちゃま向けだなあ~」という感想が立ってしまいました。登場人物が、良いひとと悪いひとに完全に色分けされて、極めてシンプル。子供が主人公という意味ではビリー・エリオットもそうですが、ビリーにある現代社会の矛盾、大人の世界と子供の世界の葛藤というようなことはあまり描かれていません。また、子供向け童話が原作と言う意味では、「チャーリーとチョコレート工場」(映画を言っています)もそうですが、あの映画には、大人社会や子供の身勝手さへの強烈な皮肉が込められていましたが、このマチルダにはありません。完全懲悪的な極めて分かりやすい人物類型とストーリーです。

(本日のキャスト)




 まあ、これはミュージカルに何を求めるかだけの話なので、完全に個人の好みの問題です。ミュージカルとしてはとっても良く出来ていますので、興味のある方はまず1回は是非見て欲しいです。


 2012年7月8日
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ロイヤル・オペラ・ハウス/ トロイア人 (ベルリオーズ)/ パッパーノ指揮

2012-07-08 20:13:33 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 ベルリオーズのトロイア人を見に行きました。2回の30分休憩を含めて5時間半かかる一大スペクタクルオペラです。楽しみにしていた目玉歌手の一人であるテノールのカフマンがキャンセルしてしまったので、貴重な7月の日曜日の午後(Euro2012の決勝もあるし)をオペラに使うかどうかとっても迷ったのですが、夏シーズンの目玉公演でもあるし、パッパーノも今シーズン最後なので、思い切って行きました。が、行って正解でした。演奏、歌唱、プロダクションいずれもすばらしく、時間の長さを全く感じさせない、秀逸なパフォーマンスでした。

 ※トロイア人はあまり公演されないオペラなので、あらすじ等の概要を知りたい方はこちらへ→

(開演前)


 この話、綺麗な起承転結になっているのですが、「起」にあたる1幕、2幕から圧倒されっぱなしでした。この日は、15ポンドの天井桟敷席からの観劇だったんですが、オーケストラ、コーラス、独唱、プロダクションの迫力とあふれる緊張感に肝を抜かれました。トロイの王女カサンドラー役のAnna Antonacciのソプラノがスゴい迫力。恋人のコロエブス役のFabio Capitanucciのテノールも美しく、声量もたっぷりでした。それにコーラスとオーケストラが畳み掛けます。2幕で登場するトロイの木馬は、メタルを使って組みたてた巨大な馬で、実際の火を使った仕掛けが舞台の緊張感を倍増させます。幕間になっても、心臓の鼓動が収まらないぐらいです。つまらなかったら途中で抜けてEUROの決勝を見にパブでもいこうかと思っていたのですが、それどころではありませんでした。

 「承」の3幕では、カルタゴの女王ディードー役でエヴァ=マリア・ウェストブロック(Eva-Maria Westbroek)が登場します。ウェストブロックのソプラノは相変わらず芯の通った力強い美しさです。「転」の4幕では、延々と続くバレエは少々退屈でしたが、その後のディードーとアエネーアスの合唱は、今日これを聴いただけでも来た価値があったと思ったほどの美しさでした。アエネーアス役のカフマン代役のブライアン・ヒメル(Bryan Hymel)はルサルカ以来ですが、カフマンのことなんどはすっかり忘れてしまうほどの柔らかく包み込むように響く歌唱です。カルタゴの城壁を模したセットをバックにして、町の模型を舞台中央に置いたプロダクションもユニークでした。

 そして「結」の第5幕はウェストブロックのほとんど一人舞台です。彼女の迫真の演技力がいかんなく発揮されて、完全にあっちの世界に行ってしまった感じです。見るものも釣られて彼女の世界に引き込まれてしまいます。すさまじい吸引力でした。

 もうホントお腹いっぱい。こんな充実感と疲労感が両立したオペラ観劇は久しぶりでした。やっぱり、パッパーノの音楽には色気があるし、気持ちがグーっと入っています。この日は行けない可能性もあったので、安全サイドをとって天井桟敷にしたのですが、この席は音は良く聴こえるものの、舞台が三分の一ぐらい隠れてしまうのが悔やまれました。ケチらなきゃよかった。

(ろくな写真がないですが・・・)




(ROHのHPから拝借)




Les Troyens
Sunday 1 July 2012, 3.00pm

Main Stage

Les Troyens
David McVicar presents a new production of Berlioz's most ambitious work. The sheer scale of its story, music and staging make this a Royal Opera event of the decade.

Credits
Director David McVicar
Set designs Es Devlin
Costume designs Moritz Junge
Lighting design Wolfgang Göbbel
Choreography Andrew George

Performers
Conductor Antonio Pappano
Cassandre Anna Antonacci
Chorèbe Fabio Capitanucci
Enée Bryan Hymel
Didon Eva-Maria Westbroek
Narbal Brindley Sherratt
Anna Hanna Hipp
Ascagne Barbara Senator
Priam Robert Lloyd
Hécube Pamela Helen Stephen
Ghost of Hector Jihoon Kim
Panthée Ashley Holland
Hélénus Ji Hyun Kim
Greek Captain Lukas Jakobski
Trojan Soldier Daniel Grice
Iopas Ji-Min Park
First Soldier Adrian Clarke
Second Soldier Jeremy White
Hylas Ed Lyon
Chorus Royal Opera Chorus
Orchestra Orchestra of the Royal Opera House
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イングリッシュ・ナショナル・オペラ/ Billy Budd

2012-07-07 22:25:59 | オペラ、バレエ (in 欧州)
Billy Budd

Britten
New Production

Credits
New production supported by ENO’s English Opera Group

A coproduction with the Deutsche Oper, Berlin and The Bolshoi Theatre of Russia

The Britten-Pears Foundation is supporting ENO’s programme of Britten operas leading up to the Centenary of his birth

Conductor Edward Gardner
Director David Alden
Designer Paul Steinberg
Costume Designer Constance Hoffman
Lighting Designer Adam Silverman
Movement Director Maxine Braham

Cast includes
Billy Budd Benedict Nelson
Captain Vere Kim Begley
Claggart Matthew Rose
Mr Redburn Jonathan Summers
Mr Flint Darren Jeffery
Lieutenant Ratcliffe Henry Waddington
Red Whiskers Michael Colvin
Donald Duncan Rock
Dansker Gwynne Howell
Novice Nicky Spence
Squeak Daniel Norman
Bosun Andrew Rupp
The Novice’s Friend Marcus Farnsworth
First Mate Oliver Dunn
Second Mate Gerard Collett
Maintop Jonathan Stoughton
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イングリッシュ・ナショナル・オペラ/ DR DEE (ドクター・ディ)

2012-07-07 07:57:08 | オペラ、バレエ (in 欧州)


 マンチェスター国際フェスティバル(MIF)が昨年委嘱した現代オペラDR DEEが、イングリッシュ・ナショナル・オペラ(ENO)によってロンドンで初演されるということで見に行きました。デーモン・アルバーン(Damon Albarn)という1968年生まれのイギリス人シンガーソングライター、プロデューサーが作曲した作品で、ジョン・ディーという、16世紀の錬金術師、占星術師、数学者で、エリザベス女王にも交流のあったイギリス人の半生を描いています。

 非常に興味深いオペラでした。形式、音楽等において色んなフュージョン(融合)が試みてあり、はたしてこれがオペラと言えるのかどうか疑問なくらいなのですが、高度に統合されたパフォーマンスでした。舞台には、主にオペラ歌手、舞台俳優が立ち、歌やセリフはマイクを通したもので地声ではありません。音楽はオーケストラピットに入ったオーケストラに加えて、舞台上にもギター、リード、リコーダー、ドラム、リュート(コラ)、キーボードなどのバンドが奏でます。音楽も、ポップなフォークソングのような音楽、バロックを感じるクラシック音楽などが融合したものです。作曲のデーモン・アルバーン自身もギターを弾き、歌を歌い、少しですが演技もします。(この人は随分有名な人らしく、隣に座った妙齢の女性は、完全に彼の歌だけを聴きに来ていた感じでした)。ダンスも入ります。生きたカラスが飛び交うシーンまで出てきます。

 この形式、音楽上の融合に加えて、Rufus Norris監督による視覚的に美しく、いたるところに工夫が施された舞台演出に魅せられました。特に、感心したのはカーテン(スクリーン)を活用した演出です。演じている人の前に、畳2,3畳分くらいの大きさの屏風のようなカーテン(スクリーン)を舞台の端から移動させ、そのカーテンには影絵のようにカーテン後ろの出演者の輪郭が投影されるのですが、カーテンが横移動される間にカーテンに投影された像は砂時計の砂が崩れるように崩れて行きます。そしてその残像が目に残るうちに、移動したカーテンの後ろからは、新しくなった場面が現れるという仕掛けで、時間、場面の連続的変化を表現するのです。また、映像を駆使している点も印象的です。変な言い方ですが、映画「マトリックス」を生で見ているような気分になります。幻想的で、美しく、洗練された演出は、演出が売りのENOのプロダクションのなかでも、屈指のものでした。

 歌はデーモン・アルバーンの弾き語りが耳に残ります。ハスキーでかすれたような歌声は、この舞台の雰囲気にこれ以上はないというぐらいぴったりで、独特の音楽空間を作っていました。

 こんなオペラがあるのかと信じられない思いで見ながら、確かにこんな方向ならまだオペラ(?)と言う舞台芸術は未来に向かって進化しているのかもしれないと思いました。いわゆるオペラでもないし、ミュージカルでもないし、芝居でも映画でもないこの作品には、感動の仕方も今まで経験のない新鮮なものでした。



(ガーディアンのWebから)



(2012年6月29日)

Damon Albarn's Dr Dee

Albarn
New Production
Mon 25 Jun 12 - Sat 07 Jul 12

Credits
Commissioned by Manchester International Festival,
London 2012 Festival and ENO

A co-production with Manchester International Festival and London 2012 Festival

Damon Albarn stars in every performance

Conductor Stephen Higgins
Director Rufus Norris
Set Designer Paul Atkinson
Costume Designer Katrina Lindsay
Associate Costume Designer Jonathan Lipman
Lighting Designer Paule Constable
Movement Directors Scott Graham and Steven Hoggett for Frantic Assembly
Video Designer Lysander Ashton for 59 Productions
Sound Designer Paul Arditti
Orchestration Consultant André de Ridder

Cast includes

Old Katherine Anna Dennis
Kelley & Bishop Christopher Robson
Elizabeth & Spirit Melanie Pappenheim
Walsingham Steven Page
John Dee Paul Hilton
Ensemble & Young Katherine Victoria Couper
Ensemble & Jane Clemmie Sveaas
Ensemble Nuno Silva
Ensemble Chris Akrill
Ensemble & Young Dee Rebecca Sutherland
Ensemble Benny Maslov
Ensemble Hendrick January
Ensemble Naomi Said
Ensemble Vicki Manderson
Ensemble Matthew Trevannion
Ensemble James Hayward

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♪♪♪暮れなずむハムステッドヒースの~、光と影の中~♪♪♪

2012-07-05 23:31:33 | ロンドン日記 (日常)
 前週末に出かけた夕刻時のプリムローズ・ヒルからの風景があまりにも素晴らしかったので、その翌週はハムステッド・ヒースのパーラメント・ヒルに出かけました。



 どんな言葉も要らない、そんな風景でした。

(ハイゲートを臨む)


(シティを臨む)


(凧上げする子供たち。子供って良いなあ~)






(みんな、どんな思いに浸って、この風景を眺めているのか。。。)









 ※夕刻のハムステッド・ヒースのその他もろもろ

(この風景は朝も夕もあんまり変わりませんが・・・)


(いつもは朝日を受けているケンウッド・ハウス。この日は夕陽を背に受けています)


(ケンウッドハウスの前庭)


(ハイゲートを臨む)



 この日の夕陽は一生胸に残る気がしました・・・


2012年7月1日 20:00-20:40
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フィルハーモニア管弦楽団/ サロネン指揮/ マーラー交響曲第2番「復活」ほか

2012-07-01 22:52:58 | コンサート (in 欧州)
 ※写真を追加しました(2012.7.4)

 私にとって、今シーズン最後のフィルハーモニアの演奏会であり、最後のロイヤルフェスティバルホールでの演奏会でもあります。マーラーの第2番ということで、有終の美を飾るにふさわしい選曲。普段、なるべく買わないようにしているウィークデイの演奏会(仕事の都合で当日キャンセルの可能性があったり、演奏会中に眠りに入る可能性が大なため)でしたが、思わず手が出てしまいました。

 マーラーの第2番の時は、演奏曲はこの1曲だけのコンサートも多いのですが(イギリスにて既に復活は4回聴いていますが、うち3回は復活だけでした)、この日はPhibbsと言う人のロンドン初演作品"To The Sea"という25分程度の交響詩のような作品が演奏されました。残念ながら、私の方は意識があったのは最初の5分。大変失礼ながら、残りは完全に子守唄になってしまいました。というわけで、何も書けません。ゴメンナサイ。

 休憩中、Miklosさんとお会いできて世間話。これで、「復活」にむけて、復活(完全なオヤジダジャレで失礼)です。

 休憩後の「復活」。素晴らしい演奏でした。いつ見ても、サロネンの指揮姿は本当にスマートで格好いいです。そのサロネンは思いっきりオーケストラを煽りつつ、溜めるところはタメ、抑揚をつけるところはかなり明確にアクセントをつけていました。フィルハーモニアもエンジン全開と言う感じで、盛り上げところの音量は物凄かったです。パーカッションの活躍が目立ったのですが、音の炸裂そのもので、爆竹でも鳴らしているような凄まじい爆発でした。アンサンブルも綺麗に揃っていました。不思議なのですが、それでも聞えて来る音楽はとってもさわやかで、サラサラした音楽。指揮者によっては、かなり、重厚長大に演奏する人もいると思いますが、サロネンの復活は、歌を歌っているような軽やかさが感じられました。

 合唱も美しい。この曲の合唱部分は涙が出てきます。独唱はMonica Groopのメゾソプラノが声が良く通り、美しかったです。ソプラノのケイト・ロイヤルはロイヤルオペラで聴いていますが、この日は可も無く不可もなくという感じでした。この人はオペラの方が映えますね。

 今シーズンのフィルハーモニアとRFHの最後を飾るにふさわしい演奏会でした。

Salonen conducts in London
Royal Festival Hall
Thu 28 Jun 2012 7:30pm

Esa-Pekka Salonen: conductor
Kate Royal: soprano
Monica Groop: mezzo-soprano

Philharmonia Chorus

Phibbs Rivers To The Sea (London Première)
Mahler Symphony No. 2, Resurrection

※開演前


※終演後




※ロイヤルフェスティバルホールの4階バルコニーから
(透き通るような青空でした)


(テーブルの模様もオリンピックデザインになっています)


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