毎年楽しみにしている下北沢演劇祭なのですが、今年はスケジュールがうまく合わず、1本のみの観劇となりました。家人がチョイスした〈喜劇 ロミオとジュリエット〉というお芝居です。東京シェイクスピア・カンパニーという劇団は名前も実演も全く初めてで、どんな芝居を見せてくれるのか、期待半分、怖さ半分で下北沢「劇」小劇場へ。
会場は名前の通り、通路にパイプ椅子も入れて詰め込んでもキャパは100名も入りそうもない劇場ですが、楽日ということもあってか満員で、熱気一杯でした。俳優さんの息使いまでも聞こえて来る前列2列目に陣取り。そして、上演時間の2時間5分ほど、時間を忘れて、ストーリー展開と俳優さんの熱演に釘づけになりました。間違いなく私好みの芝居。
好みのポイントは、生き延びたロミオとジュリエットのその後というユニークな舞台設定、シェイクスピア的セリフの豊かさ(例えば「ああ、どうしてあなた『が』ロミオなの!」には超笑ったし、「ロミオとジュリエット」以外のシェイクスピア作品(例えば「マクベス」)からの引用と思われるセリフもありました。きっと他にもいろいろあるはず)、また悪魔との契約という「ファウスト」的世界、そして今の世の中「地上のこの世こそが地獄」であると言う社会風刺を織り込んだ現代ネタと言ったところで、それらが絶妙にミックスされていました。
俳優陣も熱演でした。主演のお二人もさることながら、私的にはボス悪魔キャビレット役の井村昂さんの演技が舞台を引き締めかつ、喜劇のバランスをうまく取っていたように見えました。また、しんばなつえさんの侍女悪魔も雰囲気をコミカルにし良い味出してました。山丸莉菜さんが演じるロミオとジュリエットの娘ロザラインは、とってもチャーミングでいかにもの良家の乙女です。
リュートや太鼓を使った生演奏が入ったのには驚きました。ロンドンのグローブ座とかは大体この手の生音楽が入るので、こうした生演奏が入るだけで俄然、当地の雰囲気やシェイクスピア時代の雰囲気が出てきますね。
会場入りしてから知ったのですが、本劇は作家の奥泉光さんの原作ということです。この劇団とはつきあいが長いらしく、他にも、私の大好きな「リア王」「マクベス」を題材に書いた演劇が、既にこの劇団で実演されたとのこと。もっと、早くから知っていればなあと、後悔先に立たず。これからちょっと東京シェイクスピア・カンパニーは要フォローだなということで、さっそくTwitterでフォローさせていただきました。奥泉氏の脚本(?)も一冊に単行本化されているということなので、本も読んでみようと思います。
今年の「演劇祭」は一本しか見れなかったけど、「当たり」だったのでよかった、よかった。観劇後、下北沢の街をぶらぶらしてたら、糸魚川市の物産展をやっていたので、そこで糸魚川の日本酒の酒蔵5社飲み比べし、観劇アフターを楽しんで帰りました。下北はいいね。
「喜劇♥ロミオとジュリエット」
【場 所】 下北沢 「劇」小劇場
【出 演】 つかさまり / 大久保洋太郎 / 原元太仁 / 井村昂(少年王者舘) / しんばなつえ / 三村伸子 / 山丸莉菜(流山児★事務所) / 山本悠貴 / 遊佐明史(SCARECROWS.LEG)
【作】 奥泉 光
【演出】 江戸 馨
【作曲・演奏】 佐藤圭一
【舞台美術・イラスト】 山下昇平 【照明】 関 喜明 【舞台監督】 中原和彦
【衣装縫製】 嘉本洋子 【記録】 長田史野 【web担当】 吉田史明
【製作】 藤井由樹(Office Spring)・東京シェイクスピア・カンパニー>【製作協力】 菊地廣(K企画)
【製作総指揮】 江戸 馨
<糸魚川地酒五種セット/あんこう汁/小エビのフライ>