新田一郎さんの音楽はずっと聞いてますが今回新田次郎先生の本を読みました。明治後期の話ですが、富山の百姓一揆にまきこまれ過って妻を刺殺してしまった男が国を捨て出家し、罪の償いに厳しい修行を求め、未踏の岩峰・槍ヶ岳初登攀に成功したという話です。感想としてすごく面白かったです。
新田次郎先生というと山登りの話のみでこれも登山中の岩場とか高山植物の描写ばっかりというのを勝手に想像してたのですが、これは完全に人間ドラマです。山を登ることについては徹底的に自分を追い込むための手段であって、それに取り組む主人公とそれに関わる人々のドラマだと。
登場人物ではなんといっても弥三郎が魅力的です。神出鬼没でお調子者の雰囲気ですが何か言いたいことを秘めていながら、やたらと主役に絡んでくるというあたりが物語にスパイスを添えています。
単行本は1968年6月発行だそうで、なんと私が幼稚園に入った年に出た小説なのでした。元が明治の話なので古さを感じないっていうと変な話ですが、思ってたよりはすごく読みやすかったです。
これはブックオフで買ったのですが「面白ければ次は新品で買う!」と宣言してましたので、次に読むのを明日買ってきます。一応予定は「劔岳」と。