今日のひとネタ

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誰が弾いてるかという真実は確かめようもなく

2022年04月21日 | ギターと楽器のこと

 発売中のギターマガジンの特集は「恋する歌謡曲」の第二弾「もっと恋する歌謡曲」です。アイドル歌謡オタクの私からすると「おおっ!」と思う企画ですし、今回も野口五郎さんのインタビューがあったり、ギタリストも芳野藤丸さん、吉川忠英さん、北島健二さんが登場してますので、これは応援したい企画です。

 が、それぞれの楽曲解説には「はて?」と思う部分もあって、特にキャンディーズの「やさしい悪魔」がそう。スタジオ録音の音源について、「MMPのギタリスト西慎嗣によるプレイだろう」と書かれています。

 ジャケットや歌詞カードにクレジットがない場合、「この曲を弾いてるのはあの人」というのがわからないことは重々承知しています。また、たとえクレジットがあったとしても、案外あてにならないものだというのも経験があります。

 また、さらにややこしい話を芳野藤丸さんの本で見ました。たとえば、一旦レコーディングしたものをアレンジャーが納得せず、あとからギターを別の人に差し替えたりすることもあるとか。その場合最初に弾いた人に「差し替えた」とはわざわざ教えてくれないので、きちんとした記録がなければ記憶だけでは到底追いかけられないと。

 なので、このケースは当時の事情などで考えてみます。この「やさしい悪魔」は1977年3月1日の発売。レコーディング時期は、その1か月くらい前ではないかと思われます。西慎嗣さんは1960年11月の生まれですので、その時点で16歳。既にMMPに正式メンバーとして加入していたかもしれませんが、当時MMPにはリードギターとして西村コージさんがいましたので、もしレコーディングでMMPのギタリストが呼ばれたとしても、あえて西さんが弾くことはないのではと思います。もっとも、西村コージさんがこれを弾いていたとも思えないのですが。(あくまでも推測です。)

 何がどうかというと、これの記事により今後「あのギターは西さんの演奏である。」「根拠はギターマガジンの記事。」というのが定説になってしまうのはどうかなぁと思う次第です。

 なお、今回の記事では謎がもう一つあって、中森明菜さんの「十戒」のギターが高中正義さんの演奏であるとされていること。レコードのクレジットではギターに高中と矢島賢さんの名前があるのですが、当時の雑誌のインタビューで高中自身が「デモテープは作ったけどレコードでは弾いてない。矢島賢が弾いてるんじゃないの?」と言ってるのを見てずっこけた記憶があります。ただ、これもクレジットは確かなのか、高中のインタビューが信用できるか、という問題があり真相は謎。

 矢島賢さんは既に故人ですが、生前のインタビューでも「おかげさまでヒットしました」と言われても、「そうですか、ありがとうございます。で、なんでしたっけ?」という感じと語ってました。長年に渡ってそれこそ物凄い数のレコーディングをこなしてたので、もし存命であっても覚えてはいなかったでしょう。

 ところで、一般的な「十戒」は「じっかい」ですが、明菜さんの曲名は「じゅっかい」らしいです。とはいえ、この件は今回PCで「じゅっかい」と入力しても変換されなかった事で判明しました。世の中、知らないことが多いですね。