◆BookBookBook◆

📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

E

2017-07-20 | 江國香織


江國香織
『きらきらひかる』★★

久々の再読・・初期作品からどうかなと。
この連休の那須高原にて夜読書
高原でも蒸し暑い夜でエアコンがなくちゃ過ごせなかった。
誰からも邪魔なく一気に読めるってよいね。
ワイン片手にと言いたいところだけど冷えた氷結で・・(笑)

終の棲家として那須高原を視野に入れている人がいて、
ちょうど露天風呂で出会った那須在住のご夫人
「移住者だな」雰囲気からピンときた。
会話をしていたら「ビンゴ!」
避暑地、別荘地って優雅な人が多い。
参考のために生活環境等聞いたら「おすすめ」とのこと。
情報を色々仕入れた?おかげで湯あたりしてぼーっとしてしまった。




                                



1 水を抱く

6 昼の月

7 水の檻

11 星をまくひと

12 水の流れるところ



ホモとアル中の夫婦のお話って聞くとひいちゃうかもだけど、
そういう最初の情報はいらない。
覚えている箇所は不思議と覚えてる。
ちょっとうらやましいと思う反面
セックスがないと味気ないとも思う。




























音信不通にして5日目 身動きが取れない 考える・・

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2016-09-17 | 江國香織


江國香織
『東京タワー』★★

文庫本にて再読
ネタ切れ?
特に好きな話ではなかった記憶(再読前に書いてる)

出版されたのが2001年(ってことは15年ぶり)



---



世の中のいちばんかなしい景色は雨に濡れた東京タワーだ。
(この頃はスカイツリーが存在しなかった)



簡単というのは大切なことだ。



「決めたら、行動で示しなさい」



「いま考えていることは」
あなたと寝たいと考えている。



(まだ学生がケータイを持たない時代)

「嬉しがらせるわねえ」
意図的に一拍まをおいた。



気持ちよく晴れた日だ。
ふいに思いたって靴を磨いた。靴が汚れているのは貧相で嫌いなのだ。



子供のいる女には二度と手をださない。



「人と人とはね、たぶん空気で惹かれあうんだと思う」

「性格とか容姿とかの前にね、まず空気があるの。その人がまわりに放っている空気。そういう動物的なものをね、私は信じてるの」



夜の風は甘い。肺にやさしくしみるのがわかる。



「手をつないでいい?私、手をつないでくれない男のひとは嫌いなの」



フィアット・パンダ



ワインのない人生を生きる気はない、








恋はするものじゃなく、おちるものだ。
(出た この言葉)







(今度は不動産に焼肉屋さん 美味しいお肉食べさせてくれるかしら)

たのしく生きるには金が要るし、たのしく生きられなければ生きる意味がない。



二月。
よく晴れてはいるが、空気が痛いほどつめたい。



時間。
まったくいまいましいことに、時間の前には手も足もでないのだった。



可能性で物事を心配すれば、きりがない。



待つ、というのは不思議なことだ。

待つのは苦しいが、待っていない時間よりずっと幸福だ。



「すくなくとも私に関して、あなたは何かをしなければならないとか、してはならないとか、思う必要はないのよ」



「知ってる?でも私はあなたの未来に嫉妬してるのよ」



「信じてくれなくてかまわないけど、私はあなたが大好きよ」



捨てるのはこっちだ、と、決めている。



「結婚してよかったと思うことの一つは、一緒に食事をする相手がいるということだわ」



「会いたいときに会えない男なんて最低」



「素敵。私、ゴルフをする男のひとは大嫌いなの」
(愉快になり思わず笑ってしまった)



一日は万人に平等に二十四時間なのだから、効率よく使うべきだ。



夜明けは、都心の裏通りにさえ清潔な静寂をもたらす。




「暑いわね。夏はなかなか終わらない」



「言ったでしょう?一緒に暮らすことと一緒に生きることは、必ずしも同じじゃないって」



夏の夕方は、銭湯みたいな匂いがする。



「まったく最近の若い男はひとの話を聞かねえよな」
まるで、自分が最近の若い男ではないみたいに言った。




いいよ、と、こたえた。興味は持てなかったが、常に正直でいるわけにもいかない。



真昼。代官山という街は、人が多くてどこかのんびりしている。



かわいらしいというだけで恋におちるなんて、みんななんて謙虚なのだろう。



---








『間宮兄弟』映画をみた。
江國香織の世界を映画化するなら本人が監督になるしかないのでは?
そう思った。



























「自分は見たことしか信じない」








久々に広尾を歩いた。
あのyogaへ通う途中の交差点から。
しかし歩いていて目についたのはゴミ、雑草・・・
ここは広尾よね?

そう 今日は山種美術館へ。
閉館後特別に貸し切りにしてのトークイベント含む鑑賞会♪
ゆっくり一枚一枚

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2016-08-21 | 江國香織


江國香織
『日のあたる白い壁』★★

こういう紙質の文庫本が好き。

先日、中野京子の『新 怖い絵』を少し読んだばかり。
インスピレーションで絵画をみるのもよいけど、
その作家の生い立ちなどを知ると色々想像してしまう。
旨いところを突いてるなぁと思った本



結構表紙もインパクト



---


1.ゴーギャンのオレンジ

果物が元々そんなに好きじゃないからか、
江國さんみたいに食べたいとは思わない。
女性に関して「不遇」ではなかったってよいと思う。
わたしも女性慣れしている人の方が好ましく感じて惹かれる。


2.カリエールの想い

ぼんやり 気骨さが伝わる。

波長の合う絵、というのがある。好き嫌いとは別で、もっと生理的なものだ。絵の中の気配と自分の中の気配がしっくり合う、というか、肌に馴染む、というか。


3.ホッパーの海辺の部屋

春樹の翻訳本の絵
あとは美の巨人たちで紹介された『ナイトホークス』のイメージ

読んだばかりの『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』の表紙でもある。


4.児島虎次郎の睡れる幼きモデル

この本の表紙

人は、身体の中にその人の人生をたずさえて生きている。それまでの人生すべてを持ち運んでいる。それまでの人生すべてを使って物をみるのだ。


5.ボナールのバスタブ

ボナールはマルト(妻)の入浴している姿を見るのが好き。
マルトはボナールが絵を描いている姿が好き。

「波乱がない」


6.ドラクロワの花の習作

絵は持って帰らなくても、絵の気分は持って帰る、ということ。
絵の気分。


7.東郷青児の巴里の女

画家の「若さ」は痛々しい。どうしてだかわからないけれど、いつもそうだ。そして、痛々しいぶんだけ切実に胸に迫る。


8.パスキンの昼寝

池田20世紀美術館にて見たことがあるけどわたしには印象薄

子供の時の怠さ――自分で自分の身体を持て余すような、手や足がわずかに熱を帯びているような、ぽってりとした怠さ――


9.カサットの劇場にて

こういう絵 好き。
ぼんやりしたやさしい明るさと色調も。
これも美の巨人たちで紹介されてた。
ちょうど横浜に行ったから行ってみようかと思ったんだけど。


10.ユトリロの雪の積もった村の通り

ユトリロの色、といわれて思い浮かぶのは、まずは孤独な白、寒くさびしいブルーグレイだ。


11.ゴッホの夜のカフェテリア

この絵を見ると否応なしに電報を思い出す。
NTTのお祝い電報(笑)
一体何名にこれを送っただろう?

ゴッホの狂気


12.萩須高徳のカフェ・タバ

エコール・ド・パリ

とけこむ、というのは一つの才能だ。絵であれ文字であれ、かくときにはかく対象に、たぶんある意味でとけこまざるを得ない。


13.セザンヌのすいか

正直よくわかならい。


14.マネの海にとび込むイザベル

マネといえば過去オルセー美術館展にて。
笛を吹く少年、あと黒い帽子のベルト・モリゾがインパクト

才能と評価はイコールじゃない、


15.グレコの宗教画

自分の目でみてごらんなさい、自分の頭で考え、自分の言葉で語ってごらんなさい。


16.ルドンのちょうちょ

ルドンの素描は、ある種の人々に、とても人気があるらしい。


17.小倉遊亀の家族達

!ゆきと読むらしい!男性かと思った。

技術というのは需要だなと思う。豪胆さと繊細さ、おおらかさと正確さ、単純さと複雑さ、つつましさとあでやかさ、強さと脆さ、相反する、でもどうしても一時に存在するそれらのものを、ひっそりとすいとるように併せ持つのは、おそらく技術の力なのだ。


18.ムンクのお伽の森の子供たち

地元の美術館のイメージ『叫び』(メインはダリだけど)

プリミティブという力


19.ワイエスのグラウンドホック・ディ

全部、ちょっとくたびれている。でも、ぼろぼろというわけじゃない。ワイエスの絵はいつもそうだ。ちょっとかなしくて、ちょっと悲観的で、ちょっと美しい。

「寂寥感」と「孤独」


20.マティスのヴァイオリンがある室内

マティスと言えば手をつないで輪になっている絵のイメージ『ダンス』
色彩の魔術師

たっぷりと豊かな人生

ヴァンスのロゼール礼拝堂――マティスの最後の仕事――に、いつかいってみたいなと思う。


21.カラヴァッジョの聖トマスの懐疑

出たカラヴァッジョ
最近みたマグダラのマリアのポストカードを実家に送ったら「怖い!」だって(苦笑)



22.見知らぬ絵

忘れられない絵



23.オキーフの桃

耳にしたことがあるけど、まだ見たことがないオキーフ
この桃は素敵!

私たちがそこに連れ去れられるのではなく、その場にそこが出現する。

だって、率直で、美しい。それ以上、何を望めるだろう。



---


つまり、この本自体が美術館なのだ。




























この夏 旅をして思ったことは確信をついている。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2016-08-21 | 江國香織


江國香織
『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』★★

ずーっと浸っている林芙美子の世界からちょっと抜け出したく、
同時進行型読書 スイッチの切り替え ぱちん

恋しくなる江國香織

手元にあったのはこれと、
『日のあたる白い壁』
『絵本を抱えて 部屋のすみへ』
『東京タワー』



読書を習慣にしていると、ただ何かを読んでいたいだけという気分で、漫然と活字を追っていることがある。ものすごく楽しい訳ではないが、活字中毒としては、それはそれで良いと思う。けれども、時に、「えっ!?」と驚くことがある。この「えっ!?」の後には、こう続く。
「字、なのに・・・・・・!?」
エイミーの解説
うんうん



---



人生が川だとするならば、あたしたちは同じ海に向かって流れていく、二つの別々の川だ。くっつきそうにそばを流れる、でも別の川。








たぶんなにもかもが、すこしずつ狂い始めていたのだ。








「恋愛がすべてではないわよね」
私は一度、大好きな男にそう言ってみたことがある。
「すべてでは、ないだろうね」
と、こたえた。
それで十分だった。私たちはお互いに、どうあがいても愛している、と伝えあったのとおなじことだった。
私たちは、たぶん単純な者同士なのだろう。複雑なことを、単純に複雑なまま受け入れてしまう。








大切なのは快適に過ごすことと、習慣を守ることだ。



---




























時間潰しでみはじめた『エージェント・オブ・シールド』
結構おもしろくなってきたけど、ヒドラって何?(笑)
MARVEL

「生き残るには先手を打つのが大事よ」いぇい

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2016-06-28 | 江國香織


江國香織
『ホリー・ガーデン』★★★★

見落としていた らしい。



---








3 ピクニック



「私はダイエットなんてするくらいなら、小錦みたいに太ってる方がずっとましだと思ってるのよ」
と言い放ってそっぽを向いた。



好むと好まざるとにかかわらず、ピクニックが終われば現実に帰らなくてはならない。



「やるべきことをやらない、というのはよくないよ」



手をだせないほど濃密なくせに、ひどく不安で緊張した空気。



男(たとえ意に添う男でないとしても)と向かいあってコーヒーを飲み、心の中に別の男――愛する男――を感じているのは気分のいいものだった。



足元に落ちていたタンバリンを拾いあげ、軽く振るとシャラシャラと玩具くさい音がした。



死ぬまでにあと一体何度――何十度、何百度――男の人と寝るんだろう。


「十一時半か。矢沢永吉の気分だな」



憂鬱から逃れるすべなどないことに、もしもまだ気がつかないのだとしたら私はばかだ、と思う。



幸福と不幸の境目というのはどこにあるんだろう、と思った。

晴天というのはどちらかというと不幸に似ている、と思った。
それも、恒常化してしまった穏やかな不幸に。



とっくりした青緑色の水面を、風が静かに渡っていく。



記憶はおもちゃのブロックに似ている。一見色とりどりで形も違うようでいて、実際にはすべて都合よく企画されているのだ。



そばにいるのに、この人はいつも遠い、と思う。









「左側を通って下さい。左側を通らない人はチョウクでしるしをつけます」








――結局、感情的になった方が負けなのだ。余分な好意が人を感情的にする。



いちばん美しいのは肉体関係を含んだ友情なのだ、と思う。



自分が不幸なときに相手も不幸だと元気がでてしまうのはどうしてだろう。



私には何かが決定的に欠落しているのだ、と思った。



混んだ電車のドア越しに見る、五月の空は青くて高い。



「やらしいじゃなくて、いやらしいよ」



誰でもいいから、現実にひきとめてほしかった。隣を歩いている人でも、その隣の人でも、その隣の人でも。



記憶は数珠つなぎに甦る。



それにしても、ホテルの石鹸というのは、どうしてこういつもおなじ匂いなんだろう。



「ときどき不思議に思うの。世の中の、三十歳の独身の女はみんな、休みの日に一体何をしているんだろうって」



十月の代々木公園は、晴れて美しかった。



なつかしい、愚鈍だが穏やかでやさしいこの男友達と肩をならべて歩きながら、女同士にはタブーが多くて厄介だ、と思った。



「思ったことを、すべてそのまま口にだすのが義務だとでも思ってるの?」



「子供も大人も、他人のことなんてどうでもいいと思っているみたいに見えるけど」



次の月曜は、一人でピクニックにいくと決めていた。



届かない時間の届かない出来事。この男はどんな声をしていたのだろう。








「結婚している男と恋愛するって、むなしくないのかな」

「その、つらくないのかな、と思って」








「でも、精神的なお友だちがあんなにいるなんて、すごおく淫らだと思う。信じられないくらいよ。それにくらべたら、寝ることなんて全然なんでもないと思う」

「結局『精神的』っていうのがいちばんいやらしいわ」








女を傷つけることができるのは女だけなのだと思うことがある。



「煙草はビタミンCを破壊するのよ」



「どろどろ」や「感傷」は御免だった。



誰かの待っている部屋に帰るのはひどい恐怖だった。一人の方がずっと気楽だ。



会って、観察して、判断を下す。みんなそうやって知り合いになるのだ、








---








おじさんはわたしの気持ちを汲み取ってくれる。

このさじ加減の上手さ?気になって仕方ない。



いや・・・捨てられたのかもしれない。

何も始まってはいないけど「精神的なつながり」










笑点を見て思った・・・木久蔵ラーメンって美味しいのかな(笑)

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2016-06-12 | 江國香織




江國香織
『なつのひかり』★★★★★


再読


なつのちゃんとひかりちゃんでなつのひかり
ふと思っただけ(笑)

夜風がカーテンを揺らす。
ぽっかり空いた 有意義で自由な夜



---



このごろ、私はすぐ途方にくれてしまう。



私は、日陰のない道を歩くのが好きだ。あかるすぎて、時間がとまっているように見える。白っぽい風景はめらめらと温度をあげ、街の音をどこかに閉じこめてしまう。



「暑い日は外がきれいね」

私は、夏の昼間、ブラインドをいつも閉めておく。部屋の中が水槽のようになるのが好きなのだ。



思いがけないときに思いがけない場所で、思いがけない人に会うのは嬉しい。



~私は眠っている人の顔をみているのが好きだ。眠っているとき、人は動物より植物に似ている。しずかな寝息、しずかなまつ毛、ねむたあい、ことちたり。ねむたあい、さかなたり。ねむたあい、もりのけものたち――。



寝起きの声は色っぽい。私は、ベランダに漂う青白い空気に耳を澄ます。やわらかでかなしげな、とろとろした夏の風。



「夫を二人持ってしまったのなら、結局のところ二人とも愛さなくてはいけないんだから」



こんなふうに密封された場所でうつむいていても、おもてが朝だとわかるのはどうしてだろう。朝は、階段の空気がとても清澄だ。



「うさぎちゃん」



さるすべりの並木道、歩道と車道を区切る緑色の柵。暑くて少しくらくらする。



「ビールを飲むときは、ひろびろとうした麦畑を想像しながら飲むの。そうすると、飲めば飲むほど健康になりそうな気がするでしょう?」
私はうなずく。わかるような気がした。麦畑というものを実際に見たことはないしにても、体の中に、いまたしかに金色の風景がひろがった。



「私があなたのどこを好きかっていうとね、こんな風に、人の話をあんまりきいていないところだわ」



「私には、いまのところ手持ちの札が一枚もありませんから」



私は、お湯の中で手足をゆらゆら動かすのが好きだ。手足の内側をお湯がすべる、開放的でなめらかなくすぐったさ。

いきおいよくほとばしるお湯は、私の肉体をほんとうに心から喜ばせる。お湯の音、お湯の感触、そうしてお湯の匂い。



晴れた真昼の日盛りよりも、こんな風に曇って湿度の高い遅い午後の方が、夏の息づかいというか体温というか、ある種邪悪な匂いが濃いと思った。

雨は、爽快なほどはげしい音をたてて降り始めた。夕立ち特有の、不穏でほこりっぽい匂いがたちまちあたりにたちこめる。



私たちは、それをただ待っていればいい。考えない、立ちどまらない。


人生は不可解で騒がしい。



諒解、



「人生なんてそもそも手違いだ」



あかるくて健康的。素敵なイメージだと思う。



朝は空気がつめたい露を含んでいて、畑の土もしっとりと匂いたっている。



誰も彼も何かを探しているのだ。誰も彼も何かを探していて、だからどこかしら出かけていく場所がある。私は窓をあけた。晴朗な空気と鳩の声が届き、部屋の中に朝の最初の光がさした。私には探し物はない。だからこれといっていく場所もない。あるのはただの日常と、そのしずかなくり返しだけだ。



子供の頃、夏の夕方が好きだった。自由と不自由のあいだみたいな、心もとなくて不安な感じが好きだった。


青かった空は随分白っぽくひろびろとなり、あたりには夏の夕方特有の、とろとろした哀しみがしのびよっていた。



ねむたあい、ことりたち。ねむたあい、ひつじたち。ねむたあいかんがるーたち。



濃いすみれ色の空に、宵の明星がぽつんと小さく、くっきりと光っている。



「深く愛してるわ」



夜は、しっとりと快い重みをもって私たちの上に降りていた。



肉体的苦痛の果ての快楽、突然の解放。



「来年の今月今夜、なにをしてるだろう」

いつだってそうだ。現実というのはうけいれる他につきあいようがない。



なんの作意もない言い方だった。その声があまりにもやさしかったので、私は少しかなしくなってしまう。これだからやさしさは嫌いだ。



カンガエチャイケナイ、ススムシカナイノダ。
私のなかで、なにかがそう言っていた。



もうだめだ、と思った。流れてしまった時間はもう絶対にもとに戻せない。



私だけがここに残るのだ。いつもそう。気がつけばおなじ場所にいる。

いかなくてはいけないいかなくてはいけないいかなくてはいけない。



私は腰をうしろにそらし、ふーっと一つためいきをつく。空がかなしいほど青い。



・・・・・・私を? 捨てる?



破壊して遁走する。
それが私たちのやり方だった。



ここがどこなのかは問題じゃない。たぶん、流れるところに流れつくのだ。








女王様のお酒の話をしよう。
梅酒に似た外国のお酒で、美しいピンク色をしている。バチャランという名前で、甘くてやわらかな味がする。


ときどき、花びらがこぼれてコップのなかにおちる。すると、ピンク色をしたその甘い飲み物は、心なしかよけいに匂いたつのだった。



私は立ちどまり、ためいきをつく。ひろびろとうすい水色の、空がきれいだった。強いか風がふきぬける。



---



ナポレオンが愛しく・・・(笑)




























誰にも何にもしばられない自由過ぎてぽっかり空く時間をうれしくも複雑な気分になる。

昨日午後に帰ってきて、お昼ごはんを食べながらかるく飲んで夕寝
起きたらショートメールにケータイメール、LINE、PCメール+
わたしという存在が忘れ去られてないというおかしさにも似た気持ち。

ただ今日は静かで孤独な夕方
ドタキャンしたのはわたしだけど。
肩のあたりの重さと筋肉痛→練習中止
「先輩おごってね」的いやらしさ→お茶中止

刻々と過ぎる時間
焦りがないとは言えないけどどうしようもない。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2016-01-18 | 江國香織




江國香織(選)
日本ペンクラブ(編)
『ただならぬ午睡』★


恋愛小説アンソロジー

結構前にBOOK-OFFにて。
掘り出し物大好き~

しかし途中挫折で再読へ。。
江國さんのセレクト渋過ぎやしない?(苦)

吉行淳之介

河野多恵子

安西水丸

そして真ん中に江國香織

佐藤正午

村上龍

平林たい子

チェーホフ
(実は初読)



---



どこまで行くのだろう、と思うことがある。小説も、恋も、日々も、それがうたかたであるとしても、あるいはうたかたであるが故に、世界はあまりにも果てしないので途方に暮れてしまう。

恋は人を暴く。



---



そして村上龍

---



元気ですか。ぼくは元気です。今、陽が決して沈むことのない北極圏のトナカイの放牧地帯にいます。
元気ですか。ぼくは元気です。今、砂漠に夕日が沈もうとしているところです。
元気ですか。ぼくは元気です。今、彼方の丘の上からコーランが聞こえてきました。
元気ですか。ぼくは元気です。今、巨大なスラムの真ん中に架かる橋を大勢の人々が渡っています。
元気ですか。ぼくは元気です。今、カテドラルの前では大道芸人達が店を閉めようとしています。
元気ですか。ぼくは元気です。今、やっとハリケーンが去ったので明日東部に移動します。
元気ですか。ぼくは元気です。今、カーニバルが終わった通りでは明け方の薄明かりの中でイルミネーションが揺れています。
元気ですか。ぼくは元気です。今、今日はモネの絵とロートレックの生家を見に行きました。
元気ですか。ぼくは元気です。今、映画祭はは無事終わって地元のリンゴ酒の樽が用意されてパーティが始まろうとしています。
元気ですか。ぼくは元気です。今、このホテルの部屋の窓からは修道院の中庭が見えます。
元気ですか。ぼくは元気です。今、海峡を横断する船の中でこれを書いています。
元気ですか。ぼくは元気です。今、ここはサウナの本場だけど誰もサウナに入っている人はいません。
元気ですか。ぼくは元気です。今、タグボートを改造した懐かしいクラブでたくさんの昔の友人達に会うことができました。
元気ですか。ぼくは元気です。今、さっきシャーマンから未来を見て貰いました。
元気ですか。ぼくは元気です。今、ジャングルから何か動物が水を飲みに出てきています。
元気ですか。ぼくは元気です。今、深紅のオールドローズが咲き乱れる有名な十五番ホールではダブルボギーを叩いてしまいました。
元気ですか。ぼくは元気です。今、泳ごうと思ったんだけどプールの水面に虫がいっぱい浮いていて泳ぐのを止めました。
元気ですか。ぼくは元気です。今、・・・



---






























今日の高尾山はある意味完璧だった。
前日の嵐のせいかも。








相手のココロをグッと掴む。
自然と身についた 間合い。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2015-10-14 | 江國香織


江國香織
『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』★★

一度挫折し今回はじめから。


拓人 

つづき



こんな場所に来るつもりではなかったのに、と。誰のせいにもできないことはわかっていた。



--------


また「こわっ」な出だしに(笑)

ひっかかかった素直さにちょっとキュン


--------



テレビ局でディレクター



心はいつも彼のそばにあるのだから、身体だけひき離しておくのは無理なのだ。



「そこに帰ってもいいかな」



「都築さん!」



(しゃべれ。さっきみたいにしゃべれ)



「ぴょっぴょ?」



「会いたいよ」
言葉は、苦もなく口から滑りでた。




「相手の言葉が信じられないなら、結婚なんてすべきじゃないと思うわ」



せかいはいつもいっぺんなのだ。



むらさきの花々はきれいすぎるほどきれいで、そのことがなぜか悲しく思えた。



ひともムシも“いる”ことがぜんぶなのだ。



「何を言ってほしいんだ?」



異物、と思う。夜に、戸外でのむのみものは川みたいだ。体内に流れ込む川。



植物たちはつながっているのだ。地球の裏側までも、もしかすると宇宙までも。だから彼らは安らかで、何の心配もしない。ここで枯れても、どこかで生え、風に揺れているのだ。自分の始まりが始まりではないし、自分の終わりが終わりではない。



大人には、言葉の重さが全然わかっていないのだ。

みんなはまくの外にいて、自分だけがまくの内側にいる。



(涼しいところに旅行に行かれたらいいでしょうね。どこだろう、アイスランドとか?)



「どういう意味?」
硬い声がでた。カップがソーサーにあたる音が、それに重なる。
「文字通りの意味よ」
母親はあっさりと言う。やわらかな声音で。



--------


忘れないように記しておこう。

二人がそれでよいならよいんじゃなぃ?
「普通は」とか「誰々は」とか

今度目を見て言ってみようたくとみたいにね。

これが最後のディトにはならなかった。


--------



そばにいない人間の言葉は信じられる。



(まあ、もともと人間が考えだした概念ですからね、時の流れというのは)



つたえる。つたわる。しゅんじに。からだぜんぶで。せかいそのものをとおして。



まちがえた、というきもちと、たしかめた、というきもちがりょうほうしたが、どちらも、しんせんでしたしみぶかい、そとのくうきのにおいをかぐとすぐにわすれてしまった。








この子は恋をしているのだ。だから何もこわくないのだ。

「あの人は恋愛が好きなの。あなたじゃなく、恋愛が好きなのよ」



結婚指輪というのは、夫婦で揃いのものを身につけるから意味があるのではないのだろうか。



「真雪」



--------


ちがう と思った。
驚いたけど冷静さはあって不思議だった。
その気がないのに 交番前でぐいっと引っ張られ「話がある」 ある種の満足
つないだ手のにぎる強弱

返信がなく、案外やり手はあっち?


--------



「平気な顔で帰ってくるのね」



「ふつう、浮気というには妻にばれたら終わりにするものなんじゃない?」


「それが、浮気の定義なのか?」


「定義が大事?」


「いや?ぜんぜん?」


「でも、もしそれが浮気の定義なら、俺は浮気はしたことがない」


「なおひどいわ」


恋愛には賞味期限があるのだから。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2015-08-29 | 江國香織


江國香織
『スイートリトルライズ』★★★

文庫本にて再読
ハードカバーはベア。



連絡を待っている自分が嫌で携帯の電源を切りたい衝動に駆られる。
でももしかけてきて「電源が入っていないか…」のアナウンスを相手が聞くことを思うと切れない。
フッと笑ってこの文を書いてる。
時間は22:21 ふぅ
一緒に暮らしていたらどう思うんだろう?
そんなことがこの先あるのかな?

依存

こわい これ以上傷つきたくはない。



頼みの綱の週末の「内緒」



さてお好きな抜粋


---


約束は大事だと思っている。とくに、どうでもいいような約束は。


「よかった」
と言い、にっこり微笑んで、
「私たち、気持ちがちゃんとつながってるのね」
とつけたした。


---


たまに「地獄に落ちろ」と悪態をつく。


---


「このうちには恋が足りないと思うの」


「あなたといると、ときどきとても淋しくなるの」


---


きたーと思ったら自己中男子だった。
「ゴルフするの?」今更な質問に「おまえが地獄に落ちろ」はぁ


---


煙草の煙をほそくながく吐く。窓には透きとおった雨粒がつき、ガラスのあちこちを、それが線になって流れ落ちていく。


---


その数分後きた「これから帰ります」
電話はなし あと2分で11時


---


――ごく単純な意味において、運命っていうものを信じてるの。


---


今日は素直に反応


---


「その、なんでここにいるの?」



飢餓。
ふいに気がついた。愛ではなく飢餓だ。


---


既読にならない。これがLINEのやきもき。よくもわるくも。

どうでもよい会話を自己中と。


---


――嫉妬は女性にするものとは限らないのよ。


---


先日行ったお寿司屋さんで開口一番「まかせなさい」
ただ私は座っているだけ。
ノースリーブの腕が冷えて触るとひんやりした。


---


――まあね。離れてるから上手くいく男と女っていうのもあるんだろうね。


---


結局自己中も自己中で途中離脱(笑)

既読にならないまま23:45


---


自分でも何か話さなければと思ったが、話すべきことが何もないので黙っていた。会社にいって会社から帰った、それだけの一日。


男性というのは、好きになろうと思えばいつでも好きになれるものだ。誰にもいいところはあり、それはその人に特有のよさだからだ。


「物語は一度だけだから美しいんだよ。人生とおんなじだと思う」


「私、土曜日って大好き」


---


今度は弁護士から。。逢っておきたい人ではある。

読書終了///
ちょうど半分

明日「おはよう」を見ていつもの一日が始まったって思うのだろう。


---


簡単なことだった。家のなかと外とを分ければいいのだ。悪いことをするわけではないのだから。
秘密をすこし持つ方が物事は上手くいく。


隠すべきことがあると、おのずと話すべきこともでてくるのだ。


「大切なのは、日々一緒に生きるっていうことだと思うの」

「一緒に眠って一緒に起きて、どこかにでかけてもまたおなじ場所に帰るっていうこと」


---


豪遊
早朝帰り
リアルに感じたのはほりえもんがいたこと(笑)
ふぅ
朝目覚めて「行ってきます~」安堵


---


ここにあるのは愛ではなく飢餓なのだ。

別な男を好きになることなど簡単だった、と、言ったら?


「会いたかったわ」
言葉が勝手に口をついてでた。
「会いたかった。すごく会いたかったわ」


---


「朴訥とした感じ」
後ろを振り返ることなくさっさと先を歩く後ろ姿


しかしタクシーに乗せようとした時のぎゅっと手首をつかまれた腕の力強さ
あのまま乗っていたらどうなっていたんだろう?


---


「ここにいると、昔のことを思い出してしまうの」


「昼間は外にでて、仕事をしたり、いろんなことを考えて、浮気したりしていても、夜になるとそれぞれのうちに帰るでしょ。それって妙だなあと思うの」


地下鉄の窓に映った自分たちの姿は、でもすくいがたくよそよそしく、おそろしく淋しかった。


---


ハーフ終わってるはずだけど連絡はなし。


---


「週末じゅう、もう会いたくて会いたくて会いたくて大変だったんですよ」



「なぜ嘘をつけないか知ってる?人は守りたいものに嘘をつくの。あるいは守ろうとするものに」

私はこの男を愛している。強烈に。どうしようもなく。身も世もなく。


---


「肝機能絶好調!」
ビール2杯、日本酒2合、ファジーネーブル2杯(他オレンジ系1杯)、ジントノック2杯、梅酒ロック1杯、そして赤ワイン1杯


---


嬉しさが溢れて心がとろける。この男を拒絶することなど、どうすればできるだろう。


「こんなの全然スイートじゃないわ」


---


あと一時間
さよなら夏の日


---


理解できる相手は、やすらかだ。

スイートな、別の記憶


最終電車はひどく混んでいた。
なんだってみんな、金曜日というと酔っ払いたがるんだろう。


「ただいま」

「どこか行ってたの?」
尋ねるとくすくす笑った。
「行ってたわ」
と、こたえる。ありがとう、と言って腕からでた。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

E

2015-06-28 | 江國香織


江國香織
『左岸�』★★


どんより湿度100%な土曜の朝
恋愛初期って気分が高揚していてメールがくるだけでにっこり



---



抱かれること、大切にされていると感じること。



特定の人とくり返しするセックスは安らかで甘美だ。



たいしたことじゃない。そばに自分以外の誰かがるだけで、そう思えることが不思議だった。



無口というのと、言う必要のあることを言わないのとは、全然別だ。



「因果はめぐる」



「夢はいつかかなう。待つ者には」



「あたしたち、いっぱい男泣かせてきたったいねえ」
と、言う。
「そうやねぇ」
泣かされもしたけど、ということは言わずにおいた。



一日の終わりに、一杯のお酒にできること――








8 再び、恋におちる








「連れだしてくれて、ありがとう」



人生もまた、ワインとおなじくらい驚きだと思う。



時間がたちすぎた、ということは、時間がすこしもたっていないということに、何てよく似ているんだろう。








---







ユーミンの復讐に苦笑し、
サカナクションの夜の東側の歌詞に聴き入り、
あてどなくランダムに曲を聴いて静かに過ごす休日

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする