『ディケンズ ポケットマスターピース05』
辻原登=編
猪熊恵子=編集協力
-------(抜粋)
今も英国で愛される作家、ディケンズ。『デイヴィッド・コッパフィールド』『骨董屋』『我らが共通の友』の3長編の抄訳で、波瀾万丈の人生を描く稀代のストーリーテラーぶりをご堪能あれ。(解説/辻原登)
辻原登=編
猪熊恵子=編集協力
【収録内容】
デイヴィッド・コッパフィールド(抄)
骨董屋(抄)
我らが共通の友(抄)
ディケンズ著作目録
ディケンズ主要文献案内
ディケンズ年譜
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ディケンズ
聞いたことはあるけど読んだことのない作家さん
チャールズ・ディケンズ - Wikipedia
そもそもの出逢いは大江健三郎
--- キルプの軍団より抜粋
まずキルプという名前が、気にいったのでした。Qulipとアルファベットで印刷した様子は、ネズミに似ていると思います。これが自分の名前だったらことだぜ、そう考えたと、最初の個人授業の跡で忠叔父さんにいいました。
——そうかい?ディケンズは、悪役には悪役らしい名前をつけるものやから、という返事だったのですが、現役の暴力犯係長の叔父さんが妙に寂しそうだったので、僕は説明しました。
——いままで読んだところだけでも、僕はキルプが気にいっているんです。挿絵だけ覗いて見た分では、後の方のキルプが気の毒なくらいに思っています。
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抜粋的には『骨董屋』だけだったけど、この『デイヴィッド・コッパフィールド』が気になった。
そう確かキャッチャー・イン・ザ・ライ『ライ麦畑でつかまえて』に出て来た。
主人公のホールデンが、
「もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生まれたかとか、チャチな幼年時代はどんなだったのかとか、僕が生まれる前に両親は何をやってたかとか、そういった〈デーヴィッド・カパーフィールド式〉のくだんないことから聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな」
今になってやっとその意味が理解出来た!
『デイヴィッド・コッパフィールド』
--------(抜粋)
誕生まえに父を失ったデイヴィッドは、母の再婚により冷酷な継父のため苦難の日々をおくる。寄宿学校に入れられていた彼は、母の死によってロンドンの継父の商会で小僧として働かされる。自分の将来を考え、意を決して逃げだした彼は、ドーヴァに住む大伯母の家をめざし徒歩の旅をはじめる。
伯母にひきとられてトロットウッドと名を改めたデイヴィッドは、伯母の好意によりカンタベリーの学校に通うようになり、級友スティアフォースと運命的に出会う。また、法律事務所をひらくウィックフィールドのもとに寄宿した彼は、その娘アグニス、書生のユライア・ヒープなど、個性あふれる人々に囲まれて成長する。やがて学校を卒業した彼は、代訴人見習いとしての生活を始める。
幼友達エミリーと親友スティアフォースの駆け落ち。デイヴィッドを育んでくれた人びとを裏切るこの行為は、彼を悲しみのなかにつき落とす。その彼を救ったのは、子供のような心をもった娘ドーラとの愛だった。そして彼女との密かな婚約。しかし、その幸せもつかの間、伯母の破産、婚約の発覚、ドーラの父の死、見習いとして勤める法律事務所の解散など、激しい運命の変転が彼を襲う。
物書きとして生計をたてられるようになったデイヴィッドは、ドーラと結婚して安定した生活をおくっていた。しかし、そんな彼にうち重なる不幸が訪れる。愛するドーラの死、訣別した友スティアフォースの遭難。傷心のうちに外国を彷徨う彼の心にうかぶのは幼い日のアグニスとの至上の愛の想い出だった……。
多くの特色ある人物を精彩に富む描写で捉えた、ディケンズの自伝的要素あふれる代表作
幾多の出会いと死との劇的場面に彩られたディケンズの自伝的長編
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第一章 僕は生まれる
第二章 僕は観察する
第三章 僕は変化を経験する
第四章 僕は屈辱を受ける
(抄)
ディケンズの自伝と言われている本書
どこからどこまでが真実なのか皆無ではあるけれど、似ていることは年譜から確認出来る。
待ち時間にも読む読む。