山本周五郎
『ちいさこべ』★★★★
背表紙NO「や 2 25」
思えば新潮文庫メインで読み進めていた。
裏表紙の膨大なる書籍群を毎度眺め、ど れ に し よ う か なと。
今回は中編4編
江戸の大火と記載があり、先日読んだ『柳橋物語』同時代かと思い手に取った。
--------(抜粋)
江戸の大火ですべてを失いながら、みなしご達の面倒まで引き受けて再建に奮闘してゆく大工の若棟梁の心意気がさわやかな感動を呼ぶ表題作
藩政改革に奔走する夫のために藩からの弾圧を受けつつも、真実の人間性に目を見ひらいてゆく健気な女の生き方を描く『花筵』
人間はどこまで人間を宥しうるかの限界に真正面から挑んだ野心作『ちくしょう谷』など、
中編の傑作4編を収録
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・花筵(はなむしろと読)★★★★
陸田(くがたよ読)
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「さむらいは自分や自分の家族のためだけに生きる訳にはいかない、この世に生きている以上さむらいには限らない、人間はみんな自分の家族の他にも負わなかければならない責任と義務をもっている、私たちはいまそういう責任の一つを果そうと努力している、藩の御政治のためでもあるし、もっと多く領民ぜんたいの幸不幸に関わることなんだ」
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うむむ 武士道・・
題名の「花筵」はどういう意味かと思いきや・・中盤ぐらいに判明
少し『柳橋物語』に似ている雰囲気
女子ががんばって道を切り開こうとしているところ、天災に見舞われるなど。
「——山が焼ければ親鳥や逃げる身ほど可愛いものはない」唄ごえが響く。胸にこだまする。
表題作の
・ちいさこべ
一本気な江戸っ子?気性な主人公 男気溢れる棟梁!よっ!
最初の花筵の尾が引いていて、どうしても身が入らない感じだった。
・ちくしょう谷
「人間はどこまで人間を宥しうるかの限界に真正面から挑んだ野心作」
考えさせられた一作
大体の通り一遍な話なら憎んでしまうところを「宥す」という、
もしかしたら復讐のチャンスを探っているのか?とかあらぬ考えまで。
この作品を完成させるのに苦心させられた周五郎さん
要した時間は四か月
(解説抜粋)「ああ骨が折れた、これじゃあ、とても商売にならない」と嘆息したそう。
・へちまの木
「へちまの木」これは主人公の口癖で・・(笑)
よいところの武家のおぼっちゃんが厳しい現実に打たれ、絶望するお話
その目線の先にある市井の人々の暮らしぶりが、描写細かに伝わってきた。
育ちの良さと世間知らずな若者の苦悩?がここにある。
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新潮文庫 山本周五郎(ver.2、ver.3(新装版)がある)
収集がついている内に纏めてみた。
「や ver.2 NO.4」 『柳橋物語・むかしも今も』
「や ver.2 NO.8」 『小説 日本婦道記』
「や ver.2 NO.17、NO.18」 『ながい坂㊤』『ながい坂㊦』
「や ver.2 NO.20」 『ひとごろし』
「や ver.2 NO.29」 『町奉行日記』
「や ver.2 NO.31」 『人情裏長』
「や ver.2 NO.35」 『あんちゃん』
以上 現状10冊(まだ未更新が1冊有)
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