砂時計のメインテーマは「個人は国とどう対峙するか」だと思います。
テスは収容所から釈放されたあと、政治権力の手先となることで、実業界でも有力者となります。
テスは国を利用して、力を蓄えていくのです。
ヘリンの父は政治家への裏金献金を見直そうとして、失脚してしまいます。
政治権力に見捨てられ、失意のまま、死んでしまいます。ヘリンはその事業を継ごうとしますが株主たちに反対されます。
テスは政治権力により、ヘリンと会長の地位を争います。
なんとか、ヘリンが事業の後を継ぎますが、ヘリンはテスが父を死に追い込んだと誤解します。
しかし、父の事業を継いだものの、ヘリンは政治献金を拒否し、政治権力に破産寸前に追い込まれます。
テスは自分の全事業を処分し、ヘリンにわからないように資金をヘリンに渡します。
ヘリンはテスを利用し政治権力との駆け引きに使い、テスが政治権力を裏切るように仕向けます。
テスは過去の政治活動を理由に警察に捕まります。
ウソクはヘリンの父の対抗馬だった会長の事故死を追及し、殺人事件として捜査していきます。
その過程で殺人を計画したジョンドは失脚しソウルから逃げます。
この事件は結果としてヘリンの父を犯人として追い込みました。
ウソクは政治権力によってヘリンの父の失脚に利用されていたのです。
事件の背後まで追求しようとするウソクは光州へ転勤となります。
光州ではジョンドが力をつけて建設業界で不正を働いていました。ウソクはジョンドの不正を追及し逮捕します。
ヘリンはテスがすべてを捨てて助けてくれたことを知り、父の献金記録を取引材料にテスを釈放するよう政治権力に要求します。
政治権力はジョンドを釈放しヘリンを始末するようにさせます。
ヘリンの危機を察したテスは脱獄します。ヘリンはジェヒに助けられますが、ジェヒは命を落とします。
ヘリンと最後の一夜を過ごしたテスは、ジョンドを追い、ジョンドを殺して、警察に捕まります。
ウソクはテスの担当検事になります。
ウソクはテスの担当を外してもらおうとしますが、テスに説得され担当検事を続け、テスに死刑を求刑します。
このシーンのすごいこと。最も愛する親友に死刑を求刑しなければならない。
しかし、彼の人生を知りつくしていて、彼が死刑になるのは間違っていると誰よりも知っている。
国が間違っているときに、何が正義で、何が悪なのでしょう。
テスはウソクの立ち合いで死刑になります。
ヘリンとウソクはテスの父と母の眠る山に、テスの骨を撒きます。
とても見ごたえのあるドラマでした。ラストはこれしかないという感じ、うまくまとめています。
ヘリンはテスとウソクとジェヒの人生を変えてしまいますが、もうすこし、しっかりしていれば、こんなに周りの人を不幸にしなかったのにと思ってしまいます。
コ・ヒョンジョンは存在感があり、一瞬とても美しく感じる時があります。
このドラマは韓国の現代史をうまく使って、時代の移り変わりを表現しています。
当時、このドラマを見た人は一つの時代が終わったことを実感したことでしょう。
このドラマがあって、今の韓国ドラマがあるのではないでしょうか。
ウソクの父「人はなくして初めて大切なものがわかるんだ」
ウソク「僕には勇気がない。いつも頭の中だけで計算し吟味して整理する。好きだった人とも、それで別れた」
ヘリン「あの時、彼はこう言ったわ。自分を信じるならそばにいろと…。翌朝、私は逃げ出した。その時は、それが、彼のためだと思ったの」
ジェヒ「違いましたか」
ヘリン「今思うと怖かったのね。誰かに束縛されるのが…、誰かと愛し合うことが…」
テス「大切なのは、その後どう生きたかだ。それを忘れるな」