衛星劇場放送。
志村喬さん演じる博の父と寅さんの絡みが見どころです。
博の父の語ったシンプルな今昔物語の話が、寅さんが改めて語ると話が具体的になっているのが、おもしろいです。
昔、男がいた。
男が結婚した美女が1年もしないうちに死ぬ。
「どうして」と聞かれて、寅さんは「子宮外妊娠」と即答します。
何か納得。
そして、どうしても妻が忘れられず死んだ妻の墓をあばいた男が見たものは、寅さんが語ると「ウジ虫だらけ」となるのです。
すごいリアルな描写です。
そして男の悲劇は「妻を思い出そうとすると美しい顔を二度と思い浮かべることができず、ウジ虫だらけの顔しか思い出せない」ことだと寅さんは喝破するのです。
こんなこと、学者の博のお父さんさえ思い浮かばないんじゃないのかな。
そして、このときのマドンナは大原麗子さんなのでした。
この映画ができたとき、彼女と今昔物語のエピソードはあまり関係がなかったはずなのに…。
今の視点で見ると、不思議な感覚にとらわれます。