「鉄道無常 内田百閒と宮脇俊三を読む」酒井順子著 角川書店 2021
いつか書きたいテーマというものがあります。
そのテーマの本があるなら書くこともないのですが、そんな本が存在することはかなり稀です。
図書館を久しぶりに利用しだして検索したらあったんです、そんな本が…。
その本が「鉄道無常」でした。
こんな本が出版されていたとは知りませんでした。
私の好きな内田百閒と宮脇俊三について書いた本なんてあるはずないと思っていました。
なんにせよあるとこにはあるということで、借りて読みました。
一気に読みました。
もし私が本を書いたら、こんな感じの劣化版となっただろうなーと思いました。
二人の人間を評論するにはその共通点を指摘するのが常套手段です。
この本では内田と宮脇の共通点をこれでもかと挙げています。
その必要はあるのかと思うくらいです。
正直、そんな知らないことは書いていませんでしたが一つだけ驚いたことがあります。
それは内田百閒が「阿房列車」を始めたのが61歳だったことです。
「阿房列車」の中で「私は五十になった時分から、これからは一等(車両)でなければ乗らないときめた。」とあったので百閒50代の旅だと思っていたのです。
それは宮脇俊三が第一作「時刻表二万キロ」を世に出したのが51歳の時だったので、勝手に連想していました。
内田百閒の「阿房列車」シリーズが61歳から65歳の旅ということを改めて知り、それは同行者も必要だよねと納得したのでした。
さて酒井順子さんが書かなかった二人の共通点がありました。
それは二人ともヘビースモーカーだったということです。
そして内田百閒が81歳、宮脇俊三が76歳で亡くなったのは内田がたばこを肺まで吸わず、宮脇は肺まで吸ったせいではないかと勝手に思っています。