日本映画専門チャンネル放送。
樹木希林さんナレーター。この映画の次の放送が「樹木希林の居酒屋ばぁば」ということで続けてみました。
春日井市の高蔵寺ニュータウンに住む老夫婦のドキュメンタリー。
家庭菜園、手書きの手紙、庭内雑木林、手織機、平屋ワンルーム一戸建て、自家用ヨット、ペットボトル水…理想的な生活が描かれています。
で、いきなり夫が昼寝をしたまま死んでしまいます。なんて理想的な死に方なの。
残された妻は淡々と日々を過ごすという構成です。
いつまでも、元気で頭もしっかりして生きなきゃいけませんなーという感想しか思い浮かびません。
そして、カメラがあることでこの奇跡のような二人の生活はいつまでも記録に残るのですが、カメラがあるという意識が何かしら二人の行動を変容させているのではないかという気がしてなりません。
悲しみたいのに悲しめない。怒りたいのに怒れない。泣きたいのに泣けない。愚痴りたいのに愚痴れない。
「人生はしょせんお芝居よ」という言葉が真実であれば、そこにカメラがあるかないかの違いだけなのかもしれません。
ご主人の晩年の顔が美しいという話が何度も出てきます。
たしかに中年の頃に比べて美しいのです。
こういう、美しい顔の人間になりたいものです。
それにはお金や病気や家族に苦しめられない生き方のおかげか、全く逆にとことん人生で苦しんだ果てに到達する境涯なのだと思います。