ランサムサーガ10巻目「
日本にも行ったみたいで、読んでいる日本人もほっこりします。
ところがおサルさんにヤマネコ号を爆破されて沈んでしまいます。
ヤマネコ号に積んでいたツバメ号とアマゾン号脱出した一行は強風で離ればなれになります。
ツバメ号がたどり着いたのは女海賊ミスィ・リーが支配する島でした。
アマゾン号は海賊船に捕まってしまいます。
子どもたちはミスィ・リーのとりこになります。
さて子どもたちは無事に女海賊の島から逃れることができるでしょうか。
というお話です。
ヤマネコ号で失敗したのはあまりに悪役を情け容赦ない悪役にし過ぎたところです。
そのため、悪役と子どもたちが絡むことはなく、暴力を受けるのはピーター・ダックやビルでした。
そこで今回は悪役として女海賊ミスィ・リーを登場させ、子どもたちと絡ませることにしたのでしょう。
それが物語をふくらませて、おもしろさを増しています。
ミスィ・リーのキャラクターがすばらしくて、海賊の娘にしてイギリスのケンブリッジに留学経験があります。
オックスフォードのママレード「フランククーパー」がおいしいというエピソードが出てきて「フランククーパー」を日本橋三越に買いに行ったのがなつかしいです。
そしてラストの島からの脱出シーン。
一緒にイギリスに行こうとフリント船長がミスィ・リーに言いますが、ミスィ・リーは断ります。
この辺が横溝正史の「獄門島」の金田一と早苗さんの会話を思い出させます。
もしかして横溝はランサムを読んでいたりして…。
この巻でもティティが活躍します。
頑なだったミスィ・リーに心を動かす言葉を投げてフリント船長の命を救うことになります。
このあたりの繊細な表現が大好きです。
ここを読むためにこの本があるような…。
さて、ではなぜこの物語にDきょうだいは出てこないのかなんですが、ヤマネコ号にはDきょうだいの乗るスペースがなかったということと、このお話をつくる時にはまだDきょうだいと一緒に航海に出たいと思うほど親しくはなかったということなのかな、乗組員全員が船を操れないといけないけれどDきょうだいは船に関してはまだまだだったし…。