今日は、県立図書館へ行って『石窟庵』黄壽永編著、河出書房新社(1991)という本を見てきました。
大きな写真集で、今ではガラス越しにしか見られない石仏のいろんな角度からの写真や周りのドームの仏像の写真を見ることができました。
明治時代、郵便配達人が石仏を偶然発見したというのはウソだときっぱり書いてあったのが、おもしろかったです。
単純に、現地の郵便配達人が、日本人の郵便局長に、あそこに石仏があるという事実を伝えただけだそうです。
どう考えても、あんな山奥にわざわざ郵便配達人が行くわけないでしょうし、洞窟で雨宿りするわけないって、思っていたのですっきりしました。
でも、郵便配達人が石窟庵付近へ行くとしたら、お寺に郵便物を持って行ったのかもしれませんし、もしかしたら、昔は石窟庵周辺にも人が住んでいたのかもしれませんので、断言はできませんけけれどね。
それでも、郵便配達人のエピソードは、事実あったこととして、これからもガイドブックとかに載っていくんでしょうね。
この本の24ページにこんなことが書いてありました。
「年毎に増加する内外観光客のためにも、石窟非公開を固守しようとする方針も結構だが、それに対応する方案がまた緊要である。」とすると、当時は石窟は非公開だったのかと読める内容ですが、その頃、どういう展示をしていたのかはまったく本に書いていません。
当時、あたりまえのことは、本には書かれないものですし、本に残されるのは歴史的な内容だけになるのもわかります。
でも、10年、20年と経つとあたりまえだったものが、当事者でないとわからなくなってしまうのが歴史の皮肉ですね。