昨日は少し乱暴すぎたのでやり直す。
兄にもらった和菓子は、それはみごとだった。本物と間違えるぐらい綺麗だった。
どう見てもやりすぎだ。絵の具を使っているんでは、と疑いたくなるほどみごとな
物だ。
よーく眺めていると、「汚い」と思えてきた。これは食いもんじゃないね、と結論し
た。
10年ほど前、和菓子屋さんでヨモギ饅頭の生地を作るところを見たことがある。
その店では乾燥ヨモギを使っていた。煮詰めてから生地に混ぜたと思う。
生と同じ、いい香りがしたが色が良くない。干草に少し黒を混ぜたような色だった
ように記憶している。
生地の量はサッカーボールぐらいだった。店主が小さめのインスタントコーヒーの
ビンのような物を手にすると、ティースプーンで1杯すくって無造作に放り込んだ。
するとミルミル鮮やかなグリーに変化した。1分間くらい手品を見ているようだった。
驚いたのは、くすんだ色に混ぜるのだから、もっとくすんでしまうのかと思ったのだ
が、光を合成したかのように明るい色になったことだ。
実にみごとな薬である。絶対に食べないぞと決心したのだが、食べさせられてしま
った。なんと、おいしいではないか。これでは絶対だれにも分からない。
冷凍ヨモギを使うと、この食紅(緑)は必要ないのだが、かなり高価なのだ。
一流の職人はほとんど、冷凍物を使っているのだけどね。
でもね、曲者は天然着色料というヤツなのだ。だれだって「合成」より「天然」の方が
安全と思うはずだ。
一般的に天然と言われているものは、合成の30分の1の効き目しかないらしい。
と言うことは、さっきの場合ティースプーンで30杯ということになる。
こうなるとどっちが良いか分からなくなってしまう。ヨモギは冷凍と言う本物があるか
らいいが、桃や柿や青りんごの菓子となるとねー。