雄岳『嶽の森山』
最初はこの『山に登る』は3回くらいで終わるつもりが、なかなか下山させてはくれず
やっと下山する・・・というくだり(まさに下るんだけど)に入れそうです。そうです、
だから終わるかな?いえまだ見どころも出くわすものも出て・・・
こちらの山のほうが頂上は狭く、腰をおろして写真を写すのが精一杯、道場主さんは
「もう少し遅かったら、ここから下をみると紅葉してきれいやけどね」と言ってくれまし
た。そんな時期にもう一回登ってきたいです。
道場主さんの背中の向こうは峯に抜けて行けた串本町田並方面だとか
古座川町から串本町に山越えで昔の人は、歩いて行ったというから車がない時代それが
仕方ないことでも、距離を思うとすごいことです。
こちらは雌岳から見た三尾川方面
左の白く霞んだ谷あいの集落が小学校あたりか?おばあちゃんが「子供の時に学校で校庭
に出て校歌を歌う時に、山を見ながら歌ったけどその山はこっちけ?あっち(嶽の森山)
け?」と道場主さんに聞いていたけど、「あっちやの」と教えられていた。校歌を歌いな
がら、よそ見してたんかい!とツッコミたかったけど聞いてくれなさそうなので黙ってま
した。
洞尾(うつお)方向
山には二、三ヶ所の送電線をつなぐ鉄塔があります。あれが建つと山主にはかなりのお金
が補償としてもらえるそうで、羨ましい話です。うちの山はそんなお金を産んでくれる山
ではなく 木が電線にかかるので伐らしてほしい。。。と言われる雑木がほとんど。
さてここでの休憩も終わり、この山を下りることに。下りるとなるともっと居たいよう
な気分です。関西百名山のひとつですから、そんなところにいる自分がちょっと嬉しい!
地下足袋とリンドウ
山に履いてくる地下足袋はこのように、先が二つに分かれているけど実はその下が詰まっ
た形のものが最適です。地下足袋というと足先が二つに分かれているもの、とくに作業用
など足場を組んだ上を歩くようなものがイメージされるけど、あれだと山ではツルや
カズラがその指股に引っかかり、歩けないのです。スパイクで先の詰まったものがベスト
です。今回4人ともベストな地下足袋です!
下る12:40
登った斜面を下ります、右の木にロープが設置されていましたが下りる時にはちょっと
扱いにくいです。
道場主さんは「最後にもう一ヶ所、豆腐を積んだような岩があるとこに行くから」と
いうので、おばあちゃんとどんなとこやろ?と楽しみにして山を下りていきます。
まわりは植林した杉やヒノキ林に移っていきます。
手前の標識は『嶽の森』その後ろに『一枚岩』の矢印
ね、わからんでしょ?下りてきたから『嶽の森』方向はわかるけど『一枚岩』はそっち
に行くと一枚岩に行くのか、またはそれが見えるのか?迷いません?
矢印からすれば私達が下りていく方からも、逆に『嶽の森山』に登っていけるというこ
とですね。標識があるから安心ですが・・・。
『とうふ岩』の始まりです
写真ではわかりにくいけど、岩がちょうどお城の城壁のように積みあげたような形にな
っていて、積んだような境目もあるのです。説明では大昔海だったのが地殻変動でこの
ように隆起して長い年月かけて、雨水が岩に沁み込み亀裂のようになったとか。
私たちなら「へぇ、そうなんだ」としか感じないけど、道場主さんが案内した地質学の
研究者たちはとても喜ぶんだとか。下りるに従ってこのような岩がずっと続きます。
植林した中を歩きやすいように道がつけられているのも、観光協会で道を整備したりす
る人を雇っているんだって。古座川町は数少ない観光資源としてちゃんと考えているの
ね。道場主さんが「これ見てみ。うまいこと積んだすき間に合うように丸い形の石も
はさまったように見えるやろ?その石もできたすき間に小石が入ってるんや」
ほんと、丸石の左上の微妙なカーブにそって石が合わさってる!
自然の力は本当に不思議で強いもんだわ!
豆腐もここまで積み上げると凸凹もできるみたいだ
三枚の標識
これってさぁ、『一枚岩しも』と言われても、どう対処しましょ。案内人がいるから
心配はないけど、私には言いたい意味がいまひとつわかりませんでした。
それでも前方が歩いて行くのでせっせと歩きます。
前方がとうふ岩
それにしてもきれいに枝打ちされてきれいな林です。ここなら伐り出し運搬も下の道路
が近いから下草を刈ったり、枝打ちする価値もあるわな~と思いました。
ところでこのあたりに来ると、とうふ岩に気がつかず(足もとばかり見て歩いてしまう
のか)なかには『とうふ岩』を見ずに下山する人もいるそうで、こんな手書きの標識が
ありましたよ。
ここで立ち止まって前を見ろ!ということですね。
ここまで来ると道路からの車の音も聞こえてきて、下界に戻った!という雰囲気です。
おばあちゃんがしきりに「このとうふ岩、Nちゃんに見せたりたいわ」と言います。
というのは、今回の山歩きには三尾川の妹も行きたい・登りたいと、本人は行くつもり
でいたけど何人かに「無理やの」と言われたそうで、登り口から『嶽の森山』『巌の
巨人』は無理やろけど、おばあちゃんは下り口の『とうふ岩』なら時間をかけて歩けば
来れそうに思う・・・というので、またこちらから登って『とうふ岩』見学をするかも
しれません。もうすぐ終点・・です。
「ハビや!!」突然、先頭を歩いていた道場主さんが大きな声を出したので、三人は
「え!」「うそ?!」「どこどこ」山歩きでスズメバチやヤマダニ以上に厳重注意の
生き物が出てきたのです。もう11月、誰もがその生きものの存在を忘れていたのかも
しれません。「ビリビリ音がした!」道場主さんが杖の先で木の根元にいるハビをつつ
いています。つつくというより叩いているのですが腐葉土状の土なので軟らかい。
「頭たたかな」「しっぽより頭やで」とか私も見ましたがハビは久々に見るし、確かに
しっぽの先がすごい勢いでビリビリと動いています。こんなのに噛まれたら大変よ。
山頂で噛まれたらと思うとゾッとします。いまは助かることが多いけど、子供心にハビ
だけは出くわしたくないと思ってました。ハビ・・・毒蛇、マムシです!
なんとか頭を叩いて半死状態です。
緑の丸の中(ハビ)
こういうこともあるので、やはり山行きには地下足袋に脚絆ですね。マムシは動物の熱
を感知して飛びかかって足首に噛みついたりするので、いやぁ道場主さんがいなかった
ら、きっと気がついていなかったです~。