その時、もう夜で私と一緒にこげが玄関の中に入ろうと、でも一足ふた足こげの体が
先になかに入って私の片足が同じように玄関内に入りかけた時に、この間シクラメンを
植えたサザンカの近くで、ガサゴソと音がした。音がしても真っ暗でなにがそこにいる
のか、私には見えない。見えないけどその何かな?と思って足を止めた瞬間に、やはり
その様子が少しおかしいと思ったのか、こげが勢いよく外に飛び出した。私があれよあ
れよと思う間もなく、サザンカの下で「ブヒッ」とか「ウ~」という唸り声と、メッシ
ュ柵がガシャンと倒れる音がしたので、私にもそこにイノシシが何頭かいるような、
実際小さなメッシュ柵の枠を抜けていけるようなウリボウが二、三頭慌てて走り去るの
を見た。うっすらと見えたのが、ウリボウよりも大きいちょうどこげくらいの大きさの
イノシシを追いかけて、こげが裏の空き地を走って行く姿。空き地の向こうはメッシュ
柵を張り巡らし、駈け上がる竹やぶも腰の高さくらいの網を張っていて、イノシシなら
必死こいて飛び上がるか、突き破るかして逃げるやろ。こげはそれ以上行かないか?
でもこの間、タヌキを追いかけて竹やぶのかなり上まで上がっていってしまったな、
もしかしてあとをついて、どこまでも行くかもしれん、それはあかん!「こげ、こげ
もう戻って~」と私は叫び、家の中に入って「こげがイノシシ追いかけてるから。
はよ出てきて!」とおとうさんに言う。外はさっきより明るくて、竹やぶの下やとなり
との境目あたりで、ガシャンガシャンと音がしているのが聞こえるし、やはりブーとか
キャンとかの声も聞こえる。でも草が茂ったなかでの音と声なのでどこを走っているの
か全然わからない。私の声もこれだけ走り回っていたら聞こえないやろな・・・。
バキバキバキ!っという音とぴょ~んという格好でイノシシが隣の家の柿やみかんの
木がある庭に出てきた。「あ、こんなに昔みたいに広いんや」となぜか子供時代にそこ
でみた風景を思い出していた。昔、ここの庭は高く金網を張ってその中で大きな鶏を
放し飼いにしていた、ブロイラーだっけ、なんか大きかった。庭の真ん中に柿の木が
あって・・・。いまも残っているあの木かな?ってイノシシがその木の股、ちょうど
Yの字になった股によじ登ろうとしてるやん。でも無理やん、二回くらい脚が届かずす
べって落ちてきた。こげがその後ろ脚に噛みつこうとしてるし~、蹴り返されてもいる
そのたび、キャンと鳴いている、鳴いているから「もうこげ、かまんから。戻って」
と私も半分泣きながら叫ぶし、でも急に猟犬っぽくなったこげは聞いてない。何度目か
にイノシシは木の股に登れたと思ったら、前に飛び落ちた。というより、今度はこげも
うまいこと後ろ脚に噛みついて、イノシシが飛び乗ったと同時に体ごと木の股まで引き
上げられた、というのが正解で。だけど前の重みが落ちてしまったらこげの体だけが
木の股に引っかかった状態で、なんとか後ろに落ちないように前脚で木の幹を掻いてい
る。このままでは後ろに落ちて両足骨折ということに・・・。私は空き地を走り竹やぶ
の下を走って隣の家の庭に向かった。こげは?幹には血がついてるやん!!一気に心配
が四倍くらいになり、それでも「こんな時間に田辺の獣医さんは連れて行ったら診て
くれるかな」とか思えることが自分でも不思議で、走りながら木の股にはこげが見えな
くなったので下に落ちたか・・・と。木に近づくと根元がすり鉢みたいな形にへこんで
いて、Yの字の股まで二メートル近くある。よくまぁこの高さにイノシシもこげも飛び
上がったもんだわと感心した。思わず「げげ!」と後ろに下がった。そこには死んだ
さっきのイノシシが倒れていた。おかしいな、『さっきのイノシシが死んで倒れてい
た』という感じだ。遠目で見えなかったけど喉のあたりから肩にかけて血がべっとり。
こげが噛みついて仕留めたみたいだ。最後の力を振り絞って木に飛び移ったけど、力つ
きそのまま前に落ちたのだろう。こげは?こげはダイジョウブ?なんとイノシシと対角
線になったようにこげも倒れていた。口から喉に血がついて、ハァハァしてるし目も
つぶってる。「こげー」と抱き上げようとしたら後ろ足の腿の外側から血がボトボト
出てるやん。毛のついた皮がハサミで切ってめくれたように内側の白い肉までリアルに
見えてる。ヤバい、これはすぐ縫ってもらわな。もうすぐおとうさんがくるから・・・
私は両手でこげの体をすくいあげにかかった。泣けてくるし、もっと早くこげを止めた
らこんなことにならんかったのに、ごめんごめんとこげを抱いたら、両手が血で真っ赤
足元にも血が落ちてる「あぁ、ぼんくらさんがこの間ブログに書いてたウリボウを捌く
話で、手が血まみれになった・・・あの話はこんな感じかな」と私は自分が今、おかれ
た状況でヘンに冷静なようなおかしな気分になった。なったけどこげの息がだんだん
小さく弱くなったみたいな気がして「こげ~、こげ~」と泣きながらも叫んでいたし、
「でも声が出ない、なんで?」とまた自分を冷ややかに感じていた。そうしたら
今度は体が重くなって苦しくなった。こげを獣医さんに連れて行かなくちゃならない
のに、ガサガサと音がして「もっと大きいイノシシが来た?」と振り向いたら目が覚め
た。それはおとうさんがむこうで寝がえりを打った音で、でも私は半分まだ寝ぼけたよ
うに布団のえり口に顔をつけて「こげこげ」ともごもごさせていた。あ、夢やったんや
夢の中で、庭にイノシシ親子か兄弟が来てこげが追いかけ、木に登ったイノシシを仕留
めたけどどうやらこげも直前、後ろ脚を牙で裂かれたらしい、それを泣きながら私は
抱き上げていた・・・というストーリーで、心臓がまだドキドキして汗もかいていた。
すごく血の色や肉の感じが本物っぽかったのはなぜ?と起きてからあれこれと考えてみ
た。第一は ぼんくらさんのブログがとても衝撃だったんだと思う。魚なら少々捌く
話も耐えられたと思うんだけどね・・・。それにその話を先週の土曜日におばあちゃん
とおとうさんに話したのだ。二人ともそれなりのリアクションはあったけど普通に聞い
ていた。私も二人に話したという安ど感みたいなものがあって、徳島のウリボウの事は
忘れていたと思う。ただ、土曜日の朝NHKの情報番組で 兵庫県丹波篠山の猟師さん
が猟犬を連れて、猟期が解禁になった山に入り60キロもあるイノシシを仕留めて
両脚をくくられ、担がれて出てくるシーンを見たし、番組の中で篠山のぼたん鍋屋さん
の店先に置かれた、イノシシのはく製はこげくらいの大きさやな。。と思ったし、血や
肉の感じはそこらあたりからきたのかもしれない。それに口の周りが血で真っ赤という
のにも、思い当たる節が・・・。この間 三尾川のおじさんが来た時に 飼っている
こげの母犬 姫虎(きこ)が山の中でイノシシを追ったのか口の周りに血をつけて戻り
そのあと、エツとマルを放したらまたそれも同じようになって戻ってきた・・という話
を聞いていたのだ。その時は「こげにはできんなぁ」と笑ったんだけど、じゅうぶん
私の夢の中で猟犬になって負傷までしてきたではないか!その時におじさんに私は聞い
たのだ。「イノシシも子連れで逃げたら、追いつめられると子供を助けるために犬に
向かってくる?」と。おじさんは「そんなことはそう無い。親も逃げるのに必死で
何頭か連れていても、子供もパニックになっているからあちこちに逃げ回るし、その中
の弱いモノとかが犬にくわえられて、その間に他のものは逃げる・・そういうふうに
なっているんや」と教えてくれた。どうやらクマのようなこぐまのために人間に襲いか
かることはないみたい。でも、最初の場面で見たウリボウより大きなイノシシは牙は
生えてなかったのに、逃げる間にこげを血だらけにするくらい牙が生えてきたみたいだ
どうやら、夢の中では成長の速度はめっちゃハイスピードなんやね。私は ぼんくらさ
んの体験とテレビの映像、おじさんの話等々がミックスされ、とてもリアルでありえそ
うな夢をみてしまった。当然、起きてこげにこんな夢をみて大変やったんやで・・と
話したのさ。そうそう、いつもはあんなに走らないのに、夢の中で駆けぬけていたのは
母屋の庭の剪定に来ている大好きな植木屋さんと遊んでいた時の、あの走りだね。それ
も見ていたから夢の中にミックスされたのね・・・
先になかに入って私の片足が同じように玄関内に入りかけた時に、この間シクラメンを
植えたサザンカの近くで、ガサゴソと音がした。音がしても真っ暗でなにがそこにいる
のか、私には見えない。見えないけどその何かな?と思って足を止めた瞬間に、やはり
その様子が少しおかしいと思ったのか、こげが勢いよく外に飛び出した。私があれよあ
れよと思う間もなく、サザンカの下で「ブヒッ」とか「ウ~」という唸り声と、メッシ
ュ柵がガシャンと倒れる音がしたので、私にもそこにイノシシが何頭かいるような、
実際小さなメッシュ柵の枠を抜けていけるようなウリボウが二、三頭慌てて走り去るの
を見た。うっすらと見えたのが、ウリボウよりも大きいちょうどこげくらいの大きさの
イノシシを追いかけて、こげが裏の空き地を走って行く姿。空き地の向こうはメッシュ
柵を張り巡らし、駈け上がる竹やぶも腰の高さくらいの網を張っていて、イノシシなら
必死こいて飛び上がるか、突き破るかして逃げるやろ。こげはそれ以上行かないか?
でもこの間、タヌキを追いかけて竹やぶのかなり上まで上がっていってしまったな、
もしかしてあとをついて、どこまでも行くかもしれん、それはあかん!「こげ、こげ
もう戻って~」と私は叫び、家の中に入って「こげがイノシシ追いかけてるから。
はよ出てきて!」とおとうさんに言う。外はさっきより明るくて、竹やぶの下やとなり
との境目あたりで、ガシャンガシャンと音がしているのが聞こえるし、やはりブーとか
キャンとかの声も聞こえる。でも草が茂ったなかでの音と声なのでどこを走っているの
か全然わからない。私の声もこれだけ走り回っていたら聞こえないやろな・・・。
バキバキバキ!っという音とぴょ~んという格好でイノシシが隣の家の柿やみかんの
木がある庭に出てきた。「あ、こんなに昔みたいに広いんや」となぜか子供時代にそこ
でみた風景を思い出していた。昔、ここの庭は高く金網を張ってその中で大きな鶏を
放し飼いにしていた、ブロイラーだっけ、なんか大きかった。庭の真ん中に柿の木が
あって・・・。いまも残っているあの木かな?ってイノシシがその木の股、ちょうど
Yの字になった股によじ登ろうとしてるやん。でも無理やん、二回くらい脚が届かずす
べって落ちてきた。こげがその後ろ脚に噛みつこうとしてるし~、蹴り返されてもいる
そのたび、キャンと鳴いている、鳴いているから「もうこげ、かまんから。戻って」
と私も半分泣きながら叫ぶし、でも急に猟犬っぽくなったこげは聞いてない。何度目か
にイノシシは木の股に登れたと思ったら、前に飛び落ちた。というより、今度はこげも
うまいこと後ろ脚に噛みついて、イノシシが飛び乗ったと同時に体ごと木の股まで引き
上げられた、というのが正解で。だけど前の重みが落ちてしまったらこげの体だけが
木の股に引っかかった状態で、なんとか後ろに落ちないように前脚で木の幹を掻いてい
る。このままでは後ろに落ちて両足骨折ということに・・・。私は空き地を走り竹やぶ
の下を走って隣の家の庭に向かった。こげは?幹には血がついてるやん!!一気に心配
が四倍くらいになり、それでも「こんな時間に田辺の獣医さんは連れて行ったら診て
くれるかな」とか思えることが自分でも不思議で、走りながら木の股にはこげが見えな
くなったので下に落ちたか・・・と。木に近づくと根元がすり鉢みたいな形にへこんで
いて、Yの字の股まで二メートル近くある。よくまぁこの高さにイノシシもこげも飛び
上がったもんだわと感心した。思わず「げげ!」と後ろに下がった。そこには死んだ
さっきのイノシシが倒れていた。おかしいな、『さっきのイノシシが死んで倒れてい
た』という感じだ。遠目で見えなかったけど喉のあたりから肩にかけて血がべっとり。
こげが噛みついて仕留めたみたいだ。最後の力を振り絞って木に飛び移ったけど、力つ
きそのまま前に落ちたのだろう。こげは?こげはダイジョウブ?なんとイノシシと対角
線になったようにこげも倒れていた。口から喉に血がついて、ハァハァしてるし目も
つぶってる。「こげー」と抱き上げようとしたら後ろ足の腿の外側から血がボトボト
出てるやん。毛のついた皮がハサミで切ってめくれたように内側の白い肉までリアルに
見えてる。ヤバい、これはすぐ縫ってもらわな。もうすぐおとうさんがくるから・・・
私は両手でこげの体をすくいあげにかかった。泣けてくるし、もっと早くこげを止めた
らこんなことにならんかったのに、ごめんごめんとこげを抱いたら、両手が血で真っ赤
足元にも血が落ちてる「あぁ、ぼんくらさんがこの間ブログに書いてたウリボウを捌く
話で、手が血まみれになった・・・あの話はこんな感じかな」と私は自分が今、おかれ
た状況でヘンに冷静なようなおかしな気分になった。なったけどこげの息がだんだん
小さく弱くなったみたいな気がして「こげ~、こげ~」と泣きながらも叫んでいたし、
「でも声が出ない、なんで?」とまた自分を冷ややかに感じていた。そうしたら
今度は体が重くなって苦しくなった。こげを獣医さんに連れて行かなくちゃならない
のに、ガサガサと音がして「もっと大きいイノシシが来た?」と振り向いたら目が覚め
た。それはおとうさんがむこうで寝がえりを打った音で、でも私は半分まだ寝ぼけたよ
うに布団のえり口に顔をつけて「こげこげ」ともごもごさせていた。あ、夢やったんや
夢の中で、庭にイノシシ親子か兄弟が来てこげが追いかけ、木に登ったイノシシを仕留
めたけどどうやらこげも直前、後ろ脚を牙で裂かれたらしい、それを泣きながら私は
抱き上げていた・・・というストーリーで、心臓がまだドキドキして汗もかいていた。
すごく血の色や肉の感じが本物っぽかったのはなぜ?と起きてからあれこれと考えてみ
た。第一は ぼんくらさんのブログがとても衝撃だったんだと思う。魚なら少々捌く
話も耐えられたと思うんだけどね・・・。それにその話を先週の土曜日におばあちゃん
とおとうさんに話したのだ。二人ともそれなりのリアクションはあったけど普通に聞い
ていた。私も二人に話したという安ど感みたいなものがあって、徳島のウリボウの事は
忘れていたと思う。ただ、土曜日の朝NHKの情報番組で 兵庫県丹波篠山の猟師さん
が猟犬を連れて、猟期が解禁になった山に入り60キロもあるイノシシを仕留めて
両脚をくくられ、担がれて出てくるシーンを見たし、番組の中で篠山のぼたん鍋屋さん
の店先に置かれた、イノシシのはく製はこげくらいの大きさやな。。と思ったし、血や
肉の感じはそこらあたりからきたのかもしれない。それに口の周りが血で真っ赤という
のにも、思い当たる節が・・・。この間 三尾川のおじさんが来た時に 飼っている
こげの母犬 姫虎(きこ)が山の中でイノシシを追ったのか口の周りに血をつけて戻り
そのあと、エツとマルを放したらまたそれも同じようになって戻ってきた・・という話
を聞いていたのだ。その時は「こげにはできんなぁ」と笑ったんだけど、じゅうぶん
私の夢の中で猟犬になって負傷までしてきたではないか!その時におじさんに私は聞い
たのだ。「イノシシも子連れで逃げたら、追いつめられると子供を助けるために犬に
向かってくる?」と。おじさんは「そんなことはそう無い。親も逃げるのに必死で
何頭か連れていても、子供もパニックになっているからあちこちに逃げ回るし、その中
の弱いモノとかが犬にくわえられて、その間に他のものは逃げる・・そういうふうに
なっているんや」と教えてくれた。どうやらクマのようなこぐまのために人間に襲いか
かることはないみたい。でも、最初の場面で見たウリボウより大きなイノシシは牙は
生えてなかったのに、逃げる間にこげを血だらけにするくらい牙が生えてきたみたいだ
どうやら、夢の中では成長の速度はめっちゃハイスピードなんやね。私は ぼんくらさ
んの体験とテレビの映像、おじさんの話等々がミックスされ、とてもリアルでありえそ
うな夢をみてしまった。当然、起きてこげにこんな夢をみて大変やったんやで・・と
話したのさ。そうそう、いつもはあんなに走らないのに、夢の中で駆けぬけていたのは
母屋の庭の剪定に来ている大好きな植木屋さんと遊んでいた時の、あの走りだね。それ
も見ていたから夢の中にミックスされたのね・・・