昨日の続きです。
前回、最後に、かなり大胆で挑戦的な予告をして、しまいました。まあ、世間の作品評価が、北朝鮮への帰還事業を肯定的に描いたとして、北朝鮮賛美とか容共的とか左翼的とかの評価に対して、ひとこと、ふたこと反論したいと思ったのです。
ジュンは家庭の事情を考え、働きながら定時制高校へ通う道を選択し、職場を見学に行ったのですが、そこは“日立製作所武蔵工場”でした。
画面いっぱいに、工場の正門、工場建屋が映し出され、日立製作所武蔵工場とハッキリ判るのです。これは撮影協力への対価なのでしょう。まぁ、それは、それで問題はありません。
ここは最先端のトランジスター工場です。撮影の2年前にトランジスター研究所から、トランジスターの量産工場として稼働したばかりです。
最先端と云っても、当時は人間の手先に頼る労働集約型であり、たくさんの女性工員を必要としていました。
川口の鋳物工場とは比べものにならない、明るく清潔な近代的な工場です。
明るく広い社員食堂で、仲間と一緒に、楽しく、美味しく、栄養のある食事が安く食べられるのです。
昼食が終わると、屋上で、明るい陽ざしの下、みんな一緒に、明るく、楽しく、健康に、コーラスを楽しみます。
案内してくれた先輩(エルダー)の女子工員から、コーラスの指揮をしている女子工員も今年から定時制高校に通っていることを知らされます。
明るい職場で、楽しく仲間と働き、仕事の後は定時制高校で勉強、ジュンの眼は夢と希望に輝きます。
それで、工場内を案内したり、職場の仲間を紹介するのが、労務課のむさ苦しいオジサンではなく、年齢も近い先輩女子工員だと云うところが“味噌醤油味の素”なのです。
それにしても“吉行和子”若くてきれいです・・・・・・・。まぁ、それは、それとして、本題の先輩女子社員ですが、これが、いわゆる、OJT(On the Job Training)なのです。
「OJT」嫌いなんです。「オージェーティー」音としての響きが耳障りです。まぁ、それは別にして、新人の職場教育です。その方法に、エルダーとか、ブラザーとか、シスターとかの制度があるのです。
ブラザーにシスターです。名称からして“オン”ザジョブだけではなく、“オフ”ザジョブの役割も含みます。先輩が公私にわたって、指導したり、相談にのってくれたりするのです。
何か、とても良い制度に見えるのですが、まぁ、それだけであれば、何も問題は無いのですが、実は、この制度には、とても政治的、思想的、役割があるのでした。
学校を卒業して、何も知らない若い労働者が、社会の荒波に乗りだし、日頃の職場や、職場以外での悩みを、“反体制的”“反企業的”な組織に利用されないようにしていたのです。
そんな活動の積み重ねが、日本独自の企業内組合を支え、企業あっての労働組合との意識を育み、結果として、労働組合の力が低下し、サービス残業、長時間労働、そして、非正規雇用の拡大に繋がっていくのです。
政治の季節から経済の季節へ、日本の経済成長を、日本の資本主義を、末端で支えた制度だったのです・・・・・・。そのシスター制度を“肯定的”に描いた「キューポラのある街」は、それなりの責任があるのです。
何て云うと、そんなバカなァ! それは大げさだァ! との反論が聞こえてきます。そう、かなり大げさでした。
そうなんです、北朝鮮への帰還事業を肯定的に描いたとの批判と、シスター制度を肯定的に描いたとの批判も、どちらも大げさなのです。でも、どちらにも、一欠片の真実が・・・あったりするのです。
会社見学のあと、明るい未来を信じて、唄いながらペダルを漕ぐジュン。
今回は、かなり、小難しい、こじつけめいた話になってしまいました。次回は、「キューポラのある街」についての、雑談的、気楽なお話です。
それでは、また来週。
前回、最後に、かなり大胆で挑戦的な予告をして、しまいました。まあ、世間の作品評価が、北朝鮮への帰還事業を肯定的に描いたとして、北朝鮮賛美とか容共的とか左翼的とかの評価に対して、ひとこと、ふたこと反論したいと思ったのです。
ジュンは家庭の事情を考え、働きながら定時制高校へ通う道を選択し、職場を見学に行ったのですが、そこは“日立製作所武蔵工場”でした。
画面いっぱいに、工場の正門、工場建屋が映し出され、日立製作所武蔵工場とハッキリ判るのです。これは撮影協力への対価なのでしょう。まぁ、それは、それで問題はありません。
ここは最先端のトランジスター工場です。撮影の2年前にトランジスター研究所から、トランジスターの量産工場として稼働したばかりです。
最先端と云っても、当時は人間の手先に頼る労働集約型であり、たくさんの女性工員を必要としていました。
川口の鋳物工場とは比べものにならない、明るく清潔な近代的な工場です。
明るく広い社員食堂で、仲間と一緒に、楽しく、美味しく、栄養のある食事が安く食べられるのです。
昼食が終わると、屋上で、明るい陽ざしの下、みんな一緒に、明るく、楽しく、健康に、コーラスを楽しみます。
案内してくれた先輩(エルダー)の女子工員から、コーラスの指揮をしている女子工員も今年から定時制高校に通っていることを知らされます。
明るい職場で、楽しく仲間と働き、仕事の後は定時制高校で勉強、ジュンの眼は夢と希望に輝きます。
それで、工場内を案内したり、職場の仲間を紹介するのが、労務課のむさ苦しいオジサンではなく、年齢も近い先輩女子工員だと云うところが“味噌醤油味の素”なのです。
それにしても“吉行和子”若くてきれいです・・・・・・・。まぁ、それは、それとして、本題の先輩女子社員ですが、これが、いわゆる、OJT(On the Job Training)なのです。
「OJT」嫌いなんです。「オージェーティー」音としての響きが耳障りです。まぁ、それは別にして、新人の職場教育です。その方法に、エルダーとか、ブラザーとか、シスターとかの制度があるのです。
ブラザーにシスターです。名称からして“オン”ザジョブだけではなく、“オフ”ザジョブの役割も含みます。先輩が公私にわたって、指導したり、相談にのってくれたりするのです。
何か、とても良い制度に見えるのですが、まぁ、それだけであれば、何も問題は無いのですが、実は、この制度には、とても政治的、思想的、役割があるのでした。
学校を卒業して、何も知らない若い労働者が、社会の荒波に乗りだし、日頃の職場や、職場以外での悩みを、“反体制的”“反企業的”な組織に利用されないようにしていたのです。
そんな活動の積み重ねが、日本独自の企業内組合を支え、企業あっての労働組合との意識を育み、結果として、労働組合の力が低下し、サービス残業、長時間労働、そして、非正規雇用の拡大に繋がっていくのです。
政治の季節から経済の季節へ、日本の経済成長を、日本の資本主義を、末端で支えた制度だったのです・・・・・・。そのシスター制度を“肯定的”に描いた「キューポラのある街」は、それなりの責任があるのです。
何て云うと、そんなバカなァ! それは大げさだァ! との反論が聞こえてきます。そう、かなり大げさでした。
そうなんです、北朝鮮への帰還事業を肯定的に描いたとの批判と、シスター制度を肯定的に描いたとの批判も、どちらも大げさなのです。でも、どちらにも、一欠片の真実が・・・あったりするのです。
会社見学のあと、明るい未来を信じて、唄いながらペダルを漕ぐジュン。
今回は、かなり、小難しい、こじつけめいた話になってしまいました。次回は、「キューポラのある街」についての、雑談的、気楽なお話です。
それでは、また来週。